新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1376、2012/11/21 12:38

【民事・クチコミサイトの違法性判断・大阪地裁平成23年3月24日不正競争行為差止請求等事件判決】

質問:私は飲食店を経営していますが、インターネットの「クチコミサイト」に悪評を書き込みされて困っています。実際に悪評が掲載されてから、店舗の売上が減少しています。クチコミサイトの運営会社に、クレームを出しましたが、返答がありません。法的に対処することはできないのでしょうか。

回答:

1、ご相談の件では、2つの法律問題が発生しています。1つは、悪評の書き込みをした人物と、あなたとの問題(不法行為による損害賠償請求、サイト管理者への削除の申し出に協力してもらう)。もうひとつは、クチコミサイト運営者と、あなたとの問題です(違法な書き込みを削除しないで放置することによる損害賠償請求、サイト管理者による違法な書き込みの削除)。

2、前者の「悪評の書き込みをした人物」とあなたの問題は、インターネットを媒介していますが、普通の顧客(または顧客になりすました人物)とあなたの問題と同じに考える事ができます。
普通の顧客が、あなたの飲食店を利用し、@事実に関する事項、A主観的評価に関する事項、を第三者に言いふらす(伝達する)行為は、あなたにとっては好ましくない行為かもしれませんが、@については事実に間違いが無ければ違法性を持つ可能性は低いですが、店に不利益が大きい事実に関しては検討の余地があります。Aについても、行為態様によりますが、社会通念上許容され得る批評については、違法性を持つ可能性は低いと言え、法律上は問題がないといえます。しかし、社会通念上の許される批評の範囲を超える場合、例えば「不味いので二度と行きません。他の人にも絶対に行かない事をお勧めします」というような営業妨害と言えるようなケースでは、差し止め請求が認められる可能性が高いと言えるでしょう。
 「顧客になりすました人物」が、事実無根の悪評を書き込みした場合は、民事上、不法行為(民法709条)又は不正競争防止法に基く差し止め請求が認められます。刑事事件としては、名誉毀損罪、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。あなたは、これら刑事事件の被害者として、所轄警察署・検察庁に刑事告訴をすることができます。勿論、早急に解決する方法としては相手方と示談交渉の上で和解して、書き込みを取り下げてもらうのがベストの方法です。サイト管理者は書き込みをした人から単独での削除請求には応じませんので、違法な書き込みで被害を被っている被害者と書き込みをした人とが共同で削除の要請をする必要があります。

3、後者の「くちこみサイト運営者」とあなたの問題は、悪評の記事がインターネット上に掲載されたことに基く、民法709条不法行為に基く損害賠償請求と、差止請求が問題となります。悪評の記事が虚偽であったり、営業妨害の意図があることについて、くちこみサイト運営者が削除しないで放置することに故意・過失があれば、法的な請求が認められるでしょう。

4、いずれの問題も、あなたの主張に法的根拠がある可能性が高いですが、ご本人による交渉ではこう着状態になる危険もあります。一度、弁護士にご相談なさると良いでしょう。

5、関連事例集1270番1229番1170番1169番1035番825番755番732番216番208番参照。

解説:

1、(問題点の指摘)
インターネットが普及し、ハードウェアとソフトウェアの技術革新により、様々なサービスが提供されるようになりました。単なる掲示板システムだけでなく、データベースソフトウェアを活用した、クチコミ情報提供サイトも増えてきています。飲食店や、ホテルや旅館や、結婚式場や、医院や、歯科医院や、理容室・美容室や、幼稚園や、学習塾や、習い事や、不動産や、商品・食品など、多種多様なクチコミサイトが運営されています。

クチコミサイトは、様々なクチコミ情報(匿名の書き込み)を一般消費者が検索できるようにプログラムされたウェブサイトですが、一般消費者にとっては対象となる店舗等の利用前に他の顧客による評判を知ることができる貴重な情報元となりますし、店舗等にとっても、自己の住所や電話番号やホームページURLや穏当な評判であればこれを掲載してもらうことは利益になります。サイト運営者にとっては、閲覧者(ページビュー)が増加すれば広告収入を期待することもできます。

しかし、ほとんどのクチコミサイトでは、マイナスの評価の記事であっても掲載されており、また、店舗等の評価を点数化してポイント順にランキング(ワーストランキング)が作成されることも多く、中には、「やらせ投稿」、「虚偽投稿」、「自社によるポジティブキャンペーン」、「他社によるネガティブキャンペーン」、「評価の売買や交換」が発生しているケースもあるようです。匿名掲示板と類似のシステムになっているので、真実に合致しない書き込みを排除することができません。営業妨害の目的で、近隣店舗の評価を故意に悪くするような書き込みをするケースもあるようです。当然、ランキングで上位に評価された店舗等にとっては利益になりますが、ランキングで下位の評価を受けてしまった店舗等にとっては、死活問題に関わる場合もあります。インターネットが普及する前にも書籍などでランキングを発表するケースもありましたが、ワーストランキングが出版されるケースはほとんどありませんでした。インターネットの普及により、自在にワースト検索やランキング表示できるようになってしまったのです。

クチコミ情報の削除はサイト運営者しかできませんから、まずは、サイト運営者を確認して特定の口コミ情報の削除を申し入れることになります。しかし、一部のクチコミサイト運営者は、クチコミ情報の件数を維持することにより、自社サイトのアクセス数を維持し、広告収入を維持したいと考え、真偽を確認できない悪評であっても、削除要請には一切応じない、という態度を取る場合もあるようです。また、クチコミ情報を気軽に送信出来るようにするため、匿名の書き込みを認めるサイトが多数を占めているようです。

そこで、サイト管理者があなたの削除請求に応じない場合は法律問題の検討が必要になります。ご相談の件では、2つの法律問題が発生しています。1つは、悪評の書き込みをした人物と、あなたとの問題。もうひとつは、クチコミサイト運営者と、あなたとの問題です。

2、(書き込みをした者との関係 不法行為 不正競争防止法)
前者の「悪評の書き込みをした人物」とあなたの問題は、インターネットを媒介していますが、普通の顧客(または顧客になりすました人物)とあなたの問題と同じに考える事ができます。

普通の顧客が、あなたの飲食店を利用し、@事実に関する事項、A主観的評価に関する事項、を第三者に言いふらす(伝達する)行為は、あなたにとっては好ましくない行為かもしれませんが、@については事実に間違いが無ければ違法性を持つ可能性は低いですが、店に不利益が大きい事実に関しては検討の余地があります。

例えば、ラーメンに髪の毛が入っていた、という場合はどうでしょう。どんなに注意をしても、ラーメンに髪の毛が入ることは防ぎきれないことでしょう。どのような職業でも、小さなミスや手違いが発生することは避けられません。この場合、サービスを提供した店舗側が謝罪し、顧客がこれを受け容れて、トラブルは終了するというのが原則だと思います。小さな迷惑を被った顧客は、帰宅し、夕食を採りながら家族に対して世間話として、不平不満を言うかもしれません。もしかしたら、電話で友人知人にも話すかもしれません。しかし、このことを紙に書いて、ビラを1万枚印刷して駅前で配ったりすることは通常しないと思います。これが、インターネット普及した現在では、くちこみサイトを利用することで、数分の書き込み行為(文字入力とマウスのクリック)により、同様の影響力を及ぼす行為が簡単に出来てしまうので問題となるのです。「人の噂も七十五日」と言いますが、口頭の伝達であれば次第に忘れ去られていくのに対し、くちこみサイトの書き込みは何年も情報が伝達され続けるという特性もあります。私見となりますが、事実に関する書き込みであっても、評価を下げるような書き込みが掲載されつづけることについては、民法709条不法行為が成立する可能性があると考えられます。相手方の連絡先が分かる場合は、相手方に連絡し、示談交渉する手段が考えられるでしょう。

なお、店舗にとって不利益な事実であっても、公共の利害に鑑みて事実を第三者に伝達することが必要であると判断される場合は、店舗に大きな不利益があったとしても違法性が無いと判断されますので、注意が必要です。これについては、名誉毀損罪における、公益を図る場合の免責規定が参考になりますので、条文を引用してみたいと思います。

刑法230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない。
第2項  前項の規定の適用については,公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は,公共の利害に関する事実とみなす。
第3項  前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には,事実の真否を判断し,真実であることの証明があったときは,これを罰しない。

他人の社会的評価を低下させるような事実を公表したとしても,マスコミの他,一般私人であっても,専ら公益を図る目的で行われた行為であれば,正当行為として違法性が阻却され,刑事処分の対象とはなりません(刑法230条の2第1項)。この論理は、不法行為に関する民事裁判でも同じ様に考慮されます。公益目的の正当な言論であると判断されれば、不利益な評価であっても、損害賠償請求や差止め請求は認められないということになります。

Aの主観的評価についても、行為態様によりますが、社会通念上許容され得る批評については、違法性を持つ可能性は低いと言えますが、例えば「不味いので二度と行きません。他の人にも絶対に行かない事をお勧めします」というような営業妨害と言えるようなケースでは、差し止め請求が認められる可能性が高いと言えるでしょう。この問題は、事実の存否に関するものではなく、評価の適否に関する問題となりますので、個別事案ごとのケースバイケースの検討が必要になります。お困りの場合は、書き込み内容を印刷などされた上で、弁護士の相談を受ける事をお勧めいたします。

「顧客になりすました人物」が、事実無根の悪評を書き込みした場合は、民事上、民法709条(不法行為)、又は不正競争防止法2条1項14号、同3条1項、に基く差し止め請求が認められます。刑事事件としては、名誉毀損罪(刑法230条)、業務妨害罪(刑法233条)が成立する可能性があります。あなたは、これら刑事事件の被害者として、所轄警察署・検察庁に刑事告訴をすることができます(刑事訴訟法230条)。勿論、相手方と示談交渉の上で和解して、書き込みを取り下げてもらうのがベストだと思います。
不正競争防止法
第2条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
第1項第14号 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
第3条(差止請求権) 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

3、(サイト運営者との関係)
後者の「くちこみサイト運営者」とあなたの問題は、悪評の記事がインターネット上に掲載されたことに基く、民法709条不法行為に基く損害賠償請求と、差止請求が問題となります。悪評の記事が虚偽であったり、営業妨害の意図があることについて、くちこみサイト運営者が削除せずに放置しておくことに故意・過失があれば、法的な請求が認められるでしょう。

不法行為の要件として、「保護法益の存在」「行為者の侵害行為」、「行為者の故意または過失を基礎づける事実」、「損害の発生および損害額の特定」、「行為と損害発生の因果関係」が必要とされています。そこで、この場合において、各項目について、検討してみたいと思います。

「保護法益の存在」・・・あなたが経営する事業が継続的に収入を計上している事実を主張立証すれば良いでしょう。

「行為者の侵害行為」・・・くちこみサイト運営者のサイトにおいて、あなたの事業に対する悪評の書き込みが掲載され、これが送信され続けている事実を主張立証すれば良いでしょう。実際の書き込みは書き込みをした人がするわけですが、サイトを管理していることで、書き込みを送信続けるのはサイト管理者ですから侵害行為が認められます。

「行為者の故意または過失を基礎づける事実」・・・この点、若干問題があります。何故なら、くちコミサイト運営者は、通常、くちコミサイトのソフトウェアを構築し、ウェブサイト上でクチコミの送信を受け付けてこれを自動的にデータベースに入力して、検索やランキング表示できるように設定はしているものの、個別具体的な悪評の書き込みについては、認識していないことが一般的だからです。そこで、通常は、損害賠償請求を行う前に、事前に、くちこみサイトの運営者に対して、具体的な悪評書き込みの記事を印刷したものを書留郵便で送付したり、記事のインターネットアドレス(URL)を記載した内容証明通知書を送付したりして送信停止を請求したにも関わらず、この削除要請に応じなかった、という事実を主張立証する必要があります。すくなくとも、削除要請があった時点でサイト管理者は違法な書き込みの存在に気がついていた、という主張になります。

「損害の発生および損害額の特定」・・・損害には、積極損害と消極損害があります。交通事故で車が破損して修理費が掛かった、怪我をして治療費が掛かったというのは積極損害ですが、通院のために仕事を休み収入が減少した、というのも消極損害(逸失利益)として判例上認められています。くちコミサイトによる損害としては、悪評によって、店舗等の収入が減少した、ということが損害となりますから、消極損害と言えます。実際に賠償請求できる損害額は、売上減少額に利益率を乗じた金額となります(大阪地裁平成23年3月24日不正競争行為差止請求等事件判決など)。積極損害については、車の修理費用の領収書とか、病院の治療費領収書など、明確に算定することが可能ですが、消極損害(逸失利益)の場合は、損失額を算定することに困難を生ずる場合があります。サラリーマンが交通事故で受傷し治療のために休業し、出勤しなかった日数に応じて減給されたということであれば比較的簡単に計算可能ですが、自営業者がクチコミサイトの悪評で減収したという場合は、本来の収入の見込み額を算定し、そこから実際の収入額までの減少額が損害額ということになります。本来の収入見込み額を算定することは困難ですが、裁判所では、不法行為前の売上高を基準とするケースが多いようです。

「行為と損害発生の因果関係」・・・悪評の書き込みがインターネットで配信されていることにより、収入が減少していることの因果関係を主張立証する必要があります。具体的には、悪評が掲載される前の売上高の推移と、悪評が掲載された後の売上高の推移の比較を主張していくことになるでしょう。

4、(まとめ)
上記いずれの問題も、あなたの主張に法的根拠がある可能性が高いですが、口コミサイトの悪評については、社会的影響は大きいにもかかわらず、未だ判例が確立しているとは言えないのが現状です。紙媒体による誹謗中傷とは異なり、インターネットによる情報配信では、書き込みする者も、サイト運営者も、影響の大きさを軽視する傾向があります。勿論、これらの人々は法律専門家ではないことの方が多いですから、発生している問題についての法的評価も理解しにくいことが多いでしょう。被害を受けておられるあなたの立場としては、大変に困っていると言う事を、証拠に基き、また、法的根拠に基き、粘り強く主張していく必要がありますが、ご本人による交渉ではこう着状態になる危険もあります。弁護士が内容証明郵便通知書を送付して法律関係を詳細に説明し交渉するところから、手続を開始すべきようにも思われます。一度、弁護士にご相談なさると良いでしょう。

<参考条文>

民法
第709条(不法行為による損害賠償) 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

不正競争防止法
(目的)
第一条  この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
一  他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。以下同じ。)として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為
二  自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し、又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供する行為
三  他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
四  窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)
五  その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
六  その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
七  営業秘密を保有する事業者(以下「保有者」という。)からその営業秘密を示された場合において、不正の利益を得る目的で、又はその保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用し、又は開示する行為
八  その営業秘密について不正開示行為(前号に規定する場合において同号に規定する目的でその営業秘密を開示する行為又は秘密を守る法律上の義務に違反してその営業秘密を開示する行為をいう。以下同じ。)であること若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
九  その取得した後にその営業秘密について不正開示行為があったこと若しくはその営業秘密について不正開示行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
十  営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)
十一  他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)
十二  不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為
十三  商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
十四  競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
十五  パリ条約(商標法 (昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号 に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法 条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為
2  この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項 に規定する商標をいう。
3  この法律において「標章」とは、商標法第二条第一項 に規定する標章をいう。
4  この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
5  この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
6  この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
7  この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像、音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
8  この法律において「プログラム」とは、電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。
9  この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。
10  この法律にいう「物」には、プログラムを含むものとする。
   第二章 差止請求、損害賠償等
(差止請求権)
第三条  不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2  不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
(損害賠償)
第四条  故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、第十五条の規定により同条に規定する権利が消滅した後にその営業秘密を使用する行為によって生じた損害については、この限りでない。
(損害の額の推定等)
第五条  第二条第一項第一号から第九号まで又は第十五号に掲げる不正競争(同項第四号から第九号までに掲げるものにあっては、技術上の秘密(秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないものをいう。)に関するものに限る。)によって営業上の利益を侵害された者(以下この項において「被侵害者」という。)が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、その譲渡した物の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、被侵害者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、被侵害者の当該物に係る販売その他の行為を行う能力に応じた額を超えない限度において、被侵害者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を被侵害者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。
2  不正競争によって営業上の利益を侵害された者が故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する。
3  第二条第一項第一号から第九号まで、第十二号又は第十五号に掲げる不正競争によって営業上の利益を侵害された者は、故意又は過失により自己の営業上の利益を侵害した者に対し、次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
一  第二条第一項第一号又は第二号に掲げる不正競争 当該侵害に係る商品等表示の使用
二  第二条第一項第三号に掲げる不正競争 当該侵害に係る商品の形態の使用
三  第二条第一項第四号から第九号までに掲げる不正競争 当該侵害に係る営業秘密の使用
四  第二条第一項第十二号に掲げる不正競争 当該侵害に係るドメイン名の使用
五  第二条第一項第十五号に掲げる不正競争 当該侵害に係る商標の使用
4  前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、その営業上の利益を侵害した者に故意又は重大な過失がなかったときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。
(具体的態様の明示義務)
第六条  不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟において、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがあると主張する者が侵害の行為を組成したものとして主張する物又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。

※参考判例(抜粋)
大阪地方裁判所平成23年3月24日不正競争行為差止等請求事件判決

「本件各告知行為は,AあるいはBに対してされたものではないが,上記認定の事実によれば,Bは本件告知行為の情報を得た上で,Aに対して特許権侵害の係争があることを理由に発注を控える旨伝えていること,その結果,AのBに対する売上げが減少し,そのため原告のAに対する1か月当たりの売上げも,本件各告知行為がなされた平成20年5月分を境に明らかに減少するばかりか,返品さえ発生しているというのであるから,以上の事実関係によれば,原告のAに対する売上金額が減少した原因は,本件各告知行為がされたことにあると優に認めることができる。
 そして,本件各告知行為のような書面を,その製造業者の取引先である卸売会社に対して送付した場合,書面に記載された事実が業界内に伝播し,その結果,取引を差し控える取引先が増加して,告知者が直接告知した以外の取引先との関係でも影響が生じることは通常予見可能な事実であると認められるから,被告のした本件各告知行為と原告のAに対する売上減少との間には因果関係を認めることができ,被告は,その結果原告に生じた損害を賠償する責任を免れないというべきである。
ウ ところで原告と豊産業との取引実績については,前記ア(エ)で認定したとおり,平成20年2月から同5月までの4か月間の売上金額合計が934万4489円,同期間の1か月当たりの平均売上金額は233万6122円であったのに,本件各告知行為後である同年6月から同年12月までの7か月間の売上金額合計は414万3593円,同期間の1か月当たりの平均売上金額は59万1941円にとどまっていたものと認められる。 以上の事実に加え,上記認定のとおり,本件各告知行為がされなければ,原告商品は,CとDが経営統合して設立されたBからドラッグストアEに卸売されて,より販路が拡大した可能性もあることが認められるから,少なくとも本件各告知行為前の4か月の平均的売上げは,その後の7か月間も維持できたものと推認できる。
エ したがって,本件各告知行為の結果もたらされた原告のAに対する売上減少額は,平成20年5月までの一か月当たりの平均売上金額233万6122円と同年6月から同年12月までの間の1か月当たりの平均売上金額59万1941円との差額174万4181円に7か月を乗じた1220万円9267円と認められる。
オ また,原告商品の利益率が30%を下らないことは上記(1)エのとおりであるから,原告のAとの取引における逸失利益は,上記認定の売上減少額1220万9267円に原告商品の利益率30%を乗じて得られる366万2780円であると認められる。」

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