新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.378、2006/4/3 17:39

[行政・許認可]
質問:カフェー(喫茶店)を始めようとおもいます。手続や法律的な注意点を教えてください。

回答:
1、まず、開業するお店の場所について、一軒家の持ち家であれば問題ありませんが、ビル一室の賃貸であれば、貸主(大家)がカフェー営業について承諾している事が必要です。賃貸借契約書に、「カフェーの営業をする目的で賃貸する。必要な内装工事を行い、食品衛生法の食品営業許可等の必要な申請手続をすることを承諾する。」という条項を入れて締結して下さい。賃貸借契約書の作成は、弁護士事務所に依頼する事もできます。また、ビルの一室で営業する場合は、ビルの管理組合の管理規約に、カフェー営業について支障が無いかどうか、管理組合に事前に問い合わせをする必要があります。
2、次に、考えている屋号、お店の名前について、同一市町村内など近所に、同じ名前や紛らわしい名前で営業しているお店が無いか、調査して下さい。お店の名前やロゴマークを用意する場合、これが、「不正競争防止法違反」にならないように注意する事が必要です。同一市町村内などで、既に営業をしているお店と同じ商号を使ったりして、顧客から、相手の営業と混同(誤解)を生じるような営業方法はする事ができないということです。あらかじめ商標やサービスマークを登録する事もできます。これは弁理士事務所に相談する事ができます。
3、初めてカフェーの営業を開始する場合は、営業形式として、個人営業形式にするか、株式会社や合同会社等の法人形態を取るのか、検討して下さい。法人の場合は、設立登記申請を、個人営業の場合は商号登記をする事ができます。法人を名乗る場合は必ず登記申請しなければなりませんが、個人営業の場合、商号登記申請は義務ではありません。これは司法書士事務所に相談する事ができます。
4、小規模の営業を開始するのであれば、個人営業でも構いません。その場合は、事業開始後1ヶ月以内に、営業所を管轄する税務署に、「個人事業の開廃業等届出書」を提出して下さい。これは税理士事務所に相談する事ができます。http://www.nta.go.jp/category/yousiki/syotoku/annai/04.htm
5、カフェーの営業を開始する前に、保健所に対して、「食品営業許可申請」を行わなければなりません。根拠規定は、食品衛生法52条です。これは行政書士事務所に相談する事ができます。営業に必要な諸条件が規定されていますので、各都道府県の「食品衛生法施行条例」にも注意が必要です。例えば、東京都の場合、「食品衛生責任者」を設置しなければなりませんが、候補者が調理師や栄養士や食品衛生管理者等の資格を持たない場合は、食品衛生責任者養成講習会を事前に受講しなければなりません。http://www.toshoku.or.jp/
6、夜中の12時以降に酒類を提供する飲食店を営業する場合は、都道府県公安委員会宛に「深夜酒類提供飲食店営業開始届」を、所轄警察署の生活安全課保安係に提出しなければなりません。根拠規定は、風俗営業法33条です。都道府県が定める施行条例にも注意が必要です。原則として住居地域では営業することができません。これは行政書士事務所に相談する事ができます。
7、これらの手続や申請書作成を、法律事務所等に依頼したり、相談したりする事ができます。どのような営業を希望するのか、まずはご自身の希望をよく固めてから、専門家にご相談なさるとよいでしょう。

≪参考法令≫

食品衛生法
第51条
都道府県は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業であつて、政令で定めるものの施設につき、条例で、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。
第52条  前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2項  前項の場合において、都道府県知事は、その営業の施設が前条の規定による基準に合うと認めるときは、許可をしなければならない。ただし、同条に規定する営業を営もうとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の許可を与えないことができる。
一  この法律又はこの法律に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
二  第五十四条から第五十六条までの規定により許可を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者
三  法人であつて、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
3項  都道府県知事は、第一項の許可に五年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができる。

風俗営業法 第33条(深夜における酒類提供飲食店営業の届出等)
酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。
一  氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二  営業所の名称及び所在地
三  営業所の構造及び設備の概要
2  前項の届出書を提出した者は、当該営業を廃止したとき、又は同項各号(同項第二号に掲げる事項にあつては、営業所の名称に限る。)に掲げる事項に変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。)があつたときは、公安委員会に、廃止又は変更に係る事項その他の内閣府令で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。
3  前二項の届出書には、営業の方法を記載した書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
4  都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を定めて、深夜において酒類提供飲食店営業を営むことを禁止することができる。
5  前項の規定に基づく条例の規定は、その規定の施行又は適用の際現に第一項の届出書を提出して深夜において酒類提供飲食店営業を営んでいる者の当該営業については、適用しない。
6  第18条の2の規定は、酒類提供飲食店営業(日出時から午後十時までの時間においてのみ営むものを除く。)を営む者について準用する。

不正競争防止法2条1項抜粋(定義)
この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
三  他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

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