新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.847、2009/2/9 13:52

【税務・居住用資産の贈与税・譲渡税の特例・夫婦間の贈与2000万円控除の特例・贈与を受けた不動産を売却する場合税金がかかるか・譲渡利益が出た場合はどうか・譲渡益の計算方法・譲渡益が出た当該資金で再度住宅を購入した場合はどうか・さらにその住宅を同額で譲渡した場合税金はどうか・住宅の譲渡における3000万円控除・短期譲渡・長期譲渡】

<質問>私は結婚して35年になりますが、このたび離婚しようと思います。11年前に、夫から、婚姻期間20年以上の夫婦間の贈与の特例(2000万円)を利用して、居住用不動産の贈与を受けたので、財産分与は期待していません。この家にはまだ夫名義のローンが残っており、私たち夫婦と子供2人が住んでいます。今般、離婚するに当たって、私と子供2人が住む家を別の場所に購入するために、もらった土地、家屋を駅前開発で土地が高騰したので売却しようと税理士に相談したところ、売却額8000万円(夫名義のローン700万円)、贈与による取得原価2000万円の残額6000万円に対して税金がかかるようなことを言われました。どういうことでしょうか。友人に聞くと夫の取得原価3000万円以上の部分にかかる譲渡所得税ではないかということ、一体何税がどの程度かかるのでしょうか。短期、長期の譲渡税の起算点は何時ですか。家は20年前に夫が3000万円で購入、現在、夫名義のローンが700万円残っており、不動産屋さんの査定額では駅前再開発で急に値上がりし8000万円でした。取得した8000万円で住宅を購入した場合は税金がかかりますか。さらに、8000万円で購入した住宅を事情があって4年後に同価格で売却した場合、基本的に譲渡益はないので税金はかからないと思うのですがどうでしょうか。一番税金がかからない申告はどうなるでしょうか。

<回答>
1.貴女は、11年前に夫から2000万円の贈与を受けて8000万円で売却しますから、8000万円から20年前の夫の取得原価3000万円(その他夫の取得時から今回売却時までの建物の減価償却費は取得原価から控除されます。今回の妻の売却手数料も経費として控除できますが簡易にするため計算しません)を引いた5000万円の譲渡利益があり譲渡所得税がかかります。夫の20年以上経過しているので長期譲渡税(5年以上は長期譲渡税率15%、住民税5%、短期譲渡所得は税率30%、住民税9%です。所有期間10年以上であり住居の場合一定の要件でさらに減税となります。長期譲渡税が10%、住民税 4%となります。軽減税率の特例参照。)がかかります。
2.夫の700万円の負債を代わりに弁済し、もし夫に請求しなければ夫に対する贈与になる可能性があります。
3.8000万円で売却した資金で、同じく1年以内に住宅を購入すると住居用資産の買い替えの特例で、5000万円の譲渡所得税は一旦免除(延納)されます。但し、同じ居住用資産の特例である居住用資産の3000万円控除を合わせて利用し、残金の2000万円についてのみ居住用資産の買い替え特例を受けることはできません。
4.後に、8000万円で購入した住居を同額で売却しても最初の譲渡益5000万円について譲渡所得税がかかります(今回の不動産売却手数料は控除できます。売却時までの建物減価償却も取得費3000万円から引くことになります。)。但し、この場合、3000万円控除の特例を利用することができます。
5.居住用資産の買い替え、3000万円控除の特例は、その旨の確定申告をしないと、特例を利用できませんので注意が必要です。
6.例えば、貴女が不動産の買い替え特例を利用して取得原価3000万円の不動産を8000万円で譲渡し8000万円の住宅を購入した後、相続が生じ相続人が当該資産を8000万円で売却し譲渡利益がないと思いこみ適正申告を怠ると、5000万円について短期(5年以内譲渡)の譲渡所得税(長期短期の期間は不動8000万円の不動産購入時から計算し、2000万円の不動産贈与による取得時からではありません。取得原価は引き継ぎますが、期間の起算点は引き継ぎません。)、延滞税等莫大な税金を請求されることがあります。勿論、申告がないので3000万円居住用資産の特別控除も利用できませんから大変なことになります。8000万円の購入から次の売却まで期間が開きますので事情を忘却し前の契約書だけを見て(前の申告書類を見ないで)判断すると危険です。税理士先生でも間違う場合があります。注意してください。

<解説>
1.夫から5年前に家の贈与を受けたとのこと、これは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です(相続税法21条の6)。特例を受けるための適用要件は次のとおりです。(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。(2)配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産であること又は 居住用不動産を取得するための金銭であること。(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動 産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。(注)相続、離婚の財産清算の例外ですから、配偶者控除は同じ配偶者の間では一生に一度しか適用を受けることができません。

2.貴女の場合は、11年前にこの要件をクリアして登記簿上も貴女1人の所有名義になっているということですので、贈与について問題はありません。

3.さて、今般離婚するにあたり、もらった家を売却して別の家を購入しようと税理士に相談した件ですが、2000万円(及び2000万円の住宅取得時からの減価償却費と不動産手数料も控除します)を超える6000万円の譲渡益について譲渡所得税がかかるとの説明は誤りです。譲渡益は、夫の取得原価3000万円を引き継ぎ計算することになります(相続と同じように考えます)。11年前の住宅の贈与により取得原価は2000万円ですが、これは取得原価になりません。贈与税が免除された理由は、20年間も夫婦関係が継続した場合、夫の財産内にある潜在的持ち分として2000万円を評価し、これを現実化したものであり実質的には配偶者、妻の本来的持ち分なのです。持ち分の清算は、法定相続(2分の1)、離婚時の財産分与で現実化するのですが、例外的に、配偶者、妻の持ち分を離婚、相続前でも現実化し他方配偶者の利益を確保し、夫婦間の財産分配の公正、公平を図り奨励したものです。唯、範囲を限定するため住宅用財産に限定して認めています。従って、実質利益、利得がないので無償取得ではありませんから贈与税はかからないのです。

4.2000万円の不動産はもともと取得した妻のものですが、妻は取得費を支出していませんので、取得した原価は贈与を相続と同じように考え贈与者である夫の取得原価3000万円が基準になります(贈与の場合すべて贈与者の取得原価をひきつぎます)。従ってこれを3000万円以上で売却すれば一般原則で利益分に不動産譲渡税を支払うのは当然です。3000万より低額になれば、基本的に利益がありませんから譲渡税はかかりません(不動産手数料、建物減価償却を除き考えると、)。夫が取得した時から20年以上を経過していますから(贈与の場合夫の取得時を承継し贈与の時から起算しません)、長期譲渡所得税を支払うことになります。友人がおっしゃった、夫の取得価格3000万円が取得原価になるというのは正しい判断です。贈与不動さんがもし3000万円の価値があれば、1000万円について贈与税が妻にかかるということになります。

5.ここで税率ですが、5年以上の長期譲渡税(国税)15%、住民税5%合計20%です。短期譲渡税(国税)は30% 住民税9%合計39%です。この他10年以上住居を所有し居住しているので、「居住用資産マイホーム、を売ったときの軽減税率の特例」があります。6000万円以内の部分が10%の長期譲渡税(国税)住民税4%で合計14%です。この特例の場合後述の3000万円控除特例も併せ利用できます。6000万円以上の部分は別途計算となりますので注意が必要です。

6.なお、婚姻期間20年以上の夫婦間の贈与の特例により居住用不動産の贈与を受けたとしても、妻が当初から転売目的であったとか、妻の名義を入れて夫婦の共有とした後に売却の上後述の「居住用の3000万円特別控除」を夫婦2人分について受けるためだったというような場合には、その妻が現に居住の用に供していたとしても、その居住用不動産は、その後引き続き居住の用に供する見込みのものでないと考えられ、当該贈与の特例を適用することはできません。また、売却を予定した贈与であればその贈与の額も不動産の評価額ではなく売却代金の贈与とされる危険性もあります。従って、貴女のように、居住用不動産の贈与を受けた後において、離婚により、その居住用不動産を譲渡しなければならないやむを得ない事情が生じた場合であれば、特例の適用を否定されることはないと思います。

7.次に、この売買により5000万円の譲渡益により譲渡所得税がかかりますが、その場合には居住用資産の3000万円の特例を利用すれば残金2000万円分について譲渡所得税を支払うことになります。3000万円の特別控除は居住用資産は投機目的ではなく生活の本拠であり、売却しても再度資金を利用し高騰した住居を確保しなければならないので、譲渡所得を3000万円の範囲で免除しています。これを所得税法33条、及び「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」といいます。

制度趣旨から要件は以下のとおりになります。
@現に自分 (所有者) が住んでいる家屋とその敷地(借地権も含みます)両方を売却したこと。ただし、別荘、特例適用の目的、一時使用は勿論認められません。
A居住用の保護ですから、居住しなくなってから3年以内(その年の12月31日まで)に売却することが必要です。但し、住まないので建物を取り壊した場合は追加条件として取り壊し後1年以内に譲渡の契約及び、新契約から3年以内に居住することが必要です。又取り壊してから譲渡契約までの間、土地を事業利用(駐車場等)してはいけません。災害で家屋を失った場合は原則と同じです。
B売却した年の、前年および前々年に同じ特例、または居住用財産にかかる他の特例、収用等の場合の特別控除など他の特例(一部を除く) を受けていないこと。譲渡所得の例外規定ですが2000万円の贈与の特例と違い制度趣旨から3年毎に一度利用できます。
C居住用財産の譲渡における保護の必要性から所有期間の長短は関係ありません。
D売った相手が特別な関係者でないこと。却相手が配偶者、同居する親族、生計を一にする親族、内縁関係者、特殊な関係のある法人などの場合には、売却の必要性など悪用される危険があり特例が受けられません。
E税制上の保護を受ける納税者が要件を立証するため確定申告をしないと認められません(貴女の住民票、計算書類添付します。)。
F特例なので他の居住用財産の特例(買い替えの特例)と併用は認められません。
G夫婦(子でも)土地建物共有なら合計6000万円まで控除されますから重要です。
貴女の場合は、3000万円の範囲で免除となり、残3000万円の範囲で納税の必要が生じます。夫の取得時から20年すなわち5年以上経過していますから長期譲渡(5年以上は長期譲渡になるが税率は低額。投機性がなく税率上保護されています。10年以上でもさらに低額になります。)の税率が適用になります。

8.但し、貴女が8000万円で同じく住宅を購入する予定ですので、「特定の居住用財産の買換えの特例」を利用すれば、5000万円分全額についても譲渡所得税が免除されます(厳格に言うと譲渡所得税の繰り延べ、猶予です)。これは、何らかの理由により、住居を売却し他に住宅を探す必要性が生じた場合その度ごとに譲渡所得税を課すのは地価高騰の状況では、実質的資産の減少になるので最初の売買に限り免除したのです。従って、夫の取得時の取得原価3000万円をさらに引き継ぎますので、8000万で購入した不動産を売却する時にその差額を譲渡所得税として支払うことになります。以上両制度とも住居者の保護を目的としていますので、両制度の併用はできません。 貴女の場合、居住用資産の買い替えの特例を利用すべきです。3000万円控除は、再度次回不動産を売却する時に利用するのがいいと思います。

9.制度趣旨から「居住用資産の買い替え特例」の要件を整理しておきます。
@日本にある居住用の家屋と敷地(所有権、借地権)を住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること。
A売却した年の前年から翌年までの3年間に買換える日本にある居住用資産(土地建物、借地権も可。)を購入すること。
B買い替えした年の12月31日まで(売却の前に購入している場合は翌年12月31日までに)買換え先での居住を開始すること。売却した年の翌年に購入した場合は、居住開始期限が1年間延長することができます。
C土地と家屋の所有期間及び住居期間が、売却した年の1月1日現在で10年を超えていること。居住用資産の譲渡による居住者の保護が目的であり以上4つの制限が課せられます。
D3000万円の特別控除など売却した年の前年又は前々年において、他の居住用資産の特例を受けていないこと。
E買換える建物の床面積が50平方メートル以上であること、およびその敷地は500平方メートル以下であること。居住用資産なので面積が制限されています。
F買換えにより新たに取得する建物が耐火建築物の中古住宅(マンション等)である場合には、取得の日以前25年以内に建築されたものであること。ただし、耐火建築物以外の中古住宅及び平成17年4月1日以後取得する耐火建築物である中古住宅のうち一定の耐震基準を満たすものについては(証明書が必要)、建築年数の制限はありません(平成17年度税制改正で追加された内容です。)。
G売却した相手先が、特別な間柄でないこと。配偶者・親子・生計を一にする親族等3000万円控除と同様です。
H申告期間内に確定申告をすることは、3000万円控除と同じです。売却した金額よりも少ない金額で買換えたときは、少ない金額の部分について譲渡所得税がかかります。また、買換えが売却の翌年になるときには、確定申告書類に併せて買換えの承認を受けるための申請書を提出することが必要です。

10.700万円のローンの支払いですが、夫の支払い義務があるのに贈与する意思で支払うと贈与税がかかります。通常、貴女が不動産を売却したときには夫名義のローンを清算することになりますが(ローンがついたままで購入する人は稀ですから、売却代金はまずローン返済に充当するのが一般的です)、夫名義のローンを貴女名義の不動産売却代金から返済する点で、妻から夫への贈与となり、夫名義のローン700万円について贈与税の対象となります。ざっと計算すると、基礎控除110万円を差し引き、税率30%で、税額控除65万円を差し引くと、贈与税額は112万円です。これを夫が税務署に納めるという形になりますが、その場合でも、離婚手続の中で行うのであれば、財産分与という形を取ることにより、金額が法外ではない限り贈与税は発生しません。このあたりは、夫の問題ではありますが、貴女が夫に注意喚起してあげたら如何でしょうか。尚、700万円を夫に求償する手続きをとれば、夫の贈与税の支払いは問題にあたらないと思います。

11.さらに、8000万円で取得した住宅を何らかの理由により、更に売却する場合の取得原価は、3000万円となり、5000万円についてその時譲渡所得税を支払うことになります。買い替え資産の特例は、取得原価を変更するものではなく、地価高騰に伴う居住者の利益を考え、税金支払いを延納、一時免除したにすぎないからです。デフレの現在では利用が少ないと思われます。取得原価は、特例の趣旨から前の贈与時の原価(すなわち、夫の取得原価3000万円)を引き継ぎますが、税率を決める期間は原則通り8000万円の住宅取得時から計算し、前の期間を引き継ぎません。取得後5年内に売却すると短期譲渡になってしますので対策を考えましょう。但し、前記3000万円の居住用資産の特別控除をここで利用することは可能ですから結局2000万円について短期譲渡税を支払うことにはなります。

12.ただ、8000万円の住宅の売却が、購入後かなりの期間を経て行われることが多く、相続等により事情をよく知らない相続人が、契約書のみを閲覧し、譲渡所得税の申告を怠ると莫大な譲渡税、延滞税を課せられることがありますので注意しなければいけません。専門家との協議が必要です。

13.所轄税務署に事前相談を行い、意見の相違がある場合は、弁護士に税務署との折衝を依頼することも考えられます。

《参考条文》

<相続税法>
(贈与税の基礎控除)
第二十一条の五  贈与税については、課税価格から六十万円を控除する。
(贈与税の配偶者控除)
第二十一条の六  その年において贈与によりその者との婚姻期間が二十年以上である配偶者から専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利若しくは家屋でこの法律の施行地にあるもの(以下この条において「居住用不動産」という。)又は金銭を取得した者(その年の前年以前のいずれかの年において贈与により当該配偶者から取得した財産に係る贈与税につきこの条の規定の適用を受けた者を除く。)が、当該取得の日の属する年の翌年三月十五日までに当該居住用不動産をその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合又は同日までに当該金銭をもつて居住用不動産を取得して、これをその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合においては、その年分の贈与税については、課税価格から二千万円(当該贈与により取得した居住用不動産の価額に相当する金額と当該贈与により取得した金銭のうち居住用不動産の取得に充てられた部分の金額との合計額が二千万円に満たない場合には、当該合計額)を控除する。
2  前項の規定は、第二十八条第一項に規定する申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)に、前項の規定により控除を受ける金額その他その控除に関する事項及びその控除を受けようとする年の前年以前の各年分の贈与税につき同項の規定の適用を受けていない旨の記載があり、かつ、同項の婚姻期間が二十年以上である旨を証する書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
3  税務署長は、前項の申告書の提出がなかつた場合又は同項の記載若しくは添付がない申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
4  前二項に定めるもののほか、贈与をした者が第一項に規定する婚姻期間が二十年以上である配偶者に該当するか否かの判定その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

<租税特別措置法>
(居住用財産の譲渡所得の特別控除)
第三十五条  個人が、その居住の用に供している家屋で政令で定めるものの譲渡(当該個人の配偶者その他の当該個人と政令で定める特別の関係がある者に対してするもの及び所得税法第五十八条 の規定又は第三十三条 から第三十三条の四 まで、第三十七条、第三十七条の四、第三十七条の七若しくは第三十七条の九の二から第三十七条の九の四までの規定の適用を受けるものを除く。以下この条において同じ。)若しくは当該家屋とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡(譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含む。以下この条において同じ。)をした場合又は災害により滅失した当該家屋の敷地の用に供されていた土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡若しくは当該家屋で当該個人の居住の用に供されなくなつたものの譲渡若しくは当該家屋で当該個人の居住の用に供されなくなつたものとともにするその敷地の用に供されている土地若しくは当該土地の上に存する権利の譲渡を、これらの家屋が当該個人の居住の用に供されなくなつた日から同日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間にした場合には、当該個人がその年の前年又は前々年において既にこの項又は第三十六条の二、第三十六条の五、第四十一条の五若しくは第四十一条の五の二の規定の適用を受けている場合を除き、これらの全部の資産の譲渡に対する第三十一条又は第三十二条の規定の適用については、次に定めるところによる。
一  第三十一条第一項中「長期譲渡所得の金額(」とあるのは、「長期譲渡所得の金額から三千万円(長期譲渡所得の金額のうち第三十五条第一項の規定に該当する資産の譲渡に係る部分の金額が三千万円に満たない場合には当該資産の譲渡に係る部分の金額とし、同項第二号の規定により読み替えられた第三十二条第一項の規定の適用を受ける場合には三千万円から同項の規定により控除される金額を控除した金額と当該資産の譲渡に係る部分の金額とのいずれか低い金額とする。)を控除した金額(」とする。
二  第三十二条第一項中「短期譲渡所得の金額(」とあるのは、「短期譲渡所得の金額から三千万円(短期譲渡所得の金額のうち第三十五条第一項の規定に該当する資産の譲渡に係る部分の金額が三千万円に満たない場合には、当該資産の譲渡に係る部分の金額)を控除した金額(」とする。
2  前項の規定は、その適用を受けようとする者の同項に規定する資産の譲渡をした日の属する年分の確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨及び同項の規定に該当する事情の記載があり、かつ、当該譲渡による譲渡所得の金額の計算に関する明細書その他財務省令で定める書類の添附がある場合に限り、適用する。
3  税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添附がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添附がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類並びに同項の明細書及び財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
(譲渡所得の特別控除額の特例)
第三十六条  個人がその有する資産の譲渡(譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含む。以下この条において同じ。)をした場合において、その年中の当該資産の譲渡につき、第三十三条の四第一項、第三十四条第一項、第三十四条の二第一項、第三十四条の三第一項又は前条第一項の規定のうち二以上の規定の適用を受けることにより控除すべき金額の合計額が五千万円を超えることとなるときは、これらの規定により控除すべき金額は、通じて五千万円の範囲内において、政令で定めるところにより計算した金額とする。
(特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例)
第三十六条の二  個人が、平成五年四月一日から平成二十一年十二月三十一日までの間に、その有する家屋又は土地若しくは土地の上に存する権利で、その年一月一日において第三十一条第二項に規定する所有期間が十年を超えるもののうち次に掲げるもの(以下この条及び次条において「譲渡資産」という。)の譲渡(譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含むものとし、当該個人の配偶者その他の当該個人と政令で定める特別の関係がある者に対してするもの、第三十三条から第三十三条の四まで、第三十七条、第三十七条の四、第三十七条の七又は第三十七条の九の二から第三十七条の九の四までの規定の適用を受けるもの及び贈与、交換又は出資によるものその他政令で定めるものを除く。以下この条及び次条において同じ。)をした場合において、平成五年四月一日(当該譲渡の日が平成七年一月一日以後であるときは、当該譲渡の日の属する年の前年一月一日)から当該譲渡の日の属する年の十二月三十一日までの間に、当該個人の居住の用に供する家屋又は当該家屋の敷地の用に供する土地若しくは当該土地の上に存する権利で、政令で定めるもののうち国内にあるもの(以下この条及び次条において「買換資産」という。)の取得(建設を含むものとし、贈与又は交換によるものその他政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)をし、かつ、当該取得の日から当該譲渡の日の属する年の翌年十二月三十一日までの間に当該個人の居住の用に供したとき、又は供する見込みであるときは、当該個人がその年又はその年の前年若しくは前々年において第三十一条の三第一項、第三十五条第一項、第四十一条の五又は第四十一条の五の二の規定の適用を受けている場合を除き、当該譲渡資産の譲渡による収入金額が当該買換資産の取得価額以下である場合にあつては当該譲渡資産の譲渡がなかつたものとし、当該収入金額が当該取得価額を超える場合にあつては当該譲渡資産のうちその超える金額に相当するものとして政令で定める部分の譲渡があつたものとして、第三十一条の規定を適用する。
一  当該個人がその居住の用に供している家屋(当該個人がその居住の用に供している期間として政令で定める期間が十年以上であるものに限る。)で政令で定めるもののうち国内にあるもの
二  前号に掲げる家屋で当該個人の居住の用に供されなくなつたもの(当該個人の居住の用に供されなくなつた日から同日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間に譲渡されるものに限る。)
三  前二号に掲げる家屋及び当該家屋の敷地の用に供されている土地又は当該土地の上に存する権利
四  当該個人の第一号に掲げる家屋が災害により滅失した場合において、当該個人が当該家屋を引き続き所有していたとしたならば、その年一月一日において第三十一条第三項に規定する所有期間が十年を超える当該家屋の敷地の用に供されていた土地又は当該土地の上に存する権利(当該災害があつた日から同日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間に譲渡されるものに限る。)
2  前項の規定は、平成五年四月一日から平成二十一年十二月三十一日までの間に譲渡資産の譲渡をした個人が、当該譲渡をした日の属する年の翌年中に買換資産の取得をする見込みであり、かつ、当該取得の日の属する年の翌年十二月三十一日までに当該取得をした買換資産を当該個人の居住の用に供する見込みであるときについて準用する。この場合において、同項中「譲渡の日の属する年の十二月三十一日」とあるのは「譲渡の日の属する年の翌年十二月三十一日」と、「翌年十二月三十一日」とあるのは「翌々年十二月三十一日」と、「取得価額以下」とあるのは「取得価額とその取得価額の見積額との合計額以下」と、「当該取得価額」とあるのは「当該合計額」と読み替えるものとする。
3  第一項(前項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、第一項の規定の適用を受けようとする者の譲渡資産の譲渡をした日の属する年分の確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、当該譲渡資産の譲渡価額、買換資産の取得価額又はその見積額に関する明細書その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。
4  税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類並びに同項の明細書及び財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。
5  第三十三条第六項の規定は、第三項に規定する確定申告書を提出する者について準用する。この場合において、同条第六項中「代替資産」とあるのは、「買換資産」と読み替えるものとする。
6  前三項に定めるもののほか、譲渡資産及び買換資産の範囲その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(特定の居住用財産の買換えの場合の更正の請求、修正申告等)
第三十六条の三  前条第一項の規定の適用を受けた者は、譲渡資産の譲渡をした日の属する年の翌年十二月三十一日までに、買換資産を当該個人の居住の用に供しない場合又は供しなくなつた場合には、同日から四月を経過する日までに当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならない。
2  前条第二項において準用する同条第一項の規定の適用を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第一号に該当する場合で過大となつたときにあつては当該買換資産の同条第二項に規定する取得をした日(当該取得をした日が二以上ある場合には、そのいずれか遅い日。以下この項において同じ。)から四月を経過する日までに同条第二項に規定する譲渡の日の属する年分の所得税についての更正の請求をすることができるものとし、同号に該当する場合で不足額を生ずることとなつたとき、又は第二号に該当するときにあつては当該買換資産の取得をした日又は同号に該当することとなつた日から四月を経過する日までに当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならないものとする。
一  買換資産の取得をした場合において、その取得価額が前条第二項の規定により読み替えられた同条第一項に規定する取得価額の見積額に対して過不足額があるとき。
二  前条第二項に規定する譲渡の日の属する年の翌年十二月三十一日までに買換資産の取得をしていないとき、又は買換資産の取得をした場合において当該取得の日の属する年の翌年十二月三十一日までに買換資産を当該個人の居住の用に供しないとき、若しくは供しなくなつたとき。
3  第一項若しくは前項第二号の規定に該当する場合又は同項第一号に規定する不足額を生ずることとなつた場合において、修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、当該申告書に記載すべきであつた所得金額、所得税の額その他の事項につき国税通則法第二十四条 又は第二十六条 の規定による更正を行う。4  第三十三条の五第三項の規定は、第一項又は第二項の規定による修正申告書及び前項の更正について準用する。この場合において、同条第三項第一号及び第二号中「第一項に規定する提出期限」とあるのは「第三十六条の三第一項又は第二項に規定する提出期限」と、同号中「第三十三条の五第一項」とあるのは「第三十六条の三第一項又は第二項」と読み替えるものとする。(買換えに係る居住用財産の譲渡の場合の取得価額の計算等)
第三十六条の四  第三十六条の二第一項(同条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定の適用を受けた者(前条第一項若しくは第二項の規定による修正申告書を提出し、又は同条第三項の規定による更正を受け、かつ、第三十六条の二第一項の規定による特例を認められないこととなつた者を除く。)の同条第一項に規定する買換資産について、当該買換資産の取得の日以後その譲渡(譲渡所得の基因となる不動産等の貸付けを含む。)、相続、遺贈又は贈与があつた場合において、譲渡所得の金額を計算するときは、政令で定めるところにより、当該買換資産の取得価額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額(同項に規定する譲渡資産の譲渡に要した費用があるときは、政令で定めるところにより計算した当該費用の金額を加算した金額)とする。
一  第三十六条の二第一項の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額を超える場合 当該譲渡をした譲渡資産の取得価額等のうちその超える額に対応する部分以外の部分の額として政令で定めるところにより計算した金額
二  第三十六条の二第一項の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額に等しい場合 当該譲渡をした譲渡資産の取得価額等に相当する金額
三  第三十六条の二第一項の譲渡による収入金額が買換資産の取得価額に満たない場合 当該譲渡をした譲渡資産の取得価額等にその満たない額を加算した金額に相当する金額
(特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例)
第三十六条の五  個人が、平成五年四月一日から平成二十一年十二月三十一日までの間に、その有する家屋若しくは土地若しくは土地の上に存する権利で第三十六条の二第一項に規定する譲渡資産に該当するもの(以下この条において「交換譲渡資産」という。)と当該個人の居住の用に供する家屋若しくは当該家屋の敷地の用に供する土地若しくは当該土地の上に存する権利で同項に規定する買換資産に該当するもの(以下この条において「交換取得資産」という。)との交換(第三十三条の二第一項第二号に規定する交換その他政令で定める交換を除く。以下この条において同じ。)をした場合(当該交換に伴い交換差金(交換により取得した資産の価額と交換により譲渡した資産の価額との差額を補うための金銭をいう。以下この条において同じ。)を取得し、又は支払つた場合を含む。)又は交換譲渡資産と交換取得資産以外の資産との交換をし、かつ、交換差金を取得した場合(以下この条において「他資産との交換の場合」という。)における前三条の規定の適用については、次に定めるところによる。
一  当該交換譲渡資産(他資産との交換の場合にあつては、交換差金に対応するものとして政令で定める部分に限る。以下この号において同じ。)は、当該個人が、その交換の日において、同日における当該交換譲渡資産の価額に相当する金額をもつて第三十六条の二第一項の譲渡をしたものとみなす。
二  当該交換取得資産は、当該個人が、その交換の日において、同日における当該交換取得資産の価額に相当する金額をもつて第三十六条の二第一項の取得をしたものとみなす。
(贈与税の基礎控除の特例)
第七十条の二  平成十三年一月一日以後に贈与により財産を取得した者に係る贈与税については、相続税法第二十一条の五の規定にかかわらず、課税価格から百十万円を控除する。この場合において、同法第二十一条の十一の規定の適用については、同条 中「第二十一条の七まで」とあるのは、「第二十一条の七まで及び租税特別措置法第七十条の二(贈与税の基礎控除の特例)」とする。
2  前項の規定により控除された額は、相続税法その他贈与税に関する法令の規定の適用については、相続税法第二十一条の五の規定により控除されたものとみなす。

所得税法
(譲渡所得)
第三十三条  譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2  次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一  たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二  前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3  譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一  資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二  資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4  前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5  第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。

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