新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.745、2008/1/31 16:06

【民事・振込め詐欺と被害回復の方法・不当利得・不法行為・債権者代位権】

質問:私は、いわゆる振り込め詐欺の被害者です。「オレ、オレ」などと名乗る者から電話を受け、自分の孫であると誤信し、約300万円を某銀行の普通預金の指定口座に振込入金しました。現在、口座は振込め詐欺に利用されたものとして凍結されています。ちなみに、振込口座の預金者は氏名不詳であり、実在しないとのことです。この場合、私は300万円を泣き寝入りする他ないのでしょうか。

回答:
1.貴方が振り込んだ先の預金は凍結されているということですが、凍結の手続き仮差押手続き等については事例集bU94号を参照してください。
2.次に、口座名義人に対して不当利得による返還請求訴訟、不法行為による損害賠償を提起し、債務名義を取得して預金口座(預金債権)を差し押さえて強制執行してください。
3.又、振込先口座の預金者に対する不当利得返還請求権を被保全権利として、当該預金者の銀行に対する預金返還請求権を代位行使することで、取戻しが可能です。これを認める裁判例があります(東京地方裁判所平成17年3月30日判決、東京地方裁判所平成17年3月29日判決等)。この判例では債権者代位権訴訟の無資力要件は事実上緩和されていますから、債務名義取得は可能と思われます。
4.従って、詐欺行為をしたものが氏名不詳者であっても、口座がオレオレ詐欺の振込先として利用されたものであることを立証できれば、返還を受ける余地があることとなります。

解説:
1、(振り込め詐欺の定義)「振込め詐欺」とは氏名不詳者が、消費者の親族等密接な身分関係がある者であることを装い虚偽の事情を説明して、現金の振込みを要請するいわゆる「オレオレ詐欺」や、もともと存在しない債権があるかのように主張して、債権者を装って弁済名目に金銭の支払いを強制する「架空請求」等の総称をいいます。例えば、ある闇金業者からお金を借りた債務者に対し、他の闇金業者が債権譲渡を受けた事実がないのに債権があるかのように主張して、債権を譲り受けたと称する闇金業者が指定した振込口座に金銭支払を強制するような場合が典型例といえます。

2、(犯罪性)これらの行為は明らかに、詐欺罪(刑法246条)や組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(組織的詐欺)が成立します。詐欺罪は懲役10年以下、組織的詐欺(第3条9号)は1年以上の有期懲役(最高15年です。刑法12条)となっています。さらに、銀行口座の売買も犯罪です。これは、口座を買う側だけでなく、売る側にも罪が問われます。本人確認法(金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律)では、他人になりすまして口座開設をおこなったり、預金通帳やキャッシュカードを他人から譲り受けたり、他人に売り渡したりすることも禁止されています。銀行口座は、様々な振り込め詐欺事件で悪用されています。口座を売った側が「何に使われたか分からない」「自分は知らなかった」という言い訳は通用しません。罰則は50万円以下の罰金ですが、「口座屋」として業として行った場合には2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はその両方となっています。詐欺罪に該当押します。(事例集bU94号の抜粋です。参照)

3、(預金凍結)これらの騙し取られた資金を取り戻すためには、振り込み詐欺の犯人が振込先の預金口座から引き落とす前に、一刻も早く凍結しなければなりません。凍結する手続、方法は、前記bU94号を詳しく読んでください。

4、以下、貴方が振り込んだ預金口座が法的に凍結されていることを前提にしてお話いたします。

5、(被害金の取戻し)運良く振り込み詐欺の犯人が預金から引き落とす前に銀行法、仮差押等により凍結された場合でも直ちに被害金が戻ってくるわけではありません。貴方が銀行から実際に300万円を取り戻すためにはbU94号で述べているように、直ちに詐欺犯人、口座名義人等が刑事事件として立件されて押収(刑訴99条、101条 差し押さえ、領置等、刑訴222条で被疑者に準用)され、被害者に返金される場合がありますが(刑訴123条、同124条、以上は刑訴222条で被疑者に準用されています。その他、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律による救済もございます)貴方の場合、刑事事件が立件されるかどうか不明ですからこれを待っているわけにはいきません。

6、(訴訟の問題点)そこで被害金の返還を求める訴訟(不当利得、不法行為を理由とする請求訴訟)を提起し、債務名義(確定判決のことです)を得て当該預金口座(預金債権)を差し押さえすることになりますが、勿論、他人の口座財産を差し押さえできませんから債務名義の被告と預金口座の名義人が同一でなければ、せっかく債務名義を得ても差し押さえが出来ません。そこで問題は、詐欺による損害賠償等請求訴訟の相手方を誰にするかという点です。というのは、口座名義人と詐欺をした者とが同一であれば(または同一と判断可能であればいいわけですが)問題はありませんが(弁護士照会請求の情報を基に訴えを提起すればいい訳です)、このような事件の場合、捜査の追及を逃れるため他人の口座名義を利用しているのが通常です。このような状況で詐欺犯を相手に訴えを提起して債務名義をとっても実効性がなく無意味ですし、そもそも訴訟提起には被告の特定が不可欠ですから、本件のように被告の名前、住所が不明であれば特定が出来ず訴えを提起することさえ出来ません(民訴133条)。又、口座名義人は、詐欺行為をしていませんから口座名義人に対しても不当利得返還請求、損害賠償請求が可能かどうかも問題となってきます。

7、(訴訟の方法)このような場合、口座名義人を被告として不当利得返還請求訴訟又は、不法行為による損害賠償請求を提起すべきであると考えます。

8、先ず不当利得返還請求訴訟について説明します。
(1)その問題点を検討してみましょう。不当利得とは、民法704条に規定があり、定義は法律上の原因がないのに他人の財産等により利得を得てそのためその他人に損害を及ぼす行為を言います。例えば、債務がないのに支払いをした場合です。支払う義務がないのに弁済したのですから返してもらうのは当然です。しかし本件では、口座名義人は詐欺行為をしていませんから「法律上の原因なくして利益を得ている」といえるかどうか問題になります(利得と損失の因果関係の問題と捉える説もあります)。確かに、貴方との関係では300万円を受領する理由はありませんが、今回の送金は不当利得の当事者以外の第三者である犯人の指示で送金しており、不法な方法ではありますが、犯人との関係では口座名義人に受領する理由が存在するかもしれません。金銭に名前はありませんし口座名義人が事情をまったく知らない場合もありえますので、一概に法律上の原因がないとは言い切れません。

(2)そこで、この抽象的な「法律上の原因なくして」という概念の解釈ですが、利得と損失に因果関係(制度上不法行為の相当因果関係より広く解されています)があれば、法の理想である当事者の衡平上利得を保有すべき理由がないという意味であり、本件のように第三者の行為が介在している場合は、具体的に言えば利得を得た原因との関係、その原因の内容を利得者が知っていたか、知りうる状況であったか、損失者側の損失にいたる事情等を総合的に判断し、公平という法の理想から決する事になります。

(3)不当利得の制度趣旨は、私的自治の原則において適正公平な取引社会秩序を最終的に補完、充実させるところにあります。私的自治の原則の中核は契約自由の原則と過失責任主義ですから、当事者の債権債務関係は契約の解釈、不法行為理論により解決されることになりますが(その他事務管理があります)、契約関係もなくそして不法行為にも該当せず利得と損失のアンバランスが生じた場合に信義則、権利濫用等の一般原則を適用する前に、この不公平な状態を法規定によって解消するのが不当利得制度です。従って、その性質上703条のように抽象的にならざるを得ませんし、「法律上の原因なくして」の解釈も前述のようになり、両当事者の事情を詳細に検討し法の理想から個々具体的に解決していく他ないのです。従って、利得、損失の因果関係も不法行為、債務不履行のように相当因果関係説がとられていないのです(従って本件を因果関係の問題としては捉えません)。

(4)本件を検討してみると、犯人と口座名義人の関係は不明ですが、犯罪行為に利用された口座ですから詳細は不明であっても、犯人との結びつきはあるはずです。この何等かの関連性があれば利得保有に正当な権限が認められませんし、他方、損失者は口座名義人と関連性がある者の犯罪行為により生じていますから、公平上法律上の原因がないということができる事になります。また、因果関係も一連の行為を全体的に評価すれば認めることが可能です。被告がどう答弁するかにも関係すると思いますが、争うことはないようにも思いますし、被告欠席の可能性は大きいと思います。なぜなら答弁内容により自ら詐欺事件その他の犯罪行為として嫌疑を受ける可能性があるからです。被告が出席しても答弁により自らの正当性を主張することは出来ませんので、事実上否認の形となり弁論の全趣旨から法律上の原因がないことが認められる可能性が高いと思います。尚、訴状が届かないようであれば公示送達の手続になるでしょう(事例集bU66号参照)。

(5)従って、口座名義人に対する返還訴訟を直ちに提起してください。

(6)判例をご紹介します。
@前橋地方裁判所 平成16年1月22日、平成15年(ワ)第556号(不当金利得返還請求事件)。原告の息子の妻が借金で困っているとの振り込め詐欺で被告欠席のまま請求が認められました。

A最高裁判所 平成四年(オ)第四一三号 平成八年四月二六日第二小法廷判決(第三者異議事件)。これは、賃借人(損失者)が賃料を間違って、賃貸人とはまったく別な第三者の口座に振り込んだところ、第三者の口座が別な債権者により差し押さえになり第三者異議の訴えを起こした事件です。最高裁は暴論として、誤って振り込んだ賃料は不当利得で返還請求できる旨の判断をしており、本件のように騙されて振り込んだ場合の理論構成の参考になると考えられます。

B東京簡易裁判所 平成16年(少コ)第3704号、平成17年3月25日判決 振込め詐欺による被害者が口座名義人に不当利得返還請求した事案であり、被告は詐欺について無関係であると答弁したが、法律上の原因がないとして請求を認容しています。妥当な判決です。

9、不法行為による損害賠償請求訴訟について
(1)(問題点の指摘)不法行為は、被害者に対して故意、過失による違法な侵害行為が必要ですが、口座名義人は直接詐欺行為を行っていませんので、そもそも不法行為が認められるか問題になります(民法709条)。

(2)確かに、直接不法行為を行っていませんが、振込み詐欺においては詐欺行為と振込先口座の存在は不可欠であり、口座名義人に共同不法行為の可能性が存在します。

(3) 民法719条の共同不法行為の要件である「共同の不法行為」の意味は、刑法上の共同正犯と異なり共謀などの意思の連絡は不要であり(主観的共同は不要です)、共同行為者の各々の行為が客観的にみて被害者に対して違法に権利侵害を行えばいいのであり(客観的共同)、故意行為と過失行為であっても共同性は認めれことが出来ます。最高裁判例昭和32年3月26日、その他の判例も同様です。刑事上の共同正犯は、個人の刑事処罰を目的にしますから連帯責任を認めるためには刑罰を受ける理論的根拠(事例集bV35号参照)から必ず犯罪者の意思の連絡が必要なのです。しかし、民事上の共同不法行為は、違法行為による金銭的損害の公平な分配の問題であり主観的共同の必要性が要求されません。

(4)そこで本件を検討すると、口座名義人に犯人と一定の関連性があれば、例えば、単に口座を使わせたとか、通帳、カード、印鑑を紛失したという口座名義人の過失行為という評価により共同不法行為は成立の可能性があります。

(5)従って、損害賠償請求訴訟を提起することができます。

(6)以上の方法は、訴訟にて判決を取得して、債務名義により口座名義(口座名義人の預金債権を差し押さえる)を差し押さえし、銀行側から支払いを受けることになります。

(7)この場合は、犯罪行為により振り込まれた300万円について、そもそも口座名義人に預金契約による返還請求権自体があるかどうか問題があります。というのは、犯罪行為による振込み自体を知らないような口座名義人に返還請求権(預金契約の成立)を認めていいか問題があるからです。この点、先ほどの最高裁判所 平成四年(オ)第四一三号 平成八年四月二六日第二小法廷判決は、間違って振り込まれた金員について振込みの原因如何に関わらず、口座名義人と銀行の預金契約が成立すると明言しています(高裁は否定)。現金振込みの性質上銀行側が振込みの原因関係を調査することは不可能であり、無数の取引行為を安全迅速に処理するためには判例の見解が妥当と考えられます。

(8)以上より、貴方が取得した判決を債務名義として強制執行手続を行って300万円を取り戻すことになります。

10、(債権者代位訴訟)次に、銀行に直接口座名義人に代わって訴訟を提起することが出来るかどうかを検討します。すなわち、口座名義人が銀行に対して有する預金返還請求権を口座名義人に代位して行使し、直接貴方が銀行に支払請求することです。これを債権者代位権といいます。銀行に対して直接判決を取得できれば、銀行側が自発的に支払ってくれれば(銀行ですから通常は支払ってくれるでしょう)強制執行の手続が不要になり検討が必要です。
(1)貴方は、口座名義人に不当利得による返還請求権もございますし、口座名義人も銀行に対して預金契約により300万円の返還請求権を有していますから権利関係自体は問題がありません。

(2)しかし、この権利を行使するには債務者である口座名義人の無資力が要件とされます。すなわち、債務者に当該権利以外に財産が存在しないという事です。

(3)条文上無資力とは書いてありませんが、「債権を保全するため」という文言により原則的に「無資力」が要件となっています。なぜかというと、本来債権者といえども物権と異なり債権の性質上相手方に履行を求める請求権を有するだけですから、債務者がどのように権利行使するかは本来自由であり、債務者自身の権利を勝手に代位行使できるはずがありません。しかし、担保権者と異なり一般債権者の担保は、債務者の一般財産しかありません。その債務者が、当該権利(債権等)の他に担保となる一般財産が存在しないのに権利行使を放棄し、実質上債務者の財産確保が出来ないような状態であれば、適正、公平な取引秩序を保持する必要上、一般債権者の保護のために債務者の権利行使の自由を制限し、財産管理に介入し(当該一般財産確保の必要性から)例外的に債権者に代位行使を認めるのです。これが無資力の要件の理由です。

(4)そこで、犯罪行為等の不法行為が原因で振り込まれたような場合も、口座名義人の無資力を必要とするか問題になります。というのは、この様な一般取引以外の当事者の場合財産状態を調査することは事実上困難であり債権者に過度な条件を要求する事にもなりかねないからです。

(5)本件のような犯罪行為(不法行為)による振込みによる利得についての請求権を代位行使する場合は、無資力の要件は緩和されるものと解釈します。
@無資力の要件を必要とする理由は、債務者の権利行使の自由を不当に制限しては、個人の財産管理権を侵害するところにあります。そうであるならば、本件犯罪行為による振込みの利得は、振込みの事情を知っているといないとに関わらず、実質的に口座名義人の財産ではなく法的保護の対象ではありませんから、債務者の私的財産権侵害の危険は存在せず、他方、被害者の請求権は保護の必要性が大きいのであり、当事者の公平、適正な取引秩序維持という観点から「無資力」という要件は、債務者が法的に保護されるべき特別な事情を主張しない限り緩和されることになります。すなわち、無資力の要件は、本来保護に値する債務者の財産関係の存在を前提にしますが、口座名義人の預金は犯罪行為と一定の関連性が認められ保護の前提を欠如していると評価できるからです。

A又、判例は、(昭和四八年(オ)第三六九号同五〇年三月六日最高裁第一小法廷判決土地所有権移転登記請求事件、最高裁判決昭和29年9月24日等)保全する権利、代位行使する権利の性格により無資力を要件としない場合(保全債権と代位行使する権利の内容と当事者の保護の必要性、公平性から)をかなり拡張して認めています。例えば、転売等で自らの登記請求権を保全するために売主の前主への登記請求権を代位行使するように特定債権の保全のために特定債権を代位行使する場合が典型例です。このような場合、一般財産の保全の意味はありませんから、無資力要件は不要であり代位権の制度趣旨から妥当な結論です。後述のように、地方裁判所の判例は、無資力要件について振り込み詐欺も場合に推認できると説明しているので結論は同様になります。

(6)本件では、代位行使を認めても債務者に特に不利益な事情は見当たりませんから、無資力の要件は緩和して代位行使を認める事が出来るでしょう。

(7)次に、口座名義人の銀行に対する預金返還請求権の代位行使により300万円を直接貴方に支払えと求める事が出来るかが問題となります。

(8)条文上不明ですが、直接請求することが出来ると解釈すべきです。代位権の目的は、窮した債務者の一般財産の現実的確保ですから債権者への請求を認めないと、一旦債務者に返還させ更に再度当該金員を差し押さえなどの強制執行しなければなりませんから迂遠ですし、万が一、当該財産が債務者により処分された場合、代位権行使の目的は事実上失われてしまうからです。判例も同意見です。

(9)最後に判例をご紹介します。
@ 東京地方裁判所 平成15年(ワ)第29098号 平成17年3月29日民事第17部判決 この判決は、振り込め詐欺について、詐欺犯人とは別人である口座名義人の無資力要件を推認して、口座名義人に対する不当利得返還請求権自体も肯定して債権者代位権による被害者への支払請求を認めています。理論的にも妥当な判決です。

A東京地方裁判所 平成16年(ワ)第14793号、平成17年3月30日民事第34部判決 (不当利得返還請求事件) この判決も振り込め詐欺について、犯人と名義は異なっていても振り込み詐欺の犯人所有の口座であると推定し、更に、無資力を推定する形で名義人に対する不当利得請求を認容しています。結論は妥当な判決ですし被害者にとっては有意義な判決です。被害者救済に重要ですから判決文を抜粋します。「原告らは電話をかけてきた氏名不詳者らに対し振込金と同額の不当利得返還請求権を有し、その氏名不詳者が振込先として指定した銀行口座を所有しているものと認められるところ、所在も明らかでない氏名不詳者に対して直接債務名義を取得する方法は現行法制上存在しないし、当該氏名不詳者の財産と認められるものは上記各口座についての預金払戻請求権以外には見当たらないのであるから、原告らとしては、自己の不当利得返還請求権を保全するには当該預金払戻請求権を代位行使するほかなく、保全の必要性は優に認められる。」

≪条文参照≫

刑事訴訟法
第九十九条  裁判所は、必要があるときは、証拠物又は没収すべき物と思料するものを差し押えることができる。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。
○2  裁判所は、差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずることができる。
第百一条  被告人その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。
第百二十三条  押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない。
○2  押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付することができる。
○3  前二項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
第百二十四条  押収した贓物で留置の必要がないものは、被害者に還付すべき理由が明らかなときに限り、被告事件の終結を待たないで、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、決定でこれを被害者に還付しなければならない。
○2  前項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張することを妨げない。
第二百二十二条  第九十九条、第百条、第百二条乃至第百五条、第百十条乃至第百十二条、第百十四条、第百十五条及び第百十八条乃至第百二十四条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条、第二百二十条及び前条の規定によつてする押収又は捜索について、第百十条、第百十二条、第百十四条、第百十八条、第百二十九条、第百三十一条及び第百三十七条乃至第百四十条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第二百十八条又は第二百二十条の規定によつてする検証についてこれを準用する。但し、司法巡査は、第百二十二条乃至第百二十四条に規定する処分をすることができない。
(不当利得の返還義務)
第七百三条  法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
(共同不法行為者の責任)
第七百十九条  数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2  行為者を教唆した者及び幇助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

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