新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.352、2006/2/6 13:58 https://www.shinginza.com/qa-souzoku.htm

[家事・相続]
質問:母が死亡し,相続人である兄弟3人で,遺産分割協議を行いたいのですが,長男と7年前から連絡がとれません。どうすればよいですか。

回答:
1,家庭裁判所に,失踪宣告の申立てをするのがよいと思われます。失踪宣告の制度とは,不在者の生死不明の状態が継続し,死亡の蓋然性が高いのに,放置しておくことは,その家族などの利害関係人の法律関係を不安定にすることから,一定の条件のもとに,家庭裁判所が,失踪の宣告をすることにより,その者を死亡したものとみなして,法律関係の安定を図る制度です。そして,民法は,不在者の生死が7年間不明な時,家庭裁判所は,利害関係人の申立てにより,失踪を宣告することができ,その場合,7年間の満了時点で,その者は死亡したものとみなすと規定しております。
2,よって,本件の場合,家庭裁判所に,失踪宣告の申立てをすれば,長男と連絡がとれなくなってから7年間の満了時点で,長男は死亡したものとみなされる可能性があります。そして,その時点が,母の死亡後であれば,母の遺産についての長男の相続分は,長男の相続人に相続されますので,長男の相続人と遺産分割協議を行えばよいことになり,また,その時点が,母の死亡前であれば,長男の代襲相続人と遺産分割協議を行えばよいことになります。
3,また,例えば,失踪宣告され,遺産分割協議が成立した後,長男が生存していることが明らかになった場合,失踪宣告が取り消されることがありますが,他の相続人が,長男の生存を知らずに,遺産分割協議を行った場合,遺産分割協議は有効となります。但し,他の相続人が,長男の生存を知っていた場合には,遺産分割協議は無効となります。
(参照条文)
民法第30条 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後1年間明らかでないときも、前項と同様とする。
民法第31条 前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
民法第32条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。

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