新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.70、2001/2/20 21:45

[商事][民事・契約]
質問:卸売業を行っていますが、新しく小売店と基本契約書を作成して取引を開始しようと思います。何に注意したらよいですか。
 ↓
回答:
@取り込み詐欺・パクリ屋の被害に遭わないためにも、まず、小売店の信用状況を調査します。いわゆる信用調査会社を利用するのも良いですが、それだけでは不十分です。
A本社営業所の不動産登記簿謄本を取り寄せる。その会社名義(つまり自社ビル)であれば、かなり信用できます。抵当権の付着状況で、債務負担の様子も分かります。抵当権が付いている場合は、共同担保目録も取ると、会社所有の他の不動産がわかる場合もあります。
B自社ビルでなければ、不動産賃貸借契約書の写しを提出してもらいます。保証金がいくら入っているかわかります。「賃貸借契約解除通知」「保証金債権譲渡通知書」を担保として預かると良いかも知れません。
C取引先のリスト(売掛台帳)を提出してもらい、「売掛債権譲渡通知書」をもらうと良いかも知れません。もちろん、取引先の信用状況も全て調査するのがベストです。
D代表者や担当者に「あなたの戸籍の付票を見せて下さい」と言って、住民票の移動状況を教えてもらいます。相手方が取り込み詐欺の常習者であれば、住民票の移動が激しく、現在の住所地には実際には住んでいないことが多いのです。住民票所在地の不動産登記簿謄本(共同担保目録付き)又は賃貸借契約書も取る必要があります。養子縁組をして姓を変えている場合もあります。
E相手方会社の商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書、本店移転前の閉鎖事項全部証明書)を取り寄せて社名変更や本店移転や取締役変更に不審な点がないか調べます。休眠会社を買い取った場合は、本店移転し、社名変更され、取締役も総入れ替えになっているはずです。謄本を見る場合は就任日ではなく、登記日を見ます。最近の事例では、休眠会社の取締役が退任する前に新会社の取締役が登記を入れ、重任登記などもして、約1年半経ってから取り込み詐欺をした巧妙な事例もあります。
F必ず代表者以外の方の個人保証を取ります。株式会社や有限会社は会社がつぶれてしまうと債権回収ができなくなってしまいます。個人であれば、死亡(して相続放棄)するか破産するまでは回収することができます。保証人は、定期的な収入のある人でないとダメです。印鑑証明書を用意してもらって、保証契約書を公正証書にすると良いでしょう。サラリーマンの方が保証人になるなら、会社の在職証明書をもらいます。
G継続的取引契約書(基本契約)を作成する際には、弁護士や行政書士に相談して下さい。所有権留保条項などを入れておく必要があります。場合によっては商品委託販売契約という形式にした方が良いかもしれません、バッタ屋に流せば業務上横領罪で告訴できます。一度しっかりした契約書を作成しておけば、その雛形をずっと使うことができます。
H業種や営業形態により、取りうる防止策は様々です。事情を詳しくお知らせいただければ、この他にも手段をご説明申し上げられる場合もあります。ご相談下さい。

法律相談事例集データベースのページに戻る

法律相談ページに戻る(電話03−3248−5791で簡単な無料法律相談を受付しております)

トップページに戻る