新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.96、2004/11/18 16:10

[民事・契約][民事・執行]
質問:返してもらえるはずの貸したお金が戻ってきません。相手の勤務先はわかります。給与差押について教えて下さい。

回答:あなたが公正証書又は勝訴判決の判決正本を持っているなら、債務者の給与債権を差し押さえることができます。但し、給与債権は民事執行法152条の差押禁止債権ですので、差押は次の通り制限されます。なお、給与債権であっても、銀行に振り込みされた後なら、預金債権として全額差し押さえることができます。

@賞与や月額給与が44万円未満の場合は、基本給・諸手当から通勤手当、源泉所得税、住民税、社会保険料を控除した残額の4分の1だけ差し押さえることができます。

A賞与や月額給与が44万円以上の場合は、上記残額から33万円を引いた全額を差し押さえることができます(民事執行法施行令2条)。例えば、税金等を控除した残額が50万円の場合は17万円を差押さえることができます。

B退職金は、常に4分の1までしか差し押さえることができません。差押申立と同時に、「差押禁止債権の差押範囲拡張の申立」を行います。

他に差押債権者が居なければ、差押命令が債務者に送達されてから1週間後以降は、民事執行法155条により第三債務者(債務者の会社=給与支払義務者)に対して直接差押債権を取り立てることができます。会社がどうしても支払ってくれない場合は、会社に対して「取立訴訟」を起こす必要があります。他に競合する債権者がいる場合は、裁判所に配当要求の申立を行い、配当手続きを経て、裁判所から「供託金支払委託書」「証明書」を発行してもらい、供託所で支払を受けることになります。

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