新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.1241、2012/3/1 12:14 https://www.shinginza.com/idoushin.htm

【行政処分・医道審議会・専門的弁護士との協議・最高裁昭和63年7月1日判決】

質問:私は医師ですが,昨年,医療過誤により刑事裁判にかかり業務上過失致傷罪による罰金刑が確定しました。今年になって,県の医療指導課より行政処分対象事案の報告書の提出を求める書面が送られてきました。この書面には,「罰金以上の刑に処せられた者」については行政処分(戒告,3年以内の医業停止,免許取消)の対象となると記載されています。事案報告書について,私は法律上提出する義務を負っているのでしょうか。事案報告書を提出した後に予想される流れなどもお聞きしたいです。私は必ず上記のいずれかの行政処分を受けることになるのでしょうか。行政処分を回避・軽減するために今後できることがあるようでしたら教えていただきたいです。

回答:
1.事案報告書の提出義務はありません。しかし,事案報告書の提出は,行政処分の要否及び内容が適正に決定されるうえで,非常に重要な手続きとなるので,正確な事案報告書を作成し担当課に送付する必要があります。都道府県により異なりますが,実務上意見,弁明聴取の3か月程度前です。
2.事案報告を行った後の手続き。県の医療指導課(都道府県によって名称は異なります)より,意見聴取または弁明聴取の通知が届きます。このとき,予定される行政処分に応じた再教育研修に係る弁明の聴取の通知も同時に届くことが通常です。その後は,上記通知記載の日時に都道府県庁に出頭し,意見聴取または弁明聴取がなされます。ここでの聴取内容に基づき,都道府県知事の意見書・報告書が作成され,これらの意見書(これが重要です。)等を参考に,厚生労働省の医道審議会で審議がなされます。そして,厚生労働大臣は,医道審議会の意見を聴いて行政処分を決定します。意見,弁明聴取から約2−3か月後です。以上が,事案報告後,行政処分が決定するまでの大まかな流れです。この流れを図示したものとして,下記のファイルがありますので参考にしてください。
https://www.shinginza.com/idoushin.pdf
3.あなたが必ず行政処分を受けることになるのかというご質問ですが,「罰金以上の刑に処せられた者」は必ず行政処分を受けるわけではありません。事案によっては厳重注意(行政指導)にとどまり,行政処分を受けずに済む場合もあります。この場合は通常新聞報道されませんので後の業務について影響も少ないと思われます。報道されなければ,興味本位のインターネットの書き込みも回避できますので重要です。
4.尚,今回は,すでに罰金という刑事処分がなされていますが,行政処分を事前に回避する刑事弁護が必要であったと思われます。医道審議会の行政処分が,刑事事件の罰金より医師の資格に対する影響が大きい場合が往々にしてあり,最良の方法は,そもそも刑事処分にならないことです。そのためには,医道審議会を意識した刑事弁護が必要不可欠です。刑事事件の発生と同時に専門的弁護士との相談が必要な事案と思われます。
5.行政処分及び各手続きについての根拠法令に即した解説や,行政処分と行政指導の違い,行政処分を回避・軽減するために今後できることについては,下記の解説をご覧ください。
6.医道審議会 に関して,法律相談事例集キーワード検索:1144番1102番1079番1042番1034番869番735番653番551番313番266番
246番211番48番参照。

解説:
1 行政処分の根拠法令(医師法7条2項)
  医師法7条2項は,いかなる場合にどのような行政処分が課されるのかについて規定した条項です。もっとも,いかなる場合に行政処分が課されるのかを正確に知るためには医師法4条もあわせて見る必要があります。以下,それぞれの条項を引用します。

医師法7条2項
医師が第4条各号のいずれかに該当し,又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは,厚生労働大臣は,次に掲げる処分をすることができる。
1号 戒告
 2号 3年以内の医業停止
 3号 免許取消
医師法4条
 次の各号のいずれかに該当する者には,免許を与えないことがある。
 1号 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
 2号 麻薬,大麻又はあへんの中毒者
 3号 罰金以上の刑に処せられた者
 4号 前号に該当する者を除くほか,医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者

  上記の医師法7条2項によれば,行政処分の対象となるのは,医師法4条各号のいずれかに該当する場合,または,医師としての品位を損するような行為があった場合といえます。あなたの場合は,医師法4条3号に該当するため,事案報告を依頼する書面が届いたと考えられます。そして,7条2項は,「処分をすることができる」と規定しているため,行政処分の対象となる場合であっても,必ずしも行政処分がなされるわけではないことがわかります。行政処分対象事案で処分がなされない場合,行政指導による厳重注意がなされることが通常です。

2 行政処分(戒告)と行政指導(厳重注意)の違い
  戒告処分・行政指導(厳重注意)のいずれも,問題行為を行った医師に対して,将来を戒めるという点で両者は共通しています。しかし,行政処分の場合,医師法7条の2第1項に規定する再教育研修を受講することになります。また,行政処分に処せられた場合,当該医師の氏名,処分当時の医療機関名,処分内容,刑事事件の罪名についての新聞報道は避けられません。このような戒告処分と厳重注意の違いは,行政処分と行政指導の本質的な違いに由来するものと考えられます。

  行政処分とは,「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によつて,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」のことをいいます(最高裁判所昭和39年10月29日判決)。これに対し,行政指導とは,「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導,勧告,助言その他の行為であって処分に該当しないもの」のことをいいます(行政手続法2条6号)。
  行政処分と行政指導は,特定の者を名宛人として出される点,一定の作為又は不作為を要請する点,国民の権利義務に直接関係する点で共通しています。
  しかし,両者は法的効果の有無という点で決定的に異なります。すなわち,行政処分は権利義務を直接形成する等の効果を持ちますが,行政指導は名宛人に対する要請にすぎません。こうした両者の違いは,不服申し立ての場面で顕著にあらわれます。すなわち,行政指導は,名宛人に対して一定の作為又は不作為を求めるものの,あくまで要請にとどまるため,訴訟などの公的な手続きで不服を申し立てることはできませんが,行政処分に当たる場合には,処分の取消しの訴え(行政事件訴訟法3条2項)などの行政訴訟が可能となります。

3 当局による処分対象事案の把握について
  「罰金以上の刑に処せられた者」の処分対象事案について,現在の運用としては,関係省庁からの情報提供などによって把握しているようです。
  医師法4条3号の「罰金以上の刑に処せられた者」の処分対象事案については,厚生労働省医政局が法務省から情報提供を受けることで事案の概要や判決内容を把握しています。
  http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/02/h0224-1.html
  上記の厚生労働省の報道発表資料を見ると,「情報提供の対象となる事件の範囲」と「情報提供の内容」がわかります。これによると,処分対象者から事案報告書を提出するまでは,当局は,最低限の情報しか持ち合わせていないことがわかります。仮に,被害者との間で示談ができている場合などは,事案報告や意見聴取や弁明聴取の際に,自ら有利な証拠を提出しない限り,当局にそういった事情は伝わらないので注意が必要です。

4 意見聴取と弁明聴取の違い
  行政庁が不利益な行政処分を行おうとする場合,不意打ち的な処分を避けるため,不利益処分の名宛人となるべき者に対して,反論等の意見を陳述するための機会を与える必要があります(行政手続法13条1項柱書)。医師に対する行政処分における意見陳述の機会が「意見聴取」及び「弁明聴取」となります。
  意見聴取と弁明聴取は,予定される処分の不利益の程度によって手続きが別れます。すなわち,「免許の取消し処分をしようとするときは」(医師法7条5項)には意見聴取,「医業の停止命令をしようとするときは」(医師法7条11項)弁明聴取の手続きが行われます。上記の条文の文言からは,戒告の処分を行う場合には,意見聴取,弁明聴取のいずれの手続きも行われないように思われるかもしれません。しかし,意見聴取または弁明聴取の通知が発される段階では,いかなる処分が行われるかが決定しているわけではありません。それゆえ,「免許取消し又は医業停止」が予定される事案については意見聴取,「医業停止又は戒告」が予定されている事案については弁明聴取がなされる運用となっています。

  次に,意見聴取と弁明聴取の具体的な違いについて説明します。
  意見聴取は,免許の取消しという重大な処分が想定される事案での手続きですので,行政手続法における聴聞(行政手続法第3章第2節)に関する手続きが準用される(医師法7条6項)など厳格な手続きが定められています。これにより,主宰者の氏名,文書の閲覧許可,関係人の参加,補佐人の出頭許可等の点で,意見聴取と弁明聴取の間には違いが生じてきます。
  両者の違いの中でも,実質的に最も大きな違いといえるのは,聴取結果をまとめた書面について処分対象者が閲覧する法的根拠があるか否かです。すなわち,意見聴取の場合,「調書」(意見聴取における処分対象者らの陳述の要旨を明らかにした書面)及び「報告書」(処分対象事実に対する処分対象者らの主張に理由があるかどうかについての主宰者の意見を記載した書面)を閲覧することが可能ですが(医師法7条6項,行政手続法24条),弁明聴取の場合,上記のような書面の閲覧を認める法律上の根拠はありません。
  意見陳述の機会に述べた内容が正確に聴取され,処分の決定権者に伝わっているか,意見陳述の趣旨を汲んだ報告書となっているのかの確認は重要ですので,意見聴取の対象となった場合には上記書面の閲覧を求めたほうがよいでしょう。弁明聴取の場合には,閲覧を認める法的根拠はないものの,当局の裁量判断により閲覧が認められる場合がありますので,まずは閲覧の申し出を行うことが考えられます。行政機関担当者により対応がまちまちであり代理人弁護士を依頼するのも方法です。

5 行政処分を回避・軽減するために今後できること
  (1)現在,あなたには事案報告の依頼がきており報告書の提出前ということですので,正確な事案報告を行う必要があります。
  ご相談の件は,業務上過失致傷罪とのことですので,被害者が存在する事案です。被害者の存在する事案については,被害弁償が済んでいるのか,被害者との間で示談合意ができているかといった事情が,刑事処分・行政処分を問わず,非常に重視されます。すでに,被害弁償や示談成立している場合には,被害者との交渉内容を記載した書面や示談合意書,被害者の処分軽減の意見書等を事案報告書の添付書類として提出することができます。仮に,現時点で,被害弁償や被害者に対する謝罪ができていない場合には,法的責任のみならず,道義的責任を果たすためにも,ただちに被害弁償等のための活動をはじめたほうがよいでしょう。そのほかの活動としては,ご協力いただける方々(親族,患者,同僚医師,恩師)に処分軽減を求める嘆願書を作成していただくなども考えられます。さらに,行政処分の合理的裁量権も解釈上裁量権濫用禁止,処分公正,平等の原則により拘束されますので(憲法14条),先例の調査,比較検討は必要不可です。後記最高裁昭和63年7月1日判決参照。

  (2)事案の内容や成立する犯罪名によって,なすべき活動はかわってきますので,詳しくはお近くの専門的弁護士に相談しながら準備をすすめるとよいでしょう。処分の要否及び内容の決定に際しては,意見聴取又は弁明聴取手続きを経て作成される都道府県知事の意見書(都道府県の担当者が作成するこの文書がとても重要です。従って,この文書作成に影響を与える処分対象者,代理人側の意見書提出が必要不可欠です。)・報告書が非常に重要となります。意見聴取又は弁明聴取手続きは,事案報告依頼があった後,2〜3月後に開催されるのが通常です。さらに意見聴取,弁明聴取後約2−3週間前後には厚生省に書類は送付されるようです。この期間は意外に重要です。代理人がついて,期日に意見書を提出しても,訂正,追加が可能でありさらに弁護活動を補充できるからです。さらに約1カ月以内に行政処分が行われます。この期間も重要です。この程度の期間から考えて医道審議会が代理人等の意見書を詳細に検討する時間的余裕が少なく,過去の事件に応じて即決が予想されるため当該事件の詳細な説明,証拠の提出が,処分に決定的な影響を与えることが推定できるからです。事前の準備が必要不可欠です。事案報告書の作成も含めて早期に経験ある弁護士に相談し対応を協議することをおすすめします。

<判例参照>

最高裁第二小法廷 昭和61年(行ツ)第90号昭和63年7月1日判決(医業停止処分取消等請求上告事件)
     
「医師法七条二項によれば,医師が「罰金以上の刑に処せられた者」(同法四条二号)に該当するときは,被上告人厚生大臣(以下「厚生大臣」という。)は,その免許を取り消し,又は一定の期間を定めて医業の停止を命ずることができる旨定められているが,この規定は,医師が同法四条二号の規定に該当することから,医師として品位を欠き人格的に適格性を有しないものと認められる場合には医師の資格を剥奪し,そうまでいえないとしても,医師としての品位を損ない,あるいは医師の職業倫理に違背したものと認められる場合には一定期間医業の停止を命じ反省を促すべきものとし,これによつて医療等の業務が適正に行われることを期するものであると解される。したがつて,医師が同号の規定に該当する場合に,免許を取消し,又は医業の停止を命ずるかどうか,医業の停止を命ずるとしてその期間をどの程度にするかということは,当該刑事罰の対象となつた行為の種類,性質,違法性の程度,動機,目的,影響のほか,当該医師の性格,処分歴,反省の程度等,諸般の事情を考慮し,同法七条二項の規定の趣旨に照らして判断すべきものであるところ,その判断は,同法二五条の規定に基づき設置された医道審議会の意見を聴く前提のもとで,医師免許の免許権者である厚生大臣の合理的な裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。それ故,厚生大臣がその裁量権の行使としてした医業の停止を命ずる処分は,それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し,これを濫用したと認められる場合でない限り,その裁量権の範囲内にあるものとして,違法とならないものというべきである。」

<参照条文>

医師法
第4条 次の各号のいずれかに該当する者には,免許を与えないことがある。
1.心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
2.麻薬,大麻又はあへんの中毒者
3.罰金以上の刑に処せられた者
4.前号に該当する者を除くほか,医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者

第7条 医師が,第3条に該当するときは,厚生労働大臣は,その免許を取り消す。
2 医師が第4条各号のいずれかに該当し,又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは,厚生労働大臣は,次に掲げる処分をすることができる。
1.戒告
2.3年以内の医業の停止
3.免許の取消し
3 前2項の規定による取消処分を受けた者(第4条第3号若しくは第4号に該当し,又は医師としての品位を損するような行為のあつた者として前項の規定による取消処分を受けた者にあつては,その処分の日から起算して5年を経過しない者を除く。)であつても,その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき,その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは,再免許を与えることができる。この場合においては,第6条第1項及び第2項の規定を準用する。
4 厚生労働大臣は,前3項に規定する処分をなすに当つては,あらかじめ,医道審議会の意見を聴かなければならない。
5 厚生労働大臣は,第1項又は第2項の規定による免許の取消処分をしようとするときは,都道府県知事に対し,当該処分に係る者に対する意見の聴取を行うことを求め,当該意見の聴取をもつて,厚生労働大臣による聴聞に代えることができる。
6 行政手続法(平成5年法律第88号)第3章第2節(第25条,第26条及び第28条を除く。)の規定は,都道府県知事が前項の規定により意見の聴取を行う場合について準用する。この場合において,同節中「聴聞」とあるのは「意見の聴取」と,同法第15条第1項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と,同条第3項(同法第22条第3項において準用する場合を含む。)中「行政庁は」とあるのは「都道府県知事は」と,「当該行政庁が」とあるのは「当該都道府県知事が」と,「当該行政庁の」とあるのは「当該都道府県の」と,同法第16条第4項並びに第18条第1項及び第3項中「行政庁」とあるのは,「都道府県知事」と,同法第19条第1項中「行政庁が指名する職員その他政令で定める者」とあるのは,都道府県知事が指名する職員」と,同法第20条第1項,第2項及び第4項中「行政庁」とあるのは「都道府県」と,同条第6項,同法第24条第3項及び第27条第1項中「行政庁」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。
7 厚生労働大臣は,都道府県知事から当該処分の原因となる事実を証する書類その他意見の聴取を行う上で必要となる書類を求められた場合には,速やかにそれらを当該都道府県知事あて送付しなければならない。
8 都道府県知事は,第5項の規定により意見の聴取を行う場合において,第6項において読み替えて準用する行政手続法第24条第3項の規定により同条第1項の調書及び同条第3項の報告書の提出を受けたときは,これらを保有するとともに,当該処分の決定についての意見を記載した意見書を作成し,当該調書及び報告書の写しを添えて厚生労働大臣に提出しなければならない。
9 厚生労働大臣は,意見の聴取の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは,都道府県知事に対し,前項の規定により提出された意見書を返戻して主宰者に意見の聴取の再開を命ずるよう求めることができる。行政手続法第22条第2項本文及び第3項の規定は,この場合について準用する。
10 厚生労働大臣は,当該処分の決定をするときは,第8項の規定により提出された意見書並びに調書及び報告書の写しの内容を十分参酌してこれをしなければならない。
11 厚生労働大臣は,第2項の規定による医業の停止の命令をしようとするときは,都道府県知事に対し,当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行うことを求め,当該弁明の聴取をもつて,厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えることができる。
12 前項の規定により弁明の聴取を行う場合において,都道府県知事は,弁明の聴取を行うべき日時までに相当な期間をおいて,当該処分に係る者に対し,次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
1.第2項の規定を根拠として当該処分をしようとする旨及びその内容
2.当該処分の原因となる事実
3.弁明の聴取の日時及び場所
13 厚生労働大臣は,第11項に規定する場合のほか,厚生労働大臣による弁明の機会の付与に代えて,医道審議会の委員に,当該処分に係る者に対する弁明の聴取を行わせることができる。この場合においては,前項中「前項」とあるのは「次項」と,都道府県知事」とあるのは「厚生労働大臣」と読み替えて,同項の規定を適用する。
14 第12項(前項後段の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の通知を受けた者は,代理人を出頭させ,かつ,証拠書類又は証拠物を提出することができる。
15 都道府県知事又は医道審議会の委員は,第11項又は第13項前段の規定により弁明の聴取を行つたときは,聴取書を作り,これを保存するとともに,当該処分の決定についての意見を記載した報告書を作成し,厚生労働大臣に提出しなければならない。
16 厚生労働大臣は,第5項又は第11項の規定により都道府県知事が意見の聴取又は弁明の聴取を行う場合においては,都道府県知事に対し,あらかじめ,次に掲げる事項を通知しなければならない。
1.当該処分に係る者の氏名及び住所
2.当該処分の内容及び根拠となる条項
3.当該処分の原因となる事実
17 第5項の規定により意見の聴取を行う場合における第6項において読み替えて準用する行政手続法第15条第1項の通知又は第11項の規定により弁明の聴取を行う場合における第12項の通知は,それぞれ,前項の規定により通知された内容に基づいたものでなければならない。
18 第5項若しくは第11項の規定により都道府県知事が意見の聴取若しくは弁明の聴取を行う場合又は第13項前段の規定により医道審議会の委員が弁明の聴取を行う場合における当該処分については,行政手続法第3章(第12条及び第14条を除く。)の規定は,適用しない。
第7条の2 厚生労働大臣は,前条第2項第1号若しくは第2号に掲げる処分を受けた医師又は同条第3項の規定により再免許を受けようとする者に対し,医師としての倫理の保持又は医師として具有すべき知識及び技能に関する研修として厚生労働省令で定めるもの(以下「再教育研修」という。)を受けるよう命ずることができる。
2 厚生労働大臣は,前項の規定による再教育研修を修了した者について,その申請により,再教育研修を修了した旨を医籍に登録する。
3 厚生労働大臣は,前項の登録をしたときは,再教育研修修了登録証を交付する。
4 第2項の登録を受けようとする者及び再教育研修修了登録証の書換交付又は再交付を受けようとする者は,実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。5 前条第11項から第18項まで(第13項を除く。)の規定は,第1項の規定による命令をしようとする場合について準用する。この場合において,必要な技術的読替えは,政令で定める。

行政手続法
 第一章 総則
(目的等)
第1条  この法律は,処分,行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し,共通する事項を定めることによって,行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について,その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第四十六条において同じ。)の向上を図り,もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。
2  処分,行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について,他の法律に特別の定めがある場合は,その定めるところによる。13条(不利益処分をしようとする場合の手続)
 行政庁は,不利益処分をしようとする場合には,次の各号の区分に従い,この章の定めるところにより,当該不利益処分の名あて人となるべき者について,当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一  次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
ロ イに規定するもののほか,名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分,名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
二  前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
2  次の各号のいずれかに該当するときは,前項の規定は,適用しない。
一  公益上,緊急に不利益処分をする必要があるため,前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。
二  法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって,その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書,一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
三  施設若しくは設備の設置,維持若しくは管理又は物の製造,販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において,専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測,実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
四  納付すべき金銭の額を確定し,一定の額の金銭の納付を命じ,又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
五  当該不利益処分の性質上,それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。
24条(聴聞調書及び報告書)
主宰者は,聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し,当該調書において,不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
2 前項の調書は,聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに,当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。
3 主宰者は,聴聞の終結後速やかに,不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し,第一項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。
4 当事者又は参加人は,第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。第二節 聴聞
(聴聞の通知の方式)
第15条  行政庁は,聴聞を行うに当たっては,聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて,不利益処分の名あて人となるべき者に対し,次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。
一  予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項
二  不利益処分の原因となる事実
三  聴聞の期日及び場所
四  聴聞に関する事務を所掌する組織の名称及び所在地
2  前項の書面においては,次に掲げる事項を教示しなければならない。
一  聴聞の期日に出頭して意見を述べ,及び証拠書類又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し,又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書及び証拠書類等を提出することができること。
二  聴聞が終結する時までの間,当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。
3  行政庁は,不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては,第一項の規定による通知を,その者の氏名,同項第三号及び第四号に掲げる事項並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては,掲示を始めた日から二週間を経過したときに,当該通知がその者に到達したものとみなす。
(代理人)
第16条  前条第一項の通知を受けた者(同条第三項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。以下「当事者」という。)は,代理人を選任することができる。
2  代理人は,各自,当事者のために,聴聞に関する一切の行為をすることができる。 3  代理人の資格は,書面で証明しなければならない。
4  代理人がその資格を失ったときは,当該代理人を選任した当事者は,書面でその旨を行政庁に届け出なければならない。
(参加人)
第17条  第十九条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は,必要があると認めるときは,当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第二項第六号において「関係人」という。)に対し,当該聴聞に関する手続に参加することを求め,又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。
2  前項の規定により当該聴聞に関する手続に参加する者(以下「参加人」という。)は,代理人を選任することができる。
3  前条第二項から第四項までの規定は,前項の代理人について準用する。この場合において,同条第二項及び第四項中「当事者」とあるのは,「参加人」と読み替えるものとする。
(文書等の閲覧)
第18条  当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下この条及び第二十四条第三項において「当事者等」という。)は,聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間,行政庁に対し,当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。この場合において,行政庁は,第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ,その閲覧を拒むことができない。
2  前項の規定は,当事者等が聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることを妨げない。
3  行政庁は,前二項の閲覧について日時及び場所を指定することができる。
(聴聞の主宰)
第19条  聴聞は,行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。
2  次の各号のいずれかに該当する者は,聴聞を主宰することができない。
一  当該聴聞の当事者又は参加人
二  前号に規定する者の配偶者,四親等内の親族又は同居の親族
三  第一号に規定する者の代理人又は次条第三項に規定する補佐人
四  前三号に規定する者であったことのある者
五  第一号に規定する者の後見人,後見監督人,保佐人,保佐監督人,補助人又は補助監督人
六  参加人以外の関係人
(聴聞の期日における審理の方式)
第20条  主宰者は,最初の聴聞の期日の冒頭において,行政庁の職員に,予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。
2  当事者又は参加人は,聴聞の期日に出頭して,意見を述べ,及び証拠書類等を提出し,並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
3  前項の場合において,当事者又は参加人は,主宰者の許可を得て,補佐人とともに出頭することができる。
4  主宰者は,聴聞の期日において必要があると認めるときは,当事者若しくは参加人に対し質問を発し,意見の陳述若しくは証拠書類等の提出を促し,又は行政庁の職員に対し説明を求めることができる。
5  主宰者は,当事者又は参加人の一部が出頭しないときであっても,聴聞の期日における審理を行うことができる。
6  聴聞の期日における審理は,行政庁が公開することを相当と認めるときを除き,公開しない。
(陳述書等の提出)
第21条  当事者又は参加人は,聴聞の期日への出頭に代えて,主宰者に対し,聴聞の期日までに陳述書及び証拠書類等を提出することができる。
2  主宰者は,聴聞の期日に出頭した者に対し,その求めに応じて,前項の陳述書及び証拠書類等を示すことができる。
(続行期日の指定)
第22条  主宰者は,聴聞の期日における審理の結果,なお聴聞を続行する必要があると認めるときは,さらに新たな期日を定めることができる。
2  前項の場合においては,当事者及び参加人に対し,あらかじめ,次回の聴聞の期日及び場所を書面により通知しなければならない。ただし,聴聞の期日に出頭した当事者及び参加人に対しては,当該聴聞の期日においてこれを告知すれば足りる。
3  第十五条第三項の規定は,前項本文の場合において,当事者又は参加人の所在が判明しないときにおける通知の方法について準用する。この場合において,同条第三項中「不利益処分の名あて人となるべき者」とあるのは「当事者又は参加人」と,「掲示を始めた日から二週間を経過したとき」とあるのは「掲示を始めた日から二週間を経過したとき(同一の当事者又は参加人に対する二回目以降の通知にあっては,掲示を始めた日の翌日)」と読み替えるものとする。
(当事者の不出頭等の場合における聴聞の終結)
第23条  主宰者は,当事者の全部若しくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず,かつ,第二十一条第一項に規定する陳述書若しくは証拠書類等を提出しない場合,又は参加人の全部若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には,これらの者に対し改めて意見を述べ,及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく,聴聞を終結することができる。
2  主宰者は,前項に規定する場合のほか,当事者の全部又は一部が聴聞の期日に出頭せず,かつ,第二十一条第一項に規定する陳述書又は証拠書類等を提出しない場合において,これらの者の聴聞の期日への出頭が相当期間引き続き見込めないときは,これらの者に対し,期限を定めて陳述書及び証拠書類等の提出を求め,当該期限が到来したときに聴聞を終結することとすることができる。
(聴聞調書及び報告書)
第24条  主宰者は,聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し,当該調書において,不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
2  前項の調書は,聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに,当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後速やかに作成しなければならない。
3  主宰者は,聴聞の終結後速やかに,不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し,第一項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。
4  当事者又は参加人は,第一項の調書及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。
(不服申立ての制限)
第二十七条  行政庁又は主宰者がこの節の規定に基づいてした処分については,行政不服審査法 (昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
2  聴聞を経てされた不利益処分については,当事者及び参加人は,行政不服審査法 による異議申立てをすることができない。ただし,第十五条第三項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる結果当事者の地位を取得した者であって同項に規定する同条第一項第三号(第二十二条第三項において準用する場合を含む。)に掲げる聴聞の期日のいずれにも出頭しなかった者については,この限りでない。

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