新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.331、2006/1/5 15:01 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[行政・許認可]
質問 永住権を取得した外国人の犯罪の場合に国外退去処分になるか。日本人の配偶者の場合どうか。

回答:
1、外国人の永住資格とは、在留期間や在留資格に制限がなく、従来の国籍を保持したまま日本に永住できる在留資格です。永住資格は、本人の申請により、素行が善良であり、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有し、かつ、法務大臣がその者の永住が日本国の利益に合すると認められたときに許可されます(出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」と省略します)22条2項)。永住資格は、帰化と異なり、日本国籍を取得することにはなりませんので、日本国籍による利益を得ることはできません。
2、永住資格を有する外国人が犯罪行為を行った場合、日本人と同様、捜査、刑事裁判を受けることになりますが、その結果有罪判決を受けた場合に国外への退去を強制されることがあります(入管法24条)。すなわち、昭和26年1月1日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律又は刑法第2編第14章の規定(あへん煙に関する罪)に違反する行為をした外国人は、当該行為で有罪判決を受けたときに退去強制を受ける可能性があります(入管法24条4号チ)。また、他の刑罰法令に違反する犯罪行為をした場合には、昭和26年1月1日以後に無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮の判決に処せられたときに退去強制を受ける可能性があります(但し、執行猶予の言渡しを受けた場合は除かれます。入管法24条4号リ)。
3、退去強制事由に該当するときでも、日本に滞在する特別な事情がある場合には、法務大臣が特別に在留を許可することができる、在留特別許可制度があります。ただ、具体的にどのようなケースが許可されるか明確な基準はありません。過去の事例について、法務省のホームページ等を参照すると良いでしょう。
4、日本人の配偶者としての在留資格を有する外国人が犯罪行為をした場合、原則的には、永住資格者の場合と同じです。ただ、永住資格者と異なり、在留期間が3年又は1年に限定されていますので、在留期間の更新が必要となります。犯罪行為をした場合には、在留期間の更新の際に、在留期間中の素行不良等が問題となり在留期間の更新、延長が許可されない可能性があります。更新されなかった場合には、在留資格がなくなりますので、国外に退去をしなければなりません。

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