新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.542、2006/12/12 14:45 https://www.shinginza.com/rikon/index.htm

〔離婚〕
質問:半年程前から,夫と離婚の話をしていたのですが,先日,夫が,勝手に,離婚届に私の氏名等を書いて,役所に提出し,受理されてしまいました。私は離婚を望んでおりません。どうすればよいですか。

回答:
1,法律上,離婚が成立するためには,当事者間に離婚をする意思がある必要があります。しかし,本件の場合,夫が勝手に離婚届に妻の氏名等を書いて役所に提出したのですから,妻には離婚をする意思はなく,この場合,法律上,離婚は無効になります。但し,離婚届が役所に提出され受理されている以上,離婚の効力は生じてしまいますので,一定の手続きをとり,夫の離婚届の偽造の事実を主張・立証して,離婚の無効を認めてもらう必要があります。なお,一定の手続きをとらず,長期間放置しておきますと,法律上,離婚の事実を追認したとみなされ,離婚の無効の主張が認められなくなる場合がありますので,注意が必要です。
2,そして,離婚の無効が認められるためには,裁判所の判決又は審判が必要で,そのための手続きとして,まず,家庭裁判所に,離婚無効の確認を求める調停の申立てをする必要があります。そして,調停の手続きの中で,例えば,夫が離婚届の偽造の事実を認めた場合には,裁判所は離婚無効の審判を下すことになります。
3,他方,夫が離婚届の偽造の事実を争う場合には,調停で解決することは困難で,この場合,家庭裁判所に,離婚無効確認の訴訟(裁判)を提起する必要があります。そして,訴訟(裁判)の手続きの中で,夫の離婚届の偽造の事実の有無が審理され,裁判所が偽造の事実を認めた場合には,裁判所は離婚無効の判決を下すことになります。
4,そして,離婚無効の判決又は審判が下された場合,離婚は初めからなかったことになり,婚姻関係は継続していたことになります。そして,妻は,役所に戸籍の訂正の申請をすることができ,戸籍も元に戻ることになります。なお,夫が離婚届を偽造して,役所に提出する行為は,私文書偽造罪(刑法159条),偽造私文書行使罪(刑法161条),公正証書原本不実記載罪(刑法157条)という犯罪行為になりますので,警察署や検察庁に,被害届の提出や刑事告訴をすることも可能です。
5,詳しくは,離婚問題に詳しい弁護士に相談するのがよいでしょう。

≪参照条文≫

家事審判法18条1項「前条の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は,まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。」
家事審判法23条1項「婚姻又は養子縁組の無効又は取消しに関する事件の調停委員会の調停において,当事者間に合意が成立し無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合には,家庭裁判所は,必要な事実を調査した上,当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き,正当と認めるときは,婚姻又は縁組の無効又は取消しに関し,当該合意に相当する審判をすることができる。」
2項「前項の規定は,協議上の離婚若しくは離縁の無効若しくは取消,認知,認知の無効若しくは取消,民法773条の規定により父を定めること,嫡出子の否認又は身分関係の存否の確定に関する事件の調停委員会の調停にこれを準用する。」

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