肖像権、勝手に写真を撮られて雑誌、写真集に掲載された場合。(最終改訂平成20年5月13日)

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公共の場所において無断で撮影され、写真、似顔絵が雑誌、ブログに掲載された場合。肖像権を侵害していますから基本的に掲載中止、損害賠償が可能です。

1、肖像権とは、自己の肖像(写真、絵画、彫刻)をみだりに撮影されたり、使用公表されたりしないプライバシーを守る人格的権利です。「肖像権」たる権利は法律上明文の規定はないものの、判例、学説上、憲法13条を根拠に認められています。最判平成17年11月10日(和歌山毒入りカレー事件、法廷にて手錠をした被告人の写真、イラストを雑誌に掲載)は、「人は、みだりに自己の容貌等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する」、また、「人は、自己の容貌等を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益をも有する」として肖像権を認めています(最高裁昭和40年(あ)第1187号同44年12月24日大法廷判決も同趣旨です)。勿論個人の尊厳保障を至上の理念とする憲法上保護に値する権利です。

2、撮影者及び雑誌掲載者にも「表現の自由」(憲法21条)がありますが、原則的に肖像権を侵害することは出来ませんから、当然、要件として公共の利益を図る目的、撮影の態様、内容の合理性、必要性が要求されます。

3、そこで、上記判例では、報道の目的という公共性を前提に「被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮して、被撮影者の上記人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるものといえるかどうかを判断して決すべきである」と判示し、撮影者と被撮影者の権利の衝突を調整しています。

4、以上から一般的に公共の場所において撮影された本件写真を興味本位の雑誌、ブログに掲載する事は許されないでしょう。

5、しかし、似顔絵のようなイラスト画については、「その描写に作者の主観や技術が反映するため、公表された場合も、これを前提とした受け取り方をされるという特質を参酌しなければならない」面がありますが(上記判例)、基本的には写真と同様に保護しなければ個人の人格権を保障することが出来ません。従って、興味本位の雑誌、ブログへの掲載は許されません。

6、さらに、写真や似顔絵の掲載者がブログ管理者自身ではない場合、ブログ管理者に対して上記請求をすることもプロバイダ責任法、(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)により理論上可能です。

7、以上、撮影者及び雑誌掲載者に対して、掲載中止、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)が可能でしょう。

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