内縁(最終改訂、平成23年5月30日)

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1、内縁とは、法律による具体的な定義はありませんが、判例上、次のように解釈されています。

@ 婚姻の意思をもって
A 共同生活を営み
B 社会的にみて夫婦と認められながらも
C 婚姻届が提出されていない男女の関係

2、婚姻届を出さない(仕事の関係で夫婦別姓を選択した)、あるいは、出せない事情(成人した子供から同棲は構わないが結婚は反対されてしまった)があって、傍からみると夫婦同然の生活を営んでいるにも関わらず、婚姻届を提出していないために法律上の夫婦とは認められていない関係をいいます。法律上の夫婦とは認められていませんが、内縁関係は婚姻に準ずるものと考えられているので、民法で定める婚姻に関する規定は婚姻届に関する規定を除いて適用されます。内縁関係を不当に破棄した場合には、婚約破棄の場合と同様の責任(婚姻予約の不履行責任)を負うのはもちろん、不法行為責任をも負ったり、内縁関係を解消する場合には財産分与請求権などが認められています。

3、婚姻関係と同様に取り扱われるものとしては、以下のようなものがあります。
@ 婚姻費用分担義務(760条準用)
A 同居協力義務(752条準用)
B 扶養義務(752条準用)
C 日常家事債務の連帯責任(761条準用)
D 内縁継続中の懐胎が証明された場合の嫡出の推定(772条準用)

4、一方で、婚姻関係との違いもいくつかあります。この違いは主に婚姻届が出されていないことに起因するものです。
@ 相続権がない。
A 成年擬制に関する規定は適用されない。
B 内縁関係にある男女から生まれた子供は母親の戸籍に入り、非嫡出子となる。
C 生まれた子供は、原則母親の単独親権に服する。
D 父子関係については認知が必要。

(類推適用の判断基準) 内縁 関係が認められる場合,できるだけ戸籍上の夫婦(法律上の配偶者)と同様に扱う,というのが原則です。どのような範囲で夫婦(婚姻)関係に関する法律上の規定が内縁 関係に類推適用されるかという問題ですが,一般的にいうと,夫婦当事者関係のみを規定する法律(例えば,婚姻費用の分担,貞操義務,財産分与等)は 内縁 関係に類推適用されますが,夫婦以外の第三者に影響を及ぼす公の規定(例えば,氏の使用,相続権等)については基本的に類推適用が出来ません。当事者が法律婚を希望しなくても実態が法律上の夫婦と同じである以上,法律上の夫婦と同様に扱うのが当事者の意思にも合致し公正,公平の原則に適合しますし,何よりも夫婦が対等平等であるという憲法24条の本来の趣旨を社会全体に実質的に生かすことが出来るからです。しかし, 内縁 として戸籍に登録,公示していませんから,単なる内縁 当事者の意思により第三者の利害,混乱を生ぜしめることは出来ません。従って,公に関するもので第三者に影響を及ぼす規定は類推できない事になります。

5、内縁関係の一番の問題は、一方が内縁関係を認めなかった場合には第三者に内縁関係を証明することが困難となってしまうことです。内縁関係の成立が認められないと、内縁関係の不当破棄において相手の責任を追及することが困難になってしまったり、内縁関係解消の際の財産分与請求権が認められないという不都合が生じてしまいます。この場合「事実上の夫婦」であったことを証明する客観的な証拠が必要となります。

内縁関係を証明できるものとしては、同一世帯で「妻(未届)」と記載されている住民票や、社会保険の第3号被保険者となっている保険者証が考えられます。その他、家計を同一にして3年以上の共同生活を営んでいることや、携帯電話の家族割の適用を受けていること、近所や職場、親戚の証言などで内縁関係を証明する方法もあります。

6、具体的事例は、 法律相談事例集キーワード検索:921番919番847番846番783番757番753番729番670番559番523番483番442番127番を参照してください。


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