新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1537、2014/08/11 12:00 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

【刑事 児童買春と強姦罪の成立 示談と強姦罪の量刑 千葉地方裁判所松戸支部平成24年10月15日判決】

児童買春禁止法違反で逮捕された後に強姦罪で起訴

質問:
 一月ほど前に出会い系サイトを通じて知り合った17歳の女児とホテルで性行為を行ったという児童買春の容疑で、今朝方逮捕されました。彼女も援助交際の当事者ですから、警察に届け出ることはないだろうと思っていたのですが、私自身が以前からアブノーマルなプレイに興味があり、女児に対して不意打ち的に後ろ手に手錠をかけ、そのまま性行為に及ぶなどしたことで、彼女を怒らせてしまったのかもしれません。これまで警察の世話になったことはなく、突然の逮捕に大変動揺しています。刑事手続の見通しや予想される刑事処分、処分軽減のためにすべきこと等についてアドバイスを頂きたいです。



回答:

1. あなたの正式な被疑罪名は児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反であると考えられます。児童買春は、初犯で児童1名の場合、略式起訴された上、50万円以下の罰金刑となることが多いですが、本件の場合、起訴時に罪名が強姦罪(刑法177条)に切り替わる可能性があると考えられるので、楽観視することはできません。

2. 女児に対して後ろ手錠をかけた行為は女児の反抗を著しく困難にするものといえ、強姦罪における「暴行」に該当すると考えられます。また、当初は援助交際目的だったとはいえ、後ろ手錠をかけられた状態での性行為に同意することはまず考えられませんから、女児の同意による違法性阻却の主張も本件では困難と言わざるを得ないでしょう。したがって、今後の対応については強姦罪の成立を前提に考えていく必要があるでしょう。

3. 強姦罪は告訴がなければ公訴提起することができない親告罪であるため(刑法180条1項、177条)、強姦罪での起訴を回避するためには、告訴の取消しが可能な公訴提起前のタイミングで示談を行う必要があります(刑事訴訟法237条1項)。示談の相手方は告訴権者である女児及びその法定代理人(実際には女児の両親)になります(刑事訴訟法230条、231条1項)。

4. 一般的に強姦罪のような重大事案の場合、被害者側の処罰感情は熾烈を極めているのが通常です。女児や家族に与えた被害とその影響、本件犯行に至った根本的な原因や更生のための具体的方策等の深い考察を含めた真摯な反省がない限り、示談成立はまず見込めないでしょう。また、自己保身のための虚偽供述や不合理な弁解等は被害感情を逆なでさせるだけです。事実関係を包み隠さず弁護人に打ち明け、取調べ対応について弁護人とよく協議し、十分な指導を受けて頂く必要があります。

5.一見オーソドックスな事案であっても、刑事手続の見通しを誤ると、後で思わぬ重大な不利益を被る事態になりかねません。本件でも、罰金で済むと思って示談をしないでいると、強姦罪で起訴され、実刑を避けられない事態に陥る可能性があります。逮捕された場合、速やかに刑事弁護の経験のある弁護士を探して接見、事実確認、打合せを行うことが肝要といえるでしょう。

解説:

1.(被疑罪名について)

 あなたは児童買春の容疑で逮捕されているとのことですが、正式な被疑罪名は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童買春禁止法」といいます。)違反であると考えられます。同法は、18歳に満たない「児童」に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等を行う行為を「児童買春」として刑事罰の対象としています(児童買春禁止法4条、2条1項・2項1号)。法定刑は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金とされていますが、実際上の処分相場としては、児童が1名の場合であれば略式起訴され、50万円以下の罰金刑となることが多く、児童が複数の場合は正式起訴され、懲役刑求刑されることが多いと思われます。

 あなたのようないわゆる援助交際のケースは、本来お互いの合意の下秘密裏に行われる行為ですので、捜査機関に発覚することは珍しいと感じられるかもしれません。しかし、援助交際を行うような児童は概して問題行動を起こすことが多く、例えば補導された際に警察に提出した携帯電話の通信記録から児童買春行為が明らかとなるなど、実際には捜査機関に発覚する可能性が非常に高いのが本罪の特徴といえます。例えば、援助交際等は特定ホテルを利用していることが多く、この周辺を捜査機関が常時待機して尋問、補導しその携帯記録から相手方被疑者を特定するということはよく行われているところです。又、児童買春を行い、これを理由に法外な示談金を要求する(美人局まがいの)グループもあります。これが恐喝罪などで摘発されて携帯履歴から事件が発覚することもあります。あなたのケースで女児が被害届を提出しているかどうかは定かではありませんが、女児が自ら捜査機関に犯罪事実を申告することや、児童買春等の事実を知った両親が被害申告することももちろんあり得ます。いずれにしても、発覚することはないだろうという安易な認識の下児童買春を行っていたとすれば、そのような認識は直ちに改めるべきでしょう。本件を機に深い反省が必要です。公判請求ともなれば報道と共に貴方の家族にも公になり家庭崩壊の危険も十分にあります。

2.(強姦罪の成否)

 児童買春のケースにおける一般的な処分相場については前述したとおりです。もっとも、かかる処分相場は初犯かつ余罪がない場合を前提としたものであり、あなたの場合、特に余罪との関係で処分相場を大きく超えた重大な刑事処分を受ける可能性が強く懸念される事情があります。それは、女児に対して手錠をかけてそのまま性行為に及んでいるという点です。後ろ手に手錠をかける行為というのは、相手方の同意を得ている等の事情がない限り、相手方の反抗を物理的・精神的に制圧するに足りる強制力を加えるものといえ、強姦罪(刑法177条)における暴行と評価しうる行為といえます。すなわち、後ろ手錠による犯行抑圧状態で女児に対する姦淫行為に及んでいるとすれば、あなたには児童買春禁止法違反のみならず、強姦罪が成立していることになります。

 この点、あなたとしては、本件は援助交際目的だったのだから性行為自体については女児の同意があったのではないかと思われるかもしれません。確かに、姦淫行為について同意があれば、理論的には違法性が阻却され、犯罪は成立しないことになります。しかし、元々援助交際目的であったとはいえ、性行為の直前に拒否する自由もあるわけですから、不意打ちで後ろから手錠をかけたという場合は同意があったとは言えないでしょう。そもそも犯罪の成立を阻却する(強姦は同意があれば構成要件該当性もない犯罪です。)同意は適正な判断能力を前提として任意かつ真意に基づくことが必要です。そう解釈しなければ被害者側の人権を守ることができないからです。仮に手錠をかけた後女児が任意で性行為に応じている様子であり、あなたとしては単なるプレイの一環という程度の認識であったとしても、それは単に反抗を著しく困難にされた結果、手錠をかけられた状態での性行為に応じざるを得なかっただけである可能性が高いと思われます。任意で真意に基づく承諾とは言えないと思われます。後ろ手錠による犯行抑圧状態下で女児の意に反して姦淫行為を行い、具体的状況下における女児の性的自由を侵害している以上、今後の刑事手続や刑事処分の見通しを検討するにあたっては、強姦罪が成立していることを前提に考えていかなければなりません。

 このように、逮捕時の罪名が今後も維持されるとは限りませんので、刑事手続や刑事処分の正確な見通しを得るためには、今後あなたの弁護人に就任した弁護士に対し、性行為の具体的態様や前後の事実関係等を詳細に伝え、法的な検討を経ることが不可欠といえます。

3.(予想される刑事手続、刑事処分について)

 まず、身柄拘束の関係ですが、送検(逮捕から48時間以内。刑事訴訟法203条1項)後は10日間ないし20日間の勾留がほぼ確実視される状況であると考えられます(刑事訴訟法208条1項・2項)。強姦罪は法定刑が3年以上の有期懲役という重罪であるところ、あなたの逮捕に先立って作成されていると考えられる女児の供述調書等により、本件が強姦罪の成否が問題となる重大事案であることは記録上明らかでしょうから、本件は勾留の要件である罪証隠滅のおそれ(刑事訴訟法207条1項、60条1項2号)や逃亡のおそれ(刑事訴訟法207条1項、60条1項3号)、勾留の必要性(207条1項、87条1項)が容易に認められてしまう事案類型であるといえます。

 勾留後、強姦罪で起訴されるかどうかは、その時点で告訴がなされているかどうかに拠ります。強姦罪は告訴がなければ公訴提起することができない親告罪であるため(刑法180条1項、177条)、告訴権者である女児またはその法定代理人である両親による告訴が公訴提起の要件となるためです(刑事訴訟法230条、231条1項)。裏を返せば、女児ないし両親が捜査機関に対して告訴しない意思を表明し、あるいは既に告訴を行っていても公訴提起前に取り消せば(刑事訴訟法237条1項)、あなたは強姦罪で起訴されることはなくなります。このように女児や両親に告訴を思いとどまらせ、あるいは既にした告訴を取り消させるためにあなたが採りうる方法はただ1つ、弁護人を通じて女児及びその両親に対して謝罪と被害弁償を行い、示談を成立させることです。

 強姦罪で起訴された場合の量刑相場についてですが、裁判例を見る限り、示談が成立していないにもかかわらず執行猶予が付された例はほぼ皆無です。同種事案の中には、高額な示談金を払って示談が成立したにもかかわらず実刑となっている例も散見されます(例えば、東京地裁平成15年3月27日判決、千葉地方裁判所松戸支部平成24年10月15日判決等)。したがって、執行猶予を得るためには示談成立が必須ではあるものの、示談が成立したからといって必ずしも執行猶予が得られるとは限らず、他の事情との総合考慮によって執行猶予の是非が判断されることになります。従って、起訴前に示談をして告訴を取り消してもらうことが重要になります。

 この点、本件では援助交際目的であなたと一緒にホテルの一室に入っていった点で女児側にも一定の落ち度があるといえ、かかる事情はあなたに対する量刑判断の上で有利に斟酌されうる事情と思われます(浦和地裁平成4年3月9日判決参照)。他方、あなたの行った行為は児童買春にも該当すること、通常まず持ち歩くことのない手錠を用意し、女児に対して使用している点で計画的犯行と捉えられる可能性が高いこと、といったあなたに不利な事情もあるため、仮に起訴後に示談が成立したとしても執行猶予付判決を得られる保証は全くありません。すなわち、起訴前のこのタイミングでどれだけ早期に女児及び両親と示談成立させられるかが刑事手続の帰趨を大きく左右する(児童買春で略式起訴され罰金刑となるか、強姦罪で正式起訴され実刑となるか)と言っても過言ではありません。その意味であなたは現在重大な局面に立たされているといえるでしょう。

 なお、強姦罪と児童買春との関係についてですが、両罪の保護法益の性質の違い、姦淫の手段の相違(暴行・脅迫か対償の供与ないし供与の約束か)、観念的競合(1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合。この場合、両者は1罪として扱われます。刑法54条1項前段)と解した場合、児童買春で有罪が確定した後に一時不再理効(憲法39条後段、刑事訴訟法337条、338条、340条参照)によって強姦罪での起訴が不可能になる事態が生じ、妥当でないこと等からすると、一罪として扱い得るだけの社会的一体性を観念することが困難ですので、併合罪(確定裁判を経ていない2個以上の罪が成立する場合。刑法45条)と解することが相当でしょう。したがって、示談不成立の場合、理論的には強姦罪と児童買春の2罪で起訴されることも可能と思われますが、実際は重い強姦罪のみで起訴されることが通例のようです。

 また、児童買春は、個人の性的自由を保護法益とする強姦罪とは異なり、児童一般の権利擁護という社会的法益に対する罪ですので、仮に児童の両親と示談が成立した場合であっても被害回復が観念できず、また、強姦罪とは異なり親告罪ではないため、示談成立、告訴取消しに至ったとしても、少なくとも略式起訴となることが通例です(不起訴となることは非常に稀です。)。児童買春との関係でみると、被害者側に金銭を支払うということが売春行為を助長する側面がないわけでもなく、示談成立が略式起訴まで回避できるほど決定的な事情にはならないことに留意する必要があります。

4.(今後の対応について)

 女児側との示談を目指すに際しては、取調べに対する供述に細心の注意を払う必要があります。本稿執筆者の経験上、被害者が示談に応じるか否かを検討する際の重要な要素の1つとして、加害者の供述状況が挙げられます。一般的に、自己に不利益な点も含め、事実関係を包み隠さず供述しているか否かは、加害者の反省の程度を示す意味で、刑の量定を左右する事情の1つと位置付けられますが、かかる発想は被害者側でも共通していることが多いといえます。特に、逮捕後の被疑者段階での供述は、被害者側から見れば、その時点で捜査機関を通じて把握することができる、加害者の反省の有無を判断するほぼ唯一の材料といっても過言ではありません。したがって、自己保身のための虚偽供述や不合理な弁解等は示談の成立を遠ざけ、量刑上不利益な事情を増やすだけであり、あなた自身の首を絞める以外の何の意味もありません。事実関係を包み隠さず弁護人に打ち明け、捜査機関に対して行うべき供述内容について弁護人とよく協議し、十分な指導を受けた上で取調べに臨んで頂く必要があります。

 また、特に強姦罪のような重大犯罪の場合、示談成否の大きなカギとなるのが謝罪文です。身柄拘束を受けている被疑者の立場で被害者や家族に謝罪の意思を伝える唯一の方法が、謝罪文を作成して弁護人を通じて被害者らに渡すことです。強姦罪の場合、被害者側(被害者が未成年の場合、特に両親)の処罰感情は熾烈を極めていることが殆どであり、形式的に謝罪の言葉を並べたような謝罪文では余計に被害者側の怒りを煽るだけです。真摯に反省することは勿論、被害者側の立場に立って自分が与えた被害やその影響について真剣に考察すること、自己が犯行に至ってしまった根本的な原因を徹底的に掘り下げて考え、再犯防止や更生に向けた具体的方策を挙げること等は必須であり、これらについての考察や反省が不十分だと、宥恕や告訴の取消し等は到底望めないでしょう。弁護人はあなたの代理人として示談交渉を行うことはできますが、最終的に示談の成否を決するのは、他でもないあなた自身の反省の態度なのです。

 なお、弁護人を選任するにあたっては、刑事弁護、特に重大事案における示談交渉の経験のある弁護士を選ぶことを強くお勧めいたします。あなた自身の反省が最重要であるとはいっても、示談交渉の経験や交渉技術の差が示談の成否に影響する面があることは否定できないところです。例えあなたが反省を深めていたとしても、その反省を被害者側に説得的に伝えることができなければ意味がありません。

5.(最後に)

 一見すると軽微な事案であったりオーソドックスな事案であっても、あなたのケースのように思わぬ重大事案に発展することは珍しくありません。刑事手続の見通しを誤ると、後で思わぬ重大な不利益を被る事態にもなりかねません(本件で言えば、罰金で済むと思って示談を行わないでいると、勾留後強姦罪で起訴され、示談を成立させても実刑を避けられない事態に陥る可能性があります。)。刑事手続の見通しの正確な把握のためには刑事弁護人としての経験が不可欠ですから、刑事事件で逮捕された場合、速やかに経験のある弁護士を探して接見、事実確認、打合せを行うことが肝要といえるでしょう。

≪参照条文≫
日本国憲法
第三十九条  何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

刑法
(併合罪)
第四十五条  確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。
(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
第五十四条  一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
(強姦)
第百七十七条  暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
(親告罪)
第百八十条  第百七十六条から第百七十八条までの罪及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2  前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
(定義)
第二条  この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2  この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一  児童 
(児童買春)
第四条  児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

刑事訴訟法
第六十条  裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一  被告人が定まつた住居を有しないとき。
二  被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三  被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
第八十七条  勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
第二百三条  司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
○4  第一項の時間の制限内に送致の手続をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
第二百七条  前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。
第二百八条  前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
○2  裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。
第二百三十条  犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。
第二百三十一条  被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
第二百三十七条  告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。
○2  告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。
第三百三十七条  左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。
一  確定判決を経たとき。
二  犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
三  大赦があつたとき。
四  時効が完成したとき。
第三百三十八条  左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。
一  被告人に対して裁判権を有しないとき。
二  第三百四十条の規定に違反して公訴が提起されたとき。
三  公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。
四  公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。
第三百四十条  公訴の取消による公訴棄却の決定が確定したときは、公訴の取消後犯罪事実につきあらたに重要な証拠を発見した場合に限り、同一事件について更に公訴を提起することができる。


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