金融業者が執拗な返済の連絡を夜中まで行い、玄関に張り紙をされて困った場合の対応。(平成20年5月1日)

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貸し金債権があっても、権利行使を濫用できません(憲法12条、民法1条)。貸し金業者の取立てには種々の規制があります。対応策を具体的に列挙説明します。

(1) 貸金業は、登録なくては開業できません(貸金業法11条)。この業者が無登録営業者ということであれば、現行法で5年以下の懲役または1000万以下の罰金という処罰が定められております。したがって、登録番号を確認して監督官庁に相談しましょう。
(2)  貸金業者の取立て行為については貸金業(貸金業法21条)により規制されています。たとえば、「正当な理由がないのに、社会通念に照らして不適当と求められる時間帯として内閣府令で定める時間帯(午後9時から午前8時など)に債務者などに電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、または債務者等の居宅を訪問すること」、「はり紙、たて看板その他何らかの方法・・・債務者の借り入れに関する事実その他・・・を明かにすること」なども列挙されています。したがって、これらの行為に該当することを理由として監督官庁に報告し、事案の調査をしてもらい、最終的には業務停止の処分などを要請しましょう。
(3)  このような方法により、執拗な連絡がなくなったとしても、借り入れが事実であるのであれば、やはり返済しなければいけないのが原則なので返済をするように連絡が来ること事態を阻止することはできません。ただ、業者が出資法違反に該当するような違法な金利で貸付をする業者である場合には(出資法5条)、このような利息を付加した金員を返済する必要はありません。そこで弁護士に介入してもらう方法も考えられます。弁護士に本件貸付契約に基づく債務に関して委託し、弁護士から債務を弁済するよう債務者へ連絡しないように通知してもらった場合にも、債務者本人へ連絡することも貸金業法で禁止されているからです。
(4) また、出資法に違反していなくても、利息制限法に違反した利息で契約して返済してきたような場合には、利息制限法の制限利率(100万円未満の貸付であれば年率18%)で再計算をすれば、債務総額について減額する事もできます。
(5)  執拗な連絡をしてくる業者以外の貸金業者からも借り入れがある場合は、最終的な解決を図るため最終的には、債務総額を確定し、返済していけるのか検討し、返済できないのであれば、破産手続を選択することも出来ます。

≪参考条文≫
憲法
第12条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
民法
(基本原則)
第1条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。

貸金業法

第十一条
 第三条第一項の登録を受けない者は、貸金業を営んではならない

(取立て行為の規制)
第二十一条
 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し又は次の各号に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。
一 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
二 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。
三 はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する事実を債務者等以外の者に明らかにすること。
四 債務者等に対し、他の貸金業を営む者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することをみだりに要求すること。
五 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することをみだりに要求すること。
六 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。
2 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、債務者等に対し、支払を催告するために書面又はこれに代わる電磁的記録を送付するときは、内閣府令で定めるところにより、これに次の各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及び住所並びに電話番号
二 当該書面又は電磁的記録を送付する者の氏名
三 契約年月日
四 貸付けの金額
五 貸付けの利率
六 支払の催告に係る債権の弁済期
七 支払を催告する金額
八 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
3 前項に定めるもののほか、貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たり、相手方の請求があつたときは、貸金業を営む者の商号、名称又は氏名及びその取立てを行う者の氏名その他内閣府令で定める事項を、内閣府令で定める方法により、その相手方に明らかにしなければならない。
(業務の停止)
第三十六条
 内閣総理大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた貸金業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該貸金業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
一 第八条第一項、第十一条第三項、第十三条第二項、第十三条の二、第十四条、第十五条、第十六条第一項若しくは第二項、第十七条から第二十三条まで、第二十四条第一項、第二十四条の二第一項、第二十四条の三第一項、第二十四条の四第一項、第二十四条の五第一項(第二十四条第二項、第二十四条の二第二項、第二十四条の三第二項、第二十四条の四第二項及び第二十四条の五第二項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)又は第二十四条の七第一項、第四項から第六項まで若しくは第八項の規定に違反したとき。

第四十二条
 内閣総理大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた貸金業者に対して、この法律を施行するため必要があると認めるときは、その業務に関し報告をさせることができる。
2 内閣総理大臣又は都道府県知事は、その登録を受けた貸金業者に対して、資金需要者等の利益の保護を図るため必要があると認めるときは、その職員に営業所又は事務所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査し、又は関係者に質問させることができる。
3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律
(昭和二十九年六月二十三日法律第百九十五号)
最終改正年月日:平成一九年六月一三日法律第八五号

第五条
 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

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