新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.712、2007/12/3 15:13 https://www.shinginza.com/qa-souzoku.htm

[家事・共同相続と不動産の登記手続き]

質問:父が10年近く前に他界しました。相続人は、兄と私の二人です。父所有の土地がありましたが、その後特に兄から何も聞かされていません。遺言はありません。現在土地がどうなっているか調べたいのですが、どうすればいいですか?もし、まだ父の名義だった場合には、どのような手続きが必要になりますか?

回答:まず、現在の名義人(所有者)を調べます。遺言書がある場合は別として、名義がお父様名義のままでしたら、相続登記を入れる必要があります。相続登記には、法定相続分(お兄様との共有名義で持分2分の1ずつ)による登記(以下「共同相続登記」といいます)と、遺産分割の後に申請する相続登記があり、共同相続登記の申請には、実印の押印や印鑑証明書の添付等が必要ありませんので、ご自身だけで手続きを行うことも可能です。お兄様との遺産分割協議の結果、法定相続分と異なる持分や単独で土地を取得することとなった場合には、遺産分割協議書(実印押印、印鑑証明書添付)を作成する必要がありますので、お兄様の協力が必要になります。また、既に共同相続登記がなされている場合には、遺産分割協議を行い、その内容に沿った登記を申請します。以下、詳しく解説します。

解説:
最初に貴方は、お父様が亡くなられてお兄様と土地を相続したのですからお父様から息子さん2人に土地の所有権が移転したことになります。土地と建物は不動産(民法86条)といわれ同じ財産である動産(お金、宝石、その他の有体物、民法86条2項)、債権とは違い(公示を認める特別法もございます)全て権利の発生、移転、変更、消滅の関係が公に開示されることになっています。これを登記制度(民法177条、不動産登記法)といいます。どうして不動産だけこのような公示制度があるか先ずご説明します。不動産登記制度は、不動産取引の安全を確保して適正な取引社会を実現するために存在します。177条は、「不動産に関する物権(所有権等)の得喪変更は不動産登記法等の登記をしなければ第三者に対抗できない。」とだけ規定しており、これだけ読んだだけでは一般の人には取引の安全を保護する趣旨をよく理解できないと思います。

わが憲法が採用する自由主義のもと私的自治の大原則、契約自由の原則から言えば、契約方式の自由も認められ不動産取引も法律行為である以上方式を必要としませんので当事者の意思表示のみで契約できるので(民法176条)所有権移転も有効に出来るはずです。しかし、不動産の所有者と称している人がたとえ所有権取得を証明する権利証、契約書等を個人的に所持していたとしても盗難に会ったものかも知れず実際本当の権利者かわかりません。不動産の経済的価値は大きいですから後になって真実の権利者でない事が判明したらいくら大金を支払ったとしても権利者でないものから譲り受けても権利を取得することはできません。そうすると取引するものは安心して不動産売買が出来ませんので結果的に契約を差し控えるようになり取引社会が停滞し適正な取引秩序を維持できない事になります。

そこで、国家が、例外的に私的自治に介入し(自由主義は基本的に私的関係には国家が介入しません)公的制度として不動産に関する真実の権利者、権利関係を登録公示する制度を作り取引しようとする者が真の権利者から安全に権利を取得する事が出来るようにしたのです。これが登記制度です(従って不動産以外でも重要な権利関係に公示制度が設けられています。船舶、会社、商業登記)。しかし、私的法律関係の基本は契約自由の原則によって成り立っており権利の移転等は当事者の自由意志、無方式でできる事が望ましいのでこれを尊重しなければならず、登記を当事者以外の人に対する対抗要件として位置付けました。すなわち、不動産取引の当事者間では契約の意思表示だけで権利移転が出来るけれども、これを当事者以外の人(正当な利益がある人)に主張するためには登記をしなければならないということです。これが民法177条の意味となります。

したがって、いくら大金を支払い、不動産の権利を取得しても自分で積極的に国家が用意する登記制度(法務局)を利用し届け出ないと権利の保護を受けられないことになってしまうのです。不動産を譲渡しながら買い手が登記をしないうちに悪い売主が別の第三者に譲渡し登記を先にしてしまうとその第三者が結果的に権利者という事になります(勿論代金は返してもらうことは出来ます)。以上のように不動産の権利を取得したものは自己の権利確保を万全にするためには積極的に自分の意思で登記の届出の必要があり、これは相続による権利移転でも同じことになります。ただ登記制度は、私的自治の大原則から個々の取引関係を具体的に調査しませんし、無数の取引行為について真の権利者を保護し不動産取引の安全を確保するという目的を効率的に実現するため事前に一律的に届出の書類を定めて要件を満たす書類がないと受け付けないことになっています(逆に言うとその書類がそろっていると実態に合わなくても登記されてしまう危険も存在するのです)。従って、貴方が望む父親の不動産権利関係の調査は、先ず登記関係を調べることから始めることになりますし、相続により権利を取得しても登記をする必要があります。以下その手続をご説明します。

1.現在の名義人が誰であるかを確認する方法は以下のとおりです。
(1)現在の名義人は、法務局(法務省の地方機関で登記等の事務を行います)で土地の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得すれば、確認することができます。登記事項証明書を取得するには、3つの方法があります。法務局は、公的機関であり国民の取引の安全を守るため問い合わせれば何でもアドヴァイスしてくれます。
@直接、当該土地を管轄する法務局(管轄する法務局は、法務局のHPから調べられます。http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/)に出向いて取得します。管轄する法務局がコンピューター化された法務局である場合には、他のコンピューター化された法務局においても、登記情報交換制度を利用して、当該土地の登記事項証明書を取得することも可能です。
A郵送での交付申請も可能です。この場合には、所定の登記事項証明書交付申請書(法務省のHPからプリントアウトすることができます。)に必要事項を記載し、80円切手を貼った返信用封筒を同封して、管轄する法務局に請求します。
Bパソコンからも交付請求することができます。オンライン庁の指定を受けた法務局では、インターネットを利用してパソコンから請求することが可能です。パソコンから請求した登記事項証明書は、郵送で送られてきます。ただ、このシステムを利用するには、事前の準備(パソコンの設定環境を整える等)が必要となります。詳しくは、法務省のHPでご確認下さい。また、登記事項証明書を取得しなくとも、管轄法務局がコンピューター化されていれば、パソコンを利用して当該土地についての登記情報を確認することができます。このシステムは「オンライン登記情報提供制度」と呼ばれます(詳しくは、法務省のHPでご確認下さい。)。ただし、この方法で取得した情報をプリントアウトしたものについては、法務局の認証がないため、公的文書である登記事項証明書の提出を求められた場合には、利用できませんので注意が必要です。

(2)登記事項証明書交付申請書には、土地の「地番」を記載します。「地番」が判らない場合には、登記事項証明書は請求できません。現在、多くの市区町村で住居表示が実施され、「住所」と「地番」が異なることが多く見られます。住居表示が実施されていなければ、「住所」と「地番」は同一になります。例えば、「○○市××町一丁目2番3号」であれば、住居表示が実施されていますので、当該土地の地番は別に存在することになりますが、「○○市××町一丁目2番地3」であれば、住居表示は実施されていないので、この地番で登記事項証明書を請求することができます。地番は、法務局に備え付けられている地図で調べることもできますし、市区町村役場で確認することも出来ます。当該土地の権利証や固定資産税納付書等にも記載されていますので、一度ご確認ください。

2.現在の名義人が、お父様のままの場合
当該土地は、相続財産になりますので、遺言書がある場合は別として、相続登記を申請する必要があります(民法第896条)。勿論登記制度は安全な取引の保護を受けようとする者が自ら利用する制度であり、申請する法的義務があるということではありません。相続人は、お父様の子供である、お兄様とご相談者様のお二人になりますので、その相続分は等しく、各2分の1となります(民法第887条、900条4項)。これを法定相続分といいます。なお、遺言書が作成されているような場合には、法定相続分と異なる相続分の指定や、遺産分割方法の指定、あるいは遺贈などが考えられます(民法第902条、908条、964条)。この場合は、遺言書の記載内容に従って登記を申請することになります。以下、遺言書がない場合について、ご説明します。相続登記の方法としては、@遺産分割協議をせずに、法定相続分による相続登記(共同相続登記)を申請する方法と、A遺産分割協議を行い、協議の内容に従って登記を申請する方法があります。

(一)共同相続登記
当該土地は、相続開始と同時に共同相続人であるお兄様とご相談者様の二人の共有となります(民法第898条、899条)。遺産分割協議が成立するまでの間は、相続財産はその相続分に応じて相続人の共有財産となることから、保存行為として、各相続人は全員のために、単独で法定相続分による登記することができます(民法第252条但書、不動産登記法第63条2項)。ただし、共同相続人の一人が自己の持分についてのみ、相続登記を申請することは認められていません(昭和30.10.15民甲2216民事局長電報回答・先例集追T482頁)。これは、一時的にせよ、被相続人と相続人との共有という事実に反する関係が公示されることは真実の権利関係を公示するという登記制度の理想から極めて不適切であり、また全員のために登記が申請できる以上、自己の持分についてのみの登記を認める必要がないためと言えるでしょう。共同相続登記の申請に必要な書類は以下のとおりです。

1 登記原因証明情報
登記原因証明情報として、原則、お父様の出生から死亡までの身分関係が明らかになっている戸籍謄本及び除籍謄本等、並びに相続人の戸籍謄本が必要になります。先ず、真実の権利者は誰かを確認しなければならず、これらの書類により、本当に相続が開始したか、相続人が誰であるのか、他に相続人はいないか等が証明されます。
2 住所証明書
お兄様とご自身の住民票、戸籍の附票または印鑑証明書等を住所を証する書面として添付します。相続人すなわち権利者である事を特定するため住所を明らかにし真実の権利関係を更に詳しく公示するため戸籍謄本の他に必要となります。そのためお権利者である兄さんの住民票も必要となります。弁護士に依頼すると職務請求で取ることができます。
3 委任状
代理人に依頼する場合に必要となります。お兄様とご相談者様の双方にご用意いただいても構いませんし、どちらか一方のみにご用意いただくのでも構いません。尚、実印、印鑑証明書は不要です。なぜなら、印鑑証明書の必要な理由は、当該登記申請によって権利を失い不利益を受ける人(例えば土地の売主)の意思確認のためにありますから、貴方とお兄様は相続により権利者になり利益を受ける立場ですから不要となるわけです。

(二)遺産分割による登記
遺産分割協議は、民法第906条において「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と定められています。これを基準として、お兄様と二人で、当該土地について、どのように分けるかを話し合います(民法第907条1項)。万一、話し合いで協議が整わない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てることができます(民法第907条2項)。遺産分割の方法には、次のようなものがあります。相続の場合でも法的に言うと一般の共有物分割と同じことになります。理論的な根拠は事例集 681号を参照してください。

@現物分割
土地をそのままの状態で、あるいは、分筆をして、配分する方法です。
A代償分割
例えば、土地をお兄様が取得し、預貯金をご相談者様が取得することとなった場合で、土地の価格が預貯金の額を超えるような場合には、その超えた価格の分について、お兄様が、お兄様の固有の財産である土地や現金等をご相談者様に支払う(代償)という方法です。なお、この場合で、お兄様から土地が渡されることになった場合の登記原因は「遺産分割による贈与」となり、お兄様とご自身の共同申請によることとなります。
B換価分割
当該土地を売却し、その売却代金を相続分に応じて分割する方法です。この場合には、売却等による登記を申請する前に、一旦、当該土地について、法定相続分による相続登記を申請する必要があります。
C共有分割 お兄様と@−Bの話し合いがまとまらないようであれば共有の登記をして強制的に遺産を分割する事になります。当該土地をお兄様との共有にする方法です。この場合、後に分割をする場合には、民法256条、258条の共有物分割の手続きによることとなります。

なお、協議又は調停による場合には、上記いずれの方法による遺産分割も認められますが、審判による場合には、「遺産の共有及び分割に関しては、共有に関する民法256条以下の規定が第一次的に適用せられ、遺産の分割は現物分割を原則とし、分割によつて著しくその価格を損する虞があるときは、その競売を命じて価格分割を行うことになるのであつて、民法906条は、その場合にとるべき方針を明らかにしたものに外ならない。」(最判昭和30.5.31)とし、現物分割を原則としています。また、「遺産分割は,共有物分割と同様,相続によって生じた財産の共有・準共有状態を解消し,相続人の共有持分や準共有持分を,単独での財産権行使が可能な権利(所有権や金銭等)に還元することを目的とする手続であるから,遺産分割の方法の選択に関する基本原則は,当事者の意向を踏まえた上での現物分割であり,それが困難な場合には,現物分割に代わる手段として,当事者が代償金の負担を了解している限りにおいて代償分割が相当であり,代償分割すら困難な場合には換価分割がされるべきである」(大阪高決H14.6.5)、「遺産分割の方法として、現物分割が困難な場合等、特別の事情がある場合には、共有とする分割方法も許されるとしても、本件にあっては相続人間で利害や意見の対立があり、遺産の管理についても管理人が選任されるなど相続人間の協調が期待し難い状況にある上、遺産のうちの個々の具体的な物件についてみれば、現に居住等していてその物件につき現実に深い利害関係を有する者とそうでない者があることは明らかであるから、こうした事情を十分審理してできる限り適切な分割方法を定めるよう努めるべきであるといわなければならない。単純に相続分に応じた共有とすることは一見公平なようではあるが、もともと相続人らは遺産については相続分に応じた持分を有することは当然のことであって、このことを前提として具体的な分割を求めているのであるから、相続分に応じた共有と定めるだけでは何ら根本的な解決にならないばかりか、相続人らの間で改めて共有物分割という課題を残し、しかもその際には共有者間において現実に物件を使用し収益を得た者とそうでない者との間で精算をめぐって新たな問題が生じ、いたずらに問題を複雑にすることにもなりかねない。」(東京高決平成3.10.23)とも解されており、実務上は、@からCの順番で運用されているようです。遺産分割が成立したら、「年月日相続(日付は相続開始の日)」を原因として、所有権移転の登記申請を行います。必要な書類は以下のとおりです。

@ 登記原因証明情報
ア協議で遺産分割が成立した場合
(一)と同様に、原則、お父様の出生から死亡までの戸籍謄本及び除籍謄本等、並びに相続人の戸籍謄本が必要になります。これに加えて、各相続人が実印を押印した遺産分割協議書と申請人を除く相続人の印鑑証明書を添付します。相続の権利者を確認すると同時に、一旦相続によって生じた相続分の内容に事実上変更が生じたことになりますから相続人について権利喪失の不利益を受ける場合と同様になり双方の印鑑証明書が必要となります。
イ調停又は審判で成立した場合
家庭裁判所の審判書(確定証明書付)又は調停調書の謄本を提出します。戸籍等抄本等の添付は不要です(昭和37.5.31民甲1489民事局長電報回答)。審判、調停で職権探知主義の下既に戸籍謄本関係が確認されているからです。
A 住所証明書
不動産を取得する人の住民票、戸籍の附票または印鑑証明書等を住所を証する書面として添付します。理由は前述の通りです。
B 委任状
代理人に依頼する場合に必要となります。不動産を取得する方のもののみで足ります。遺産分割の効果は相続時にさかのぼりますので(民法909条)、理論的には、亡きお父様から直接相続したことになり他の相続人は登記義務者にならないからです。

3.現在の名義人が、お兄様とご相談者様(持分2分の1ずつ)の名義になっている場合
この場合は、既に、共同相続登記がなされていることになります。共同相続登記は、上述のとおり、相続人の一人から申請することが可能であり、双方とも権利者ですから相続人の実印の押印や印鑑証明書も必要ありませんので、お兄様によってなされたものと考えられます。

今後は、お兄様と遺産分割協議を行い、その内容に沿った登記を申請することになります(遺産分割の詳細については、2(二)をご参照ください。)。ただし、既に共同相続登記がなされている場合には、登記の原因日付を「年月日遺産分割(原因日付は分割協議成立の日若しくは審判確定日又は調停成立日)」とし、新たに持分を取得する者を権利者、持分を失う者を義務者とする共同申請となりますので、必要な書類や申請方法が2と異なることとなりますので、注意が必要です。必要な書類は以下のとおりです。

@ 登記原因証明情報
ア協議で遺産分割が成立した場合
実印が押印された遺産分割協議書(申請人を除く相続人の印鑑証明書付き)印鑑証明が必要な理由は前述しました。登記申請により不利益を受けるものの意思確認です。持分変更を不利益の発生と同視します。
イ調停又は審判で成立した場合
家庭裁判所の審判書(確定証明書付)又は調停調書の謄本 裁判の過程で不利益、利益を受けるものの権利関係、意思確認が出来ていますのでこの書類だけで申請できます。印鑑証明は要りません。
A 登記識別情報(登記識別情報が発行されている場合で、ご相談者様が義務者になられる場合には、別途の手続きが必要となります。司法書士、弁護士等にご相談ください)または登記済証
B 登記義務者の印鑑証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
3ヶ月前の印鑑証明書であれば登記申請により不利益を受けるものの意思確認が不十分になる可能性があるからです。
C 登記権利者の住所証明書
不動産を取得する人の住民票、戸籍の附票または印鑑証明書等を住所を証する書面として添付します。理由は前述しました。
D委任状
代理人に依頼する場合に必要となります。義務者(権利を失う者)は、実印を押印する必要があります。義務者は登記申請で不利益を受けるので実印、印鑑証明必要となります。従って権利者は実印が不要となります(三文判でかまいません)。

≪参照条文≫

民法
(共有物の管理)
第252条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
(共有物の分割請求)
第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2(略)
(裁判による共有物の分割)
第258条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
(相続の一般的効力)
第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
(子及びその代襲者等の相続権)
第887条 被相続人の子は、相続人となる。
(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一〜三(略)
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第908条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
(包括遺贈及び特定遺贈)
第964条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。
(共同相続の効力)
第898条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
第899条 各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
(遺産の分割の協議又は審判等)
第907条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
3 前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。
(遺産の分割の基準)
第906条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

不動産登記法
(判決による登記等)
第63条 (略)
2 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

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