新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.899、2009/7/16 10:52

【会社法・解散・清算・特別清算】

【質問】1年ほど前に株式会社を設立しました。取締役は私だけで、私が会社の代表取締役です。出資者は別にいて、その方が100%出資し、現在も株式を保有しています。業績が思わしくなく将来性もないので今のうちに会社を解散しようと思っていますが、私の一存でできますか。できるとした場合、代表取締役の責任の範囲が知りたいのです。事務所の家賃や会社名義で購入した車のローンなど、どこまで個人で責任を負う必要がありますか。

【回答】
1.(代表)取締役の一存で解散はできません。株式会社を解散するには解散する理由(事由)が必要であり、解散事由は法律上決められています(会社法471条、472条)。その中に、取締役の意思のみによる解散事由が規定されていません。少なくとも株主総会の決議が必要です(会社法309条2項11号。過半数の株主が出席して、3分の2の決議が必要です。)。解散後はその旨登記し(会社法926条、解散の登記)、清算手続きを行い清算結了の登記により法人は消滅します(会社法476条、929条)。
2.法定の解散事由に該当すれば、会社の財産関係の清算手続きを行いますが、取締役個人と階差の財産関係は法的に別個ですから、原則的に取締役個人に責任はありません。
3.尚、清算手続き中に、債務超過であることが分かった場合、会社の自主性を尊重し債権者の利益を考えて裁判所の監督の下に特別清算手続きを行うことができます(会社法511条)。債権者との話し合いができなければ公正、平等な残余財産の分配のため破産手続きに移行します(会社法574条1項)。勿論債務超過である以上最初から破産の申し立てもできます(破産法15条、16条。支払不能、債務超過が破産原因です。)。又、清算の期間短縮、手続きの簡略化のためには、清算を弁護士に依頼する任意整理、内整理があります。この場合は、財産的清算のみをして、会社を残し(解散登記を行わないで)、時期を見て営業再開も可能です。
4.事例集862番835番818番も参照してください。

【解説】
1.(解散制度の趣旨)
株式会社の法人格の消滅をきたす原因となる事実を解散といいます(会社法471条等)。すなわち、解散、登記により、団体としての権利義務の主体性(権利能力)がなくなるということです。人の場合は、死亡が唯一の権利能力喪失の原因です。どうしてこのような制度があるからというと、会社の存在そのものに理由があります。株式会社とは、営利を目的とする社団法人(対比財団)です。すなわち団体という無形の存在に人間とおなじ権利能力を認めているわけです。どうして権利能力を認めているかというと、法の理想である公正、公平な経済社会秩序の維持に最終目的があります。経済社会秩序は、本来権利主体である人が中心に形成されるのですが、実際の経済社会生活においては団体の存在を無視して権利義務を論ずることはできません(法人実在説)。団体設立、結社、営業の自由(憲法21条、22条、28条)はその表れです。自由主義経済社会は、団体の典型である会社を中心に動いているといっても過言ではないからです。自由主義国際社会でも同様です。しかし、この団体、財団、は人と異なり無形なものですから、団体の目的規模により厳格な要件が定められています。取引の安全と権利関係を明確にするために当然の要請です。しかし、団体の存在は、それ自体が目的ではなく、公正な法社会経済秩序を実現するという法の理想を実現するための手段であり、その理想、目的から見て団体の存在が不要である理由が存する場合は、人と異なりその団体の解消、権利能力の喪失を認めているのです。しかし、実体のない存在なので取引の安全、構成員関係者の権利関係を明確にするために解散事由は法律で定められており、それ以外の理由で勝手に解散はできません。

2.(取締役の意思決定と解散)
まずご質問のように、株式会社の代表者である取締役の意思により解散できるかという問題ですが、本件では取締役は1人ですから代表権を持ち業務執行の意思決定権を持っていますが(会社法348条)、取締役の解散の意思決定は解散の事由として認められておりません。取締役は株式会社の業務の意思決定、執行、業務監査を行う役員、経営者であり、その基本的地位は、民法上の委任契約に基づき(会社法330条、民法643条)、会社から法律上の効果を生じる行為(事務)の代理(処理)を委託されたたものであり、法律行為等を行うことについて自ら裁量権を有し、高度な善管注意義務(会社法355条の忠実義務)を有し会社のために働く任務を有するものです。その取締役が、その一存で、会社の所有者の意見を聞かずして会社の解消の意思決定をすることはできません。

3.(解散事由)
ではどのような場合に解散は認められるのでしょうか。それは、会社法471条、472条に規定があります。@定款に定めた存続期間の満了、その他の事由です(1号、2号)。定款とは、その会社の商号・本店・目的等の基本的な事項をはじめ、組織形態、運営方法などを定めたものです。定款がなければ会社は権利能力を有しませんから(民法34条)、自然人でいえば生命、頭脳に該当するものです。結社の自由により団体の解消も決めることができることになります。実務的には、株式会社を設立して、解散事由を前もって決めておくことはあまりないようです。株式会社は、本来社員が結合し資本を結集して営利を目的として設立されていますから永続的存続を前提にしているからです。A株主総会の特別決議(3号、309条2項11号)。株式会社は社団法人であり、構成員である社員がその所有権を持っていますから当然の規定です。持ち分会社と異なり、全員の合意にしなかったのは、株式会社は、社員を構成員にしていますが、株式という資本を結集するところに特色がある物的会社であり、社員間の結びつきが弱く多数決に基づくことになります。持分会社は、社員間の結びつきにより運営される人的会社ですから、株式会社と異なり社員全員の合意が解散事由になっています(会社法641条3号)。その他持分会社においては社員の欠けたことも同じ理由から解散事由として認められています(会社法641条4号)。C合併(471条4号)社団設立の自由から、合併の自由も認められ吸収合併、新たな会社の設立により旧会社は解散消滅します。D破産手続きの決定(5号)。株式会社は営利を目的にする社団法人ですから、破産手続きの決定は、会社の支払不能、債務超過により一旦会社を清算することが裁判所により認められたということであり、存続する財産的基盤が失われたからです。E裁判所からの解散を命ずる裁判(824条1項)。会社の設立の目的は、公正な社会経済秩序の建設であり、その理想から認められない団体は存在意義が否定されるからです。また、少数株主の請求(833条1項)があります。社団法人であり会社の運営が運営上財政上困難な時は会社債権者 、構成員の利益を確保するため団体の解消を認めています。F休眠会社のみなし解散(会社法472条)。会社は、商業登記により表示され、取引が行われる関係条、実態的に企業活動をしていない会社の存続を認めると取引が混乱し、会社売買等不法取引等の温床になるからです。

4.(清算手続き)
解散したからといって直ちに消滅してしまうわけではなく、合併の場合を除いて、原則として清算手続きに入り(会社法475条)、清算中の会社として存続し、後始末として清算手続きが行われます。すなわち、会社は解散の登記をしても清算の目的の範囲内で依然として権利能力を有します(会社法478条)。又、再度株主総会の決議で元に戻り会社の継続も可能です(会社法437条)。なお、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があるか、会社に債務超過の疑いがある場合には、裁判所の命令によって、特別清算手続きも予定されています(会社法510条)。清算中の株式会社では、1人か2人以上の清算人を置くことになります(会社法477条)。関係者に解散の通知・公告を行い、定款の定め、株主総会の選任がなければ代表権を有する取締役であるあなたが清算人となって(会社法478条1項1号)、解散登記及び清算人の登記をします(会社法926条)。清算人は、就任後遅滞なく会社の財産目録及び貸借対照表を作成し(会社法492条)、従業員の解雇や債権者との交渉、それらが終了した後の残余財産の分配等を行い(会社法481条)、遅滞なく決算報告書を作り、株主総会に提出して承認を受け(会社法507条3項)、清算結了の登記をして(会社法929条)、会社は消滅します。無形の存在である会社は、設立と同じように清算結了の登記により消滅します。

5.(取締役の責任)
あなたの質問にある「事務所の家賃や会社名義の車のローン」を個人で責任を負う必要があるかですが、解散手続きの流れの中では、清算人であるあなたが、家主との間で事務所の賃貸借契約を解除して家賃をいつまで支払うかを決め、車のローンについても債権者との交渉をすることになります。あなたが個人的に責任を負うかどうかについては、法人格を別個に持つ会社名義での契約でしたら、あなたが個人的に責任を負う必要はありません(債務保証の場合を除く)。清算人就任後に作成する清算貸借対照表を参照した上で、事務所の家賃をいつまで支払えるか、車のローンが完済できるか、車は売却したらいくらになるのかなど、会社を閉めるための準備を行っていきます。清算に伴う諸費用(清算人報酬、清算事務費用、残余財産分配費用、登記諸費用等)は控除しておきましょう。万が一、出資者から「あなたの経営には公私混同があった。不適切な経理処理があった。」と主張されて、取締役の会社に対する責任追及の訴え(会社法847条、423条)を提起すると主張された場合は、事実関係をよく確認する必要がありますから、どうしても自分でできなければ「弁護士に判断してもらいますので、責任の根拠となる資料一式を提出してください」と依頼し、提出された書類を弁護士に見てもらうと良いでしょう。

6.(破産、特別清算との関係)
手続きの中で、清算会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになった場合には、清算人は破産手続開始の申立をし、以後の事務は破産管財人に引き継いで、任務終了となることもあります(会社法484条)。会社が債務超過であることが判明した場合には特別清算手続を裁判所に申立てることもできます(会社法511条)。特別清算手続は、債権者や株主の利益を保護するため手続を厳格にし、かつ清算人に対する裁判所の監督を強化する必要が生じるため、通常の清算手続とは別に法で定められたものです(会社法510条〜574条)。

7.(破産、特別清算の違い)
破産手続と特別清算手続の違いですが、会社の財産の処分権を会社側が失うかどうかという点にあります。破産手続が、債務者が経済的に破綻した場合に、会社の財産は管財人が支配する破産財団という独立別個の財産となり、すべての債権者に公平な弁済をすることを目的として債務者の総財産を清算し分配する裁判上の手続きであり、裁判所が選任した破産管財人が清算事務を遂行するのに対し、特別清算の手続は、会社内の自治を尊重し自力で公平な清算を行おうとするもので、原則として、従前の清算人が会社所有の財産のままで管理処分し清算事務を遂行する点がことなります。清算人は破産管財人と同様の職務を遂行します。また、破産手続きは債権者に比例して定められる配当額を法律に定められた手続に従い債権者に配当するのに対し、特別清算の手続きは、会社内の自治を尊重し債権者の多数決によって定められる「協定」に基づいて弁済が行なわれるなど、柔軟な手続が可能です。しかし、この協定成立、実行の見込みがなければ自力清算の可能性がないので裁判所により破産手続き開始の決定がなされます(会社法574条1項)。

8.(弁護士による任意整理)
以上両手続きは、裁判所の監督下で行われますが、裁判所という第三者の関係上時間がかかり、手続きが結構煩雑であり、債権者との話し合いがスムーズに行う可能性があれば、時間、費用を節約するため弁護士が介入して「任意整理」という手続きもございます。

≪条文参照≫

<憲法>
第21条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する
第22条  何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する
第28条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

<会社法>
第八章 解散
(解散の事由)
第四百七十一条  株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一  定款で定めた存続期間の満了
二  定款で定めた解散の事由の発生
三  株主総会の決議
四  合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五  破産手続開始の決定
六  第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判
(清算の開始原因)
第四百七十五条  株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。
一  解散した場合(第四百七十一条第四号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
二  設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
三  株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
(清算株式会社の能力)
第四百七十六条  前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
第四百七十七条  清算株式会社には、一人又は二人以上の清算人を置かなければならない。
2  清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役又は監査役会を置くことができる。
3  監査役会を置く旨の定款の定めがある清算株式会社は、清算人会を置かなければならない。
4  第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において公開会社又は大会社であった清算株式会社は、監査役を置かなければならない。
5  第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において委員会設置会社であった清算株式会社であって、前項の規定の適用があるものにおいては、監査委員が監査役となる。
6  第四章第二節の規定は、清算株式会社については、適用しない。
(清算人の就任)
第四百七十八条  次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。
一  取締役(次号又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
二  定款で定める者
三  株主総会の決議によって選任された者
2  前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
3  前二項の規定にかかわらず、第四百七十一条第六号に掲げる事由によって解散した清算株式会社については、裁判所は、利害関係人若しくは法務大臣の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。
4  第一項及び第二項の規定にかかわらず、第四百七十五条第二号又は第三号に掲げる場合に該当することとなった清算株式会社については、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
5  第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において委員会設置会社であった清算株式会社における第一項第一号及び第三百三十五条第三項の規定の適用については、第一項第一号中「取締役」とあるのは「監査委員以外の取締役」と、第三百三十五条第三項中「社外監査役」とあるのは「過去に当該監査役会設置会社又はその子会社の取締役(社外取締役を除く。)、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないもの」とする。
6  第三百三十条及び第三百三十一条第一項の規定は清算人について、同条第四項の規定は清算人会設置会社(清算人会を置く清算株式会社又はこの法律の規定により清算人会を置かなければならない清算株式会社をいう。以下同じ。)について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「取締役は」とあるのは、「清算人は」と読み替えるものとする。
(清算人の職務)
第四百八十一条  清算人は、次に掲げる職務を行う。
一  現務の結了
二  債権の取立て及び債務の弁済
三  残余財産の分配
(業務の執行)
第四百八十二条  清算人は、清算株式会社(清算人会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2  清算人が二人以上ある場合には、清算株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。
3  前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない。
一  支配人の選任及び解任
二  支店の設置、移転及び廃止
三  第二百九十八条第一項各号(第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項
四  清算人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備4  第三百五十三条から第三百五十七条まで、第三百六十条及び第三百六十一条の規定は、清算人(同条の規定については、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)について準用する。この場合において、第三百五十三条中「第三百四十九条第四項」とあるのは「第四百八十三条第六項において準用する第三百四十九条第四項」と、第三百五十四条中「代表取締役」とあるのは「代表清算人(第四百八十三条第一項に規定する代表清算人をいう。)」と、第三百六十条第三項中「監査役設置会社又は委員会設置会社」とあるのは「監査役設置会社」と読み替えるものとする。
(清算株式会社の代表)
第四百八十三条  清算人は、清算株式会社を代表する。ただし、他に代表清算人(清算株式会社を代表する清算人をいう。以下同じ。)その他清算株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2  前項本文の清算人が二人以上ある場合には、
(清算株式会社についての破産手続の開始)
第四百八十四条  清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
2  清算人は、清算株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3  前項に規定する場合において、清算株式会社が既に債権者に支払い、又は株主に分配したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
(財産目録等の作成等)
第四百九十二条  清算人(清算人会設置会社にあっては、第四百八十九条第七項各号に掲げる清算人)は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日における財産目録及び貸借対照表(以下この条及び次条において「財産目録等」という。)を作成しなければならない。
2  清算人会設置会社においては、財産目録等は、清算人会の承認を受けなければならない。
3  清算人は、財産目録等(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。
4  清算株式会社は、財産目録等を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該財産目録等を保存しなければならない。
(特別清算開始の原因)
第五百十条  裁判所は、清算株式会社に次に掲げる事由があると認めるときは、第五百十四条の規定に基づき、申立てにより、当該清算株式会社に対し特別清算の開始を命ずる。
一  清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること。
二  債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態をいう。次条第二項において同じ。)の疑いがあること。
(破産手続開始の決定)
第574条  裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法 に従い、破産手続開始の決定をしなければならない。
一  協定の見込みがないとき。
二  協定の実行の見込みがないとき。
三  特別清算によることが債権者の一般の利益に反するとき。
2  裁判所は、特別清算開始後、次に掲げる場合において、清算株式会社に破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、職権で、破産法 に従い、破産手続開始の決定をすることができる。
一  協定が否決されたとき。
二  協定の不認可の決定が確定したとき。
3  前二項の規定により破産手続開始の決定があった場合における破産法第七十一条第一項第四号 並びに第二項第二号 及び第三号 、第七十二条第一項第四号並びに第二項第二号及び第三号、第百六十条(第一項第一号を除く。)、第百六十二条(第一項第二号を除く。)、第百六十三条第二項、第百六十四条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第百六十六条並びに第百六十七条第二項(同法第百七十条第二項 において準用する場合を含む。)の規定の適用については、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める申立てがあった時に破産手続開始の申立てがあったものとみなす。
一  特別清算開始の申立ての前に特別清算開始の命令の確定によって効力を失った破産手続における破産手続開始の申立てがある場合 当該破産手続開始の申立て
二  前号に掲げる場合以外の場合 特別清算開始の申立て
4  第一項又は第二項の規定により破産手続開始の決定があったときは、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権及び特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権は、財団債権とする。
(会社の解散命令)
第824条  裁判所は、次に掲げる場合において、公益を確保するため会社の存立を許すことができないと認めるときは、法務大臣又は株主、社員、債権者その他の利害関係人の申立てにより、会社の解散を命ずることができる。
一  会社の設立が不法な目的に基づいてされたとき。
二  会社が正当な理由がないのにその成立の日から一年以内にその事業を開始せず、又は引き続き一年以上その事業を休止したとき。
三  業務執行取締役、執行役又は業務を執行する社員が、法令若しくは定款で定める会社の権限を逸脱し若しくは濫用する行為又は刑罰法令に触れる行為をした場合において、法務大臣から書面による警告を受けたにもかかわらず、なお継続的に又は反覆して当該行為をしたとき。
2  株主、社員、債権者その他の利害関係人が前項の申立てをしたときは、裁判所は、会社の申立てにより、同項の申立てをした者に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。
3  会社は、前項の規定による申立てをするには、第一項の申立てが悪意によるものであることを疎明しなければならない。
4  民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)第七十五条第五項 及び第七項 並びに第七十六条 から第八十条 までの規定は、第二項の規定により第一項の申立てについて立てるべき担保について準用する。
(会社の解散の訴え)
第833条  次に掲げる場合において、やむを得ない事由があるときは、総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、訴えをもって株式会社の解散を請求することができる。
一  株式会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該株式会社に回復することができない損害が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
二  株式会社の財産の管理又は処分が著しく失当で、当該株式会社の存立を危うくするとき。
2  やむを得ない事由がある場合には、持分会社の社員は、訴えをもって持分会社の解散を請求することができる。
(清算結了の登記)
第九百二十九条  清算が結了したときは、次の各号に掲げる会社の区分に応じ、当該各号に定める日から二週間以内に、その本店の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。
一  清算株式会社 第五百七条第三項の承認の日
二  清算持分会社(合名会社及び合資会社に限る。) 第六百六十七条第一項の承認の日(第六百六十八条第一項の財産の処分の方法を定めた場合にあっては、その財産の処分を完了した日)
三  清算持分会社(合同会社に限る。) 第六百六十七条第一項の承認の日

<破産法>
(破産手続開始の原因)
第15条  債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2  債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
(法人の破産手続開始の原因)
第16条  債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。
2  前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。

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