新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1341、2012/9/19 12:42 https://www.shinginza.com/qa-sarakin.htm

【民事・債権回収・債務者が破産免責を受けたと主張しているが破産手続開始決定が送られてきた覚えがない場合の反論・破産免責の例外・東京地裁平成14年2月27日判決・東京地裁平成15年6月24日判決】

≪質問≫
 貸金返還請求訴訟を起こしたところ,被告(借主)が答弁書を出して,「●年●月●日,●●地方裁判所の免責許可決定が確定している。」との反論をしてきました。私としては寝耳に水のことですが,これに対しては「原告(私)を債権者一覧表に記載したかどうかは忘れた。資料も残っていない。」などと書かれています。再反論の方法はないでしょうか。

≪回答≫
1.被告が破産をした際,債権者一覧表にあなたを債権者としてわざと記載しなかったか,または,忘れていて記載しなかったことに過失が認められる場合は,たとえ免責許可決定を受けていたとしても,あなたの債権はその免責の効果が及ばない債権だという再抗弁が可能です(なお,抗弁というのは,相手方の主張する事実を認めた上で,相手方の主張する法的効果発生を妨げる新たな事実を主張することです。今回は,あなたが主張する貸金債権の請求原因事実→相手方の,貸金債務はあったが,破産免責により消滅しているという抗弁→あなたの,貸金債権があり,債務者が破産手続きをしたのも事実だが,債権者一覧表への記載が無かったので破産法上の非免責債権であるという再抗弁,という訴訟法上の構成になります。)。
2.そこで,まずは,裁判所で破産事件の事件記録を閲覧し,債権者一覧表にあなたが載っていないことを確認してください。確認できたときは,その債権者一覧表を謄写してください。
3.次に,あなたが債権者として被告に対してこれまでどのような支払の催告をしてきたかをよく思い出してください。請求書や督促状の控えがないかもご確認ください。被告債務者からどのような対応があったかも調査する必要があります。
4.被告が今も無資力で回収の期待ができないという場合もありますが,今のうちに今後訴訟追行や勝訴後の執行について弁護士に相談することをご検討ください。
5.債務者側からの相談事例として当事務所事例集1218番参照。他関連事例集論文1282番1146番1068番1020番938番843番841番804番802番717番562番515番510番463番455番426番374番323番322番226番65番34番9番参照。

≪解説≫

【破産,免責の制度趣旨の説明】
 解釈の手がかりとなる破産免責制度の趣旨をご説明します。 
 破産(免責)とは,支払不能等により自分の財産,信用では総債権者に対して約束に従った弁済ができなくなった債務者の財産(又は相続財産)に関する清算手続きおよび免責手続きをいいますが(破産法2条1項),その目的は,債務者(破産者)の早期の経済的再起更生と債権者に対する残余財産の公正,平等,迅速な弁済の2つです。その目的を実現するため手続きは適正,公平,迅速,低廉に行う必要があります(破産法1条)。
 なぜ破産,免責手続きがあるのかといえば,自由で公正な社会経済秩序を建設し,個人の尊厳保障のためです(法の支配の理念,憲法13条)。我が国は,自由主義経済体制をとり自由競争を基本としていますから正当な取引行為を行っていても構造的に勝者,敗者が生まれ,その差は資本,財力の集中拡大とともに大きくなり恒常的不公正,不平等状態が出現する可能性を常に有しています。しかし,本来自由主義体制の原点,真の目的は,自由競争による公正公平な社会秩序建設に基づく個人の尊厳保障(法の支配の理念)にありますから,その手段である自由主義体制(法的には私的自治の原則)に内在する公平公正平等,信義誠実,権利濫用の原則(民法1条)が直ちに発動され,不平等状態は解消一掃されなければなりません。

 そこで,法は,なるべく早く債務者が再度自由競争に復帰参加できるように従来の債務を減額,解消,整理する権利を国民(法人)に認めています。したがって,債務整理を求める権利は法が認めた単なる恩恵ではなく,国民が経済的に個人の尊厳を守るために保持する当然の権利です。その権利内容は,債務者がその経済状態により再起更生しやすいように種々の制度が用意されているのです。
 大きく分けると債務者の財産をすべて一旦清算し,残余財産を分配してゼロからスタートする破産 (清算方式の内整理)と,従来の財産を解体分配せずに,従来の財産を利用して再起を図る再生型(再起型内整理,特定調停,民事再生,会社更生法)に分かれます。唯,債権の減縮,免除が安易に行われると契約は守られなければならないという自由主義経済(私的自治の原則)の根底が崩れる危険があり,債務者の残余財産の確保,管理,分配(破産財団の充実)は厳格,公正,平等,迅速,低廉に行われます。従って,破産の目的を実現するため破産法上特別な規定を用意しています。
 破産手続開始決定(破産法30条)があった後は,裁判所は破産者が提出する債権者一覧表(これが通常債権者名簿となる。法20条2項)に基づき破産債権を調査し(破産法116条),破産管財人が破産財団を調査し(破産法83条),これを金銭に換価し(破産法184条),配当表(破産法196条)に従って債権者に分配していくというのが手続の原則になります。
 破産債権者としては,債権者集会(破産法135条)に参加し,裁判所が作成する債権者一覧表に異議を出し,破産管財人が作成する破産財団の財産目録や,配当表に記載された債権額などについて異議を述べていくことができます。さらに債権者名簿(法248条3項)に記載された債権者は,免責手続きでもその内容について免責対象外であるとの意見を申し立てる権利を有します(法251条1項)。しかし,債権者一覧表,債権者名簿に記載されなかった債権者は以上のような権利を事実上行使することができず適正,公平な弁済を受ける機会を失うという著しい不利益を蒙ることになります。そこで,破産法の趣旨から破産者の過失により債権者名簿に記載漏れが生じても故意に記載しなかった場合と同様に(法253条1項7号)免責されないかどうかを考えることになります。

【免責許可の効力】
 免責許可決定が確定すると,破産者は,破産手続による配当を除いて,破産債権についての責任を免れることになります(破産法253条1項本文)。責任を免れるという免責の効果の意味については,責任は消滅するが債務そのものは消滅せず自然債務として残るという考えが一般的です。自然債務となると,債務者が任意に履行すればその給付を受け取ることはできますが,法的手段により請求することはできなくなります。そのため,免責された債権については,債権者は訴訟を提起することができなくなるのです。

【免責の許可と不許可】
 本件で主張すべきは,あなたの債権が非免責債権にあたることですが,これと似ているものの違う概念として免責不許可について触れましょう。
 裁判所による免責を認める旨の判断を免責許可決定,免責を認めない旨の判断を免責不許可決定といいます。免責が認められるかどうかについて,破産法は,「免責不許可事由」が認められる例外的な場合を除いて,原則として免責を許可するという建付けになっています。
 免責不許可事由の具体的な内容については本稿では踏み込みませんが,分かりやすい例としては,浪費や賭博などのために過大の借入れをしたというような場合があります(破産法252条1項4号)。
 免責許可申立事件(個人の自己破産申立事件については,申立時に反対の意思表示がない限り,免責許可申立もセットでしたとみなされるので,事実上は,自己破産申立事件と一体と考えて差し支えありません。法248条4項)においては,裁判所が破産者の免責を許可するかどうかを審査する機会として,免責審尋期日が開かれます。
 破産手続上の債権者は,この免責期日において,破産者の免責について意見を述べることができます。破産債権者の述べる意見の典型的なものとしては,「破産法252条1項各号に掲げられている免責不許可事由があるから,免責を認めるべきでない。」というものがあります。
 本件では,免責許可決定が出ているとのことですので,前述の免責許可の効力が生じてしまっていることになります。本件訴訟に被告に免責不許可事由があったかどうかは存じませんが,もし,あなたにそうした主張をしたかったという思いがあったとすれば,その機会をみすみす奪われてしまったことに対してとても悔しいお気持ちを抱くところかとお察しします。

【非免責債権であるとの主張をする余地】
 ただ,本件は,免責許可決定が出てしまったから諦めるほかないという事案ではありません。平たく言えば,「免責されているとしても自分の債権はその例外だ。」という主張をする事案です。
 免責許可決定の効力に関する条文として破産法253条1項本文を解説冒頭に掲げましたが,その但書として次のように規定されています。「ただし,次に掲げる請求権については,この限りでない。」
 非免責債権として掲げられているものは,租税等の請求権(1号),破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(2号)…と全部で7号までありますが,その中の6号として,「破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)」というものがあり,本件債権がこれにあたるとの主張ができないかというのが今回のご回答の主眼となります。
 例外としての非免責債権が規定された趣旨は,1号から7号までの号ごとにそれぞれ多様ですが,本件において検討すべき6号については,免責に対する意見を申述する権利を害された者に対してまで免責の効力を及ぼすとすれば,手続が保障されなかった者に犠牲を強いることになり相当でないという点に求めることができます。

【破産法253条1項但書6号の債権に該当するか否か】
 上記の法文上は,「破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった」請求権であることが要件とされています。債権者名簿に登載されているかいないかは,記録さえ残っていれば客観的に存否を確認することができますが,仮に記載されていなかったとしても,それが「知りながら」,つまり故意によるものだったかまで明らかにすることは極めて難しいと言わざるを得ません。なぜなら,免責を受けようとする破産者がわざわざ債権者名簿に記載しない行動をとることは合理的には考えられず,わざとの行為だったという内心を認めるような事情は通常存在しないといえるからです。但し,免責の意見陳述で破産者に不利益な意見(例えば浪費,賭博行為の原因で破産債権が生じたことを知っている債権者)を主張する債権者をことさら,債権者名簿から除外することも考えられますので一概に判断することはできませんが,そのような事情があれば故意の立証は容易になります。
 もっとも,この点については,裁判例において若干の修正が見受けられます。すなわち,故意で記載しなかった場合だけに限らず,故意ではないとしても記載しなかったことについて過失が認められるときには破産法253条1項但書6号の請求権に該当するものと判断されました。判旨については本稿末尾に引用しましたので,そちらをご参照ください。
 要するに,免責制度が正当な取引行為を行い不誠実でない破産者の更生を目的とするものであることから,破産者に落ち度がある場合には非免責債権とすべきとして,非免責債権を定めた趣旨と原則としての免責制度の趣旨とを調和させたものといえます。
 こうした裁判例は下級審にのみ見受けられ,最高裁判例は今のところ出ていないようです。法文の文言上は,「知りながら」とするのみで故意のみを規定するように読めることから,こうした裁判例が将来変更される可能性はゼロではないかもしれませんが,個別の事案に応じて妥当な結論を導きやすい解釈であるため,この運用が続くのではないかと予想されます。

【抗弁の訴訟法上の位置づけ】
 今回,あなたが貸金返還請求訴訟を提起したことに対して,相手方は,「破産申し立てを行い,免責許可決定が確定している」という抗弁を主張しました。
 原告が主張する請求原因事実を否定(存在しないと主張)することを,否認,と言いますが,抗弁の場合は,相手方の主張を認めた上で,これと両立できる新たな事実の主張を追加することにより,相手方の主張する権利(法的効果)が発生しないと主張することになります。例えば貸金返還請求訴訟で,「お金を貸して弁済期が来ている」というのが請求原因事実で,「お金なんか借りてない」というのが否認で,「お金は借りたが10年以上前のことで消滅時効が成立している」というのが抗弁となります(民事訴訟法161条,民事訴訟規則79条)。抗弁に対して,更に,再抗弁や,再々抗弁というように,主張を積み重ねていくことができます。裁判所は,それぞれの主張を基礎付ける事実の存否について,証拠調べを通じて心証を形成し,判決を下すことになります。
 今回の事件で言えば,あなたが主張する貸金債権の請求原因事実→相手方の,貸金債務はあったが,破産免責により消滅しているという抗弁→あなたの,貸金債権があり,債務者が破産手続きをしたのも事実だが,債権者一覧表への記載が無かったので破産法上の非免責債権であるという再抗弁,という訴訟法上の構成になります。

【具体的な主張立証方法】
 以上見てきたとおり,あなたの債権が非免責債権であることが認められれば,たとえ免責許可決定の事実があったとしても,請求が認められることになります。
 非免責債権であるといえるためには,(1)あなたが債権者名簿に記載されていないことと,(2)記載されていないことについて破産者に(故意または)過失があることをあなたの側で主張し,立証しなければなりません。
 実際の活動としては,まず,破産手続の事件記録を閲覧することです(破産法11条1項)。破産事件が継続していた裁判所の訟廷事務室記録閲覧係(裁判所によって窓口の名称は異なることがあります。)で閲覧を申請してください。閲覧申請に際しては,事件番号が必要ですが,被告が証拠として提出した免責許可決定書写しに破産事件の事件番号が記載されているので分かるはずです。申請手数料として1件150円の収入印紙が必要となります。また,利害関係人として申請することになるため,その利害関係を疎明する資料の提示を求められるでしょう。本件訴訟の訴状があれば十分かと思われます。閲覧して,債権者名簿にあなたが記載されていないことが確認できたら,その部分の謄写を申請します(破産法11条2項)。これで(1)債権者名簿に記載されていないことの立証準備ができることとなります。
 次に,(2)記載されていないことについて破産者に(故意または)過失があることが問題となりますが,過失というのは評価であることから,立証の対象は過失を基礎づける具体的事実であるとするのが実務の考え方です。破産者の過失を基礎づける具体的事実の例としては,@破産申立準備中やそれに近接した時期にあなたから支払の催告をしていた事実があったとか,A従前,多数回の話し合いを持っていたとか,B破産者の側から支払時期の猶予を求める申入れがあった。C破産者からの住所移転の連絡があったか,などの事実が立証できれば有利ではないかと思います。また,免責不許可事由について具体的に(例えば,浪費,賭博,射幸行為等の存在)主張立証することも考えられます。債権者として債権者名簿に記載されれば免責審尋期日に出頭して,具体的な免責不許可事由を裁判所に主張することができたが,このような事態を破産者が恐れ,ことさら債権者名簿に記載しなかったのではないか,という疑問を裁判所に持ってもらうことができますし(故意の立証となります。),具体的な結論としても,非免責債権にするのが公正,公平といえるからです。免責のこの辺りについては,貸付以前の人間関係や,貸付の経緯などから紐解いていくという個別具体的な主張立証の準備が必要になるでしょう。訴訟記録一式と貸付に関するこれまでの資料をご準備のうえ,弁護士にご面談なさることをお勧めします。
≪参照法令≫

【破産法】
第二十条  破産手続開始の申立ては,最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。
2  債権者以外の者が破産手続開始の申立てをするときは,最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者一覧表を裁判所に提出しなければならない。ただし,当該申立てと同時に債権者一覧表を提出することができないときは,当該申立ての後遅滞なくこれを提出すれば足りる。
第一節 免責手続
(免責許可の申立て)
第二百四十八条  個人である債務者(破産手続開始の決定後にあっては,破産者。第四項を除き,以下この節において同じ。)は,破産手続開始の申立てがあった日から破産手続開始の決定が確定した日以後一月を経過する日までの間に,破産裁判所に対し,免責許可の申立てをすることができる。
3  免責許可の申立てをするには,最高裁判所規則で定める事項を記載した債権者名簿を提出しなければならない。ただし,当該申立てと同時に債権者名簿を提出することができないときは,当該申立ての後遅滞なくこれを提出すれば足りる。
4  債務者が破産手続開始の申立てをした場合には,当該申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなす。ただし,当該債務者が破産手続開始の申立ての際に反対の意思を表示しているときは,この限りでない。
5  前項本文の規定により免責許可の申立てをしたものとみなされたときは,第二十条第二項の債権者一覧表を第三項本文の債権者名簿とみなす。
(免責についての意見申述)
第二百五十一条  裁判所は,免責許可の申立てがあったときは,破産手続開始の決定があった時以後,破産者につき免責許可の決定をすることの当否について,破産管財人及び破産債権者(第二百五十三条第一項各号に掲げる請求権を有する者を除く。次項,次条第三項及び第二百五十四条において同じ。)が裁判所に対し意見を述べることができる期間を定めなければならない。
(免責許可の決定の効力等)
第二百五十三条  免責許可の決定が確定したときは,破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる。ただし,次に掲げる請求権については,この限りでない。
一  租税等の請求権
二  破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
三  破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)
四  次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 ,第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって,契約に基づくもの
五  雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
六  破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)
七  罰金等の請求権
2 略
3 略

≪参照判例1≫東京地裁平成14年2月27日判決(要旨抜粋)
破産法三六六条の一二第五号は,破産者が「知リテ」債権者名簿に記載しなかった請求権を非免責債権とする旨規定しているが,この趣旨は,債権者名簿に記載されなかった債権者は,破産手続の開始を知らなかった場合,免責に対する異議申立ての機会を失うことになるから,債権者名簿に記載されなかった債権を非免責債権とし,このような債権者を保護しようとしたものである。他方,破産免責の制度が,不誠実でない破産者の更生を目的とするものであることからすれば,債権者名簿に記載されなかったことが破産者の責めに帰することのできない事由による場合にまで非免責債権とすることも相当ではない。そうすると,債権者名簿に記載されなかった債権について,債権の成立については了知していた破産者が,債権者名簿作成時に債権の存在を認識しながらこれに記載しなかった場合には免責されないことは当然であるが,債権者名簿作成時には債権の存在を失念したことにより記載しなかった場合,それについて過失の認められるときには免責されない一方,それについて過失の認められないときには免責されると解するのが相当である。

≪参照判例2≫東京地裁平成15年6月24日判決(要旨抜粋)
破産法三六六条の一二第五号は,「破産者が知りて債権者名簿に記載せざりし請求権」は,免責によって責任を逃れることはない旨規定するが,これは,債権者名簿に記載されなかった債権者は,破産手続の開始を知らず,債権の届出をしなかった債権者は,審尋期日を知ることができず,そうすれば,免責に対する異議申立ての機会が与えられないことから,債権者が,特に破産宣告の事実を知っていた場合を除き,免責されない債権として債権者を保護しようとしたものである。一方,破産免責制度は,不誠実でない破産者の更生を目的として定められたものであることを併せて考慮すれば,破産者が,債権の存在を知って債権者名簿に記載しなかった場合のみならず,記載しなかったことが過失に基づく場合にも免責されないと解すべきである。

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