新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.341、2006/1/13 11:46 https://www.shinginza.com/chikan.htm

[刑事・起訴前]
質問: 東京都内において、電車の中で女子高生を盗撮したことで逮捕されてしまいました。今後どのような処分がなされるのでしょうか。保釈はできますか。刑はどのようになりますか。

回答:
1、電車内における女子高生の盗撮行為は、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例5条1項に違反する行為であり、犯罪です。逮捕された場合、通常48時間以内に勾留の手続きがとられます。勾留は原則として10日間、最大延長されて20日間の拘束が認められています。その間は、保釈は認められません。勾留期間が終わるまでに、検察官によって起訴か不起訴かの判断がなされます。不起訴の判断がなされれば釈放となります。
2、起訴された場合、原則としてそのまま勾留が継続されます。ただ、起訴後の勾留に対しては保釈が認められています。保釈は、@被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき、A被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき、B被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき、C被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき、D被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき、E被告人の氏名又は住居が判らないときなどの事情がない場合には必要的に許可されます(刑事訴訟法89条)。また、以上のような事情がある場合でも、裁判所の職権により裁量的に保釈が許可されることもあります(刑事訴訟法90条)。保釈を希望する場合には、この時点で、弁護士に保釈の申請を依頼すると良いでしょう。
3、保釈が認められるか否かについては、客観的な基準があるわけではなく、具体的なケースによって事情が異なり、一概に保釈の許否について言うことはできません。本件の場合は、犯罪の内容、量刑がそれほど重大なものではないことから、犯罪事実を自白していて、身元引受人による保証を示せれば、一般的に保釈は許可されると思われます。ただ、常習性がある場合には厳しい判断がなされる恐れがあります。その場合には、保釈保証金を多めに提供することによって、裁判所と交渉することになります。
4、そして、裁判所が指定した期日に公判が開かれ、犯罪事実、量刑について審理がなされます。自白をしている場合には、公判期日は2回位、期間は1ヵ月くらいで終わります。
5、次に、量刑についてですが、法定刑は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するとされています(8条2項)。量刑は法定刑を上限に被告人の情状を考慮して決められます。公判請求されていますので、一般的に懲役刑になりますが、情状によって執行猶予が認められるかが焦点となります。情状としては、自白の有無、前科の有無、情状証人・指導監督者の有無などが考慮されますが、重要なものとして被害者との示談、被害賠償の有無があげられます。盗撮行為の場合、被害者が特定されているのであれば、公判までに被害者に対し慰謝料を支払うなどして示談交渉を進めるべきです。被害者が特定されていない場合には、被害者との示談に代わるものとして、法律扶助協会等に対して贖罪寄付をすると良いです。これらによって反省謝罪の意思を客観的に裁判所に示すことができ、量刑に有利な判断がなされる可能性が高いです。

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