新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.841、2009/1/26 12:01 https://www.shinginza.com/qa-hasan.htm

【破産・免責の対象とならない債権は何か・賃料等・不法行為債権・税金・養育費】

質問: 私は,消費者金融に多額の借金がありますので,自己破産をすることを考えております。ただ,私は,消費者金融の返済に追われ,家賃の支払い(@)も滞納しており,近々退去する予定です。また,水道光熱費(A)や住民税(B)の滞納もあります。さらに,私は,最近,わき見運転をして,前を走行していた車に追突してしまい,被害者の車を損壊する(C)とともに,被害者に怪我を負わせてしまいました(D)。さらに,私には,妻と子がいたのですが,私の借金が理由で調停離婚に至り,その後,前妻から調停調書に基づき子の養育費(E)を請求されていましたが,支払うことができておりません。私が自己破産をした場合,消費者金融に対する借金のみならず,これら@からEの借金の支払義務もなくなるのでしょうか。

回答:
1.自己破産の申立てをして,裁判所の免責許可決定(破産法252条)が確定した場合,消費者金融に対する債務のみならず,@滞納している家賃の支払債務,A滞納している水道光熱費の支払債務,C被害者の車を損壊した点に関する損害賠償債務は,免責されて支払いの責任はなくなります。
2.また,D被害者に怪我を負わせた点に関する損害賠償債務も,あなたに「重大な過失」がない限り,免責されて支払いの責任はなくなります。
3.B滞納している住民税の支払義務,E養育費の支払義務は,その支払いの責任を免れません。
4.以下,詳しく解説いたします。

解説:
(破産法の免責制度について)

我が私法体系は,個人主義,自由主義により私有財産制,私的自治の原則が取られ,契約自由の原則を基に資本主義による自由競争社会が形成されています。自由競争は宿命的に敗者を生じ,勝者はさらに資本を増加し恒常的経済的破綻者を生むことになります。しかし,このような社会状態は,法の支配理念から導かれる私的自治の原則に内在する公正公平,信義則の原則により直ちに是正され,経済的破綻者は再度自由競争社会の一員として復帰し,再度対等な社会経済活動を行うことが認められなければなりません。そこで,破産法は,経済的破綻者の経済的再起更生を第一の目的とし,残された財産(破産財団といいます。法2条14項)をすべて清算して,全ての債権者に対して適正,公平,迅速低廉に分配するために制定されました(法1条)。従って,まず各債権者のために破産を宣告し,残り少ない全ての財産を清算する手続きを行いますが,この債権者を破産債権者(法2条5項,6項)といいます。次に,破産者の申し立てにより配当されなかった債務の免責を許可し(復権も伴う。法255条。),破産者の再起更生を図ることになります(法252条)。しかし,免責の理念は,公正,公平の原則から導かれるものであり,破産者であっても公平公正の理念から再起更生について保護に値しない者は免責の許可を受けることができませんし(法252条),仮に許可が出ても免責の効力が及ばない場合があります(法253条等)。しかし,どのような場合に公正公平の理念に反するか具体的に検討が必要となります。

ここで,破産債権と同じように破産財団から優先的に弁済を受ける財団債権(法2条7項)という概念について,免責の関係から説明しておきます。破産法は,破産者の迅速な経済的再起更生を図るため,破産宣告時を基準として破産債権者に平等弁済する財産の内容を決定し,破産者から管理処分権をはく奪しますが(法34条,これを固定主義といいます。対立概念は膨張主義で宣告後の財産も破産財団にします。),その後の財産は破産者が自由に管理し更生のために使うことができます(自由財産,新得財産といいます)。この破産財団から破産手続きに従い平等弁済を受ける権利を破産債権といいますが,破産手続きは,公平公正な清算手続き遂行から時間と労力を必要とし,当然に出費,負債が発生しますし,破産宣告後の債権ですから理論上破産者の宣告後の破産者の自由財産を引き当てにしてもいいのですが,破産者の再起更生を確保する必要上,又清算手続きの必要経費,共益的費用であり残された破産財団から優先弁済を受けることができる権利として認めているのです(法148条)。すなわち,財団債権は宣告後発生した債権であり原則的に破産債権とは異なります。その他例外的に,もともと破産債権の性格を有しながら,残り少ない財団から公益的理由により優先弁済を認める財団債権もあります。例えば,宣告前の租税債権,労働債権(法149条)です。免責との関係でいえば,本来の財団債権は,固定主義から宣告後の債権であり,そもそも免責の問題は生じませんし,破産債権の性格を有するものは理論上免責の対象として位置付けることができる関係にあります。

1.破産債権と財団債権
(1)まず,破産手続における破産債権と財団債権ついて,簡単に説明いたします。裁判所から破産手続開始決定が下されますと,債務者は破産者となり,債務者が有していた財産は,原則として,破産財団となり,ここから,破産者の債権者は配当を受けることになります。このように破産財団から配当を受ける債権が破産債権です。この破産債権となるのは,破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって,財団債権に該当しないものをいいます(破産法2条5項)。

(2)財団債権とは,破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権です(破産法2条7項)。破産債権に優先して弁済を受けることができます(破産法151条)。財団債権(破産法148条等)の多くは,破産手続開始後の原因に基づいて生じた債権者全体の共益的な性質を有する債権で,それ故,破産債権に優先する地位が与えられております。しかし,財団債権の中には,破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権で,本来は破産債権としての性質を有しますが,特別の政策的考慮により,財団債権としての地位が認められた債権もあります。この典型的な債権が,租税債権で(破産法148条3号),これは,国庫収入を確保するという政策的理由に基づいて認められたものです。

2.財団債権と免責の効力
(1)そして,破産法253条1項本文は,「免責許可の決定が確定したときは,破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる。」と,破産債権についての免責を規定しておりますが,財団債権については,性格上宣告後発生したものであり理論的に免責の対象になるものではりません。

(2)財団債権の多くは,上記のように,破産手続開始後の原因に基づいて生じた債権者全体の共益的な性質を有する債権で,これらについては,破産者の経済的再起更生を図るため,破産者の新得財産,自由財産に執行は許されず,破産財団の限度で責任を負うべきものであると考えられます(破産宣告後の自由財産は引き当てになりません)。よって,破産者は,これらの財団債権については,原則的に破産財団から全額支払うことができなかったとしても,破産手続終了後,残額について支払う義務はないと考えられます。

(3)しかし,租税債権のように,破産宣告前の原因に基づいて生じた債権であり,破産債権としての性質を有しますが,特別の政策的考慮により,財団債権としての地位が認められた債権については,破産者は,破産財団から全額支払うことができなかった場合,原則に戻り破産手続終了後,弁済を請求できることになります。仮に免責許可が出てもその効力は及びませんので,残額について支払う義務を負うことになります。破産者の再起更生よりも国民の納税義務(憲法30条)が優先されることになります。

3.破産債権の免責
次に,破産債権については,破産法253条1項本文は,「免責許可の決定が確定したときは,破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる。」と規定しておりますので,破産者は,原則として,免責されることになります。債務者が自己破産申立てを行う理由は,通常,免責を得ることが目的ですし,破産法は,債務者の経済生活の再生の機会を確保することを一つの目的として制定されておりますので(破産法1条),破産債権については,原則として,免責されることになります。

4.非免責債権
(1)但し,破産法253条1項但書は,「ただし,次に掲げる請求権については,この限りでない。」と規定し,様々の理由により,非免責債権を規定しております。以下,順に説明いたします。前述のごとく,公平,公正の理念から免責の効力を否定する場合を列挙しています。

(2)租税債権(破産法253条1項1号)
破産法148条1項は,「次に掲げる請求権は,財団債権とする。」と規定し,同条項3号は,「破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権(第97条第5号に掲げる請求権を除く。)であって,破産手続開始当時,まだ納期限の到来していないもの又は納期限から1年(その期間中に包括的禁止命令が発せられたことにより国税滞納処分をすることができない期間がある場合には,当該期間を除く。)を経過していないもの」と規定しており,租税債権は,基本的に,破産債権ですが,国家財政の確保という政策的理由により財団債権として国,地方公共団体を優遇しています。ただ,租税債権であっても,破産手続開始当時,納期限から1年を経過しているものは,破産法148条1項3号に該当せず,財団債権とはならず,破産債権となります。本条号は,破産者の再起更生より国庫収入を確保するという政策的目的を優先し,租税債権が破産債権となる場合でも,非免責債権であることを規定したものです。

(3)破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項2号)
悪意の不法行為者は公正な社会秩序を遵守する態度はなく,保護に値しませんので加害者に対する制裁の面からも望ましくないことから,非免責債権とされております。この点,「悪意」の意義が問題となります。そもそも,不法行為に基づく損害賠償債務に関する最も一般的な規定である民法709条は,「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定し,「故意又は過失」があれば,損害賠償債務を負うと規定しております。しかし,本条号が「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」に限定している以上,破産者の経済的更生を容易にする趣旨から「悪意」とは,単なる故意ではなく,他人を害する積極的な意欲,すなわち,「害意」を意味するものと解されます。結局のところ,「故意又は過失」に基づく不法行為に基づく損害賠償債務であっても,「悪意」で加えた不法行為に基づく損害賠償債務でない限り,原則として,免責されることになります。

(4)破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(破産法253条1項3号)旧破産法では,「故意又は過失」に基づく不法行為に基づく損害賠償債務であっても,「悪意」で加えた不法行為に基づく損害賠償債務でない限り,一律に,免責されておりました。人道上生命身体の被害を受けた者の権利を破産者の再起更生より優先しています。しかし,破産者が「故意又は重大な過失」により加えた「人の生命又は身体」を害する不法行為に基づく損害賠償請求権を免責の対象とするのは,破産者の再起更生を困難にし,加害者に対する制裁の面からも望ましくないことから,平成17年制定の新破産法で,非免責債権とされました。

(5)破産者が養育者又は扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権(破産法253条1項4号)
旧破産法では,これらの債権は,免責の対象とされておりました。しかし,夫婦間の協力及び扶助の義務(民法752条),婚姻費用分担義務(民法760条),子の監護に関する義務(民法766条等),親族間の扶養義務(民法877条から880条)などに係る請求権は,人の生存に関わる性質を有することから破産者の経済的更生よりも家庭内の義務を優先し,平成17年制定の新破産法で,非免責債権とされました。

(6)雇用関係に基づいて生じた使用人(労働者)の請求権及び使用人(労働者)の預り金返還請求権(破産法253条1項5号)
破産法149条1項は,「破産手続開始前3月間の破産者の使用人の給料の請求権は,財団債権とする。」と規定し,同条2項は,「破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権(当該請求権の全額が破産債権であるとした場合に劣後的破産債権となるべき部分を除く。)は,退職前3月間の給料の総額(その総額が破産手続開始前3月間の給料の総額より少ない場合にあっては,破産手続開始前3月間の給料の総額)に相当する額を財団債権とする。」と規定しており,使用人(労働者)の給料債権等は,租税債権と同様,財団債権となる場合があります。そして,上記のように,財団債権でも破産債権の性格を有しておりますが,労働者の生きる権利を保障するため破産者の再起更生よりも優先し,免責の効力を制限しています。ただ,使用人(労働者)の給料債権等であっても,破産法149条1項及び2項に該当しないものは,財団債権とはならず,破産債権となります。前述のように本条号は,労働者の保護という政策的理由から,使用人(労働者)の給料債権等が破産債権となる場合でも,非免責債権であることを規定したものです。但し,使用者である破産者が,法人である場合,法人は,破産手続終了により消滅するため,免責は問題になりません。もともと,免責は,破産手続終了後も生活を継続することになる自然人の場合にしか問題になりません。よって,本条号は,使用者である破産者が,自然人である場合,つまり,個人事業主の破産の場合を想定した規定になります。

(7)破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(破産法253条1項6号)
このような債権を免責の対象とすると,債権者の免責に対して異議を述べる権利を奪うことになり不公平ですし,不誠実な破産者は免責の効力を受ける資格がないので非免責債権とされています。但し,債権者が,当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていたときは,債権者の免責に対して異議を述べる権利を奪うことにはなりませんので,非免責債権とはなりません(破産法253条1項6号かっこ書)。

(8)罰金等の請求権
罰金,科料,刑事訴訟費用,追徴金,過料の請求権については,破産者の法的責任があり,公正の理念から,又制裁的意味を有するものであることから,非免責債権とされております。

5.以上の解説をまとめると,回答に記載した内容になります。より詳しく相談したい場合には,破産等の債務整理に詳しい弁護士に相談するのがよいでしょう。

≪条文参照≫

破産法1条(目的)
「この法律は,支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに,債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。」
破産法2条(定義)
1項「この法律において,「破産手続」とは,次章以下(第12章を除く。)に定めるところにより,債務者の財産又は相続財産を清算する手続をいう。」
4項「この法律において,「破産者」とは,債務者であって,第30条第1項の規定により破産手続開始の決定がされているものをいう。」
5項「この法律において,「破産債権」とは,破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(第97条各号に掲げる債権を含む。)であって,財団債権に該当しないものをいう。」
6項「この法律において,「破産債権者」とは,破産債権を有する債権者をいう。」
7項「この法律において,「財団債権」とは,破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権をいう。」
8項「この法律において,「財団債権者」とは,財団債権を有する債権者をいう。」
12項「この法律において,「破産管財人」とは,破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。」
14項「この法律において,「破産財団」とは,破産者の財産又は相続財産であって,破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するものをいう。」
破産法148条(財団債権となる請求権)
1項「次に掲げる請求権は,財団債権とする。」
1号「破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権」
2号「破産財団の管理,換価及び配当に関する費用の請求権」
3号「破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権(第97条第5号に掲げる請求権を除く。)であって,破産手続開始当時,まだ納期限の到来していないもの又は納期限から1年(その期間中に包括的禁止命令が発せられたことにより国税滞納処分をすることができない期間がある場合には,当該期間を除く。)を経過していないもの」
4号「破産財団に関し破産管財人がした行為によって生じた請求権」
5号「事務管理又は不当利得により破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権」
6号「委任の終了又は代理権の消滅の後,急迫の事情があるためにした行為によって破産手続開始後に破産財団に対して生じた請求権」
7号「第53条第1項の規定により破産管財人が債務の履行をする場合において相手方が有する請求権」
8号「破産手続の開始によって双務契約の解約の申入れ(第53条第1項又は第2項の規定による賃貸借契約の解除を含む。)があった場合において破産手続開始後その契約の終了に至るまでの間に生じた請求権」
2項「破産管財人が負担付遺贈の履行を受けたときは,その負担した義務の相手方が有する当該負担の利益を受けるべき請求権は,遺贈の目的の価値を超えない限度において,財団債権とする。」
4項「保全管理人が債務者の財産に関し権限に基づいてした行為によって生じた請求権は,財団債権とする。」
破産法149条(使用人の給料等)
1項「破産手続開始前3月間の破産者の使用人の給料の請求権は,財団債権とする。」
2項「破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当の請求権(当該請求権の全額が破産債権であるとした場合に劣後的破産債権となるべき部分を除く。)は,退職前3月間の給料の総額(その総額が破産手続開始前3月間の給料の総額より少ない場合にあっては,破産手続開始前3月間の給料の総額)に相当する額を財団債権とする。」
破産法151条(財団債権の取扱い)
「財団債権は,破産債権に先立って,弁済する。」
破産法253条(免責許可の決定の効力等)
1項「免責許可の決定が確定したときは,破産者は,破産手続による配当を除き,破産債権について,その責任を免れる。ただし,次に掲げる請求権については,この限りでない。」
1号「租税等の請求権」
2号「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」
3号「破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)」
4号「次に掲げる義務に係る請求権」
 イ「民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務」
 ロ「民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務」
 ハ「民法第766条(同法第749条,第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務」
 ニ「民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務」
 ホ「イからニまでに掲げる義務に類する義務であって,契約に基づくもの」
5号「雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権」
6号「破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)」
7号「罰金等の請求権」

民法709条(不法行為による損害賠償)
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
民法752条(同居,協力及び扶助の義務)
「夫婦は同居し,互いに協力し扶助しなければならない。」
民法760条(婚姻費用の分担)
「夫婦は,その資産,収入その他一切の事情を考慮して,婚姻から生ずる費用を分担する。」
民法766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
1項「父母が協議上の離婚をするときは,子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は,その協議で定める。協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,家庭裁判所が,これを定める。」
2項「子の利益のため必要があると認めるときは,家庭裁判所は,子の監護をすべき者を変更し,その他監護について相当な処分を命ずることができる。」
3項「前二項の規定によっては,監護の範囲外では,父母の権利義務に変更を生じない。」
民法877条(扶養義務者)
1項「直系血族及び兄弟姉妹は,互いに扶養をする義務がある。」
2項「家庭裁判所は,特別の事情があるときは,前項に規定する場合のほか,三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。」
3項「前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは,家庭裁判所は,その審判を取り消すことができる。」
民法878条(扶養の順位)
「扶養をする義務のある者が数人ある場合において,扶養をすべき者の順序について,当事者間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,家庭裁判所が,これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において,扶養義務者の資力がその全員を扶養するに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても,同様とする。」
民法879条(扶養の程度又は方法)
「扶養の程度又は方法について,当事者間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,扶養権利者の需要,扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して,家庭裁判所が,これを定める。」
民法880条(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
「扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは,家庭裁判所は,その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。」

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