新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1352、2012/10/9 10:57 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

【刑事・仮釈放の手続・要件・手続き・具体的方法】

質問:私は,傷害罪で懲役2年の実刑判決を受け,近々この判決が確定するため,刑務所に収監されます。刑期が満了する前に刑務所から出てくることができる仮釈放という手続があることを知りましたが,どのような手続なのでしょうか。

回答:
1 まず,仮釈放とは,懲役又は禁固の執行を受けている者に改悛の状があるときに,刑期満了前における一定の時期に条件付きで釈放する制度のことをいいます。
2 この仮釈放については,刑法第28条に規定されており,仮釈放が認められるためには,本件事例のような有期刑の懲役の場合を前提とすると,@刑期の3分の1を経過していること,A受刑者に改悛の状が認められること,という2つの要件が必要ということになります。
  したがって,今回仮釈放が認められるためには,まず,刑期の3分の1である8か月が経過することが必要となります。
3 次に,仮釈放が認められるためには,受刑者に「改悛の状」が認められなければなりません。この改悛の状という要件は抽象的な要件となっていますが,犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則第28条がより具体的に規定しています。
  同規則第28条には,「(更生保護)法第39条第1項に規定する仮釈放を許す処分は,懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再び犯罪をするおそれがなく,かつ,保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。ただし,社会の感情がこれを是認すると認められないときは,この限りでない」と規定されています。
  したがって,「改悛の状がある」と認められるためには,@悔悟の情及び改善更生の意欲があること,A再び犯罪をするおそれがないこと,B保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるとき,C社会の感情がこれを是認すると認められること,という4つの要件を満たす必要があることになります。
  そこで,本事例において,あなたの仮釈放が認められるためには,上記@からCまでの要件が認められることを積極的に示し,更生保護委員会が仮釈放を許可する決定に踏み切るだけの判断材料を収集する必要があります。
4 受刑中には,外部との連絡の手段も限定されているため,受刑者が自ら上記判断資料を収集することには相当の困難を伴うことが通常ですので,弁護士に相談し,上記要件を満たすための資料収集を早期に開始することをお勧めします。

解説:
1 (仮釈放の意義)
  仮釈放とは,懲役又は禁固の執行を受けている者に改悛の状があるときに,刑期満了前における一定の時期に条件付きで釈放する制度のことをいいます。そして,この仮釈放という制度が定められている趣旨は,無用の拘禁を避けるとともに受刑者に将来の希望を与えてその改善を促し,併せて刑期満了後における社会復帰を容易にさせる刑事政策的目的から定められたものであり,受刑者の改善更生を目的とした刑の執行の一形態であると考えられています。
  仮釈放の制度は上記のとおりですが,仮釈放の実態には,再犯のおそれがなく,更生意欲が強く認められるために仮釈放を許す場合と,満期釈放よりは円滑な社会復帰が期待でき,再犯の可能性を低下させることができると期待して仮釈放を許可する場合の2通りがあるとの指摘がなされています。

2 (仮釈放の要件)
(1)総論
   刑法第28条によると,「懲役又は禁固に処せられた者に改悛の状があるときは,有期刑についてはその刑期の3分の1を,無期刑については10年を経過した後,行政官庁の処分によって仮に釈放することができる」と定められています。
   したがって,有期刑の場合を前提とすると,仮釈放が認められるための要件は,@刑期の3分の1を経過していること,A受刑者に改悛の状が認められること,という2つの要件が必要ということになります。

(2)「改悛の状」があるとき
   「改悛の状があるとき」については,犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則第28条がより具体的に規定しています。
   同規則第28条には,「法第39条第1項に規定する仮釈放を許す処分は,懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再び犯罪をするおそれがなく,かつ,保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。ただし,社会の感情がこれを是認すると認められないときは,この限りでない」と規定されています。
   したがって,「改悛の状がある」と認められるためには,@悔悟の情及び改善更生の意欲があること(被害弁償すなわち被害者側との示談は不可欠です),A再び犯罪をするおそれがないこと(家族の保証人,弁護人の保証書等),B保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるとき,C社会の感情がこれを是認すると認められること(例えば被害者の感情が重要になりますから,刑事事件で和解ができていないようであれば刑事裁判が終了していても上申書を取得のため再交渉を試みる必要があります。),という4つの要件を満たす必要があることになります。

3 (仮釈放の手続)
(1)身上調査書の送付
   まず,受刑者が刑事施設に収容され,服役が開始すると,受刑者の身上調書が作成され,当該身上調査書が地方更生保護委員会及び保護観察所に対して送付されます(犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則7条)。

(2)環境調整報告
   次に,受刑者の帰住予定地を管轄する保護観察所では,刑事施設から受刑者の身上調査書の送付を受けた後,保護観察官又は保護司が引受人と面接する等して,帰住予定地の状況を確かめ,住居,就労先等の生活環境を整えて改善更生に適した環境づくりを働きかけるという生活環境の調整が行われる。そして,その結果については,地方更生保護委員会及び保護観察所に報告されます。

(3)保護観察官による調査
   その後,地方更生保護委員会の保護観察官により,仮釈放の審理の準備のため,受刑者の面接,関係人に対する質問その他の方法による調査が行われます(更生保護法36条1項)。

(4)仮釈放審理の開始
   仮釈放を許す決定は,3人の委員による合議制の機関である地方更生保護委員会の審議により行われます(更生保護法16条1項)。
   そして,上記仮釈放の審理の契機となるものは,@刑事施設(刑務所,少年刑務所及び拘置所を総称して「刑事施設」といいます。刑務所は,社会復帰促進センターと呼ばれる施設もあります。その他医療刑務所,交通刑務所があります。刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律3条)の長からの申出による審理の開始(更生保護法34条1項),A地方委員会が必要と認めるときに職権で行う場合(更生保護法35条)の2つが法令上規定されており,受刑者本人からの仮釈放の申出は認められていません。仮釈放の審理が開始されると,委員による調査が行われ(更生保護法25条1項),3人の委員による合議により仮釈放を許すか否かの判断,特別遵守事項等の検討がなされることになります。仮釈放許可の基準については,前述のように,刑法28条及びこれを具体化した犯罪を犯した者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則28条に規定されており,有期刑については刑期の3分の1,無期刑は10年を経過していること及び悔悟の情及び更生の意欲があること,再び犯罪をするおそれがないこと,保護観察に付することが改善更生のために相当であること,社会の感情が仮釈放を是認すると認められないときではないこと,という要件を満たす必要があります。

(5)仮釈放許可決定
   地方更生保護委員会の審理により,受刑者に対して仮釈放を許す決定が出た場合には,地方更生保護委員会は,仮釈放許可決定を刑務所長及び保護観察所に通知します。そして,仮釈放指定日に,受刑者が刑務所から仮釈放され,刑期満了まで保護観察に付されることになります(更生保護法40条)。なお,仮釈放された者が,法定遵守事項(更生保護法50条,51条)による居住すべき住居に居住しないため,保護観察を行うことができなくなったときは,決定をもって保護観察を停止することができる(更生保護法75)。そして,保護観察が停止されると,刑期の進行も停止する(更生保護法77条7項)。
   これに対して,地方更生保護委員会の審理により,受刑者に対して仮釈放を認めない旨の決定が出た場合には,受刑者は引き続き服役することになります。但し,当事者は,決定に対して60日以内に審査請求(更生保護法92条以下)を申し立てることもできます。

4 (必要となる活動・・・仮釈放の上申書)
  上記3で説明したように,仮釈放の許可決定は,地方更生保護委員会の審理により行われます。そして,この地方更生保護委員会の審理の開始の契機となるのは,刑事施設の長からの申出による審理の開始と地方委員会が必要と認めるときに職権で行う場合の2つですから,刑事施設の長又は地方更生保護委員会に対して,上記4つの要件を満たすことを意見書,上申書で示していく必要があります。仮釈放の上申書は,弁護士が依頼を受けて作成し,地方更生保護委員会に提出することもできます。刑期の3分の1経過は,仮釈放する時点で必要となる条件ですので,上申書を提出するのは,刑期の3分の1経過する前であっても構いません。上申書提出後に,新たに有利な事情を生じた場合は,適宜,上申書を追加することができます。弁護士として注意すべき点は,仮釈放の審理は,刑事事件が確定した後の刑事施設における受刑者の更生処遇という行政行為であって,刑事訴訟法が適用され対審構造を有する刑事手続きとは根本的に考え方が異なることを理解することです。行政裁量の発動を促す,という態度が必要です。更生保護委員会がスムーズに審理できるように,丁寧に資料を収集し,詳細に説明していく必要があります。

  仮釈放の上申書では,
@犯罪又は非行の内容,動機及び原因並びにこれらについての受刑者の認識及び心情,
A被害者等の状況,
B受刑者の性格,経歴,心身の状況,家庭環境及び交友関係,
C矯正施設における処遇の経過及び受刑者の生活態度,
D帰住予定地の生活環境,
E受刑者に係る引受人の状況,
F釈放後の生活の計画を踏まえて,受刑者に改悛の状があることを積極的にアピールする必要があります(犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則17条,18条)。
  具体的には,確定した判決を再度見直し,犯罪の内容や原因を振り返るとともに,被害者に対して慰謝の措置が講じられているかを再度検討することが必要となります。また,受刑者のこれまでの生活環境を見直し,その身辺環境を整え,保釈後の更生に向けた準備を整える必要があります。
  しかし,受刑者は,刑務所に収監されており,外部との連絡が制限されている等,上記活動を行うためには種々の制約があります。そこで,弁護士や親族等と協力し,上記活動を自らが積極的に行う必要があります。
  なお,仮釈放の統計については,http://www.moj.go.jp/content/000010016.pdfをご参照ください。仮釈放率は5割を超えており,しかも仮釈放を認めるか否かの審理が開始された事例では,棄却率が2.6%であることからほとんどの事例で仮釈放が認められています。したがって,仮釈放が認められるためには,仮釈放の審理を開始するまでの活動が重要となるといえます。

【参照条文】

<刑法>
(仮釈放)
第二十八条  懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは,有期刑についてはその刑期の三分の一を,無期刑については十年を経過した後,行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。

<更生保護法>
第一章 総則
    第一節 目的等
(目的)
第一条  この法律は,犯罪をした者及び非行のある少年に対し,社会内において適切な処遇を行うことにより,再び犯罪をすることを防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者が善良な社会の一員として自立し,改善更生することを助けるとともに,恩赦の適正な運用を図るほか,犯罪予防の活動の促進等を行い,もって,社会を保護し,個人及び公共の福祉を増進することを目的とする。
第三節 地方更生保護委員会
(所掌事務)
第十六条  地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という。)は,次に掲げる事務をつかさどる。
一  刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二十八条 の行政官庁として,仮釈放を許し,又はその処分を取り消すこと。
二  刑法第三十条 の行政官庁として,仮出場を許すこと。
三  少年院からの仮退院又は退院を許すこと。
四  少年院からの仮退院中の者について,少年院に戻して収容する旨の決定の申請をすること。
五  少年法 (昭和二十三年法律第百六十八号)第五十二条第一項 及び第二項 の規定により言い渡された刑(以下「不定期刑」という。)について,その執行を受け終わったものとする処分をすること。
六  刑法第二十五条の二第二項 の行政官庁として,保護観察を仮に解除し,又はその処分を取り消すこと。
七  婦人補導院からの仮退院を許し,又はその処分を取り消すこと。
八  保護観察所の事務を監督すること。
九  前各号に掲げるもののほか,この法律又は他の法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。
(地方委員会の組織)
第十七条  地方委員会は,三人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。
(法定期間経過の通告)
第三十三条  刑事施設の長又は少年院の長は,懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について,刑法第二十八条 又は少年法第五十八条第一項 に規定する期間が経過したときは,その旨を地方委員会に通告しなければならない。
(仮釈放及び仮出場の申出)
第三十四条  刑事施設の長又は少年院の長は,懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について,前条の期間が経過し,かつ,法務省令で定める基準に該当すると認めるときは,地方委員会に対し,仮釈放を許すべき旨の申出をしなければならない。
2  刑事施設の長は,拘留の刑の執行のため収容している者又は労役場に留置している者について,法務省令で定める基準に該当すると認めるときは,地方委員会に対し,仮出場を許すべき旨の申出をしなければならない。
(申出によらない審理の開始等)
第三十五条  地方委員会は,前条の申出がない場合であっても,必要があると認めるときは,仮釈放又は仮出場を許すか否かに関する審理を開始することができる。
2  地方委員会は,前項の規定により審理を開始するに当たっては,あらかじめ,審理の対象となるべき者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には,当該労役場が附置された刑事施設)の長又は少年院の長の意見を聴かなければならない。
第三十六条  地方委員会は,前条第一項の規定により審理を開始するか否かを判断するため必要があると認めるときは,審理の対象となるべき者との面接,関係人に対する質問その他の方法により,調査を行うことができる。
2  前項の調査を行うに当たっては,審理の対象となるべき者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には,当該労役場が附置された刑事施設)又は少年院の職員から参考となる事項について聴取し,及びこれらの者に面接への立会いその他の協力を求めることができる。
3  第十三条及び第二十五条第二項の規定は,第一項の調査について準用する。この場合において,第十三条中「,地方更生保護委員会及び保護観察所の長」とあるのは,「及び保護観察所の長」と読み替えるものとする。
(仮釈放の審理における委員による面接等)
第三十七条  地方委員会は,仮釈放を許すか否かに関する審理においては,その構成員である委員をして,審理対象者と面接させなければならない。ただし,その者の重い疾病若しくは傷害により面接を行うことが困難であると認められるとき又は法務省令で定める場合であって面接の必要がないと認められるときは,この限りでない。
2  地方委員会は,仮釈放を許すか否かに関する審理において必要があると認めるときは,審理対象者について,保護観察所の長に対し,事項を定めて,第八十二条の規定による生活環境の調整を行うことを求めることができる。
3  前条第二項の規定は,仮釈放を許すか否かに関する審理における調査について準用する。
(被害者等の意見等の聴取)
第三十八条  地方委員会は,仮釈放を許すか否かに関する審理を行うに当たり,法務省令で定めるところにより,被害者等(審理対象者が刑を言い渡される理由となった犯罪により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。次項において同じ。)から,審理対象者の仮釈放に関する意見及び被害に関する心情(以下この条において「意見等」という。)を述べたい旨の申出があったときは,当該意見等を聴取するものとする。ただし,当該被害に係る事件の性質,審理の状況その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは,この限りでない。
2  地方委員会は,被害者等の居住地を管轄する保護観察所の長に対し,前項の申出の受理に関する事務及び同項の意見等の聴取を円滑に実施するための事務を嘱託することができる。
(仮釈放及び仮出場を許す処分)
第三十九条  刑法第二十八条 の規定による仮釈放を許す処分及び同法第三十条 の規定による仮出場を許す処分は,地方委員会の決定をもってするものとする。
2  地方委員会は,仮釈放又は仮出場を許す処分をするに当たっては,釈放すべき日を定めなければならない。
3  地方委員会は,仮釈放を許す処分をするに当たっては,第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定める場合その他特別の事情がある場合を除き,第八十二条の規定による住居の調整の結果に基づき,仮釈放を許される者が居住すべき住居を特定するものとする。
4  地方委員会は,第一項の決定をした場合において,当該決定を受けた者について,その釈放までの間に,刑事施設の規律及び秩序を害する行為をしたこと,予定されていた釈放後の住居,就業先その他の生活環境に著しい変化が生じたことその他その釈放が相当でないと認められる特別の事情が生じたと認めるときは,仮釈放又は仮出場を許すか否かに関する審理を再開しなければならない。この場合においては,当該決定は,その効力を失う。
5  第三十六条の規定は,前項の規定による審理の再開に係る判断について準用する。 (仮釈放中の保護観察)
第四十条  仮釈放を許された者は,仮釈放の期間中,保護観察に付する。

<犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則>
(身上関係事項の通知等)
第七条  刑事施設の長又は少年院の長は,懲役若しくは禁錮の刑に処せられた者又は少年法 (昭和二十三年法律第百六十八号)第二十四条第一項第三号 の保護処分を受けた者を収容したときは,速やかに,当該刑事施設又は少年院の所在地を管轄する地方委員会及び刑事施設又は少年院に収容された者(以下「刑事施設等被収容者」という。)に係る帰住予定地(刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者,労役場に留置されている者,保護処分の執行のため少年院に収容されている者又は補導処分の執行のため婦人補導院に収容されている者が釈放された後に居住する予定の住居の所在地をいう。以下同じ。)を管轄する保護観察所の長に対し,書面により,次に掲げる事項を通知しなければならない。これらの事項に変動が生じた場合における当該変動に係る事項についても,同様とする。
一  刑事施設等被収容者の氏名,生年月日及び本籍
二  懲役又は禁錮の刑に処せられた者についてはその刑の言渡しをした裁判所の名称,言渡し及び確定の年月日並びに罪名,刑名及び刑期,少年法第二十四条第一項第三号 の保護処分を受けた者についてはその保護処分をした家庭裁判所の名称,その年月日及び非行名
三  懲役又は禁錮の刑に処せられた者については収容した日,刑期の起算日及び終了日並びに刑法 (明治四十年法律第四十五号)第二十八条 又は少年法第五十八条第一項 に規定する期間(以下「法定期間」という。)の末日,少年法第二十四条第一項第三号 の保護処分を受けた者については収容した日及び収容すべき期間の終了日
四  犯罪又は非行の概要,動機及び原因
五  共犯者の状況
六  被害者等の状況
七  生活歴
八  心身の状況
九  懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設に収容された者については刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 (平成十七年法律第五十号)第百三条 の規定による指導(以下「改善指導」という。)の区分,懲役若しくは禁錮の刑又は保護処分の執行のため少年院に収容された者については少年院処遇規則 (昭和二十四年法務府令第六十号)第十三条第一項 に規定する矯正に関する計画
十  帰住予定地
十一  刑事施設等被収容者に係る引受人(刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者,労役場に留置されている者,保護処分の執行のため少年院に収容されている者又は補導処分の執行のため婦人補導院に収容されている者が釈放された後にその者と同居するなどしてその生活の状況に配慮し,その者の改善更生のために特に協力する者をいう。以下同じ。)の状況
十二  釈放後の生活の計画
十三  その他参考となる事項
2  前項の場合において,更生保護事業法 (平成七年法律第八十六号)第二条第七項 に規定する更生保護施設その他の施設を帰住予定地とする刑事施設等被収容者については,その理由,家族の状況その他必要な事項を併せて通知しなければならない。
3  地方委員会は,拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者又は労役場に留置されている者について,必要があると認めるときは,その者を収容し,又は留置している刑事施設の長に対し,次に掲げる事項を記載した書面の提出を求めることができる。
一  拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者又は労役場に留置されている者の氏名,生年月日及び本籍
二  拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者についてはその刑の言渡しをした裁判所の名称,言渡し及び確定の年月日並びに罪名,刑名及び刑期,労役場に留置されている者については罰金の言渡しをした裁判所の名称,言渡し及び確定の年月日並びに罪名,刑名及び罰金の額
三  拘留の刑の執行のため刑事施設に収容されている者については刑期の起算日及び終了日,労役場に留置されている者については留置した日,留置すべき期間及びその終了日四  犯罪の概要
五  心身の状況
六  その他参考となる事項
4  刑事施設の長は,前項に規定する書面を提出した場合において,当該書面に記載した事項に変動が生じたときは,速やかに,当該刑事施設の所在地を管轄する地方委員会に対し,書面により,当該変動に係る事項を通知しなければならない。
5  婦人補導院の長は,補導処分に付された者を収容したときは,速やかに,当該婦人補導院の所在地を管轄する地方委員会に対し,書面により,売春防止法第二十五条第二項 の規定による通告をするとともに,当該地方委員会及び婦人補導院に収容された者の帰住予定地を管轄する保護観察所の長に対し,次に掲げる事項を通知しなければならない。これらの事項に変動が生じた場合における当該変動に係る事項についても,同様とする。一  婦人補導院に収容された者の氏名,生年月日及び本籍
二  売春防止法第十七条第一項 の規定により補導処分に付する旨の言渡しをした裁判所の名称,刑の言渡し及び確定の年月日,罪名,刑名,刑期並びに刑の執行猶予の期間
三  収容した日及び収容すべき期間の終了日
四  婦人補導院に収容された者に係る引受人の状況
五  婦人補導院における処遇の状況
六  第一項第四号,第五号,第七号,第八号,第十号,第十二号及び第十三号に掲げる事項
(仮釈放及び仮出場の申出の基準)
第十二条  刑事施設の長又は少年院の長は,懲役又は禁錮の刑の執行のため収容している者について,第二十八条に定める基準に該当すると認めるときは,法第三十四条第一項 の規定による申出をするものとする。
2  刑事施設の長は,拘留の刑の執行のため収容している者又は労役場に留置している者について,第二十九条に定める基準に該当すると認めるときは,法第三十四条第二項 の規定による申出をするものとする。
(仮釈放等の審理開始の判断のための調査)
第十七条  法第三十六条第一項 (法第四十二条 及び売春防止法第二十五条第四項 において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による調査は,次条各号に掲げる事項について行うものとする。
2  地方委員会は,法第三十六条第一項 の規定による調査においては,その対象となる者に対し,釈放後の生活の計画その他の仮釈放等の審理を開始するか否かを判断するために必要な事項を記載した書面の提出を求めることができる。
(仮釈放等の審理における調査事項)
第十八条  仮釈放等を許すか否かに関する審理は,次に掲げる事項を調査して行うものとする。
一  犯罪又は非行の内容,動機及び原因並びにこれらについての審理対象者の認識及び心情
二  共犯者の状況
三  被害者等の状況
四  審理対象者の性格,経歴,心身の状況,家庭環境及び交友関係
五  矯正施設における処遇の経過及び審理対象者の生活態度
六  帰住予定地の生活環境
七  審理対象者に係る引受人の状況
八  釈放後の生活の計画
九  その他審理のために必要な事項
(仮釈放許可の基準)
第二十八条  法第三十九条第一項 に規定する仮釈放を許す処分は,懲役又は禁錮の刑の執行のため刑事施設又は少年院に収容されている者について,悔悟の情及び改善更生の意欲があり,再び犯罪をするおそれがなく,かつ,保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。ただし,社会の感情がこれを是認すると認められないときは,この限りでない。
第七章 審査請求等
    第一節 行政手続法 の適用除外
第九十一条  この法律の規定による処分及び行政指導については,行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二章 から第四章 までの規定は,適用しない。
    第二節 審査請求
(審査請求)
第九十二条  この法律の規定により地方委員会が決定をもってした処分に不服がある者は,審査会に対し,行政不服審査法 による審査請求をすることができる。
(審査請求書の提出)
第九十三条  刑事施設に収容され,若しくは労役場に留置されている者又は少年院に収容されている者の審査請求は,審査請求書を当該刑事施設(労役場に留置されている場合には,当該労役場が附置された刑事施設。以下この条において同じ。)の長又は少年院の長に提出してすることができる。
2  刑事施設の長又は少年院の長は,前項の規定により審査請求書の提出を受けたときは,直ちに,審査請求書の正本を審査会に,副本を地方委員会に送付しなければならない。
3  第一項の場合における行政不服審査法第十四条 の規定による審査請求の期間の計算については,刑事施設の長又は少年院の長に審査請求書を提出した時に審査請求があったものとみなす。
(執行停止)
第九十四条  審査会に対する審査請求に関する行政不服審査法第三十四条第三項 の規定の適用については,同項 本文中「,処分庁の意見を聴取したうえ」とあるのは「又は職権で」と,同項 ただし書中「処分の効力,処分の執行又は手続の続行」とあるのは「処分の執行」とする。
(裁決をすべき期間)
第九十五条  審査会は,審査請求を受理した日から六十日以内に裁決をしなければならない。
(審査請求と訴訟との関係)
第九十六条  この法律の規定により地方委員会が決定をもってした処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ,提起することができない。

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
第二章 刑事施設
(刑事施設)
第三条  刑事施設は,次に掲げる者を収容し,これらの者に対し必要な処遇を行う施設とする。
一  懲役,禁錮又は拘留の刑の執行のため拘置される者
二  刑事訴訟法 の規定により,逮捕された者であって,留置されるもの
三  刑事訴訟法 の規定により勾留される者
四  死刑の言渡しを受けて拘置される者
五  前各号に掲げる者のほか,法令の規定により刑事施設に収容すべきこととされる者及び収容することができることとされる者

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