抵当権消滅請求手続について(最終改訂平成16年4月1日施行)

 民法378条以下に、抵当権消滅請求手続が規定されています。これは、強制的に抵当権を抹消させることにより、不動産の有効利用を図るための制度です。もちろん、抵当権者の同意を得て行う、任意売却の手続がより好ましい手段ですので、まずは、任意売却の交渉をしてみることが必要です。抵当権消滅請求手続は、具体的には、以下の通りの手続になります。

1)抵当物件の買い主をさがす。(もちろん、抵当権消滅請求手続を理解してもらう必要がある。)
2)買い主への所有権移転登記を行う。(民法378条)
3)全抵当権者に、抵当権消滅請求通知内容証明を発送する。(民法383条)
4)2ヶ月以内に競売の申立がなければ抵当権の効力が消滅する。(民法384条)
5)抵当不動産の評価額を抵当権者に支払うか、受け取りを拒絶した場合は法務局に供託する。
6)登記の抹消の為に、抵当権者と話し合うか、抵当権抹消登記請求訴訟を提起する。
7)買い主は、抵当権登記の抹消された所有権を取得できる。

※平成16年3月までは滌除制度で、4)の競売申立が増加競売の申立とされていました。増加競売の申立には、通常の競売申立予納金の他に抵当不動産の評価額の1割増(110%)の保証金の積立が必要(民事執行法186条=現在は削除)とされ、抵当権者としては、増加競売でお金を受け取るために、逆にお金を用意しなければならないという、極めて厳しい条件になっていましたが、法改正により通常の競売申立となりました。

ここで、抵当権消滅請求手続の特徴を箇条書きにしてみます。詳しいことは、電子メール・電話等で直接お問い合わせ下さい。

あ)抵当不動産の評価額を用意できれば、確実に抵当権を抹消できる。
い)抵当不動産の評価額の提供が抵当権登記抹消の前に必要なので、銀行の融資が事実上困難です。
う)根抵当権は、民法398条の22(根抵当権の消滅請求)で消すこともできます。
え)抵当証券が発行されている抵当権は抵当権消滅請求手続では抹消できません(抵当証券法24条)。
お)農業用動産に設定された抵当権は抵当権消滅請求手続では抹消できません(農業動産信用法12条2項)。
か)抵当権消滅請求手続を活用すれば、担保割れした物件でも処分することができます。

事件簿のページへ

トップページに戻る