新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.318、2005/12/13 14:31 https://www.shinginza.com/qa-souzoku.htm

[家事・相続]
質問:父親が死亡したので、法定相続人である兄弟3人が相続の話し合いをすることになっています。兄弟の中で長男に対して父が生前数千万円のお金を渡していたのですが、遺産分割の際、相殺して話し合うことはできないでしょうか。また、話し合いがまとまらない場合は、どうすればいいでしょうか。手続きについて詳しく教えてください。

回答:
1、遺産分割の協議において、被相続人であるお父様から長男に対する金銭の授与がどのような法的性質のものであるかによって、法的な取扱いが異なります。単純な金銭の消費貸借契約に基づく貸付である場合には、お父様の長男に対する貸金債権を各共同相続人が相続分に応じて承継することになります(民法899条)。貸金債権は可分債権なので、相談者は相続分相当金額の債権を承継しますので、これを長男に対して主張することになります。
2、また、当該金銭の授与が婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けていた場合には、特別受益者とされ、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額にその贈与の金額を加えたものを相続財産とみなし、法定相続分の中からその贈与の価額を控除して、その残額をその者の相続分とするものとされています(民法903条1項)。
3、遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してなされるものとされています(民法906条)。遺産分割の方法は、まず共同相続人間で協議、話し合いをして決めることになります(民法906条1項)。当事者だけでは、冷静な話し合いができない場合には、弁護士に交渉の代理を依頼することもできます。
4、共同相続人間の任意の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を申し立てることができます(民法906条2項)。調停は、公平な第三者である調停委員2名を間に入れて、裁判所で話し合いをする手続きです。審判は、いわゆる裁判であり、裁判官が各相続人の意見を聞いて、後見的立場から具体的な分割を決定する手続きです。裁判所に対して書面の提出や証拠調べなど専門的な手続きが必要となるので、弁護士に委任した方が確実です。

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