マンション管理組合における理事の責任

民事|組合員が独自に訴訟提起できるか|組合との和解手続|東京地判平成27年3月30日判例時報2274号57頁|神戸地判平成7年10月4日判例時報1569号89頁

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参照条文

質問

私は、昨年までマンションの管理組合の理事長をしていました。報酬は年間4万円です。

ところが今になって、私が理事長であったときの会計担当理事が多額の資金を横領していたことがわかりました。会計担当理事は横領を認めていますが、すでに全部費消してしまっているらしく、回収は困難とのことです。従来から会計は担当に任せきりだったので、全く横領には気が付きませんでした。

現在の理事会は、気が付かなかった私に責任を取ってもらう、と言っているようです。私は何か責任を負うことがあるのでしょうか。

回答

管理組合の理事長が、職責を果たしていれば、横領が防げたという場合、管理組合に対して損害賠償責任を負うことになります。

賠償責任の範囲については損害額全額ということはありません。理事長の義務違反の程度、管理組合の実情によって異なりますが、損害額の1割について賠償責任を認めた裁判例もあります。

区分所有法上、区分所有者は全員でマンションの管理組合を構成します。このマンション管理組合と、規約で定められた管理組合の役員(あなたのような理事長を含む)との関係は、管理組合を委任者、役員を受任者とする委任契約であると考えられています。

そのため、受任者であるあなた方役員は、その在任中「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務」(善管注意義務)が科されています。この義務に違反していた場合は、委任契約の債務不履行責任として、損害賠償責任を負うことになります。

いかなる場合に善管注意義務違反が認められるかは具体的な事情によって異なりますが(例えば従来から任せっきりにしていた。報酬は年4万円。)、後述の裁判例等によれば、役員の具体的な権限から注意義務を導き、取り得ることができた行動やそれによって損害を回避できたか、といった点が判断要素になっているようです。

また、裁判例においては、それぞれの管理組合と理事の事情から、過失相殺の法理を類推適用して損害額を減額しているため、この検討も必要です。

なお、仮に管理組合側が訴訟で損害賠償を追及する場合や、訴訟に至る前に和解を決める場合には、総会決議が必要になりますから、管理組合との交渉も容易ではありません。

いずれにしても法的に難しい検討が必要ですから、弁護士に早急にご相談ください。

解説

1 管理組合と役員の(法律)関係

本件の前提として、「マンションの管理組合の理事長」の法的立場を説明する必要があります。

「マンションの管理組合」は、「建物の区分所有等に関する法律」(以下「区分所有法」といいます。)3条に規定のある、(区分所有者)「全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」を指します。「集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」とされ、これに基づき、それぞれの管理組合が管理規約を定めています(一般的なものとして、「マンション標準管理規約」があり通常はこれがベースになっています)。

【参考】国土交通省、標準規約(単棟型)

この「マンション管理組合」は、区分所有法上の「マンション管理組合法人」でない限り法人格を持ちませんが、(通常)管理規約によって①団体としての組織を備え、②多数決による団体法理の原則があり、③構成員の変更があっても団体が存続し、④代表の選出、総会の運営、財産の管理等の団体としての主要な事項が確定していることから、いわゆる権利能力なき社団としての性格を有していると考えられています。

他方で、理事長をはじめとする役員については、区分所有法上に規定はありません。上記のとおり管理規約によって役員の選出方法や人数、任期を定めているのが通常です。

そして、管理組合員とその代表たる理事長や役員との関係は、管理組合員から役員に対して法律行為の委託することになるため、委任(民法643条)であると考えられています。

2 役員の損害賠償義務(善管注意義務)

以上を踏まえて、マンション管理組合の理事長ら役員が、管理組合に対して何らかの責任を負いうるか、という点について説明します。

上記のとおり、管理組合員から委任を受けた受任者たる役員は、委任の内容として「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務」(善管注意義務)を負います。法律上、無償委任(報酬なしの委任契約)であっても、この責任を免れることは出来ませんが、報酬の多寡は善管注意義務の軽重を判断する際の考慮要素にはなり得ることになります。

民法

第643条(委任)
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

第644条(受任者の注意義務)
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

標準管理規約37条1項に定めのある誠実義務も、善管注意義務を具体化したものと考えられています。

国土交通省マンション標準管理規約(単棟型)抜粋

第37条(役員の誠実義務等)
1項 役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則等」という。)並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。
2項 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる。

その帰結として、役員において善管注意義務違反があった場合には、委任契約の債務不履行があったとして、損害賠償債務(民法415条)を負うことになります。

それでは、どの程度の注意義務違反があれば役員は「善管注意義務」に反したといえるのか、という点が問題になるところですが、最終的にはそれぞれの事情によって判断されることになります。

これについて判断した裁判例が東京地判平成27年3月30日判例時報2274号57頁です。

同判例は「マンション管理組合法人である原告が、その権利義務を承継したマンション管理組合の会計担当理事であったE(以下「E」という。)によって同管理組合の金員が着服横領されたことにつき、当時管理組合の役員であった被告らに対し、善管注意義務違反に基づく損害賠償として、Eの着服行為により被った損害元本額5489万6617円及び平成21年5月8日までの確定遅延損害金264万9950円(ただし、着服期間の途中に役員を退任した被告D(以下「被告D」という。)については、退任時までの着服に対応し、かつ、時効消滅していない損害元本額4324万3000円及び同日までの確定遅延損害金153万7745円)並びにこれらの元本額に対する同月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求め」たものです。

裁判所は善管注意義務違反が問議された①会計監査理事、②理事長、③副理事長につき、それぞれ注意義務違反の有無を判断しています。

まず、①会計監査理事については、「会計監査役員として、会計担当理事であるEが作成した前年度の収支決算報告書を確認・点検し、会計業務が適正に行われていることを確認すべき義務があったにもかかわらず、Eから定期総会直前に示された虚偽の収支決算報告書の記載とEが偽造した残高証明書の残高等を確認するだけで、本件預金口座の通帳の確認をせず、Eによる横領行為を看過したものであった。そして、銀行発行名義の預金口座の残高証明書については、それが真実銀行発行のものであるならばその内容の信用性が極めて高いものであるが、他方、上記(1)の認定事実のとおり、Eが被告Cに示した本件預金口座の残高証明書は、Eが自分のワープロで偽造したというものであって、その体裁等からして真実の銀行発行の預金口座の残高証明書の原本とはかなり異なるものであったことが推認され、このような偽造された残高証明書を安易に信用し、Eが保管しており、その確認が容易である本件預金口座の預金通帳によって残高を確認しようとしなかった被告Cには、会計監査役員として、本件自治会に対する善管注意義務違反があったと認めざるを得ない。そして、被告Cがこのような確認を行っていたならば、Eが本件預金口座から継続的に金員を払い戻して横領していることを把握でき、本件における損害の発生を回避することができたと認めることができる。」と判示しました。

続いて②理事長については、「本件自治会の理事長として、前年度の収支決算報告書を作成して総会で自治会員に報告する義務を負っていたものである。したがって、たとえ会計については会計担当理事であるEに委託しており、また、Eによる収支決算報告に対しては会計監査役員である被告Cによる会計監査が行われていたとしても、やはり被告Bが自治会員に対して収支決算報告をすべき最終的な責任者であることに照らすと、Eが作成した収支決算報告書を確認・点検して適正に行われていることを確認すべき義務があったといわざるを得ない。それにもかかわらず、前記(1)の認定事実のとおり、被告Bは、Eに本件預金口座の管理、その預金通帳及び銀行用印鑑の保管を任せていたにもかかわらず、会計の報告につき、定期総会の直前にEから簡単な説明を受けるのみであって、本件預金口座の通帳の残高を確認することなく、また、会計監査役員である被告Cに対し、本件預金口座の通帳を確認するなどの適正な監査をすべき指示を出したり、被告Cが適正な監査をしているかを確認したりすることもなく、その結果、Eによる会計業務の具体的内容について十分な確認をしないままとしていたものであって、このような被告Bには、理事長として、本件自治会に対する善管注意義務違反があったと認めざるを得ない。なお、仮に被告BがEから偽造された銀行発行名義の預金残高証明書を見せられていたとしても、それをもって注意義務違反がないとされるものでないことは、上記(2)の被告Cの場合と同様である。また、被告Bがこのような確認等を行っていたならば、Eが本件預金口座から継続的に金員を払い戻して横領していることを把握でき、本件における損害の発生を回避することができたと認めることができる。」と判示しました。

その一方で、副理事長については「本件規約上、副理事長は、理事長を補佐し、理事長に事故があるときはその職務を代行することとされており(34条)、また、副理事長も構成員である理事会は、総会の議決、本件規約による自治会の業務遂行に当たるほか、必要と認める事項を決定しこれを処理することとされている(43条1項)。また、前記(1)の認定事実によれば、理事長である被告Bは、平成7年以降、本件自治会の役員の役割分担を決め、副理事長については、〔1〕理事長の補佐、〔2〕定期的な共用部分の保守管理、〔3〕管理名簿等の日常管理資料の作成をその具体的な職務とし、被告Dはこれらの職務を分担してきたことが認められる。以上によると、副理事長であった被告Dにおいては、本件規約上も実際の職務分担のいずれにおいても、本件自治会の会計事務について具体的に何らかの権限が与えられていたものではないところ、このような被告Dにおいて、会計事務について何らかの措置を講ずべき場合とは、理事長である被告Bが会計に関して行っていた行為について副理事長である被告Dとして何らの補佐をしなければならない状況が存在することになった場合又は被告Bに事故があった場合であると解される。しかるところ、当時、被告D自身はもちろん、被告Bやその他の本件自治会関係者においても、本件自治会の会計事務において被告Dが何らかの措置を講ずべき状況にあると認識されておらず(そのように認識される状況にあったと認めるに足りる証拠もない。)、また、被告Bに事故があるとの状況にもなかったこと(そのような状況であったと認めるに足りる証拠はない。)に照らすと、Eの横領行為につき、被告Dにおいて予見して何らかの措置を講ずべきであったということはできず、被告Dに本件自治会に対する善管注意義務違反があったと認めることはできず、本件全証拠によっても同義務違反を認めることはできない。」と判示しました。

これらの各認定からすると、それぞれの役員ごとに、その権限から具体的な注意義務の内容と為すべき行為を定め、またその義務を履行していた場合には損害を回避することができたといえるかどうか、を判断しているようです。

以上のとおり、この裁判例では理事長と会計監査理事の善管注意義務違反を認めていますが、その損害額の全額の支払い義務を認めたわけではありません。

同裁判例は「(1)前記2(1)の認定事実によると、〔1〕被告Bは年間6万円、被告Cは年間5000円の謝礼を受け取っていたとはいえ、被告B及び被告Cは、別に仕事に就いており、夜間や休日に時間の都合を付けて、自主管理によっていることから多様な業務に関わらざるを得ない本件自治会の役員の職務を分担してきたものであること、〔2〕本件自治会の定期総会の本人出席者数は、比較的出席しやすい自治会員が多いと思われる日曜日(平成10年度以降は日曜日の夕方)に開催されてきたにもかかわらず、本人出席数は少なく、本人出席者のうち役員を除く一般の自治会員の出席は数名程度であることも多く、平成18年度定期総会において、本件預金口座の残高証明書の取得・開示の要求が出されるまで、自治会員の会計を含めた本件自治会の管理運営への関心は高くなく、大多数の自治会員は本件自治会の管理運営について役員に任せるままであったと考えられること、〔3〕平成13年度定期総会においては、毎年の総会に出席する自治会員がほとんど同じで、自治会運営の実態としては好ましくないことから、もっと多くの自治会員が本件自治会の管理、運営に関心を持ってもらいたく、いかにしたら総会への出席がしやすくなるのかを各自治会員が考え、提案をしてもらいたいとの意見が出されたがその後も総会における本人出席が少ない状況が続いたこと、〔4〕被告Bや被告Cが本件預金口座の通帳を確認するなどして本件預金口座の期末残高を確認せず、また、被告CがE偽造による残高証明書の内容を信じたことは軽卒であったといわざるを得ないが、Eは、偽造した本件預金口座の残高証明書を被告Cに提示し、また、被告Bに対しても会計について説明しており、同被告らは一定のチェックはしていたものであること、以上の事情が存在する。(2)本件は、以上のような事情の下において、会計担当理事の横領行為という不法行為につき、非専従で多額とはいえない謝礼を得るのみであった理事長や会計監査役員の過失が問題となっているものである。しかるところ、本件規約においては、理事長が前年度の経費に関する報告書を作成し、自治会員に報告しなければならないとされているなど(前記第2の1(3))、理事長を含めた役員の選任・監督については各自治会員も責任を負っているといえるものであって、それにもかかわらず、上記のとおり、各自治会員の会計を含めた本件自治会の管理運営への関心が高くなく、役員に任せるままであったことも、Eによる横領行為が継続して行われた原因の一つであるといわざるを得ない。」と判示し、過失相殺の法理を類推してその責任(損害賠償債務)を9割減じました。

これからすると、裁判所としては、必ずしも高額な報酬を得たり、自主的従事したりしているわけではない役員と、他の区分所有者(管理組合員)との責任の公平な分担を考えているようです。

3 役員に対する責任追及の手段

管理組合から役員に対する損害賠償請求の方法についてですが、訴訟については管理組合の性格からくる制限があります。

まず、管理組合の構成員たる区分所有者が個人的に損害賠償請求訴訟を提起できるか、という点について判示したのが神戸地判平成7年10月4日判例時報1569号89頁です。

同裁判例は、「原告らは、管理組合の構成員であるところ、管理組合の理事長は管理組合員から委任ないし代理を受けて組合総会の決議によって定められた業務等の執行をなすものであるから、その任務に背きこれを故意または過失によって履行せず、管理組合に損害を与えるようなことがあったときは、債務不履行となり、右理事長は管理組合に対して損害賠償の責めを負うべきことになる。したがって、管理組合(ないし区分所有者全員)が原告となって右理事長に対して損害賠償を求める訴訟を提起することはできるが、管理組合の構成員各自が同様の訴訟を提起することができるかについては、建物の区分所有等に関する法律上、管理組合の構成員各自がその理事長に対する責任を問うことを認める旨の商法二六七条のような規定は存しないし、管理組合の構成員各自が民法四二三条により代位するという原告の構成もその要件を欠くというべきである。そして、建物の区分所有等に関する法律(六条、五七条)は、共同利益違反行為の是正を求めるような団体的性格を有する権利については他の区分所有者の全員または管理組合法人が有するものとし、これを訴訟により行使するか否かは、集会の決議によらなければならないとするように、区分所有者の共同の利益を守るためには区分所有者全員が共同で行使すべきものとしているところ、本件のように理事長の業務執行にあたっての落ち度を追及するような訴訟においても団体的性格を有する権利の行使というべきであるから右の法理が適用されるべきであり、一般の民法法理の適用される場面ではないものと解する。以上より、本件建物の区分所有者らがその全体の利益を図るために訴訟を追行するには、区分所有者ら全員が訴訟当事者になるか、その中から訴訟追行権を付与された当事者を選定する等すべきことになるところ、そのような手続きを何ら踏んでいない原告らには本件訴訟を追行する権限はない。」として、一部の区分所有者からの役員への(管理組合に対する)損害賠償請求を却下しました。

次に、管理組合ですが、上記のとおり管理組合は(通常)権利能力なき社団であると考えられるところ、民事訴訟法29条により、原告になることができます。ただし、当該管理組合の理事長が代表して訴訟を追行するためには、総会決議を要すると考えられます(標準管理規約で48条15号にいう「その他管理組合の業務に関する重要事項」に当たる)。

なお、上記のとおり管理組合の理事長は、区分所有法上の「管理者」である旨の管理規約がある場合は、区分所有法上26条4項により、(理事長ではなく)管理者として管理組合員(区分所有者)を代表して訴訟追行ができるのですが、同項は「規約又は集会の決議」を要求しています。こういった訴訟について管理者に訴訟追行権限を付与する規約があるのは一般的ではないため、結局訴訟追行のためには総会決議が必要、ということになります。

また、損害賠償請求について、現管理組合の理事長が、管理組合員(区分所有者)を代理して(訴訟及び訴外問わず)和解をするためにも、訴訟と同様に総会決議が必要であると考えられます。

4 本件における具体的な対応

以上を踏まえて具体的な対応ですが、まずは、上記裁判例等に照らして、本件の事情に照らして自らの善管注意義務違反の可能性を検討するべきです。

それを踏まえて、現理事会との交渉をおこなうことになりますが、上記のとおり、そもそも訴訟提起をされる前に和解するにしても、理事会だけで対応ができるわけではないため、総会になることを考慮した慎重な行動が求められます。

上記裁判例では、5000万円の損害賠償請求がなされました(結果は500万円の認容)。損害額が多額になることも十分に考えられるため、すぐに弁護士にご相談され、準備を整えておくことをお勧めいたします。

以上

関連事例集

参照条文

民法

(債務不履行による損害賠償)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

(過失相殺)
第418条 債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

(委任)
第643条 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)

第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

区分所有法

(区分所有者の団体)
第3条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

(権限)
第26条 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
5 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。