盗撮行為をしてしまったとき
盗撮容疑で検挙されてしまったとき
平成20年7月18日最終改訂

1、 盗撮行為(迷惑防止条例5条違反)について説明いたします。法律上、犯罪は犯罪の性質によって刑法によって守るべき利益(法益といいます)が何かという観点から分類されます。通常は、国家、社会全体、個人の利益に分類されます。刑法の条文上もおおむねその様に順序良く規定されています(77条―264条)。例えば、贈賄、汚職などは国家の利益であり、放火などは危険性から社会全体の公共の利益、殺人は被害者個人の利益です。

2、 本条例は、盗撮等卑猥な言動を受けているのは被害を受けた個人ですから被害者個人の性的羞恥心が保護法益になることは間違いありません。しかし迷惑防止条例の条文をよく読んでみると、これらの条文の内容(構成要件といいます)には、「公共の場所又は公共の乗物において」という条件がついています。例えば、自分のアパートの室内で、意に反して女性の衣服の中を盗撮しても本罪は成立しないのです(少なくとも駅、路上、人が出入りする建物等で行われる必要があります)。本来性的羞恥心を保護するという意味であれば、アパートの中の盗撮行為でも同じはずです。すなわち本罪は、個人法益とともに、公共の場所で卑猥な言動を禁止し性に関する善良な社会的道徳、慣習、風俗、秩序を併せて保護法益(社会的法益)としているのです。

3、 条例の正式名称が、「公衆に著しく迷惑をかける」としているのはその意味を含んでいますし、同じく性に関する社会的法益を保護している刑法174条の公然わいせつ罪、175条わいせつ物頒布罪も同様の趣旨から「公然」である事を要件としています。このような性質及び行為の態様から、盗撮は被害者が広範囲に及び(特にビデオカメラで盗撮した場合は、連続して撮影されますので、写っている被害者全員について各々罪が成立してしまいますから罪は重大です)、社会全体の利益を侵害することになり重い処罰が予想されてしまいます。更に、被疑者の弁護活動として被害者への謝罪、被害回復(金銭賠償)が行われますが、被害者個人だけでなく、社会全体への謝罪をどうするか問題になってきます。東京都の条例を見ても、通常の迷惑行為の2倍の重い罪になっています(下記条文参照)。

 従って、初犯でも、犯行態様により公判請求も考えられますので至急弁護士とご相談下さい。基本的対策ですが、被害者ごとの謝罪、和解と、公共社会に対する贖罪寄付等の償いです。場合により起訴便宜主義により不起訴処分の場合が考えられます。


東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(他の自治体にも同様の条例があります)
第1条(目的)この条例は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活の平穏を保持することを目的とする。
第5条(粗暴行為の禁止)何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わな言動をしてはならない。
第8条(罰則)次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
二 第五条第一項又は第二項の規定に違反した者
2 前項第二号(第五条第一項に係る部分に限る。) の罪を犯した者が、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を撮影した者でるときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
7 常習として第二項の違反行為をした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。


4、 刑事事件に付随して、所轄警察から情報が出ることにより、事件のマスコミ報道や、職場等に対する連絡が行われてしまうこともあります。これについて、具体的な処理基準は法律では定められておりません。法律論でいうと、国民全体の知る権利(報道の自由、取材の自由)と、被疑者個人のプライバシー権の調整という問題ですが、公共的な社会的地位のある被疑者ですと、報道の必要性も高まってしまうことも事実です。そのような場合には、弁護人は、事件の態様や、民事被害弁償の状況や、本人の社会的更生の必要性などを、担当警察署に粘り強く説明し、一切外部に公表しないことが必要であると求めていくことが必要となります。

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