新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.260、2005/6/17 17:09

[刑事・被害]
質問:近所で,両親から虐待を受けている子どもの話を聞くのですが,聞く度にその子がかわいそうでなりません。私はこのことに関してどこかに通報したりすべきでしょうか。

回答:
1、ご質問は,いわゆる児童虐待に関するものになります。この問題に関しては,「児童虐待の防止等に関する法律」(児童虐待防止法)という法律がありますので,以下,この法律について簡単にご説明致します。なお,同法は,平成12年に成立しておりますが,平成16年に改正がありましたので,改正法を前提にご説明致します。
2、この法律は,「児童虐待が児童の人権を著しく侵害し,その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに,我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ,……,児童虐待の防止等に関する施策を促進する」ことを目的として制定されたものです(第1条)。今般,少子化問題がしばしば論じられているにもかかわらず,児童相談所への虐待に関する相談件数は年々増加しています。児童は、一般に防御能力に乏しいことから,同法のような法律によって保護する必要性があるのです。なお,同法でいう児童とは,18歳未満の子どもをいいます。
3、まず,この法律では,「虐待」に当たる行為について規定をし,具体的には,@暴行等による身体的虐待(第2条1号),Aわいせつ行為等の性的虐待(同条2号),B減食や放置などのネグレクト(同条3号),C暴言や差別等による心理的虐待(同条4号)に分類しています。そして,これらの行為主体は,「保護者」に限られ,「保護者」とは,親権者や未成年後見人その他の者で児童を現に監護する者をいいます。なお,Cについては,平成16年の改正で,子どもの目の前で配偶者等に対してDV(ドメスティック・バイオレンス)を行うというような間接的なものも虐待に含まれることが明記されました。
4、そして,このような虐待を受けたと思われる児童を発見した人は,この事実を,速やかに,市町村や児童相談所などの公的機関に通告しなければならないとされています(第6条1項)。この通告義務は,国民一般に課せられた義務となっています(但し,怠った場合の罰則規定はありません。)。この点に関し,以前は,「児童虐待を受けた児童」とされていましたが,平成16年の改正により,「児童虐待を受けたと思われる児童」と対象範囲が拡大されたことにより,虐待の事実が必ずしも明らかでなくても,一般の人の目から主観的に虐待があったといえる場合であれば,通告義務が生じることになりました。
5、このような通告があった場合,児童相談所は,早期にその子どもの安全確認を行うとともに,必要に応じて一時保護(子どもを一時、施設で保護し,親子を一時的に分離すること)を行うこともあります。その後,虐待の事実に関する調査なども行い,その結果を踏まえ,在宅指導や児童福祉施設への入所措置などの処遇が行われます。
6、以上を前提にご質問に関して検討しますと,その子が児童虐待を受けていると思われるのであれば,それを知った以上,上記のような通告義務がありますし,何より虐待を現に受けている児童を一刻も早く救出してあげる必要性がありますので,速やかに,市町村や都道府県が設置する福祉事務所や児童相談所に対して,その虐待の事実を通報するべきと言えるでしょう。

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