新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.858、2009/4/15 11:02

[商事・定款とは何か・会社に必ず必要か]

質問:会社を経営しています。今度、取締役の員数を増やそうとしたところ、定款に取締役に関する規定があるかもしれないので、それを確認する必要があるとの指摘を受けました。会社は長年父が経営しており、定款などみたこともなかったので、当会社に定款はないものと思っていました。
@定款とはどのようなものですか。
A会社法が施行される以前、有限会社にも定款作成義務はあったのでしょうか。
B当社の定款を確認するにはどのような方法がありますか。

回答:
@定款とは、その会社の商号・本店・目的等の基本的な事項をはじめ、組織形態、運営方法などを定めたものです。定款がなければ会社は権利能力を有しませんから(民法34条)自然人でいえば生命、頭脳に該当するものです。会社法では、法律に反しない限り、広く定款による自治を認めています。
A有限会社法第5条(廃止)において、「有限会社ヲ設立スルニハ定款ヲ作ルコトヲ要ス」として、有限会社においても、作成することとされていました。なお、会社法では、第26条で定款の作成義務、第31条で定款を本店及び支店に備え置き、株主および債権者の閲覧に供することを義務付けており、閲覧、備置き義務に違反した場合には、100万円以下の科料に処せられます(会社法第976条CG)ので、注意が必要です。
B Aより、会社を設立する際には、必ず定款を作成し、公証人の認証を受けています。この認証を受けた公証役場が設立当時の定款(「原始定款」といいます。)を保管していますので、当該公証役場に定款の謄本の交付請求をすることができます。但し、認証後20年を経過したものについては、保管されていない可能性があります。

解説:
1.定款とは
定款とは、会社の商号、本店所在地などの基本的な内容をはじめ、その組織(取締役等の設置方法)や運営方法に関する事項について定めたものです。また、会社法は、定款に定めがないとその効力が生じない事項を設け、会社内の自治について、会社法に違反しないものであれば、定款で自由に定めることができるとしているため(会社法第29条)、定款は、会社の「ルールブック」「憲法」などと表現されることもあります。そもそも、会社が会社名義で取引を行うことができるのは、会社が、自然人と同じように、権利・義務の主体となることができる(権利能力)とする規定が民法第34条で設けられているからです。

(法人の能力)
第34条   法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

つまり、普段何気なく会社名義で行っている行為、例えば契約の締結、預金口座の開設、不動産の取得などは、定款に記載された「目的(その会社がどのような事業を営んでいるかを具体的に定めたもの)」の範囲内で、その目的の達成に必要・有益な行為と認められるからできることなのです。この条文から明らかなように、法人は目的が記載された定款がなければ社会生活上権利の主体となる能力を有しないことになり法人の実体が失われるので、定款は、自然人の生命、頭脳、心臓のようなものです。ではどうして定款が必要かというと、公正な経済社会秩序の維持のためです。自由主義経済では私有財産制の下公正、公平で迅速な契約取引関係を保障しなければならず、経済活動、非営利活動を問わず個人の他に団体である社団、財団の存在を無視することは不可能です。その典型が株式会社です。巨大な団体、社団と労働契約により資本主義社会は発展してきたといっても過言ではないでしょう。しかし、その社団、団体の実体は無形のものであり自然人と異なり、考えれば形あるものは何もありません。このような社団、団体を無制限に認めるならば社会経済活動は混乱し公正、安全な取引ができなくなり、自由主義経済は事実上機能しません。その団体に社会的存在として権利主体を認めるためには、自然人と同じく生命の基本、頭脳に匹敵する法人の存在目的の作成が必ず必要ですし、会社債権者、不特定の社員の利益保護のため基本事項の公表(会社法49条、31条、579条、911条。登記、公示)を義務付けています。これが定款(財団では寄付行為といいます)です。株式会社では定款により個人社員が社団を設立し、その目的に従い経営者(取締役)を選び事業、営利活動を行い、団体の規模に従いさらに監査役等会社の機関を設置し事業を発展、継続することになります。規模が小さい後述の持分会社でも理屈は同じで定款がなければ法人そのものが活動できないことになります。

このように、定款は、会社が経済活動をしていくうえでの権利能力を有するための基礎となるものであり、設立時には、株式会社はもちろん、合名・合資・合同会社(以下「持分会社」といいます)にもその作成が義務付けられていますが、その規模により定款で規定できる範囲も異なってきます。会社は、株式会社と持分会社(会社法575条。平成18年会社法施行による合同会社の成立により人的会社の呼び方が変わりました。)に分かれますが、株式会社は物的会社といわれ、社員が出資した財産、物を会社の基礎として基本的に社員間のつながりはありませんし、会社と社員間は出資した財産の関係しかありません(有限責任、業務執行権はなく別個経営する取締役を選任する。)。他方、持分会社は、人的会社と言われ、社員間、及び会社と社員間のつながり存在を基礎としていますから、原則直接無限責任社員が存在し、社員は業務執行権を有することになります。しかし、新しく認められた合同会社の社員は、人的会社であり社員は業務執行権を持っていますが(会社法590条)、社員の責任は有限責任です。小規模会社について財産以外の能力等を個人的会社に生かそうとして無限責任を認めず、財産以外の能力等を持つ社員の参加を認めようとしたものです(議決権の内容、利益分配で調整し社員参加を容易にしています)。従って、株式会社では、所有と経営の分離により、株主の利益、会社債権者の利益を保護する必要があり基本構造が決められており、定款でもこれに反する変更はできません。しかし、それ以外の会社の運営方法や株主の地位等について、多数決により定款で明確に定めることにより、株主と経営陣、株主同士の紛争を未然に防止することも可能になっています。他方、持分会社は、株式会社と異なり、所有と経営は分離されておらず会社構成員間の人的つながりを基礎とするので(無限責任社員の存在)、株主の利益、会社債権者の利益を考慮する必要性が少なく全員一致を原則とするが、定款の決まりにより広く会社内部事項、機関等会社の運営について自治権(例えば業務執行社員の決定法591条、持分権譲渡の定め法585条4項等)が認められています。利益の分配割合、業務執行、議決権の内容(株主平等の原則が取られない。)等も定款で自由に定めることができます(622条、590条2項、591条)。

2.定款の作成
回答Aのとおり、会社を設立するには、まず定款を作成し、商号、本店所在地、目的その他会社の基本的な事項を定めます(会社法第26条)。定款は発起人により作成され、発起人全員が署名または記名押印(電磁的記録での作成も可能です)した後、株式会社の場合には、公証人による認証を受ける必要があります。公証人による認証は、定款の効力発生要件になっています(会社法30条/合名・合資・合同会社の場合には、定款の認証は不要)。認証を受ける公証役場は、本店所在地を管轄する法務局の管轄内の公証役場になります。設立の際の定款(原始定款)には、必ず、商号、本店の所在地、目的、設立に際して出資される財産の価格又はその最低額、発起人の氏名住所が記載され(定款の絶対的記載事項/会社法第27条)、その他会社の自治に必要な事項が定められていきます。一般に定款に設けられる規定としては、

1.会社が公告する方法:定款に定めがない場合には、官報によるものとされます(会社法第939条第4項)。
2.発行可能株式総数:原始定款に定めがない場合には、発起設立の場合には、発起人全員の同意により、募集設立の場合には、創立総会の定款変更決議によって定める必要があります(会社法第37条1項2項、第98条)。
3.株券の発行あるいは不発行に関する定め:会社法では、商法下と異なり、株券の不発行が原則となり、定款で株券を発行すると定めた場合にのみ、株券を発行することができます(会社法第214条)。
4.株式の譲渡制限に関する定め:株式は原則として譲渡が自由ですが、定款で譲渡に制限を設けることができます(会社法第107条1項1号、108条1項4号)。
5.機関設計:旧商法下では、株式会社は取締役を3人以上選任し、取締役会を設置することを必要としていました、会社法では、公開会社、監査役会設置会社、委員会設置会社を除いては、株主総会のほか、取締役を1人おけば足りるとされています。例外的に定款に定めを設けることにより、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を設置することができるのです(会社法第326条第1項)。また、役員の員数制限を設け、公開会社以外の会社では、取締役の任期を最長10年まで伸長することも可能です。

などがあります。このほか、株主総会の決議事項、決議要件等も会社法に反しない範囲において定めることができますし、会社法の条文中に「定款に別段の定めがある場合」「これを上回る割合を定款で定めた場合」「定款で定めることができる」等とあるものについては、それらについて、定款で定めている場合、あるいは、定款で定めた場合にのみ、会社法の条文ではなく、定款の定めが適用されることになります。このように、会社法では、定款による自治を広く認めることにより、その会社の実体、規模、環境に応じた経済活動、効率的な経営、迅速な取引等を可能としているのです。

3.定款の閲覧・謄本請求等
株式会社、特例有限会社の定款は、設立時に、公証人の認証を受けていますので、認証を受けた公証役場で謄本の請求を受けることが可能です。ただし、閲覧や謄本請求は、当該認証を受けた公証役場でのみ可能なので、認証を受けた公証役場がわからない場合には、会社近くの公証役場、または、管轄法務局近くの公証役場等を当たってみることになります。もし、会社が設立から5年以内であれば、設立登記の際に申請書に添付した定款が管轄する法務局で保管されていますので、閲覧することも可能です。なお、会社の債権者などの利害関係人も、利害関係を証明できれば、公証役場で、定款の閲覧・謄本請求をすることができます。この場合には、売買契約書などの立証資料が必要になります。 いずれにしても公証役場に謄本の請求をする際には、事前に、当該公証役場に必要書類を問い合わせされることをお勧めします。

4.定款が見つけられなければ
万一、定款が見つからないということであれば、株主総会で定款変更決議により、定款の全部について定め直しをすることになります。定款変更決議は、原則として、株主総会の特別決議が必要になります(会社法466条、309条2項11号)。特別決議とは、その総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(定款で、定足数を3分の1以上の割合で定めている場合には、その割合以上)を有する株主が出席(定足数)し、出席株主の議決権の3分の2以上(定款で、これを上回る割合を定めた場合には、その割合以上)の多数(決議要件)をもって行う決議です。例外的に、株主総会決議の不要なものとしては、発行可能株式総数を株式分割の割合に応じて増加させる場合(会社法184条2項。但し、2種類以上の株式を発行している会社は除く)や、単元株式数の減少あるいは、単元株式数についての定款の定めを廃止する場合(会社法195条1項)等があります。これらは、株主に不利益を生じさせない変更であるため、決議が不要とされています。

一方で、特別決議より、要件が加重された特殊決議を要する変更(会社法309条)、更には、株主全員の同意を必要とする変更(会社法110条:取得条項付株式の発行、会社法第111条1項:取得条項付種類株式の発行)があります。特殊決議とは、その総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(定款で、これを上回る定足数定めている場合には、その割合以上)が出席(定足数)し、その株主の議決権の3分の2以上(定款でこれを上回る割合を定めている場合には、その割合以上)の多数(決議要件)をもって行う決議です。例えば、株式の譲渡制限規定を設ける場合(会社法309条3項)、剰余金の配当・残余財産の配当・株主総会の議決権について、株主ごとに異なる定めを設ける場合(会社法309条4項)等の変更の際に必要となります。これらの変更は、株主の投下資本の回収を制限したり、株主に不利益を及ぶ可能性があり、株主の地位に著しい影響を与える変更であるため、決議要件が加重されているのです。新たに定款を作成し直す場合には、会社法の施行により、会社の機関設計、株式等に大幅な変更がなされていますので、事前に、弁護士、司法書士等の専門家にご相談されることをお勧めします。

<参考条文 会社法>

(定款の作成)
第26条  株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2  前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
(定款の記載又は記録事項)
第27条  株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一  目的
二  商号
三  本店の所在地
四  設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五  発起人の氏名又は名称及び住所
第29条 第27条各号及び前条各号に掲げる事項のほか、株式会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
(定款の認証)
第30条  第26条第1項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
2 前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前は、第33条第7項若しくは第9項又は第37条第1項若しくは第2項の規定による場合を除き、これを変更することができない。
(定款の備置き及び閲覧等)
第31条  発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備え置かなければならない。
2  発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
一  定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
二  前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三  定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四  前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
3  株式会社の成立後において、当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは、当該親会社社員は、裁判所の許可を得て、当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
4  定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって、支店における第2項第3号及び第4号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第一項の規定の適用については、同項中「本店及び支店」とあるのは、「本店」とする。
(発行可能株式総数の定め等)
第37条 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2・3略
(株式会社の成立)
第49条  株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
(創立総会の決議による発行可能株式総数の定め)
第98条 第57条第1項の募集をする場合において、発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
第107条 株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
一  譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
以下略
(異なる種類の株式)
第108条 株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる2以上の種類の株式を発行することができる。ただし、委員会設置会社及び公開会社は、第9号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
一〜三略
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
以下略
(定款の変更の手続の特則)
第110条 定款を変更してその発行する全部の株式の内容として第107条第1項第3号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとする場合(株式会社が種類株式発行会社である場合を除く。)には、株主全員の同意を得なければならない。
第111条 種類株式発行会社がある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式の内容として第108条第1項第6号に掲げる事項についての定款の定めを設け、又は当該事項についての定款の変更(当該事項についての定款の定めを廃止するものを除く。)をしようとするときは、当該種類の株式を有する株主全員の同意を得なければならない。
2 略
(効力の発生等)
第184条 1(略)
2株式会社(現に2以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、第466条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条第2項第2号の日における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第1号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。
第195条 株式会社は、第466条の規定にかかわらず、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって、定款を変更して単元株式数を減少し、又は単元株式数についての定款の定めを廃止することができる。
2・3略
(株券を発行する旨の定款の定め)
第214条 株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる。
(株主総会の決議)
第309条 1略
2  前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
一  第140条第2項及び第5項の株主総会
二  第156条第1項の株主総会(第160条第1項の特定の株主を定める場合に限る。)
三  第171条第1項及び第175条第1項の株主総会
四  第180条第2項の株主総会
五  第199条第2項、第200条第1項、第202条第3項第4号及び第204条第2項の株主総会
六  第238条第2項、第239条第1項、第241条第3項第4号及び第243条第2項の株主総会
七  第339条第1項の株主総会(第342条第3項から第5項までの規定により選任された取締役を解任する場合又は監査役を解任する場合に限る。)
八  第425条第1項の株主総会
九  第447条第1項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)
イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。
ロ 第477条第1項第1号の額がイの定時株主総会の日(第439条前段に規定する場合にあっては、第436条第3項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
十  第454条第4項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第1号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)
十一  第6章から第8章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
十二  第5編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
3  前2項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
一  その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会
二  第738条第1項の株主総会(合併により消滅する株式会社又は株式交換をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等(同条第三項に規定する譲渡制限株式等をいう。次号において同じ。)である場合における当該株主総会に限る。)
三  第804条第1項の株主総会(合併又は株式移転をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る。)
4  前3項の規定にかかわらず、第109条第2項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の4分の3(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。
5  略
(株主総会以外の機関の設置)
第326条 株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければならない。
2  株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができる。
第466条 株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。
第三編 持分会社
   第一章 設立
(定款の作成)
第五百七十五条  合名会社、合資会社又は合同会社(以下「持分会社」と総称する。)を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2  前項の定款は、電磁的記録をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
(定款の記載又は記録事項)
第五百七十六条  持分会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一  目的
二  商号
三  本店の所在地
四  社員の氏名又は名称及び住所
五  社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれであるかの別
六  社員の出資の目的(有限責任社員にあっては、金銭等に限る。)及びその価額又は評価の標準
2  設立しようとする持分会社が合名会社である場合には、前項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を無限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
3  設立しようとする持分会社が合資会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の一部を無限責任社員とし、その他の社員を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
4  設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、第一項第五号に掲げる事項として、その社員の全部を有限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
第五百七十七条  前条に規定するもののほか、持分会社の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
(合同会社の設立時の出資の履行)
第五百七十八条  設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、合同会社の社員になろうとする者全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、合同会社の成立後にすることを妨げない。
(持分会社の成立)
第五百七十九条  持分会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
(持分の譲渡)
第五百八十五条  社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
2  前項の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。
3  第六百三十七条の規定にかかわらず、業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡に伴い定款の変更を生ずるときは、その持分の譲渡による定款の変更は、業務を執行する社員の全員の同意によってすることができる。
4  前三項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(業務の執行)
第五百九十条  社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
2  社員が二人以上ある場合には、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。
3  前項の規定にかかわらず、持分会社の常務は、各社員が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の社員が異議を述べた場合は、この限りでない。
(業務を執行する社員を定款で定めた場合)
第五百九十一条  業務を執行する社員を定款で定めた場合において、業務を執行する社員が二人以上あるときは、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、業務を執行する社員の過半数をもって決定する。この場合における前条第三項の規定の適用については、同項中「社員」とあるのは、「業務を執行する社員」とする。
2  前項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、支配人の選任及び解任は、社員の過半数をもって決定する。ただし、定款で別段の定めをすることを妨げない。
3  業務を執行する社員を定款で定めた場合において、その業務を執行する社員の全員が退社したときは、当該定款の定めは、その効力を失う。
4  業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その業務を執行する社員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
5  前項の業務を執行する社員は、正当な事由がある場合に限り、他の社員の一致によって解任することができる。
6  前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。
(社員の損益分配の割合)
第六百二十二条  損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。
(会社の公告方法)
第九百三十九条  会社は、公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができる。
一  官報に掲載する方法
二  時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
三  電子公告
2〜4略
(過料に処すべき行為)
第九百七十六条  発起人、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役、会計監査人若しくはその職務を行うべき社員、清算人、清算人代理、持分会社の業務を執行する社員、民事保全法第56条 に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役、執行役、清算人若しくは持分会社の業務を執行する社員の職務を代行する者、第960条第1項第5号に規定する一時取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役若しくは代表執行役の職務を行うべき者、同条第2項第3号に規定する一時清算人若しくは代表清算人の職務を行うべき者、第967条第1項第3号に規定する一時会計監査人の職務を行うべき者、検査役、監督委員、調査委員、株主名簿管理人、社債原簿管理人、社債管理者、事務を承継する社債管理者、代表社債権者、決議執行者、外国会社の日本における代表者又は支配人は、次のいずれかに該当する場合には、100万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一 〜三略
四  この法律の規定に違反して、正当な理由がないのに、書類若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧若しくは謄写又は書類の謄本若しくは抄本の交付、電磁的記録に記録された事項を電磁的方法により提供すること若しくはその事項を記載した書面の交付を拒んだとき。
五〜七略
八  第31条第1項の規定、第74条第6項、第75条第3項、第76条第4項、第81条第2項若しくは第82条第2項(これらの規定を第86条において準用する場合を含む。)、第125条第1項、第231条第1項若しくは第252条第1項、第310条第6項、第311条第3項、第312条第4項、第318条第2項若しくは第3項若しくは第319条第2項(これらの規定を第325五条において準用する場合を含む。)、第371条第1項(第490条第5項において準用する場合を含む。)、第378条第1項、第394条第1項、第413条第1項、第442条第1項若しくは第2項、第496条第1項、第684条第1項、第731条第2項、第782条第1項、第791条第2項、第794条第1項、第801条第3項、第803条第1項、第811条第2項又は第815条第3項の規定に違反して、帳簿又は書類若しくは電磁的記録を備え置かなかったとき。
九〜三十五 略

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