代理権不消滅(だいりけんふしょうめつ)(最終改訂、平成25年9月5日)

トップページ > 法律用語解説 > 代理権不消滅 (サイトマップ


<代理権不消滅(不動産登記法)>

民法第111条では、代理人の代理権の消滅事由を下記のように定めています。

民法第111条(代理権の消滅事由)代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
一 本人の死亡
二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
第2項 委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。

本人が死亡すると代理人の代理行為の帰属先が消滅しますので、本条に掲げる「本人の死亡」による代理権の消滅は当然といえます。

 しかし、不動産登記法では、不動産登記の申請代理権については、同法第17条において、本人が死亡したとしてもその代理人の申請代理権は消滅しないと定めています。


第17条(代理権の不消滅)登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
一号 本人の死亡
二号 本人である法人の合併による消滅
三号 本人である受託者の信託に関する任務の終了
四号 法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更

 つまり、代理人が本人から登記申請の代理権を与えられた後(登記申請の委任状に署名押印した後)に本人が死亡したとしても、その登記を代理人として申請し、その効果を亡き本人に帰属させることができるのです。

 ただし、その登記申請は相続人のためになされるものなので、申請書には相続人を申請人として表示してその住所氏名を記載し、相続関係を証する書面を添付する必要があります。その際に添付する委任状は、相続人からの委任状ではなく、死亡した本人の委任状を添付すれば足ります。

<平成6年1月14日付民三第366号通達>
登記名義人が登記申請の委任をした後死亡した場合において、委任を受けた代理人が相続人のために当該委任に係る代理権限証書を添付して登記申請をするには、相続を証する書面の他、登記名義人(死亡した本人)の印鑑証明書(作成後3ヵ月以内のものに限る。)の添付を要する。

 この場合に気をつけなければならないことは、当該委任にかかる登記申請が、亡くなった本人が登記義務者となり、登記義務者の印鑑証明書を添付してするものであった場合には、添付する印鑑証明書は発行日から3ヶ月以内であることを要する点です(登記令18条3項)。もし、申請の時点で亡くなった本人の印鑑証明書が発行日から3ヶ月を経過している場合には、当該印鑑証明書と委任状を添付して申請をすることはできませんので、相続人全員の実印を押印した委任状と全員の印鑑証明書を添付して申請をすることになりますので、注意が必要になります。

(代理人の権限を証する情報を記載した書面への記名押印等)
第18条 委任による代理人によって登記を申請する場合には、申請人又はその代表者は、法務省令で定める場合を除き、当該代理人の権限を証する情報を記載した書面に記名押印しなければならない。復代理人によって申請する場合における代理人についても、同様とする。
2項 前項の場合において、代理人(復代理人を含む。)の権限を証する情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者(委任による代理人を除く。)の印鑑に関する証明書を添付しなければならない。
3項 前項の印鑑に関する証明書は、作成後三月以内のものでなければならない。
4項 第二項の規定は、官庁又は公署が登記の嘱託をする場合には、適用しない。


法律用語のページへ

法律相談のページへ

トップページに戻る

Copyright 2012 新銀座法律事務所
このページはリンクフリーです。