新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.455、2006/8/8 13:44

[民事・契約]
質問: 3年ほど前、友人に、どうしても必要と言われたりして、断りきれず、何度かお金を貸してしまい、合計で120万円ほどになっていたのですが、返済を催促しても返してもらえず、何とか借用書はとったものの、その後、連絡も取れなくなりました。その後、他にも多額の負債があるらしい、という話を、別の友人から聞きました。相変わらず連絡も取れないので、さすがに破産するときは連絡があったり、裁判所から通知があったりしてわかるだろうと思い、ついそのままにしていたのですが、最近、また別の友人から、弁護士に相談して破産したらしい、という話を聞きました。もし、破産したのが事実であれば、本人からも裁判所からも連絡がなくても、あきらめるしかないでしょうか。

回答:
1.裁判所から何も通知が来ないまま、破産した、ということであれば、破産したご友人が、債権者名簿にあなたの名前を記載していない、ということが考えられます。破産の手続をして、免責の決定を得れば、通常は、法的な請求ができなくなりますが、破産者が、知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権については、免責されない、つまり、法的な請求ができることになります(破産法第253条第1項第6号)。知っていたのにうっかり記載しなかったことについて、過失があっても、免責されないという裁判例もあります(東京地裁判決平成14年2月17日)。ご友人が、あなたからの相当額、複数回の、借用書まで作った借金について、知らない、あるいは、知っていたけど忘れても仕方ない、というような事情があるとは考えにくいと思いますので、特別な事情がない限りは、ご友人が破産して、免責を受けたとしても、あなたの借金は、法的に請求できることになります。
2.ただ、あなたが破産手続開始の決定を知っていた、ということであれば、あなたの請求も、免責の対象になり、請求できないことになりますが(同条同項同号但書)、あなたは、不安を抱えながらも、破産手続の開始の決定を知っていたとまではいえないと思われますので、やはり、法的には請求できるのではないかと思います。
3.しかし、そうはいっても、現実には、ご友人の方は、全ての債権者に返済ができないということで、弁護士に依頼して、費用を払って破産の申し立てをして、破産手続の中で、最低限生活に必要な分(自由財産として、最大99万円までは認められる場合がありますが、それを上回る資産は、配当という形で、返済に回されます。)を確保し、「全ての債権者に返済ができない」、と裁判所で認められて(債務超過といいます)破産決定が出た場合、破産手続が終わったとはいえ、いま現在どれだけ経済的な状況が回復しているかはまったくわかりません。これから、交渉や裁判をしても、実際に返済を受けることは、難しいかもしれません。
4.もし、対応や判断が難しい、ということでしたら、お近くの法律事務所等にご相談下さい。

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