新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.223、2015/10/06 13:08

[民事・不法行為]
質問:散歩中の犬に噛まれたのですが、買主に対して、何か請求できないでしょうか。

回答:
1、散歩中の犬にかまれて負傷した場合、民法上は飼い主(犬の散歩をさせていた人)に対し不法行為責任(民法709条、718条)を追及し損害賠償の請求をすることが可能です。

2、不法行為責任を追及するには飼い主に過失があることが必要ですが、一般的に飼犬が人を噛んでしまった場合、飼い主に過失責任はあると考えて良いでしょう(例外として民法718条1項の「相当の注意をもって管理をした」場合を除きます)。

3、そこで、責任がある場合、賠償金の額が問題になります。通常考えられる損害は、治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料ですが、後遺症が残る場合はその後遺症についての逸失利益、慰謝料の請求となります。具体的には怪我の状態、被害者の収入によって変わってきます。

4、損害賠償を請求する場合は、通常はまず請求される方が損害を算定し、それに基づき文書や口頭で請求することになります。この請求に対し加害者が認め支払に応じることになれば速やかに解決できますが、加害者が支払に応じない場合は、訴訟等の手続きを取る必要が出てきます。

5、加害者が支払に応じない場合の一つに被害者にも過失があると考えられる場合が予測されます。たとえば、被害者が自ら犬に近づいて行った場合等です。この場合は過失相殺と言って損害額の何割かは被害者にも責任があるということで、金額が減額されます。その割合については具体的な事実に基づいて判断されますので一概には言えませんが、5割程度の減額もありえます。

6、犬に噛まれた場合でも、被害が大きい場合は、具体的に事実を説明して弁護士に相談されるのが良いでしょう。

<参考条文>

民法第709条(不法行為による損害賠償)故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

第718条(動物の占有者等の責任)
第1項 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
第2項 占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。


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