新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.337、2006/1/13 11:18

[民事・消費者]
質問:オークションで商品を購入しました。しかし、届いてみると、オークションページの写真にも商品説明にもまるで当てはまらない粗悪品でした。問い合わせると、出品者は偽りの無いものだと言われました。私としては、返品若しくは代金の返金を希望したいと伝えると、商品の受け取り後の値段交渉は不可という回答でした。現在も、その出品者は同じ方法で出品しています。何とかならないでしょうか。

回答:
1、本件において,出品者に対して法的な責任追及をすることは可能ですが,本件の商品がどのような種類であるかによって,その責任追及の内容が異なります。
2、まず,その商品が新品であり,かつ,大量生産された個性に乏しい物,言い換えれば,市場において代替可能な物である場合(法律上,「種類物」といいます。)について,ご説明します。種類物において商品の引渡しという債務が一応は履行されたものの,不完全な点がある場合は,契約どおりの完全な履行がまだなされていないのですから,債務不履行の一種(法律上,「不完全履行」といいます。)といえます。この場合,履行が完全でないのですから,@債権者(買主)としては,改めて完全な履行を債務者(売主)に請求できるのが原則であり(追完請求),具体的には,(ア)新たに完全な物の引渡しを求めたり(代物請求),(イ)修理等による欠陥の除去を求めたり(修補請求)することができます。また,A不完全履行により何らかの経済的な損害が生じた場合には,債務者(売主)に故意・過失があれば損害賠償請求をすることができますし(民法415条),B債務者(売主)に対して相当の期間を定めて完全な履行を請求しても期間内にその履行がなされない場合には,契約を解除することができます(民法541条)。
3、次に,その商品が,中古品や手作りであるなど,市場において代替することが不可能な物(法律上,「特定物」といいます。)について,ご説明します。特定物の場合は,法律上,債務者(売主)は,目的物を現状のまま引き渡せば,債務を履行したとになるとされているため(民法483条),債権者(買主)としては,種類物の場合のように,債務者(売主)に対して当然には別の物の引渡しを求めたり,修理を求めたりすることはできません。しかし,特定物であるその商品に,通常有するはずの(売主が,その商品に一定の品質・性能があることを予め示していたときは,それに比べて)品質・性能が欠けていて,かつ,買主が,そのことを知らず,また,注意していても知りえなかった場合には,買主は,売主に対して,@損害の賠償を求めたり,A契約を解除したりすることができます(瑕疵担保責任。民法570条)。ただし,@損害賠償を請求する場合の損害としては,欠陥により商品に生じた価値の減少分に限られるのが原則であり,予定されていた転売等により得られなかった利益までは含まれませんし,A契約の解除ができるのは,このような欠陥のある商品を受け取っても売買の目的を達成できない場合に限られます。また,以上の請求は,欠陥の存在を知ったときから1年内に行わなければなりません(民法570条・566条3項)。
4、以上の説明からお分かりかと思いますが,本件において,あなたは,その商品が種類物である場合には,修理や交換を求めることができますし,買主がこれに応じなければ,契約を解除した上で,代金の返金を求めることもできます。また,その商品が特定物である場合には,損害賠償(実質的には,代金の一部減額)を求めることもできますし,そのような粗悪品ではあなたにとって購入した意味がない場合には,契約を解除して代金の返金を求めることもできます。

法律相談事例集データベースのページに戻る

法律相談ページに戻る(電話03−3248−5791で簡単な無料法律相談を受付しております)

トップページに戻る