新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.336、2006/1/13 11:15 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴前]
質問: 電車で痴漢をしてしまいました。捕まったのは初めてです。警察で取調べを受けた後しばらくは何もなかったのですが,先日,東京地方検察庁から,話を聞きたいから出頭するようにとの連絡がありました。どうすればよいでしょうか。

回答:
1、今,あなたは,東京都迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)に違反した疑いで,在宅で取調べを受けている被疑者(容疑者)という地位にあります。 痴漢をしたという事実自体に争いがなければ,数回の取調べの後,「略式起訴」といって,あなたの供述調書などの事件記録だけが裁判所に送られる形で起訴されるのが通常です。裁判所は,その記録を検討したうえで,事実関係に間違いがなければ,あなたを50万円以下の罰金刑に処します。性犯罪については近年厳罰化が進んでいますが,これは,「性犯罪前科者の情報を地域に公開すべきではないか」という昨今の議論に見られるように,性犯罪に対する社会的評価,世間の眼差しが苛烈になってきていることが背景となっています。あなたが略式起訴された場合,公開の法廷で裁かれる正式裁判の手続は踏みませんが,罰金といえども刑罰ですので,これが課されれば「前科1犯」ということになります。とはいえ,一般人が他人の前科を簡単に調べることはできませんから,「前科1犯」の重みをどう捉えるかは,あなた次第です。
2、以上のことをご理解いただいたものとしたうえでお話ししますが,あなたが「前科1犯」にならずに済むかもしれない方法があります。それは,被害者と示談をすることです。つまり,被害者に謝罪をし,お詫びの印としてのお金をお渡しして,赦してもらうことです。示談が成立して,被害者が処罰を望まなければ,多くの場合,起訴されずに済みます。起訴されなければ裁判もされず,有罪判決も受けません。しかし,示談とは,「前科1犯」を免れるための単なる方便ではありません。時間を巻き戻して,既にしてしまった犯罪をなかったことにすることができない以上,加害者にできること,加害者のすべきことは,被害者に対して申し訳なかったという誠意を示すことではないでしょうか。加害者が深く反省し,被害者にそのことを理解していただき,謝罪を受け入れていただくことは,最大の被害者支援のひとつであるといえます。ただ,注意をしなければならないのは,被害者が望まない示談を押し付けることはできないということです。被害者の心情は複雑です。お金さえ積めば受け取っていただけるものでは決してありません。特に,性犯罪の被害者にとっては,加害者と会うこと自体が大変な苦痛です。事件を思い出したくない,そっとしておいてほしいというのが普通です。無理に被害者と接触しようとすれば,事件関係者に圧力をかけたとして逮捕されてしまうおそれすらあります。
3、そこで,弁護士を通じて被害者との示談を試みることが考えられます。弁護士を通せば必ず示談が成立するというものではありませんが,被害者の心情に配慮しつつ,示談成立を目指す上で有効かつ数少ない選択肢であることは確かです。取調べに対する心構え等のアドバイスもできますので,もし,あなたが被害者に対して何としても謝罪の誠意を示したいと強くお考えでしたら一刻も早くご相談ください。

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