新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.267、2005/6/17 18:15

[民事・不法行為]
質問: ある駐車場に無断で1時間停めていたら、駐車場を管理する人から呼びとめられ、駐車禁止の張り紙(無断駐車1時間5000円)があるので、罰金を払ってくださいと言われました。自分は気が付かずに駐車していたのですが、応じなければならないのでしょうか。

回答:
1、結論から言えば、5000円を払う必要はありません。仮に払わなければないとしても、実際に生じた損害についての賠償となり通常の駐車場の代金程度です(無断駐車の時間に応じて損害が生じると考えられます)。法律上は次のとおりになりますので参考にして下さい。
2、まず、罰金と言うことですが、民事上、罰金(刑事責任としての罰金ではなく約束に違反したペナルティという意味です。)あるいは損害金を支払う場合は、契約に違反した場合、あるいは不法行為など法律が定める要件を満たす事実があった場合に限られます。
3、そこで、まず、張り紙に書いてあったことから契約違反になるか検討することになります。契約違反となるには、まず契約の成立が必要です。契約の成立には契約当事者の意思の合致が必要とされています。駐車違反の張り紙は、駐車場所有者あるいは管理者の意思の表示(契約の申し込み)にあたると考えられますが、無断駐車する人には、それを承諾する意思があるとは認められないでしょう。従って、契約が成立したと認められることはありません。ですから、たとえ張り紙を知らずに駐車した場合はもちろん、張り紙を知らずに駐車してしまった場合も、5000円の罰金を支払うという契約は成立していないことになり、契約上5000円を支払う義務はないことになります。
4、契約上の責任がないとして、次に、不法行為(民法709条)等により、支払義務が発生するか検討する必要があります。ただ、この場合は、無断駐車によって実際に生じた損害の賠償が基本となりますので、弁償は無断駐車により駐車場所有者や管理者が被った損害、たとえば、駐車場を他の人に貸せなかったことによる損害や、本来の駐車場利用者が無断駐車により外の駐車場に駐車したことによる駐車場代金が損害になります。無断駐車した人が、故意過失により(有料駐車場であることを知って、あるいは知りうる状況にあったのに、そこに駐車した場合は、故意過失があるといえます。)、駐車した場合は、駐車場利用権限のある人の権利を侵害したことになり、損害賠償責任が生じることになります。ただし、損害の立証責任は損害を受けた側にありますので、具体的な主張、立証があるまでは、支払いに応じないという方法も考えられます。
5、法律上の賠償責任は、このように検討されますが、具体的事案により他の構成も考えられますので、弁護士にご相談下さい。

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