盗撮画像の公表|刑事処分と大学からの懲戒処分の見通し

刑事|大学生による盗撮事件の刑事処分および大学からの懲戒処分|サークルの合宿で脱衣所の女子部員を盗撮した上、当該画像を男子部員に共有した事案|リベンジポルノ防止法違反・学校教育法11条及びこれを受けた学校教育法施行規則26条3項4号

目次

  1. 質問
  2. 回答
  3. 解説
  4. 関連事例集
  5. 参照条文

質問

大学3年生の息子21歳のことでご相談です。先日、息子が大学で所属していた体育会系サークルの合宿先の宿泊施設で、女子風呂の脱衣所内にカメラを設置し、衣服をまとっていない状態の女子マネージャーを盗撮した上、その画像をSNSを通して、サークル内の男子十数名からなるグループが閲覧できるようアップする、という事件を起こしてしまいました。

当然ながらこの件がサークル内で問題となり、被害に遭った女子部員の意向に配慮しながら、この件を大学や警察に報告するかどうか協議しているようです。

なお、息子はサークルの求めに応じて退部させられたようで、大変なことをしてしまったと、今になって相談を受けています。

今後、息子は逮捕されたり起訴されたりしてしまうのでしょうか。また、大学も退学になってしまうのでしょうか。

回答

1 息子さんの一連の行為については、刑事法上、窃視罪(軽犯罪法1条23号)、建造物侵入罪(刑法130条前段)、リベンジポルノ防止法違反(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3条1項)、さらに問題の宿泊施設の所在地によっては、都道府県のいわゆる迷惑行為防止条例違反の各犯罪が成立しているものと考えられます。

罪質や事案の悪質性に照らすと、本件は基本的に公判請求が予想される事案といえ(その場合、懲役刑を求刑されることになります。)、被害女性や画像がアップされたSNSのグループメンバーら事件関係者に対して働きかけを行ったり、画像データや盗撮機器等を削除、廃棄したりといった行動が客観的に容易であることも合わせれば、警察が本件を覚知した場合、逃亡や罪証隠滅を疑い、息子さんを逮捕する可能性が高いと考えられます。

2 また、息子さんの一連の行為は被害女性に対する重大なプライバシー侵害であり、被害女性に対して、不法行為に基づき、慰謝料を含めた損害賠償の義務を負うことになる他(民法709条)、大学における懲戒処分の対象にもなり得ます(学校教育法第11条)。

ご懸念の懲戒退学処分を行うことができる場合として「学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者」を挙げる学校教育法施行規則26条3項4号は、処分の重大性に照らして限定的に解釈、運用されているところではありますが、行為態様の悪質性の高さ、被害者のプライバシー侵害の程度や精神的苦痛の重大さ、大学のサークル内での事件であり、学内秩序を乱した程度が非常に大きいといえること、本件を不問に付した場合の学内規律維持への支障等を考えると、息子さんへの配慮を十分尽くしたところで、なお退学処分相当と判断されてしまう可能性が非常に高いと言わざるを得ないところです。

3 こうした事態を回避するためには、本件が警察や大学に届け出られるよりも前に、本件について一切の処分を求めないことや、警察や大学への届出を行わないこと等を含んだ内容で被害女性と示談することが、最低限必要となってくるでしょう。

万が一、本件が警察に持ち込まれてしまったとしても、起訴前に被害女性と示談することができれば、少なくとも親告罪であるリベンジポルノ防止法違反での起訴は回避できますし(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3条4項)、宿泊施設管理者との間でも被害届不提出等の合意ができれば、建造物侵入罪での起訴も回避できる可能性も出てきます。

被害女性以外の事件関係者からの情報提供等によって大学が本件を把握したような場合であっても、示談の結果、被害女性から懲戒処分を求めない旨の意思を示してもらうことが出来れば、当該事情が有利に斟酌されることとなり、退学処分回避の可能性を高めることができると考えられます。

4 被害女性との示談交渉は、息子さんご本人やご家族では限界があると思われ、確実な対応のためには、実際上弁護士に依頼することが不可欠といえます。適任と思われる弁護士を探されることをお勧めいたします。

5 その他の関連する事例集はこちらをご覧ください。

解説

1 問題となる犯罪と法的責任

まず、息子さんのしてしまった行為は重大な犯罪であり、息子さんは刑事責任を問われ得る立場にあり、被害届け出があれば逮捕勾留、さらに起訴されることになります。具体的には以下の各犯罪が成立しているものと考えられます。

(1)窃視罪(軽犯罪法違反)

軽犯罪法1条23号は、個人の秘密、プライバシーを保護し、私生活の平穏を確保することを目的として、

「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見」る行為を「窃視の罪」として禁止しています。

本来本罪が想定しているのは、いわゆる覗き行為ですが、カメラを使用してこれらの場所を録画撮影する行為についても、録画行為それ自体によって被害者のプライバシー侵害が発生しており、肉眼でのぞき見た場合とカメラで撮影録画した場合とでプライバシー侵害の有無に変わりがないこと、複製等によって被害が拡大しうる等の点で、録画撮影による場合の方が肉眼によるのぞき見の場合よりもプライバシー侵害の程度が大きいことなどを理由に、本罪にあたるとするのが判例です(気仙沼簡易裁判所平成3年11月5日判決)。

もっとも、窃視罪の法定刑は、拘留(1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する刑罰。刑法16条)または科料(1000円以上1万円未満の金銭を剥奪する刑罰。刑法17条)と軽く(軽犯罪法1条柱書)、その解釈、適用にあたっては、国民の権利、自由が不当に侵害されることのないよう慎重な検討を要するとされているため(軽犯罪法4条)、迷惑行為防止条例違反など他の罪名の適用が可能な場合に本罪の刑事責任が正面から問われるケースは非常に稀といえます。

(2)迷惑行為防止条例違反

本件の現場となった宿泊施設の所在地にもよりますが、自治体によっては、いわゆる迷惑防止条例(各都道府県で定められている、迷惑行為を刑罰により規制する条例)が、人が通常衣服をつけないでいるような場所の撮影やカメラの設置を犯罪として規制していることがあります。一例として、東京都では、次のような規制が設けられています。

東京都・公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(2)次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
住居、便所、浴場、脱衣所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

東京都の場合、同罪に対する法定刑は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金とされていますが(同条例8条2項1号)、同様の行為に対する法定刑は自治体によって若干の差異があります。

(3)建造物侵入

息子さんが盗撮目的で女子風呂の脱衣所に侵入した行為は、建造物侵入罪(刑法130条前段)に該当するものと思われます。

刑法130条前段は「正当な理由がないのに、…人の看守する…建造物…に侵入し」た者に対して、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処するものとしています。

ここでの「侵入」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることを意味し、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であっても、建造物の性質・使用目的・管理状況・管理権者の態度・立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断される場合には建造物侵入罪が成立することになります(最高裁昭和58年4月8日判決)。

息子さんの場合、施設管理者が盗撮目的での女子風呂脱衣所への立入りを容認するはずがないことは社会通念上明らかですから、建造物侵入罪が成立していることは間違いなさそうです。

(4)リベンジポルノ防止法違反

さらに、息子さんが盗撮画像をSNSにアップして、サークル内のグループ十数名が閲覧できる状態に置いた行為は、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(いわゆるリベンジポルノ防止法)違反の罪にも問われることになります。

同法は、第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供する行為を犯罪構成要件として定めており(リベンジポルノ防止法3条1項)、ここでいう「私事性的画像記録」の類型の1つとして、「衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」に該当する「人の姿態が撮影された画像・・・に係る電磁的記録」が定められています(同法2条1項3号)。

リベンジポルノ防止法とは言っても、過去に撮影対象者と交際関係にあったか否かや復讐目的の有無は構成要件上何ら記載がなく、犯罪の成否には全く影響しないことになりますので本件のように復讐目的ではなく単に興味本位で行われた行為であっても犯罪は成立します。

リベンジポルノ防止法違反罪の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。

(5)各罪の関係

窃視罪(軽犯罪法違反)ないし迷惑行為防止条例違反は、建造物侵入罪と罪質上手段結果の関係にあることから、牽連犯としてまとめて一罪として扱われることとなり(刑法54条1項後段)、さらにこれらとリベンジポルノ防止法違反の罪とが併合罪の関係に立つ結果(刑法45条)、本件が刑事事件となった場合の息子さんの刑事責任については、4年6月以下の懲役または150万円以下の罰金の範囲内で決定されることになります(刑法47条、48条)。

(6)その他の責任

息子さんは、以上のような刑事上の責任のみならず、民事上の責任を負っていることになります。

脱衣所内の被害女性の姿態を盗撮した上、その画像をサークル内の男子十数名に拡散した行為は、被害女性に対する重大なプライバシーの侵害であり、民事上も当然に不法行為(民法709条)に該当し、被害女性に対して慰謝料を含めた損害賠償の義務を負うことになります。

また、今回の事件によって、宿泊施設に対しても、風評被害や再発防止策を余儀なくさせる等、有形、無形の損害を与えた場合、これらにかかる損害賠償の義務も負うことになります。

さらに、本件は大学のサークル活動中の事件であり、大学内の秩序を大きく乱すものでもあることから、息子さんは大学における懲戒処分の対象にもなり得ることになります(学校教育法第11条)。

2 予想される今後の流れ

(1)刑事手続

本件が刑事手続となった場合、終局処分としては、公判請求(正式起訴)されることが強く見込まれるでしょう。

盗撮目的で脱衣所に侵入し、カメラを設置しているという点だけ見ても、建造物侵入事案の中でも悪質と評価されるべきところ、本件では、服を身に着けていない状態の被害女性の姿態を実際に撮影し、さらにその画像を多数人が閲覧できる状態にまでしているという点で悪質性が際立っているといえます。

本件についてどの範囲で起訴するか、証拠請求するかの検察官の判断に際しては、被害女性のプライバシー保護の見地から、被害女性の意思が尊重されることになるとは思われますが(リベンジポルノ防止法違反が、被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪とされているのも(同法3条4項)、同様の趣旨によるものです。)、仮に息子さんを起訴することへの被害女性の了解が得られなかったとしても、プライバシー保護の見地から差し支えない範囲の罪名で正式起訴されること(例えば、脱衣所でのカメラの設置行為に対する迷惑行為防止条例違反、盗撮目的での侵入行為に対する建造物侵入罪の範囲での起訴)は避けようがないように思われます。

また、本件が被害届の提出や刑事告訴等によって警察が覚知するところになった場合、警察としては、まず息子さんを逮捕することを検討すると思われます。

上記のように、本件が公判請求相当事案であることで、重罰を免れるために罪証隠滅や逃亡を図る動機があると見られやすいこと、本件がサークル内の事件であることで、被害女性や画像がアップされたSNSのグループメンバーら事件関係者に対して働きかけを行ったり、画像データや盗撮機器等を削除、廃棄したりといった罪証隠滅が容易であることからすると、裁判官に対して請求があった場合、逮捕状が発付される可能性は非常に高いといえるでしょう。

以上をまとめてざっくり言ってしまうと、本件が一度刑事事件として立件されると、然るべきタイミングで逮捕された後、最大20日間(逮捕と合わせて最大23日間)の勾留を経て公判請求される、という流れを回避することは非常に困難ということができます(刑事訴訟法203条1項、205条1項・2項、208条1項・2項)。

(2)大学での懲戒処分

本件が大学の知るところとなった場合、大学としては、調査の上、息子さんに対して懲戒処分を行うことを検討するはずです。

事案の重大性に照らせば、最も厳しい退学処分が科されることも十分考えられるところです。「学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者」に対して懲戒退学処分を行うことができる、とする学校教育法11条及びこれを受けた学校教育法施行規則26条3項4号が退学処分の法律上の根拠となります。

退学処分を行うことができる場合について定めた学校教育法施行規則26条3項については、退学処分が、低額や訓告等他の処分とは異なり、学生の身分自体を剥奪する重大な処分であることに照らし、退学処分が有効となるのは、当該生徒に改善の見込みがなく、これを学外に排除することが教育上やむを得ないと社会通念上認められる場合(当該行為の態様、結果の軽重、学生本人の性格及び平素の行状、当該行為に対する学校側の教育的配慮の有無、懲戒処分の本人及び他の学生に及ぼす訓戒的効果、当該行為を不問に付した場合の一般的影響等諸般の要素が考慮されることになります。)に限られる、とするのが裁判例上確立した解釈となっています。

もっとも、本件の場合、盗撮目的で脱衣所に侵入し、実際に盗撮に成功した上、その画像をSNSを通して多数人に閲覧させるという行為態様の悪質性の高さ、被害者のプライバシー侵害の程度や精神的苦痛の重大さ、大学のサークル内での事件であり、学内秩序を乱した程度が非常に大きいといえること、こうした事案の性質からして本件を不問に付した場合の学内規律維持への支障も十分考えられること等からすると大学として、息子さんに対する教育的配慮を十分尽くしたところで、なお退学処分が相当と判断される可能性が非常に高いと言わざるを得ないでしょう。

3 本件における対応

以上のとおり、本件は警察に持ち込まれ、一度刑事手続開始してしまうと、逮捕、勾留、公判請求の流れを避け難く、大学に知れた場合についても、懲戒退学処分が科される可能性が非常に高い事案ということができます。

したがって、これらの事態の回避を目指すのであれば、本件が警察や大学に届け出られるよりも以前に、本件について一切の処分を求めないことや、本件について警察や大学への届出を行わないこと等の事項を含んだ内容で被害女性と示談することが、最低限必要となってくるでしょう。

本件が警察や大学に持ち込まれた場合、捜査や調査の過程で、盗撮映像や画像等を含めた具体的被害により多くの人物が触れることとなり、被害女性のプライバシー侵害の被害がより拡大する面があり、被害女性自身も取り調べや事情聴取等による精神的負担を強いられることとなるため、これらの事態を避けるという意味で、被害女性としても上記のような内容の示談に応じるメリットは十分あるものと考えられます。

被害女性との示談については、示談金お支払いが必要になるでしょうが、金額的には相場というものはないといって良いでしょう。あくまで、被害女性の気持ちを尊重する必要があります。すでにサークルは退部されているということですが、場合によっては自主的に大学を辞めることも念頭に置いておく必要があります。さらに、被害女性が未成年の場合は保護者との示談の必要があります。

また、本件が建造物侵入罪で処罰される可能性が高いことは前述のとおりですが、同罪については、被害者(法益侵害の客体)として被害届を提出する主体が被害女性ではなく、現場となった宿泊施設の管理者となるため、被害届の不提出等を内容とする示談を行うに際しては、施設管理者も合せて交渉の相手方とする必要があります。

万が一、本件が警察に持ち込まれてしまったとしても、起訴前に被害女性と示談することができれば、少なくとも親告罪であるリベンジポルノ防止法違反での起訴は確実に避けることが可能となります(リベンジポルノ防止法3条4項)。

宿泊施設管理者との示談交渉が奏功し、建造物侵入についての被害届提出を回避できている場合であれば、実際上刑事処分を受ける範囲が窃視罪(軽犯罪法違反)ないし迷惑行為防止条例に限られることになり、その場合、刑事処分を重くとも略式起訴(罰金刑)に止めてもらえるよう検察官と交渉できる余地も出てくることになるでしょう。

大学との関係でも、本件が一度大学の知れるところになったとしても(大学に対して被害女性以外の事件関係者から情報提供がなされる可能性がある点に留意する必要があります。)、被害女性との示談の結果、大学に対して息子さんへの懲戒処分を求めない旨の意思を示してもらうことが出来れば、当該事情を懲戒処分決定の上でも有利に斟酌してもらい、懲戒退学処分回避の可能性を高めることができると考えられます。

このように、本件が警察や大学に持ち込まれてしまったとしても、被害女性との示談が必須であることに変わりはなく、息子さんの置かれている状況の改善のためには、タイミングの如何に拘わらず、示談成立の努力を尽くすべきことになります。そして、時間の 経過とともに状況が悪化していくことが想定されるため、示談交渉等の対応は可能な限り速やかに行っていく必要があります。

これらの対応は、息子さんご本人やご家族では限界があると思われ、確実な対応のためには、実際上弁護士に依頼することが不可欠といえます。同種事案の対応経験があり、迅速に活動してもらえる弁護士を探されることをお勧めいたします。

以上

関連事例集

その他の事例集は下記のサイト内検索で調べることができます。

Yahoo! JAPAN

参照条文
民法

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

刑法

(拘留)
第十六条 拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。

(科料)
第十七条 科料は、千円以上一万円未満とする。

(併合罪)
第四十五条 確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。

(有期の懲役及び禁錮の加重)
第四十七条 併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

(罰金の併科等)
第四十八条 罰金と他の刑とは、併科する。ただし、第四十六条第一項の場合は、この限りでない。
2 併合罪のうちの二個以上の罪について罰金に処するときは、それぞれの罪について定めた罰金の多額の合計以下で処断する。

(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
第五十四条 一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。

(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

軽犯罪法

第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

第二条 前条の罪を犯した者に対しては、情状に因り、その刑を免除し、又は拘留及び科料を併科することができる。

第四条 この法律の適用にあたつては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあつてはならない。

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律

第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

(私事性的画像記録提供等)
第三条 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

東京都・公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、脱衣所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。 )

(罰則)
第8条
2 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第5条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者

刑事訴訟法

第二百三条 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

第二百五条 検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
○2 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から七十二時間を超えることができない。

第二百八条 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
○2 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。

学校教育法

第十一条 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

学校教育法施行規則

第二十六条 校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。
○2 懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長(大学にあつては、学長の委任を受けた学部長を含む。)が行う。
○3 前項の退学は、公立の小学校、中学校(学校教育法第七十一条 の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という。)を除く。)、義務教育学校又は特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き、次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。
一 性行不良で改善の見込がないと認められる者
二 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
三 正当の理由がなくて出席常でない者
四 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者