新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.239、2005/4/20 11:23

[民事・消費者]
質問:雑誌に掲載されていたパチンコ攻略法に申込みをし、30万円で契約をしました。多少疑問もあったのですが、確率や機械の構造上確実であるかのようなもっともらしい説明がついていたので、契約してしまいました。既に20万を支払い、今月末までに残り10万を支払うことになっています。しかし、実践してみると効果はなく虚偽でした。既に支払ったお金を返してもらうことはできるのでしょうか。また、残金は支払わなければならないでしょうか。

回答:
1、あなたの場合,@錯誤無効(民法95条)を主張する,A詐欺(民法96条1項)を理由として契約を取り消す,又はB消費者契約法を理由として契約を取り消すことで,支払ったお金を返してもらうことが法律上認められます。
2、錯誤無効とは,契約等を行うに際し,その重要部分について,真意と異なる表示行為を行った場合,契約は無効で,その表示行為をしたことに重過失がなければ始めから存在しなかったものと主張できる,というものです。つまり,あなたは,そのパチンコ攻略法に記載してある内容が真実であるということを前提に,購入するという申込みをしたのであって,虚偽の内容であると知っていればそのような申込みはしなかったはずですので,真実であると信じることに重大な過失がなければ(説明もあるので重大な過失とまでいえないケースが多いと思います。)錯誤に該当します。なお,このケースのように「動機」に錯誤がある場合でも,動機が表示され,法律行為の内容になったときには,錯誤無効を認めるというのが判例の立場ですが,本件では,記載されている攻略法が正しいから購入するという動機は明らかですから,特にこの点を明示していなかったとしても,錯誤無効は認められるものと考えます。
3、詐欺は,相手方又は第三者から騙されて,錯誤に陥り,その錯誤によって意思表示をする場合をいいます。つまり,あなたは,雑誌の掲載に騙されて,その攻略法が正しいと信じ込み,本当のことを知っていれば,することはなかった申込みをしたのですから,このケースでは詐欺に該当します。契約を取り消す旨の意思表示をすることで,契約は初めに遡って消滅することになります(民法121条本文)。
4、また,消費者契約法上,事業者が重要事項につき事実と異なることを告げたために消費者が誤認した場合(同法4条1項1号),契約の目的となるものに関して,不確実な事項ついて断定的判断を提供した場合(同法4条1項2号),重要事項ないし同事項に関連する事項につき,一方で有利なことを告げ,他方で不利益な事実をあえて告げないために消費者が誤認した場合(同法4条2項)には,意思表示を取り消すことができるとされています。したがって,本ケースにおいて,雑誌の掲載が,真実は効果のない攻略法であるにもかかわらず効果があるという内容であった場合や,効果が出て儲かるかどうかは不確実であるのに「絶対に儲かる」などと表示されている場合等には,消費者契約法上,申込みを取り消すことができ,やはり契約は初めに遡って消滅することになります。
5、以上,錯誤無効,詐欺取消,消費者契約法上の取消のいずれをとっても,契約が初めからなかったことになりますから,あなたは,既に支払った金銭の返還を求める権利があることになりますし(民法704条),残金を支払う必要もありません
6、ただ、消費者契約法による取消を行った方が、実際に相手が争ってきた場合に主張立証がしやすいので、虚偽であることに気付いてから6ヶ月以内(同法第7条)に、内容証明郵便で取消の意思表示(根拠としては、消費者契約法の他、錯誤無効や詐欺取消も念のため挙げておくよいでしょう。)をしておくことをおすすめします。但し、法的には取り戻す権利があっても、業者が行方不明になってしまう等すると、現実には難しいと思います。その場合には、警察に相談してください。書面の内容等については、弁護士等にご相談ください。

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