新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1788、2017/09/09 17:01

【民事、HP制作及び管理契約(コンサルティング・コンサル契約)と債務不履行解除・損害賠償請求、請負・準委任混合契約の性質、東京地方裁判所平成26年9月11日判決】

ホームページの制作及び管理契約の解除と損害賠償請求



質問:私は,建設会社を中心に,その会社の集客を目的として,ホームページの制作とその後のホームページの管理を業務として行っている会社の代表取締役です。ホームページの製作は,当社がデザイン,コンテンツといったウェブサイトの内容を決め,納期までにデータを提供し,その段階で報酬をいただくという契約になります。また,管理業務の内容としては,ホームページのアクセス内容の分析とコンテンツの改善提案といったコンサル業務が中心となり,毎月固定の費用をもらうというものです。とある顧客に対して,ホームページの作成を完了し,納品をして運用を開始したところ,顧客から次のような請求がありました。ホームページの制作に関して公開が遅れてしまったこと,また,コンテンツの質が低い,こちらの要望に応じたコンテンツが入っていないということで,債務不履行により契約を解除するというものでした。その上で,今まで支払ったホームページの製作費用,月々のコンサル契約金の返還と共に,ホームページの公開が遅れたことによって売り上げが減少したのでその分の損害賠償請求がされています。しかし,公開が遅れてしまったのは,顧客が公開に必要なサーバー情報を提供するのが遅れたからですし,コンテンツの内容についても事前に協議の上,担当者において了解をもらっています。このような請求には,応じなければいけないのでしょうか。今後,私はどのように対応をしていけばよいでしょうか。



回答:
1 今回の顧客の請求は、債務不履行による契約解除に基づく請求ですから、まず契約の解除が認められるか、すなわち契約を解除できる債務不履行があったか否かが問題となります。ホームページの制作契約・管理運営契約(コンサル契約)は,裁判例によると前者は請負契約,後者は準委任契約と解される可能性が高いところです。したがって,ホームページの制作・納品については「仕事の完成」と「引渡し」があったか否か,その後の運営管理については「善良なる管理者の注意をもって」「委任事務の履行」があったか否かが問題となり、否定されれば債務不履行による契約全部の解除が認められることになります。
  まずは,先方の主張する解除事由について,契約書の内容やその後の担当者間の協議によって定まった義務の確定,それを怠ったか否かを検討する必要があります。先方の責めに帰すべき事由によって債務の履行が遅れたような場合には,解除事由は生じません。今回も,サーバー情報の提供遅れが遅延の原因であること,コンテンツの内容について了解をもらっていたのであれば,債務不履行については争う余地があります。

2 しかし,この点は最終的には裁判所の認定になります。仮に上記の点で債務不履行が認められる場合には,契約全体として解除が認められる可能性が高いところです。その場合,どの範囲まで損害賠償をするかの判断も重要になります。一般的に解除に基づく原状回復として,契約の対価としてこれまで受け取った報酬(準委任の場合,これまで受け取った利益は除外)については返還の必要があります。一方で,会社の売上の減少は,一般的に通常生ずべき損害とは評価できず,因果関係がないものと判断される可能性があるといえます。

3 解決手段としては,訴訟外の示談交渉,ないしは訴訟による解決があります。本件でも,訴訟になってしまうリスク(莫大な時間的・経済的コストがかかります)を考慮した上で,一定の解決金を支払った上で和解による解決をする選択肢もあり得ます。その場合,御社の損害が拡大しないように適切な和解合意書(秘匿条項,清算条項など)を交わしておく必要があります。
  契約の性質,解除事由の判断及び交渉のやり方に関して専門的判断も要するところですので,同種・関連する問題でお困りの場合には,弁護士に相談することをお勧めいたします。


解説:

第1 ホームページの制作契約・管理運営契約(コンサル契約)について

 1 契約の性質(委任か請負か)

 (1)現在置かれている法的な地位

ア まず,御社が現在置かれている法的な地位について検討していきます。まずは,御社と顧客との間でホームページの制作契約,及び同ホームページの月々の運営,コンサルタント契約が締結されており,互いに契約関係にあります。
しかし,その後顧客より,これらの契約が御社の債務不履行により解除されたとして通知がなされています。契約が解除された場合には,契約が遡及的になかったこととなり,両当事者は原状回復義務(民法545条1項)を負うことになります。すなわち,これまで支払ってきた金銭については返還義務が生じることとなるのです。また,解除権の行使は,損害賠償の請求を妨げないものとされており(民法545条3項),御社に契約上の債務不履行があるような場合には,相当因果関係のある範囲で損害賠償を顧客にしなければならないものとされています(民法415条,同416条1項・2項。相当因果関係の原則)。
  なお,どの時点までの損害を賠償しなければならないかについては,後述のとおり,本件の契約がどのような性質を持つのか(請負であるのか委任であるのか)について変わってきますので,この点は改めて検討することにします。

イ そして,相手方の請求に応じないような場合には,交渉による解決が困難として,法的に請求の余地がある範囲において,相手方から解除に基づく原状回復請求及び損害賠償請求の訴訟が提起されるかもしれません。訴訟を起こされた場合には,これに何ら反論をしない場合には,事実関係を争わないものとして,相手の請求が全て認められることになってしまいます。また,訴訟への対応については,時間的・経済的なコストがかなり割かれることとなり,別の業務への対応時間が減るなど,会社の運営上の悪影響は極めて大きいものとなります。具体的な対処方法については,第2以下において述べます。

(2)契約の性質(請負か委任か)

ア 契約の性質による違い

  それでは,ホームページの制作契約及びその後のホームページの運営・コンサルタント契約が,どのような法的性質を持つのかについて検討していきます。本件で,該当しうる契約類型としては,請負(当事者の一方がある仕事の完成を約し,相手が仕事の結果に対して報酬を支払う契約。民法632条),委任・準委任(当事者の一方が法律行為・事実行為をすることを委託する契約。民法643条,656条)のいずれかになります。なお,委任・準委任は無償が原則となっていますが,業者と個人間の契約の場合には,ほぼ報酬の支払の特約が付いていることになります。

  請負か委任いずれの契約類型かによって,以下の点の結論が変わることとなります。なお、契約ですから、当事者の合意により効果が生じます。従って、請負か委任かということは、本来は意味がないはずです。しかし、契約の合意内容が、明確ではない場合にどのような効果を認めるか、という場合に民法の規定がある請負契約や委任契約か、どちらの契約に近いのかを考察し、近いほうの契約と同じ法的な効果を与えることになるということです。

 ・請負の場合には,仕事の完成をして,目的物の引渡をしない限り報酬の支払を請求できない。委任(準委任)の場合には,一定の事務を履行(契約上の義務を果たす)した段階で報酬することができ,かつ,途中で終了した場合であっても,委任者の責めに帰すべき事由がなければ,履行の割合に応じて報酬請求ができる(民法648条2項,3項)。
 ・請負の場合,通常の債務不履行解除に加えて,瑕疵修補請求その他の担保責任が課せられる場合がある(民法634条2項)。
 ・請負の解除の場合,契約時点にさかのぼって契約は消滅することになるが,委任の解除の場合には,将来にわたってしか効力を生じない(民法652条,620条)。
   請負契約の方が,契約時点までさかのぼって原状回復,その時点に生じた損害賠償を負わなければならないという点で御社にとっては不利とも考えられます。

 イ 裁判例の判断

(ア)この点,東京地方裁判所平成26年9月11日判決が参考になる判断をしています。同判例は,インターネット上のウェブサイトの制作,運営会社が,同社の作成したウェブサイトには瑕疵があるとして,上記委託契約を解除したことによる原状回復請求として既払いの契約金の返還を求めた事案です。なお,同判例においては,ホームページの瑕疵を生じさせたとされる取締役に対する個人責任も追及されています(会社法429条1項)。

   同裁判例においては,「本件委託契約は,本件サイトの制作という請負契約,本件サイトの運営という準委任契約,サイト完成後のGyaOとのCM契約締結の委託という委任契約が混合した1個の契約であり,本件サイトに瑕疵が存在する場合,被告会社は,原告に対し,上記請負契約に基づく瑕疵修補義務を負っている。」とする原告(客側)の主張を踏まえ,「上記認定事実からすれば,本件委託契約は,平成20年7月30日に原告と被告会社との間で締結された,本件サイトの制作という請負契約,本件サイトの運営という準委任契約及びGyaOとのCM契約締結の委託という委任契約が密接不可分に結び付いた混合契約というべきである(なお,被告らも,この点を強く争わない。)。」としています。

   裁判例は,委託業務の内容に応じて,個別の契約の性質を決定しています。ウェブサイトの制作については,制作過程というよりは実際の制作物(ウェブサイト)の完成,引渡しが重要となりますので,請負契約の性質を有すると判断しました。一方で,完成したウェブサイトの管理運営については,委任事務を履行するという過程そのものに着目し,(準)委任契約であると判断しました。後者の場合には毎月毎に管理委託料を支払うという類型の報酬支払体系が多いこと,毎月毎に一定の制作物の提供を義務づけるものでもないことから,請負というよりは委任契約の性質を持つと判断したものと考えることができます。

(イ)そうすると,本件の契約もウェブサイトの制作という請負契約と,その後の運営管理という準委任契約の2本の契約が成立することとなりそうですが,両契約の関係が問題となります。この点につき,同裁判例は上記のとおり本件サイトの制作という請負契約と,運営という準委任契約は「密接不可分に結びついた混合契約」であるとしました。二つの別々の契約とすると、契約の解除についてもそれぞれの契約について検討がひつようですが、「密接不可分に結びついた混合契約」とすると契約の解除ができるか否かという問題については一つの契約の債務不履行による解除ができるかという問題になります。

   そして,これらの混合契約の解除については,「被告会社が制作した本件サイトに契約の目的を達成することができない瑕疵が存在し,本件サイトの制作に関し解除事由が存在すると認められる場合には,本件委託契約全体について解除事由が生じ,本件サイトの運営及びGyaOとのCM契約締結の委託についても解除の対象になるというべきである。」と判断しました。
すなわち,請負契約についての解除事由があれば,準委任を含めた混合契約全体の解除が認められることになります。これに対して、制作したサイト自体に問題はないが準委任契約の債務不履行があった場合、解約全体の解除については疑問が残りますし、仮に解除ができたとしてもコンテンツの作成料までの賠償はできないことになります。

 2 債務不履行解除及びそれに基づく原状回復請求・損害賠償請求

 (1)解除事由の判断

  ア 今回,顧客においては,「ホームページの制作に関して公開が遅れてしまったこと,また,コンテンツの質が低い,こちらの要望に応じたコンテンツが入っていない」という理由で,債務不履行により契約を解除するという内容の請求になります。

    そこで,まずは御社の方で債務不履行があったか否かの検討がなされる必要があります。債務不履行による解除が認められるか否かは、債務不履行があったか否か、その債務不履行により契約が解除できるか(契約を継続できないほどの債務不履行といえるか)検討が必要になります。

    なお,委任契約の場合,理由を問わず「いつでも」解除をすることができるとされていますが(民法651条),これは委任契約の性質から、債務不履行がなくても解除できるということですから、ここでは解除に合わせて債務不履行による損害賠償請求及び請負を含めたこれまでの報酬の返還請求がされていますので,債務不履行を前提とした解説をします。

イ この点,解除事由の判断は個別の債務不履行の事由を一つずつ検討し,契約類型も考慮しながら,社会通念にしたがって「債務の本旨」にしたがった履行がなされているか判断されることとなります。

   まず,公開が遅れてしまった点については,ホームページの制作(請負)及び運営・管理(準委任)について,債務不履行があったかどうかの判断となります。

   この点,ホームページの納品が遅れてしまったような場合には,請負契約における「引渡し」義務の履行が遅れたこととなるので,債務不履行(履行遅滞)になる可能性があります。また,顧客の事前の要望に反した成果物の納品であれば,「仕事の完成」をしていないとも評価でき,やはり債務不履行になると考えられます。完成の有無を巡って,委任契約よりも債務不履行の判定は厳しくなる可能性があります。仕事が完成されたか否か,契約内容及びホームページの作成経緯(協議内容)を詳細に検討する必要があります。上記裁判例においても,注文者が予定していたサイト・コンテンツについて事前の協議内容・条件を判定した上で,それが守られているか個別の条件ごとに詳細な判断がされています。

   今回のケースでも仕事の完成があったかについては,このように詳細な検討を行う必要がありますが,事前に了解の取れている内容のホームページ・コンテンツが納期どおりに納品されていたのであれば,請負契約としての債務不履行は免れる可能性はあると考えられます。

   ホームページの納品がなされた場合は、請負契約部分の仕事の完成、引き渡しがあったことになり、その後については,基本的に準委任契約の性質を有することになりますので,委任事務について「債務の本旨」にしたがった履行があったか否か,が社会通念に従って判定されることとなります。

   上記のとおり,委任の対価である業務委託報酬は月毎に支払がなされることが通常ですので,まずは契約における義務をしっかりと特定した上で(契約書が中心になりますが,その後の協議内容によっても契約内容が変動することがあります),毎月毎にどのような委任事務を行っていたのか,それが契約上の義務に反していないか,を詳細に検討する必要があるでしょう。

ウ なお,上記裁判例によれば,請負部分・準委任の部分いずれの一部でも債務不履行があった場合には,全体として契約の解除が認められてしまう可能性もありますので,慎重に交渉を進めることが必要になるでしょう。

(2)損害賠償及び金銭の返還の範囲

   上のとおり,まずは,債務不履行の前提である解除事由がないことを,相手方が主張する解除事由毎に詳細に検討して反論する必要があります。

   その上で,解除事由が一部でもありそうだ,ということになった場合には,どの範囲で損害賠償をするのかを判断していくことになります。

  ア まず,債務不履行に基づく損害賠償の範囲の一般原則として,相当因果関係の原則があります。民法によれば,債務不履行に対する損害賠償の範囲は,不履行によって「通常生ずべき損害」の範囲に限られ,また,特別の事情によって生じた損害については,当事者(債務者)が予見可能であった範囲に限り賠償対象になり得るのです(民法416条1項,2項)。債務不履行による損害賠償が無限定に拡大することを防ぐために,このような限定がなされています。

    具体的にどのような損害が相当因果関係のあるものかについては,最終的には社会通念にしたがい裁判所が判断することとなります。契約の内容,不履行の内容,個別の損害の性質・内容を個別に検討し,類型的に生じ得る損害であるかが検討対象になるでしょう。

  イ これを本件についてみると,まず,仮に全体の解除が認められた場合,解除に基づく原状回復の範囲であれば,受け取った利益について返還義務が生じることとなります。この点,上記のとおり請負契約であれば契約時にさかのぼって解除の効力が生じることとなりますので,ホームページの制作の対価として受領した報酬は返還義務が生じる可能性があります。一方,ホームページの運用に関しては準委任契約であり,解除の効力は将来にわたってのみ生じますので,これまで受け取った委任事務の対価としての報酬については返還義務は生じないものと思われます。

    一方,それ以外の損害については,個別の損害項目ごとに相当因果関係の範囲内か否かの判定が必要になります。ただ,今回相手が主張しているようなホームページの公開が遅れたことによって売り上げが減少したという損害(営業損害といいます)については,一般的に相当因果関係が認められ難いと考えられます。売り上げの減少というものは,ホームページの運営以外の要因も十分に考えられますので,直接の原因であるとは判断しがたく,通常生じるべき損害と評価がなかなか難しいためです。

    以上,本件について検討してきましたが,損害項目ごとに相当因果関係の有無について,立証の観点も踏まえた検討が必要となります。

第2 具体的な対処方法

 1 交渉による解決

   次に,本件における具体的な解決について検討していきます。上に述べたとおり,とおり,ホームページの制作・運用契約の法的性質,解除事由の判断,損害額及び因果関係の有無の見込みについて,詳細に検討する必要があります。

   まずは,制作・請負双方の点について,解除事由があるかどうか,当方に有利に交渉を進めることができるかを結論付ける必要があります。契約書の内容及びこれまでの協議から義務をしっかりと特定した上で,先方のいう解除事由を一つずつ,それぞれ請負における仕事の完成,準委任における委任事務の履行があったかを判断した上で交渉を行います。

   仮に解除事由がおよそないということであれば,先方の請求は全て前提を欠くことになりますので,支払義務がない旨を明確に根拠と共に告げるべきです。一方で,解除事由の判定にリスクが残るということであれば,上記の訴訟に伴うリスク(経済的・時間的コスト)を考慮の上,一定の解決金を支払った上で解決を図るということも十分に合理性があります。裁判外の和解による解決の場合,他の案件への波及を防ぐために秘匿条項を付けたり,他の関係者や案件も含めて全て清算する旨の清算条項を付けるなど,事案に応じた柔軟な解決もすることが可能です。本件でも,早期解決の観点から交渉による解決も視野に入れて行動することは有用といえるでしょう。

 2 訴訟による解決

   一方で,交渉による解決が困難な場合には,訴訟・調停といった法的手続に移行することになります。訴訟自体は先方が起こすことになりますが,上記のとおり解除事由や損害賠償の範囲について,裁判所に対して説得的な主張立証活動を行うことが必要です。早期解決の観点から,訴訟の進行や裁判所の心証を考慮したうえで,判決ではなく一定の譲歩をして和解による解決を図ることも検討の余地はあると思われます。

 3 終わりに

   ホームページの制作・コンサル(運営)契約は比較的トラブルが起きやすい類型であり,事案としては交渉により早期解決をすることが望ましいともいえます。そのためには,契約類型・個別の契約内容を踏まえた上で,解除事由や損害額について確実な見通しを立てておく必要があります。お困りの場合には,このような問題に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。


<参照条文>
民法
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条  債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

(損害賠償の範囲)
第四百十六条  債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2  特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

第九節 請負

(請負)
第六百三十二条  請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)
第六百三十三条  報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

(請負人の担保責任)
第六百三十四条  仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
2  注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。

第六百三十五条  仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

十節 委任

(委任)
第六百四十三条  委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

(受任者の注意義務)
第六百四十四条  受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

(受任者の報酬)
第六百四十八条  受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
2  受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3  委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。

(委任の解除)
第六百五十一条  委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2  当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

(委任の解除の効力)
第六百五十二条  第六百二十条の規定は、委任について準用する。



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