新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.74、2001/2/28 19:35

[民事・不法行為]
質問:会社を辞めて独立しようと思いますが、社長から「取引先が減って売り上げが減った分を損害賠償請求するぞ」と言われています。
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回答:ご心配の通り、新しい会社を興して、以前の会社の顧客に対して勧誘行為を行い、以前の会社の顧客を奪った場合で、損害賠償請求を認めた裁判例があります。
 しかし、判例で損害賠償が認められたのは、以前の会社の社員のほとんどを引き抜いて顧客名簿のコピーを持ち出させ、顧客に対して取引妨害の電話をかけ、顧客を不当に奪った特殊なケースです。裁判所は、「商人間の自由競争の範囲内を逸脱したかどうか」を一つの基準としているようです。自由競争の範囲内と思われる適正な行為であれば、違法性はないわけです。
 従って、新しい会社を興して同じような事業を始めるに当たって、あいさつ状を出したり社員を引き抜いたりする場合でも、個人的に知り合いとなっているような一部の顧客に対してあいさつ状を出したり、同僚数名とよく話し合ってその同僚が会社を辞める結果となっても、以前の会社に損害を与えようとする目的がなくフェアな競争を目指して事業を興している場合には、損害賠償請求が認められる可能性は低いと思われます。
 実際に損害賠償請求される危険性がどの程度あるのかは、事件毎に個別具体的な事情が作用しますので、具体的事情を弁護士に話してご相談されることをお勧めします。

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