DV防止法について

 平成13年10月13日から「配偶者からの暴力防止及び被害者保護に関する法律(DV防止法)」が施行されています。ここで、DVとは、DomesticViolence=家庭内暴力(内縁関係も含む)を意味します。従来、DVは、暴行罪や傷害罪などの刑法上の刑罰規定で対処されてきましたが、配偶者からの暴力は被害者に与える影響が大きく、迅速な対応が必要とされるケースが多いため、被害者救済のために法律が制定されました。

1、各都道府県にある、婦人相談所などに、「配偶者暴力相談支援センター」を設置し、相談・カウンセリング・一時保護・自立支援などの措置を行います。

2、裁判所に対して、保護命令の申立ができます。夫の暴力に苦しむ妻が、裁判所に申し立てて、夫に対して、6ヶ月間住居や勤務先への接近を禁止したり、2週間同居している住居からの退去を命ずることができます。保護命令には執行力がありません(法15条4項)ので強制執行はできませんが、罰則規定(法29条)によって履行確保が期待できます。

3、警察では、通報・相談を受けて、警察官は暴力の制止・被害者の保護・被害の発生を防止するために必要な措置をとらなければなりません。裁判所の保護命令に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金で処罰されますので、警察に検挙してもらうこともできます。

4、法律事務所では、上記の裁判所に対する保護命令の申立を代理人として行い、同時に、相手方と直接交渉して保護命令に違反しないように勧告することができます。同時に、離婚手続に必要な調停や裁判の申立や、財産分与を確保するための不動産仮差押などの手続も平行して準備することになります。

以下、法律の条文を抜粋します。

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(いわゆるDV防止法)

第1条(定義)
   この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)からの身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。
2項 この法律において「被害者」とは、配偶者からの暴力を受けた者(配偶者からの暴力を受けた後婚姻を解消した者であって、当該配偶者であった者から引き続き生命又は身体に危害を受けるおそれがあるものを含む。)をいう。

第3条(配偶者暴力相談支援センター)
都道府県は、当該都道府県が設置する婦人相談所その他の適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとする。
2項 配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力の防止及び被害者(被害者に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けた者を含む。以下この章及び第7条において同じ。)の保護のため、次に掲げる業務を行うものとする。
 1号 被害者に関する各般の問題について、相談に応ずること又は婦人相談員若しくは相談を行う機関を紹介すること。
 2号 被害者の心身の健康を回復させるため、医学的又は心理学的な指導その他の必要な指導を行うこと。
 3号 被害者(被害者がその家族を同伴する場合にあっては、被害者及びその同伴する家族。次号、第6号及び第5条において同じ。)の一時保護を行うこと。
 4号 被害者が自立して生活することを促進するため、情報の提供その他の援助を行うこと。
 5号 第4章に定める保護命令の制度の利用について、情報の提供その他の援助を行うこと。
 6号 被害者を居住させ保護する施設の利用について、情報の提供その他の援助を行うこと。

第8条(警察官による被害の防止)
   警察官は、通報等により配偶者からの暴力が行われていると認めるときは、警察法(昭和29年法律第162号)、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)その他の法令の定めるところにより、暴力の制止、被害者の保護その他の配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

第10条(保護命令)
   被害者が更なる配偶者からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、次の各号に掲げる事項を命ずるものとする。ただし、第2号に掲げる事項については、申立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。
 1号 命令の効力が生じた日から起算して6月間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この号において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいすることを禁止すること。
 2号 命令の効力が生じた日から起算して2週間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること。

第12条(保護命令の申立)
   保護命令の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
 1号 配偶者からの暴力を受けた状況
 2号 更なる配偶者からの暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる事情
 3号 配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、配偶者からの暴力に関して相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実があるときは、次に掲げる事項
   イ 当該配偶者暴力相談支援センター又は当該警察職員の所属官署の名称
   ロ 相談し、又は援助若しくは保護を求めた日時及び場所
   ハ 相談又は求めた援助若しくは保護の内容
   ニ 相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容
2項 前項の書面(以下「申立書」という。)に同項第3号イからニまでに掲げる事項の記載がない場合には、申立書には、同項第1号及び第2号に掲げる事項についての申立人の供述を記載した書面で公証人法(明治41年法律第53号)第58条ノ2第1項の認証を受けたものを添付しなければならない。

第15条(保護命令の申立についての決定等)
   保護命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。ただし、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる。
2項 保護命令は、相手方に対する決定書の送達又は相手方が出頭した口頭弁論若しくは審尋の期日における言渡しによって、その効力を生ずる。
3項 保護命令を発したときは、裁判所書記官は、速やかにその旨及びその内容を申立人の住所又は居所を管轄する警視総監又は道府県警察本部長(道警察本部の所在地を包括する方面を除く方面については、方面本部長)に通知するものとする。
4項 保護命令は、執行力を有しない。

第29条(罰則)
   保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

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