労働問題(最終改訂平成19年12月6日)
労働問題は、会社と個人の利害が対立する場面が多い事案ですが、労働契約は、労働者にとっては生活の基盤となる重要な契約ですので、その解釈、紛争解決にあたっては、相当な配慮が求められるという性質を持ちます。弁護士が代理人となる場合は、法人側であっても、労働者側であっても、その点を留意し、会社側、他の社員、当事者となる労働者本人、全員が了解しうる解決を模索すべきでしょう。
1)解雇には、整理解雇と指名解雇と懲戒解雇の3種類があります。整理解雇とは、企業が経営不振に至った場合に、整理基準を設けて解雇するものです。裁判所は、@経営上の人員整理の必要性、A整理解雇を避ける努力をしたこと、B被解雇者の選定が妥当なこと、C労働組合・労働者と協議を尽くすこと、の要件を要求しています。
2)解雇になった場合、労働者は、解雇の具体的な理由を書面で出すよう請求することができます(労働基準法22条)。
3)労働基準法第18条の2では「解雇は、客観的に合理的な理由を除き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定義していますので、指名解雇・懲戒解雇には、正当な解雇事由が必要です。指名解雇の場合には、@精神・身体が業務耐えられないとの医師の診断書がある、A勤務成績が著しく不良で就業に適しない、B技能、能率が著しく劣り、就業に適さない、等の事情が必要です。懲戒解雇には、@退職金が支払われない、A即時解雇(ただし労働基準監督署長の認定が必要)される、などの不利益があるために、重大な就業規則違反などの企業秩序違反が必要になります。具体的には、横領などの犯罪行為、転勤拒否など業務命令違反、長期間にわたる無断欠勤、などが必要です。
4)解雇が有効な場合には、1ヶ月前に解雇を予告するか、1ヶ月分の解雇予告手当を支払わなければなりません。(ただし、労働者側からの辞職の場合には、このような賠償は会社が損害を立証できた場合に限ります。)
5)解雇に合理的な理由が無く無効の場合は、「労働審判申立」又は「地位保全賃金仮払仮処分申立」を行います。解雇事由がなければ、裁判所は地位を認める審判又は仮処分を発令し、賃金仮払いの仮処分命令を発行します。
6)給与支払請求権は2年の消滅時効にかかります。退職金は5年で消滅時効になります。(労働基準法115条)
7)会社(労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行った企業)が倒産してしまった場合には、未払い賃金の80パーセント(ただし最高136万円を限度とします)を事業主に代わって労働者健康福祉機構が支払う「未払い賃金の立替払制度」というものがあります。詳しい要件や手続きについては、労働基準監督署などにお問い合わせください。会社の預貯金や不動産が残っている場合は、仮差押手続を弁護士に依頼することもできます。
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