新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.72、2004/7/7 18:19

[民事・労働]
質問:派遣社員で働こうと思いますが、注意することはありますか。
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回答:1、労働者派遣とは、派遣元(派遣会社)が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令のもとに派遣先のために労働に従事させることで、派遣労働者と派遣先との間に直接の労働契約が存在しないという特徴があります。派遣社員には、常時雇用型と登録型の2種類があり、現在のほとんどの派遣会社は登録型の派遣社員契約を行っています。つまり、派遣労働者は、派遣していないときは登録されているだけで契約していませんが、派遣するたび毎に派遣元と労働契約を結び、派遣先で働くことになります。これは、通常の契約社員と同じ扱いです。従って、派遣先と派遣元の派遣会社が合意で派遣契約を解除した場合は、派遣労働者は勤務を続けることができません。派遣会社に対して、契約期間満了までの給料の支払いを求めることしかできません。
2、派遣労働者側が、解雇=契約解除を争うことができるのは、派遣の仕事が連続していて、短期の労働契約が反復継続して更新され、2〜3年以上経過するなどして、「期間の定めのない労働契約(いわゆる正社員契約)」と同視できる事情がある場合のみです。これは、契約社員と同じ扱いですが、派遣社員の場合は、仕事の変わり目に少しでも契約していない期間があると、反復継続して契約していたと主張することが困難となりますので、契約社員よりもさらに解雇を争うことは困難であるといえます。
3、なお、派遣法40条の2で、派遣期間は1年に制限されており、40条の3で、1年以上派遣労働者を利用した場合は、直接雇用契約を結ぶよう努力しなければならないことになっております。これは見なし規定ではなく努力規定ですから、会社に対して強制力はありません。また、派遣契約は、直接の労働契約ではありませんから、派遣先との契約前に履歴書を送ったり、事前面接を行ったりする事は法律で禁止されており違法です。事前面接をする派遣先では働かない方がよいでしょう。なお、平成15年改正において、派遣期間を一律1年とはせず、3年までの期間で臨時的・一時的と判断できる期間について、派遣を受け入れることができるようになりました(同法40条の2)。また、従前、短期間の雇用契約の反復更新に関し派遣労働者の雇用の安定を確保するよう配慮することが望ましいとの指摘があり、これを踏まえて平成15年改正での議論がなされましたが、結局、法律の改正はなされませんでした。しかし、国会の附帯決議がなされており、今後はそれを踏まえて指針や要領等の改正、行政指導などにより、若干の影響はあると思われます。
4、その他、平成15年改正では、派遣労働者の直接雇用を促進するため、派遣先は派遣労働者に対し、@派遣期間の制限を超えて当該派遣労働者を使用しようとする場合、A3年を超えて同一の派遣労働者を受け入れている場合、に雇用契約の申込みをしなければならないと規定されました(法40条の4、同条の5)。これには、違反の場合の勧告、公表の手段も規定されています(法49条の2)。

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