新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.609、2007/4/23 10:06 https://www.shinginza.com/sakimono.htm

【民事・先物取引とは何ですか・その沿革と構造・取引上注意すべき点・違法性判断の基準・損害が生じた場合の対策】
質問:ある先物取引業者から電話にて勧誘があり、「絶対大丈夫!損しませんから、保証します。」というので私も商品先物取引を始めようと思っているのですが、投資は全くの初心者です。ところで先物取引って何ですか。約束に反して実際に損害が生じた場合の対策はあるでしょうか?

回答:
1.定義
先物取引とは「将来の一定時期に物(ある商品)の売り渡しする事を約束してその価格を現時点で決める取引」です。物とは小豆、砂糖、とうもろこし、等をいい穀物商品や工業商品としてガソリン、灯油、金等があります。日本では約20数種類ほどが主に取引されています。原始社会では現物取引が原則ですが、取引が次第に発達すると将来大量に必要なものは前もってそのものを確保しておく必要がありますからある物(商品)を予約しておく必要があります。例えば卸売り業者が小豆(「赤いダイヤ」の小説に商品先物取引が登場します)を仕入れる場合収穫するかなり前に生産者と予約を入れないと大量に確保できないわけです。しかし、天候などにより収穫時(決済時、ここから後述の「限月」という概念が生じることになります)の卸価格は生産量などによりどうなるか不明であり価格下落等により損害が生ずる危険があるわけです。そこで予約した商品価格の変動による不慮の損失を補おうとする先物取引市場が登場するのです。

2.先物取引の沿革、由来
商品先物取引は、ヨーロッパでは自然発生的に16世紀頃から行われていたようですが、我が国においては、17世紀に江戸幕府が大阪の米相場市場を公認したのが始まりと言われており、これは同時に史上初の公設先物取引市場であるとされています。一般には、先物取引とは、一定の期日にある商品を売る又は買う権利を取引することをいいます。簡単に説明すると、「買う権利」を買った場合、価格が上がれば利益が出ますし、「売る権利」を買った場合には、逆に価格が下がれば利益が生じるのです。そもそも、先物取引には、農産物や工業原料の安定調達の保険という機能と、価格の調整という機能があり、いずれも市場経済において重要な役割を担っています。例えば、ある商社がイギリスで金を1トン買ったとします。調達し日本まで輸送するのに数ヶ月かかるので、その間に値段が下がるかも知れません。仮に1グラム当たり100円下がったとすると、1億円も損をしてしまいます。そこで、こういったリスクをヘッジ(担保、回避)するために商品先物取引を利用して、予め金を売る権利を1トン分買っておけば、値下がりによって金の現物取引で1億円損したとしても先物取引により1億円の利益を受け取ることが出来ますから、結果的に先物取引所を利用する少額の手数料さえ支払えば損失を穴埋めすることができるのです。仮に1グラム100円上がった場合現物取引で1億円利益が生じますが、先物市場で売る権利を買っていますから決済時に証拠金の中から1億円分の損失が控除され結果的に収支は同じになるわけです。すなわちこれが保険という面です。また、例えばとうもろこしの先物価格が高い場合、農家ではとうもろこしを増産しようとします。その結果、供給が増えて価格は徐々に下がっていきますから、今度は農家の方でも生産を減らし、結果として需給のバランスと公正な市場価格が維持されることになります。本来の機能が商品売買業者の保険という面があり決済までの期間が決まっており短期間(1年程度)なので実際の取引額より少額の委託金で取引を認めて取引所の利用手数料のみによって実際の取引の損害を填補できるようになっているのです。すなわち、これが委託証拠金(取引額の5−10% 、ですから顧客は投資額の10倍―20倍の取引が可能になるわけです。取引額ではありませんから取引のための証拠金と呼ばれるのです。)といわれるもので、証拠金の数十倍で取引が出来るのは保険という面から制度上、沿革上認められたものなのです。

3.先物取引の構造と問題点
ところが、株式取引と同様こういった本来の市場経済の要請とは無関係に、将来の価格の変動を予想しその変動による差額を得て利益を上げようと投資する人達が市場運営のため存在するわけであり(もちろん投資家が存在しなければ実取引に応じた権利の価格変動による市場運営はできない訳です)、これが投資家のための大きな先物取引市場を形成する事になるのです。商品先物取引は、前述のようにその性質上、少額の現金(証拠金)を元手に多額の取引を行える証拠金取引のため、取引額はその数十倍となり利益も損失も莫大な額になりやすいという特性があります。株の取引で信用取引のさらに大掛かりなものと考えればいいでしょう。株の信用取引なら実際の投資額の数倍(3倍程度)しか取引できませんが、先物取引は数十倍取引することになるのです。それに予測の困難性があります。同じ投資の対象といわれる株式投資は通常会社の概要、資産、負債、計画、経営者などの情報が公になっていますが、先物商品は自然環境、社会情勢、投資家の動向で大きく変化し一般人には予測が困難な面が多いのです。小豆、ガソリンの天候、生産量、社会状況は予測が難しいでしょうし投機的側面が強いといえるでしょう。このような基本構造から以下のような危険性を理解する必要があります。

@ 利益も損失も証拠金額の数十倍の額で生じる結果、小額の証拠金の額に惑わされて取引を続ける事があり、莫大な損失の可能性を秘めているという事。

A業者の手数料は証拠金ではなく、実際の数十倍の取引額を基準に定められますからたとえ1つの決済で0.5%前後(平成17年1月から手数料は現在自由化になっていますが、売り買いとも手数料がとられます。)でもこれを繰り返せばあっという間に莫大な金額になるわけです。業者の指示どおりにして1年間に数百回の取引をされてしまったなどということは珍しい事ではありません。これもひとつの客殺しといわれる落とし穴です。

B取引の単位は「枚」という言い方をするのですが、この「枚」とは実際の取引数量ではなく単位ですから100枚というとなんとなく商品単価の100倍の取引と勘違いしますが、とんでもありません。沿革上1枚が商品によりなんと10倍から1000倍の数量を意味するのです。例えば東京穀物商品取引所「とうもろこしコーン」なら単価25000円で1枚とは数量100ですから(単価2200円の金は1枚1000、単価1グラム4300円の白金は1枚500グラム、単価2万円のアラビカコーヒー生豆は1枚50)その100倍の250万円の取引となり、100枚なら2億5000万円の取引になるのです。500円値下がりしたらそれだけで損失は10000倍(100*100)の500万というわけです。これが業者に任せておいたら平気で何十回と繰り返されるのです。「とうもろこしコーン1枚取引しましょう」とは250万円の取引なのです。「とうもろこし」では最低取引額が250万円の取引ということです。一株数万円の株式取引とは桁が違うのです。不法業者が、証拠金の数十倍の取引ができる事とこの「枚」という初心者等一般人にとり不明な単位を巧妙に駆使して総額がいくらかなどの十分な説明を省き1回数千万円−数億円の取引をしてしまう危険があることは過去に判例でも明らかになっています。

Cまた、先物取引は性質上一定の期日にある商品を売る又は買う権利の取引ですから、その期日(限月)までに、取引せねばなりません。株式のように「塩漬けにする」ような含み損を抱えたままいつまでも放置し株価の回復を待つようなことはできないのです。したがって短期間に決済資金が必要であり証拠金が用意できるからという安易な気持ちは禁物です。

D「追証」とは追加証拠金の意味ですが、取引を継続すると必ずといっていい程追証の問題になります。委託証拠金の数十倍、枚数を上げれば商品単価の数百倍―数千倍の取引をしますから損失が生じる額も大きいのです。損失額は実損ですから手数料も合わせ、最終的には証拠金がその引き当てになるのです。ですから違法先物業者は証拠金の追加をいつも求めてやみません。

E先物は変動が激しいものであり、取引額が大きいので損失が生じることはよくあり、その真の理由は本来誰にも解明できないのです。しいて言えば買いが多ければ上がるし、売りが多ければ下がるということです。不法業者はいろいろな理由を付けて利益獲得を断定的に話しますが単なる予想に過ぎないのです。断言できるほど相場の予想は簡単ではありません。しかし先物商品取引員は顧客からの売買委託手数料によって収益を上げていますから、顧客の損益に関係なく、売買の回数が多ければ多いほど会社が潤う仕組みになっています。このため不法な先物業者はなんとしても資産を有する人なら先ず先物取引をさせることを第一の主眼にしています。後述のように例えば高齢者や専業主婦など投資の初心者に、「必ず上がるから、儲かる」とか「今がチャンスだから」などと、先物取引の仕組みやリスクを十分説明せずにしつこく勧誘し、さらに事実上一任を取り付けるような売買を繰り返して手数料を請求するものや、言を左右に手仕舞い(取引を終了すること)を事実上拒否して取引を継続し証拠金の返還に応じないといった例、同じ商品の売りと買いの両方を買わせて利益が出ないのに手数料だけ2倍取る結果になる(両建て)といった無意味な取引が後を絶たないわけです。

F投資の対象として存在する株式投資とは基本的に違いがあります。株式流通は、資本主義、自由経済の基本であり一般から株式をとうして資金を調達して会社が経済活動を行い株主に利益を還元しながら会社の経済基盤を充実させて社会全体の経済発展を支える仕組みになっていますから株式には裏づけとなる将来性を含めた会社の実体があります。他方、商品先物取引は、商品を売買する権利という裏づけはあるものの、保険的作用を主にする権利を一定期間の間に売買するもので実態との裏づけ関係は希薄である事から投機的色彩が大変強いものになっています。

G日本弁護士連合会の調査によりますと平成17年1月からの手数料自由化により競争が激化しさらに先物取引被害が増大する事を予想しています。

4.具体的注意点
(1)貴方が先物業者の勧誘により取引を始めると、実際には先物取引業者を通じて取引を行いますから、損害が生じた場合当該業者について違法な取引行為があるかどうかの判断基準を具体的に説明します。原則として取引行為の違法性は、個々の取引行為を個別的に見るのではなく委託から手仕舞いまで全体的にみてひとつの取引行為と把握しその全体がどれほどの違法性があるかどうかの判断材料として種々の面から違法要素を明らかにしていくことになります。

(2)取引開始までの違法要素
@業者について主務大臣の許可を受けた市場、会員かどうか。投資という面から先物取引の危険性があるため市場、会員を許可制としている。許可を受けないで恣意的運営がなされるいわゆるブラックマーケットはそれだけで違法性を帯びるわけです。商品取引所法8条。ちなみに商品取引所の会員は約120社であり、そのうち貴方のような一般委託者から委託を受けて業務を行うのは約80社です(40社は当事者として会社の業務の必要上先物取引をしています)。しかし約80社の大半が過去に苦情、紛争、訴訟の申し出を経験しているのが現状です。ですから許可を受けて会員となっているからといって安心は出来ないわけです。

A勧誘の違法はないか。先物投資は金額においてハイリスクの特性があり専門的知識が要求されるため顧客の取引判断の自主性が保全されなければいけません。具体的には取引について執拗な電話、訪問勧誘、職場、自宅に繰り返し訪問すること。断っているのに説明、勧誘を繰り返すこと。勧誘行為の時間帯、方法に迷惑行為がそんすること。電話にて当初勧誘目的を不明にして質問、回答を要請し勧誘すること、虚偽の表示をすること等全て禁止事項となっています。(商品取引所法103条2.5.6.7号、商品取引所法規則103条5.8号、その他受託等業務規則5条1項2号)。貴方の場合損害が生じないことを保証していますから実際損害が生じたときは本事項に違反します。それにそもそも顧客の損害を填補する約
束自体が公正な市場取引を侵害する行為として法214条2号で厳禁されています。そういう意味で、業者との金銭貸借も禁じられます。受託等業務規則5条1項10号。ちなみに「他人名義で取引すれば秘密は保持されますから」等と第3者名義、架空名義での取引も同じ趣旨からもちろん許されません。受託等業務規則5条1項12号。

B適合性の原則に合致するかどうか(商品取引所法215条 受託等業務規則3条、5条1項1号)。先物取引の危険性から取引する適正が必要とされています。投資取引の経験、財産状態、家族状態、社会的地位、職業の経歴からして先物取引をする適格性を有すという事です。例えば、投資知識がなく投資取引さえしたことがない。主婦、年金生活者、老人。持ち家でもローンがほとんどである。家族構成から投資が出来る状態ではない。これらの事情を総合的に消費者保護の観点から考えます。仙台高裁秋田支部判決平成11年1月25日(カネツ商事事件)は過去に先物取引で損をした人にさらに勧誘する事は原則として取引不適格者に対する勧誘であり適合性違反であると述べています。

C 先物取引の構造、重要事項、危険性の説明を十分にしているかどうか。一般消費者保護のため当然の要請です。商品取引所法218条。日本商品先物取引協会が定める受託業務に関する規則(受託等業務規則といわれています。)では4条で明確にその旨を顧客の自己責任の原則として規制しています。前述3.で述べた危険性を具体的に説明しなければならないわけです。

D断定的な判断をしていないか(「損をしない」、「大丈夫です」、「必ず上がります。儲かります」、「まず損は生じないでしょう」「任せなさい」など)。危険な投機商品である以上当然の禁止行為です。商品取引所法214条1号。貴方を勧誘している業者かこれに該当します。

E書面を交付しているか。業者の言い逃れを防ぎ、一般消費者保護のためにその内容も明確にされています。商品取引所法217条。同法規則104条。

F過去に顧客とトラブルを起こしていないか。主務大臣が監督する日本商品先物協会は、苦情、紛争、訴訟となった会員を情報開示していますからごらんになる事が出来ます。毎年6−8割の一般から委託業務を行う会員(専業商品取引員)が問題を起こしている現状が把握できます。

(3)損害が生じた場合取引中の違法要素の検討が必要です。
@特定売買があるかどうか。有害無益な取引の総称で両建て、直し等の無意味な反復売買の可能性を有する取引です。「特定売買」は通常手仕舞いを1回として全取引回数の20%を超えると客殺しの不合理、無意味な売買として違法性を帯びる要素と考える判例があり(平成9年2月24日大阪地裁判決平成4年(ワ)第3638号事件先物裁判例集21号162頁)合理的で妥当な基準と評価されています。特定売買は個別的にみれば確かに取引の理由を見出す事が出来ないわけではありません。しかしのような取引を繰り返し全体取引の中で占める割合が20%を超えるようであれば全体として無意味、客に不利益な取引として違法性が生じるひとつの要素と考えられています。以下個別的に説明します。

A売り玉を仕切って即日また売りを建てる「売り直し」は、同日に再度売り玉を立てるなら最初から売り玉を仕切る必要はありませんから通常手数料の負担が増えるだけの委託者にとって無益な取引になる訳です。同様な意味で買い玉を仕切って同日中に買い玉を建てる買い直しも不合理な取引になります。

B「途転」は、既存の建玉を仕切り、即日それと反対の建玉を行うことですが(これは限月が異なる場合も当てはまります。)、例えば買い玉を仕切り売り玉を建てるわけですから値上がりの場合はその情況(値が上がっていくのに売りを建てる事は矛盾しています)に反していますし、突然相場が反転すれば利益が出ますが、そのような予想は一般投資家には不可能でありもとの利益をなくしてしまう危険があり手数料のみの損失になりやすいわけです。これも手数料の負担を増やすだけの無意味な取引の一態様になっています。

C「両建玉」は、既存建て玉に対して反対玉を建てるものです(異限月を含むと考えるべきでしょう。)。顧客としては一見損失拡大を止められるように見えますが、対応する売り買い双方に証拠金を必要とする上、手数料も倍額必要となります。両建てしたときに、仕切った場合と同額の差損差益が実質的に確定しているので、委託手数料が余計にかかる他は両建てする時に仕切った場合と情況は変わりません。両建ては、違法業者がよく利用する方法で、価格変動で損失が生じたときに「損失の増大ふせぎましょう。そうでないと大変な事になります」等とあたかも顧客利益保護を装い勧誘しますが実は業者の手数料稼ぎ、証拠金追加の一手段なのです。商品取引所法214条の9号 同法施行規則103条9号で禁止行為として明確に規定されています。

D「不抜け」は売買取引によって利益が発生したが、手数料がそれより多くなり差し引きは損となっているものです。これも割合が多ければ不合理取引と判断される一態様です。

E「日計り」とは新しい建て玉を同一日に仕切ることを言います。相場急変がない限り手数料のみの損失になる可能性があることから違法取引の一態様です。

F過度な売買取引の禁止。後述の初心者の枚数制限、それと売買回転率が考えられます。 売買回転率とは取引期間中に何回売り買いの決済が行われたかを計算し月平均の決済件数を算出したものです。判例では月4回が違法性を帯びる要素として判断したものもあり(東京地裁判決平成4年8月27日判例タイムズ812号233頁、最高裁判例平成7年7月4日判決では回転率月3.9回を違法な「転し」の要素と認めた原審判決を相当としている。回転率月3.37回でも違法要素とする大阪地裁判決平成9年2月24日がある。)、月3回が基準とする考え方が合理的と思われます。法213条にその趣旨が現れています。

G手数料化率は、全損害中手数料として支払った額の割合をいいます。10%を超えると全体として違法性の要素があるとの判決(大阪地判平成9年2月24日)があり、妥当な基準といわれています。100%(損失の全てが手数料の場合)を超えるような手数料率の事件は特に珍しい事ではありません。

H新規委託者の建て玉制限に反しているかどうか。業者各社の受託業務管理規則があるのですが、3ヶ月20枚が一応の基準とするのが合理的と思われます。通常1枚について100万円―200万円の取引になるのであるから、3ヶ月で2000万円―4000万円の取引であり初心者としては妥当な枚数、額と考えられる。制限枚数20枚は明確に判示しないが新規委託者保護の判例は多数存在する。

I無断売買や、一任取引があるか(商品取引所法214条3号 同法施行規則103条3号)。事実上の一任取引になっているかどうか。業者が顧客の財産を利用し不当な手数料などで利益を受ける危険が存在するので認められません。明確に取引を一任していなくても「プロだから任せておきなさい」「損はさせませんよ。」「大丈夫だから」等と説得して顧客に取引を勧め取引をする事も事実上一任取引をする事になります。

J手仕舞い拒否に当たるかどうか。手仕舞い拒否、回避は商品取引所法214条9号、同法施行規則103条7号、受託等業務規則5条1項6号で禁止されています。委託者の要望を無視し取引継続をして不当に委託者の利益保全を侵害し手数料等により業者の利益を優先する危険が存在するからです。もちろん事実上の仕切り拒否回避も許されません。「手仕舞いすると財産がほとんどなくなりますよ。証拠金がないと手仕舞いで来ませんよ。暴落して仕切りの取引ができませんね。」などはこれに該当するでしょう。これに類似して精算金の返還拒否、回避も禁じられております。同規則103条1号。どうしても自分で手仕舞いできないようであれば弁護士と相談し情況録音の上で内容証明を送付してもらいましょう。 

K顧客に有利な約束をして履行できなると次々に担当者を頻繁に替えて前の有利な約束を反故にしていくことも問題です。受託等業務規則5条1項14号、商品取引所法213条、214条2号、同法施行規則103条8号の趣旨から認められません。業者によっては担当者の変更を繰り返し良心的顧客に何度も希望を持たせながら取引を引きのばし最終的に顧客の財産を喪失させる危険があるからです。「前の担当者のことでよくわかりません」、「私が何とかしますから」「これから部長(課長)が担当し責任を持って利益をだしますから安心してください」などと説明し約束を反故にしていくわけです。

L委託証拠金の違法はないか。証拠金がなくして取引をする。立替えなどをして取引していないか。消費者の損害増加の危険が生じますから禁止されます。

M精算金の支払い遅延は消費者保護の観点から禁止されています(商品取引所法規則103条1号)。

N不合理な和解、念書、合意書の強要はもちろん法の一般原則からも認められません。

O架空、他人名義の取引は取引の公正担保のため許されません(受託等業務規則5条1項12号)。

P不要になった証拠金返還遅延はもちろん顧客保護のため許されません。商品取引所法規則103条1号。受託契約準則11条。

Q顧客に対する偽計、暴行、脅迫、風説の流布による取引は公正な取引ではありませんから認められません。商品取引所法214条1項6号、受託業務規則5条1項3号

(4)被害に会った場合の対策
@以上の事由で数字上書面にて立証できる事項以外は、訴訟の証拠資料収集のため担当者との会話を繰り返し録音することです。言った言わないとなり争いが生じる事項については、過去のことであっても、電話の中の会話で話題として出し録音することです。

A電話の会話例
断定的判断の場合…「以前、必ず儲かるから、絶対大丈夫っていったでしょう。信用して取引していたらこんなに損害が出てしまって困っています。」
手仕舞い拒否…「証拠金を支払わないと手仕舞いできないと前回いったでしょう。だから損がふえたのですよ。」
一任売買…「先物取引は経験がなく分からないから、事実上、おたくの会社に任せっきりになってしまったんです。それなのにこんなに損害が出て困っています。」

B報告書等により数字で確認できるものは書類を持参し法律事務所で先物取引用ソフトを使用したコンピューターで違法性判断をしてもらってください。違法性が明らかになれば当然責任追及の交渉、商品取引所協会の紛争仲介手続き(あっせん、調停)、裁判、刑事告訴、行政処分すなわち商品取引所法157条以下が規定する、監督主務省に対する立ち入り検査、業務停止、改善命令発動の申し立て、取引所に対する業務停止、除名の申し立て、日本商品先物取引協会に対する会員の業務停止、除名を含む制裁の申し立てと言う手続きが考えられます。

C過失相殺の問題。どのような手続きについても貴方に完全な法律行為能力がある以上特別な場合を除き全てが業者の責任という事は出来ませんから、業者の関与がなく貴方自らの判断により取引行為をしたという法的責任が認められた場合(インターネット等電子取引の場合等)過失相殺として損害について返還が認められないこともありえるわけです。

(5)以上説明してきましたが貴方の経歴からはとても業者の勧誘による先物取引をお勧めできません。どうしても理解できないような点があればお近くの法律事務所で弁護士に具体的に御相談ください。

《参照条文》

商品取引所法
(報告徴収及び立入検査)
第百五十七条  主務大臣は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、商品取引所若しくはその会員等に対し、その業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又はその職員に、商品取引所若しくはその会員等の事務所若しくは営業所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる。
2  前項の規定により立入検査をした場合において、当該職員は、検査の目的を達成するため、当該会員等が所有し、又は預託を受けた上場商品でその事務所若しくは営業所以外の場所に保管されているものを検査する必要があると認めるときは、当該会員等をして当該上場商品の保管を証する書面をその場所の管理者に提示させてその場所に立ち入り、当該会員等を立ち会わせて当該上場商品を検査することができる。
3  前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
4  第一項及び第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(業務改善命令)
第百五十八条  主務大臣は、商品取引所の業務の運営に関し、公益若しくは取引の信義則の確保のため又は委託者の保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該商品取引所に対し、定款その他の規則の変更、業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2  主務大臣は、前項の規定による命令を行おうとする場合において必要があると認めるときは、参考人の出頭を求めてその意見を聴取し、若しくは参考人にその意見若しくは報告の提出を求め、又は鑑定人に出頭を求めて鑑定をさせることができる。
(商品取引所に対する監督上の処分)
第百五十九条  主務大臣は、商品取引所が次の各号のいずれかに該当する場合において、公益若しくは取引の信義則の確保のため又は委託者の保護のため必要かつ適当であると認めるときは、当該商品取引所に対し、当該各号に定める処分をすることができる。
一  この法律、この法律に基づく命令若しくはこの法律に基づいてする主務大臣の処分(以下この条、次条及び第百六十五条において「この法律等」という。)若しくは定款その他の規則に違反したとき、又は会員等がこの法律等若しくは当該商品取引所の定款その他の規則に違反した場合において、当該会員等に対しこの法律等若しくは定款その他の規則を遵守させるために当該商品取引所がこの法律、この法律に基づく命令若しくは定款その他の規則により認められた権能の行使その他必要な措置をすることを怠つたとき。 第九条若しくは第七十八条の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずること。
二  正当な理由がないのに商品市場を開設することができることとなつた日から三月以内に全部若しくは一部の商品市場を開設しないとき、引き続き三月以上全部若しくは一部の商品市場における先物取引(上場商品に係る商品市場にあつては第二条第八項第一号又は第二号に掲げる取引、上場商品指数に係る商品市場にあつては同項第三号に掲げる取引に係るものに限る。以下この号において同じ。)を停止したとき、又は全部若しくは一部の商品市場における先物取引が第十五条第一項第一号若しくは第八十条第一項第三号に掲げる基準に適合しなくなつたとき。 第九条若しくは第七十八条の許可又は定款の変更の認可を取り消すこと。
三  商品取引所の行為又はその開設する商品市場における取引の状況が公益上有害であると認めるとき。 三月以内の期間を定めてその業務の全部又は一部の停止を命ずること。
2  主務大臣は、第九条若しくは第七十八条の許可若しくは第百五十五条第一項若しくは第百五十六条第一項の認可の申請書又はこれらの書面の添付書類の記載事項のうちに、重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けていることを発見したときは、当該許可若しくは認可を取り消し、又は定款、業務規程、受託契約準則、紛争処理規程若しくは市場取引監視委員会規程について当該重要事項に係る部分の変更を命ずることができる。
3  主務大臣は、不正の手段により商品取引所の役員になつた者のあつたことを発見したとき、又は商品取引所の役員がこの法律等に違反したときは、当該商品取引所に対し、当該役員の解任を命ずることができる。
4  前三項の規定による許可若しくは認可の取消し又は役員の解任の命令に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。ただし、主務大臣が当該処分の名あて人となるべき者の業務に関する秘密を保つため必要があると認めるとき、又は公益上必要があると認めるときは、この限りでない。
5  前条第二項の規定は、第一項から第三項までの規定による処分について準用する。
6  第一項第三号の規定による処分については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
(会員等に対する監督上の処分)
第百六十条  主務大臣は、会員又は取引参加者がこの法律等に違反したときは、商品取引所に対し当該会員の除名若しくは当該取引参加者の取引資格の取消しをすべき旨若しくは六月以内の期間を定めて当該会員若しくは取引参加者の商品市場における取引若しくはその商品清算取引の委託を停止すべき旨を命じ、又は、当該違反行為が法人たる会員若しくは取引参加者の役員に係るものであるときは、当該会員若しくは取引参加者に対し当該違反行為をした役員を解任すべき旨を命ずることができる。
2  第百五十八条第二項の規定は前項の規定による処分について、前条第四項の規定は前項の規定による会員の除名若しくは取引参加者の取引資格の取消し又は役員の解任の命令に係る聴聞について
(誠実かつ公正の原則)
第二百十三条  商品取引員並びにその役員及び使用人は、顧客に対して誠実かつ公正に、その業務を遂行しなければならない。
(不当な勧誘等の禁止)
第二百十四条  商品取引員は、次に掲げる行為をしてはならない。
一  商品市場における取引等につき、顧客に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその委託を勧誘すること。
二  商品市場における取引等につき、顧客に対し、損失の全部若しくは一部を負担することを約し、又は利益を保証して、その委託を勧誘すること。
三  商品市場における取引等につき、数量、対価の額又は約定価格等その他の主務省令で定める事項についての顧客の指示を受けないでその委託を受けること(委託者の保護に欠け、又は取引の公正を害するおそれのないものとして主務省令で定めるものを除く。)。
四  商品市場における取引につき、顧客から第二条第八項第一号に掲げる取引の委託を受け、その委託に係る取引の申込みの前に自己の計算においてその委託に係る商品市場における当該委託に係る取引と同一の取引を成立させることを目的として、当該委託に係る取引における対価の額より有利な対価の額(買付けについては当該委託に係る対価の額より低い対価の額を、売付けについては当該委託に係る対価の額より高い対価の額をいう。)で同号に掲げる取引をすること。
五  商品市場における取引等につき、その委託を行わない旨の意思(その委託の勧誘を受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示した顧客に対し、その委託を勧誘すること。
六  商品市場における取引等につき、顧客に対し、迷惑を覚えさせるような仕方でその委託を勧誘すること。
七  商品市場における取引等につき、その勧誘に先立つて、顧客に対し、自己の商号及び商品市場における取引等の勧誘である旨を告げた上でその勧誘を受ける意思の有無を確認することをしないで勧誘すること。
八  商品市場における取引等につき、顧客に対し、特定の上場商品構成物品等の売付け又は買付けその他これに準ずる取引とこれらの取引と対当する取引(これらの取引から生じ得る損失を減少させる取引をいう。)の数量及び期限を同一にすることを勧めること。
九  前各号に掲げるもののほか、商品市場における取引等又はその受託に関する行為であつて、委託者の保護に欠け、又は取引の公正を害するものとして主務省令で定めるもの
(適合性の原則)
第二百十五条  商品取引員は、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行つて委託者の保護に欠け、又は欠けることとなるおそれがないように、商品取引受託業務を営まなければならない。
(受託契約準則への準拠)
第二百十六条  商品取引員は、商品市場における取引等の受託については、商品取引所の定める受託契約準則によらなければならない。
(商品取引員の説明義務及び損害賠償責任)
第二百十八条  商品取引員は、受託契約を締結しようとする場合において、顧客が商品市場における取引に関する専門的知識及び経験を有する者として主務省令で定める者以外の者であるときは、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該顧客に対し、前条第一項各号に掲げる事項について説明をしなければならない。
2  商品取引員は、顧客に対し前項の規定により説明をしなければならない場合において、前条第一項第一号から第三号までに掲げる事項について説明をしなかつたときは、これによつて当該顧客の当該受託契約につき生じた損害を賠償する責めに任ずる。
(受託契約の締結前の書面の交付)
第二百十七条  商品取引員は、商品市場における取引等の受託を内容とする契約(以下この条から第二百十九条まで及び第三百六十九条第五号において「受託契約」という。)を締結しようとするときは、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、顧客に対し次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一  当該受託契約に基づく取引(第二条第八項第四号に掲げる取引にあつては、同号の権利を行使することにより成立する同号イからハまでに掲げる取引)の額(当該受託契約に係る上場商品構成物品又は上場商品指数に係る商品指数ごとに商品取引所の定める取引単位当たりの価額に、当該受託契約に基づく取引の数量を乗じて得た額をいう。)が、当該取引について顧客が預託すべき取引証拠金、委託証拠金、取次証拠金又は清算取次証拠金(次号において「取引証拠金等」という。)の額に比して著しく大きい旨
二  商品市場における相場の変動により当該受託契約に基づく取引について当該顧客に損失が生ずることとなるおそれがあり、かつ、当該損失の額が取引証拠金等の額を上回ることとなるおそれがある旨
三  前二号に掲げるもののほか、当該受託契約に関する事項であつて、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものとして政令で定めるもの
四  前三号に掲げるもののほか、当該受託契約の概要その他の主務省令で定める事項
2  商品取引員は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて主務省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該書面に記載すべき事項を当該方法により提供した商品取引員は、当該書面を交付したものとみなす。

商品取引法施行規則
第百三条  法第二百十四条第九号 の主務省令で定める行為は、次の各号に掲げるものとする。
一  委託者資産の返還、委託者の指示の遵守その他の委託者に対する債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
二  故意に、商品取引受託業務に係る取引と自己の取引を対当させて、委託者の利益を害することとなる取引をすること。
三  顧客の指示を受けないで、顧客の計算によるべきものとして取引をすること(受託契約準則に定める場合を除く。)。
四  商品市場における取引につき、新たな売付け若しくは買付け又は転売若しくは買戻しの別その他これに準ずる事項を偽って、商品取引所に報告すること。
五  商品市場における取引等の委託につき、顧客に対し、特別の利益を提供することを約して勧誘すること。
六  商品市場における取引等の委託につき、顧客に対し、取引単位を告げないで勧誘すること。
七  商品市場における取引等の委託につき、転売又は買戻しにより決済を結了する旨の意思を表示した顧客に対し、引き続き当該取引を行うことを勧めること。
八  商品市場における取引等の委託につき、虚偽の表示をし又は重要な事項について誤解を生ぜしめるべき表示をすること。
九  商品市場における取引等につき、特定の上場商品構成物品等の売付け又は買付けその他これに準ずる取引等と対当する取引等(これらの取引等から生じ得る損失を減少させる取引をいう。)であってこれらの取引と数量又は期限を同一にしないものの委託を、その取引等を理解していない顧客から受けること。

受託等業務規則
(適合性の原則)
第3条 会員は、商品市場における取引について、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる受託等業務を行ってはならない。
2 会員は、不適当と認められる受託等業務を行うことのないよう、顧客の属性を調査し、これを厳正に審査することにより、先物取引に不適合と判断される者の参入を防止しなければならない。また、会員は、適合性の審査に係る記録を作成し、これを保存しなければならない。
3 会員は、取引開始後においても、顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不相応と認められる過度な取引が行われることのないよう、適切な委託者管理を行うものとする。
4 会員は、前項に定める適切な委託者管理を行うため、顧客カードを作成して保存しなければならない。なお、顧客カードには、本会が別に定める事項を記載しなければならない。
(禁止行為)
第5条 会員は、法その他関係法令及び受託契約準則その他関係諸規則に規定するもののほか、次に掲げる行為を行ってはならない。
(1)知識、経験及び財産の状況に照らして商品市場における取引の参加に適さないと判断される者を勧誘し、受託すること。
(2)商品市場における取引の委託につき、顧客に対し、当該取引に係るもの以外のものであると顧客に誤認されるような仕方での勧誘を行うこと。
(6)商品市場における取引の委託につき転売又は買戻しにより決済を結了する旨の意思を表示した顧客に対し、引き続き当該取引を行うことを勧め又は新規に当該取引を勧めること。
(10)受託等業務に関して、顧客に対し金銭若しくは有価証券を貸し付け、又は顧客への第三者による金銭若しくは有価証券の貸付けにつき媒介、取次ぎ若しくは代理し、又は金銭若しくは有価証券の借受けを勧めること。
(12)顧客に対し、本人以外の名義を使用させること。
(14)頻繁に担当登録外務員を交代させること。

法律相談事例集データベースのページに戻る

法律相談ページに戻る(電話03−3248−5791で簡単な無料法律相談を受付しております)

トップページに戻る