少年事件について(最終更新平成28年3月1日)

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※「未成年の息子が逮捕された。これからどうなるか?」という相談が増えています。20歳未満の少年が刑罰法規に違反する行為をしてしまった場合は、行為時の年齢によって、次のような少年審判手続が行われることになります。被害者への謝罪や損害賠償の他、少年自身の更生のための措置が必要となります。将来の就職や結婚などへの影響も大きいですから、少年事件の処理には細心の注意が必要です。少年審判では弁護士を付添人として選任することができますので、お近くの法律事務所にご相談なさると良いでしょう。少年法の条文はこちらを参照下さい。

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12歳未満・・・刑法は適用されませんが、少年法と児童福祉法が適用されます。審判不開始・不処分の他、児童相談所長送致、少年鑑別所送致、保護観察、児童自立支援施設送致、児童養護施設送致の可能性があります。

12歳以上14歳未満・・・刑法は適用されませんが、少年法と児童福祉法が適用されます。審判不開始・不処分の他、児童相談所長送致、少年鑑別所送致、保護観察、児童自立支援施設送致、児童養護施設送致、初等少年院送致の可能性があります。

14歳以上16歳未満・・・刑法と少年法と児童福祉法が適用されます。少年法20条1項により、調査の結果、罪質や情状が悪ければ検察官送致(逆送)され刑事処分される場合があります。審判不開始・不処分の他、児童相談所長送致、少年鑑別所送致、保護観察、児童自立支援施設送致、児童養護施設送致、初等少年院送致、少年刑務所の懲役刑などの刑事処分、の可能性があります。

16歳以上18歳未満・・・刑法と少年法と児童福祉法が適用されます。少年法20条2項により、故意に人を死亡させた罪の事件であれば原則として検察官送致(逆送)され刑事処分に付される可能性があります。審判不開始・不処分の他、児童相談所長送致、少年鑑別所送致、保護観察、児童自立支援施設送致、児童養護施設送致、中等少年院送致、特別少年院送致、少年刑務所の懲役刑などの刑事処分、の可能性があります。

18歳以上20歳未満・・・刑法と少年法が適用されます。少年法20条2項により、故意に人を死亡させた罪の事件であれば原則として検察官送致(逆送)され刑事処分に付される可能性があります。審判不開始・不処分の他、少年鑑別所送致、保護観察、中等少年院送致、特別少年院送致、少年刑務所の懲役刑などの刑事処分、の可能性があります。


簡易フローチャート

家裁への通告 → 調査官の調査、少年鑑別所の鑑別 → 調査の結果として審判不開始決定(少年法19条1項)
                        → 調査の結果として児童相談所長送致(少年法18条1項)
                        → 調査の結果として検察官送致(逆送、少年法20条1項)→ 通常の刑事処分
                        → 審判の過程で少年鑑別所送致(2〜8週間、少年法17条1項)
                        → 審判の結果として不処分決定(少年法23条2項)
                        → 審判の結果として保護処分(少年法24条1項)
                         @児童自立支援施設送致
                         A児童養護施設送致
                         B保護観察所の保護観察に付する処分
                         C少年院送致

保護処分後の手続 → @家庭裁判所への保護処分取消申立(少年法27条の2第)
           A高等裁判所への抗告申立(少年法32条)
           B最高裁判所への再抗告申立(少年法35条1項)

用語解説

審判に付すべき少年・・・少年法3条で、次の通り定められています。@罪を犯した少年、A14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年、B次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年、(イ)保護者の正当な監督に服しない性癖のあること、(ロ)正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと、(ハ)犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること、(ニ)自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

通告・・・少年法6条1項で、「家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない」、と定められています。管轄は「少年の行為地、住所、居所又は現在地」を管轄する家庭裁判所です(少年法5条1項)。通常は、警察官や検察官が「審判に付すべき少年」を発見して家庭裁判所に通告することになりますが、これらの職務に無い一般人であっても、法的には通告することが可能となっています。これは、少年をなるべく早く保護し、更生の機会をなるべく広く与えようという制度趣旨です。通告する場合は、「審判に付すべき事由」および、なるべく「少年及び保護者の氏名・年齢・職業及び住居並びに少年の本籍」を明らかにしなければなりません。通告は、書面を提出するのが原則ですが、家庭裁判所調査官又は裁判所書記官に対して口頭の方式により行うこともできます。通告する場合は、少年の処遇に関して意見を添付することができます(少年審判規則9条)。少年事件における通告は、成人の刑事事件で言えば、「刑事告訴・刑事告発」に類似する手続ということもできます。

少年鑑別所・・・少年鑑別所は、審判を行うため必要があるとき観護措置として送致された者を収容するとともに、家庭裁判所の行う少年に対する調査及び審判並びに保護処分及び懲役又は禁錮の言渡しを受けた十六歳未満の少年に対する刑の執行に資するため、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行う施設です。観護措置としての送致は2週間又は4週間となっています。(少年院法16条)

児童相談所長送致・・・家庭裁判所は、調査の結果、児童福祉法の規定による措置を相当と認めるときは、決定をもつて、事件を権限を有する都道府県知事又は児童相談所長に送致しなければなりません。(少年法18条1項)児童相談所では、次の4種のうちいずれかの措置がとられます。@児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること、A児童又はその保護者を児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事、児童委員若しくは当該都道府県の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県が行う相談支援事業に係る職員に指導させ、又は当該都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター、当該都道府県以外の相談支援事業を行う者若しくは前条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める者に指導を委託すること、B児童を小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は乳児院、児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること、C家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童は、これを家庭裁判所に送致すること(児童福祉法27条)

審判不開始決定・・・家庭裁判所は、調査の結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければなりません。(少年法19条1項)

不処分決定・・・家庭裁判所は、審判の結果、保護処分に付することができず、又は保護処分に付する必要がないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。(少年法23条2項)

検察官送致(逆送)・・・家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければなりません。(少年法20条1項)家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、検察官送致の決定をしなければなりません。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときを除きます。(少年法20条2項)

通常の刑事処分・・・検察官送致(逆送)の決定がなされると、事件は管轄裁判所(通常は地方裁判所)に対応する検察庁の検察官に送致され、刑事訴訟法に基き事件処理されます。すなわち、検察官の起訴裁量(刑事訴訟法248条)に基き、起訴すべきか、起訴せざるべきか判断され、起訴相当と判断されれば、成人と同様の刑事裁判にかけられることになります。刑事訴訟法248条では、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」という規定になっていますが、通常は、逆送の経緯を考えると公訴提起されるケースが多いでしょう。例外的に、公訴提起に被害者の刑事告訴が必要となる親告罪であれば、告訴取下げ書の提出により、不起訴処分を得る事ができます(刑事訴訟法237条1項)。

児童自立支援施設・・・児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ、又は保護者の下から通わせて、個々の児童の状況に応じて必要な指導を行い、その自立を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設です。(児童福祉法44条)

児童養護施設・・・児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設です。(児童福祉法41条)

保護観察・・・保護観察は、保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として、指導監督及び補導援護を行うことにより実施されます(更生保護法49条)。指導監督は次の3種類あります、@面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握すること、A保護観察対象者が一般遵守事項及び特別遵守事項を遵守し、並びに生活行動指針に即して生活し、及び行動するよう、必要な指示その他の措置をとること、B特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること(更生保護法57条)。補導援護は保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするため、その自助の責任を踏まえつつ、次の7種類の方法で行われます。@適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること、A医療及び療養を受けることを助けること、B職業を補導し、及び就職を助けること、C教養訓練の手段を得ることを助けること、D生活環境を改善し、及び調整すること、E社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと、Fその他、保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言その他の措置をとること(更生保護法58条)。

保護観察における一般遵守事項・・・次の5種類あります。@再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること、A保護観察官又は保護司の呼出し又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること。保護観察官又は保護司から、労働又は通学の状況、収入又は支出の状況、家庭環境、交友関係その他の生活の実態を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。B保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること、C定められた住居に居住すること、D転居又は七日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること(更生保護法50条)。

少年院・・・少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された者及び少年法第56条第3項 の規定により少年院において刑の執行を受ける者を収容し、これに矯正教育を授ける施設とする(少年院法1条)。初等少年院は、心身に著しい故障のない、おおむね12歳以上おおむね16歳未満の者を収容します。中等少年院は、心身に著しい故障のない、おおむね16歳以上20歳未満の者を収容します。特別少年院は、心身に著しい故障はないが、犯罪的傾向の進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者を収容します(少年院法2条)。

付添人・・・少年本人又は保護者は、少年事件の端緒である警察官の調査段階から、いつでも、弁護士である付添人を選任することができます(少年法6条の3)。家庭裁判所への通告後、調査官の調査段階や、審判の段階でも、弁護士を付添人に選任することができます(少年法10条1項)。少年の保護者も、家庭裁判所の許可を得て付添人となることができます(少年法10条2項)。付添人は、審判記録及び証拠物を閲覧し(少年審判規則7条2項)、審判期日に同席し(同規則28条4項)、期日冒頭の審判に付すべき事由の告知に対して陳述し(同規則29条の2)、少年側提出証拠について証拠調べの申出をし(同規則29条の3)、期日における少年本人質問をし(同規則29条の4)、期日において意見陳述し(同規則30条)、少年の健全な育成に役立つよう、少年審判が適正に行われるよう助力します。

保護処分取消・・・保護処分が継続中又は終了した後においても、審判に付すべき事由(少年法3条)の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、保護処分をした家庭裁判所は、決定をもつて、その保護処分を取り消さなければなりません(少年法27条の2)。これは家庭裁判所の自律的な決定ですので、少年側としては新たな資料を添付した上申書を提出し、その決定を促す申立をすることになります。

抗告
・・・保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は付添人から、2週間以内に、抗告をすることができます。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができません(少年法32条)。申立書は家庭裁判所に提出し、高等裁判所に送付されます(少年審判規則45条1項、裁判所法16条2号)。家庭裁判所は、抗告申立書を高等裁判所に送付する際、意見書を添付することができます(少年審判規則45条2項)。高等裁判所は、抗告に対して、「抗告棄却」又は「原決定の取り消し及び家庭裁判所への差し戻し」を決定します(少年法33条)。

再抗告・・・抗告裁判所のした決定に対しては、憲法に違反し、若しくは憲法の解釈に誤りがあること、又は最高裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由とする場合に限り、少年、その法定代理人又は付添人から、最高裁判所に対し、二週間以内に、特に抗告をすることができます。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができません(少年法35条1項)。申立書は高等裁判所に提出し、最高裁判所に送付されます(少年審判規則54条、同45条1項)。高等裁判所は、再抗告申立書を最高裁判所に送付する際、意見書を添付することができます(少年審判規則54条、同45条2項)。最高裁判所は、再抗告に対して、「再抗告棄却」又は「原決定の取り消し及び家庭裁判所への差し戻し」を決定します(少年法35条2項)。


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