新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.254、2005/5/20 15:03 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴前]
質問:私は会社員ですが、先日会社の送別会で泥酔し、警察署に保護されました。酔っていたので逃げようとして、警察署のガラスの自動ドアに体当たりして、ガラスを割ってしまいました。修理代はかなりかかるようです。明日検察庁に送検すると警察官が言っています。会社では数日後重要な会議があり必ず出席しなければならず困っています。どうすればいいでしょうか。

回答:
1、あなたの行為は、器物損壊罪(刑法第261条)に該当します。器物損壊罪は、他人の物を損壊し、また傷害する行為を罰する罪です。今回のように、例え、酔った上とはいえ、警察署のドアを壊す行為は許されません。更に、警察署のような公共物の損壊は、私的所有物より情状(刑事手続において、訴追を行うかどうかの判断や刑の量定に影響を及ぼすべき一切の事情)が重いと考えられており、罪を認めたとしても、釈放が困難となる場合がありますので、注意が必要です。
2、さて、器物損壊罪は、親告罪(刑法第264条)として規定されています。親告罪というのは、告訴がなければ公訴を提起することができないというものです。本件の被害者は、警察署、ということになりますので、警察署に対し誠意をみせ被害を弁償し、お詫びの意思表示が大切です。しかし、警察署が被害届取下げるということは通常ありません。警察署・検察官の裁量にもよりますが、場合によっては、送検せずに釈放するか、送検された後、釈放になることも多いでしょう。しかし、貴方が、素直に罪を認めない場合、被疑額が大きい場合は、勾留請求される可能性も十分にあります。
3、警察署に謝罪をするのは、被疑者のご家族等が対応することもできますが、交渉の手法など困難な場合が多くあります。専門家である弁護士を通じて行うのも方法のひとつです。通常、身柄拘束の必要性があれば、被疑者が警察官に逮捕されてから48時間以内に検察官送致が行われ、そして検察官による取調べ後、検察官が被疑者の身柄を受取ったのち24時間以内に勾留請求を行うことになっています。勾留期間は10日間ですが、やむを得ない事情がある場合には、更に10日間まで延長することが認められています。
4、貴方は、数日後重要な会議があるのですから、なんとしても勾留請求、勾留決定は避けたいところです。そのためには、弁護人に依頼し、送検後検察官が勾留請求する前に、弁償の意思表示、謝罪の手紙、身元引き受け書など、会社の実情を勾留請求するかどうかの判断をする検察官に伝えてもらい在宅の取調べにしてもらうことが必要です。勾留請求は、送検された当日に行われますから時間が余りありません。逮捕後、実質的に48時間程度しかありません。その間に本件の事情を確認し、勾留請求を阻止しうる書面を全て用意しなければなりません。時間との戦いになります。被疑者の家族は、勾留請求が認められた後でないと面会が出来ませんから、事情は、弁護人を通じて把握することになります。弁護人も逮捕後、依頼を受けてから、弁護活動を開始するので、勾留請求決定まであまり時間がありません。直ちに対応してくれる弁護人が必要です。検察官により勾留請求がなされると、通常、東京では、翌日、地方では当日裁判所で勾留質問が行われ、即日10日間の勾留決定が出ます。万が一、検察官への提出書面が勾留請求まで用意できなかった場合は、勾留質問をする裁判官に決定前に書面を提出する方法も残されています。これはさらに時間との戦いになります(猶予される時間は、東京、近県では1日、地方では数時間)し、勾留請求されてしまうと、裁判官に却下を求めても、現実には難しい場合が多いように思われます。いずれにせよ、検察官、裁判官の判断によって勾留されるかどうかが決まることに変わりはありませんが、できるだけ有利な主張を行うしかありません。
5、以上のように依頼があった場合は、弁護人は、勾留請求の阻止、勾留決定の阻止、早期釈放を求めて、迅速に警察署長宛に被疑者の謝罪文や家族の謝罪文などを持参の上、今回のように警察署のドアを壊してしまったのであれば、費用の確認をし、直ちに被害弁償を行います。その際、和解合意書や領収書等、警察署に対する被害弁償は済ませたという証拠の書面を残しておき、送検された場合には検察官に提出することになります。また、今回のケースでは、お酒を飲んで勘違いをしたことが原因ですので、弁護人が法的な意見書を提出する必要もあります。
6、その他、警察署や検察官に対して提出できる書面は、被害届取下げ及び告訴取消書、身元引受書、和解金の預かり証、などがあります。ご不明な点は、お近くの法律事務所にご相談ください。

≪刑法≫
第二百六十一条  他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
第二百六十四条  第二百五十九条、第二百六十一条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

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