共同担保目録(きょうどうたんぽもくろく、きょうたん)(最終改訂、平成25年9月5日)

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共同担保目録(略して「共担(きょうたん)」と呼ばれます。)は、不動産登記法第83条2項に規定されている不動産登記記録の一部で、同一の債権を担保するために二つ以上の不動産の権利を目的として抵当権等の担保権が設定された場合に、当該不動産が民法第392条、393条に定める共同担保の関係にあることを公示するために、登記官が作成する目録のことをいいます。

不動産登記事項証明書を共同担保目録付で請求する(共同担保目録は請求しないと登記事項証明書には記載されませんので注意が必要です。)と、当該不動産に設定された担保権が他の不動産と共同担保関係にある場合には、乙区の次に「共同担保目録」として、その記号及び番号(例「(あ)第123号」)が記載され、共同担保関係にある不動産の一覧が記載されます。

共同担保目録に記載された記録は、他の登記記録と異なり、その記録によって対抗力を得ることはありません。また、登記により共同担保関係を生じる根抵当権を別とすると、共同担保目録に記載された不動産について必ずしも担保権の設定登記がなされているとは限らないということに注意する必要があります。

例えば、甲法務局の管轄にあるA不動産と乙法務局の管轄にあるB不動産について、甲法務局のA不動産の登記事項証明書の共同担保目録にはAB不動産が記載されている場合であっても、この担保権が抵当権の場合には、必ずしもB不動産に当該抵当権の設定登記がなされているとは限らないのです。これは、抵当権は設定契約と同時にABに共同担保関係が生じるため、先に甲法務局にAについて抵当権設定登記を申請すると、A不動産の共同担保目録にはB不動産の抵当権設定登記をまたずに共同担保目録にはB不動産記載がなされるためです。

以上の通り、共同担保目録には対抗力はなく、またそこに共同担保として記載された不動産に必ずしも当該担保権の設定登記がされているとは限らないので、共同担保目録は、他の共同関係にある不動産を探し出すための手がかりとしての登記記録であるといえます。例えば、債務者の財産調査を行う場合には、まず最初に債務者の自宅不動産の登記簿謄本を請求しますが、その際に「共同担保目録付き」で請求すると、他の財産が判明することがありますので注意が必要です。


不動産登記法第83条(担保権の登記の登記事項) 先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)
二 債務者の氏名又は名称及び住所
三 所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利
四 二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産及び当該権利
五 外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する質権若しくは転質又は抵当権の登記にあっては、本邦通貨で表示した担保限度額
2 登記官は、前項第四号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、共同担保目録を作成することができる。


民法第392条(共同抵当における代価の配当) 債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
2項 債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。


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