新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.229、2005/3/1 13:43 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・違法性]
質問:最近,道でお金を拾ったのですが,持ちかえると罪になるのでしょうか。遺失物法について教えてください。

回答:
1、遺失物とは,持ち主(所有者)が,置き忘れたり,紛失したりした物を言います。ただし,持ち主が捨てた物については,遺失物に含まれません。本件の道に落ちていたお金は,通常,遺失物に当たると考えてよろしいでしょう。
2、遺失物の取り扱いについては,「遺失物法」という法律に規定があります。この法律によれば,遺失物を拾った場合,その拾った人は,その持ち主(所有者等)又は警察署に届けなければならないとされており(同法1条)おり,通常,その持ち主が誰かがすぐに分からないことが多いですから,実際には,最寄りの警察に届けることが義務づけられています。
3、ちなみに,警察に届けたあと,警察において持ち主を探す作業を行い,これによって,持ち主が現れた場合には,その物の価格の5%〜20%(同法4条)の範囲で,報労金をもらえる権利を取得することになります。また,6か月経過後(民法240条)も持ち主が現れない場合には,取得した人が,その所有権を取得することができます(ただし,取得した場所が,別の人や会社等の管理下にある場合には,取得できない場合もあります。)。
4、これに対し,拾った遺失物を警察などに届け出ず,今回のご質問のように持ち帰ってしまった場合は,刑法上の遺失物横領罪(刑法254条)を犯してしまったことになり,警察に逮捕されたり,場合によっては,被告人として刑事裁判を受けることもあります。この遺失物横領罪の法定刑は,1年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料とされています。
5、少ない金額のお金を拾った場合などでは,警察に届けるのが面倒だと思うこともあるかと思われますが,その行為が犯罪であることには違いありませんので,お金などを道で拾った場合は,必ず,最寄りの警察に届けるようにして下さい。

≪条文≫
刑法(遺失物等横領) 第二百五十四条  遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

遺失物法 
第一条  他人ノ遺失シタル物件ヲ拾得シタル者ハ速ニ遺失者又ハ所有者其ノ他物件回復ノ請求権ヲ有スル者ニ其ノ物件ヲ返還シ又ハ警察署長ニ之ヲ差出スヘシ但シ法令ノ規定ニ依リ私ニ所有所持スルコトヲ禁シタル物件ハ返還スルノ限ニアラス 
第四条 物件ノ返還ヲ受クル者ハ物件ノ価格百分ノ五ヨリ少カラス二十ヨリ多カラサル報労金ヲ拾得者ニ給スヘシ但シ国庫其ノ他公ノ法人ハ報労金ヲ請求スルコトヲ得ス

民法 第二百四十条  遺失物ハ特別法ノ定ムル所ニ従ヒ公告ヲ為シタル後六个月内ニ其所有者ノ知レサルトキハ拾得者其所有権ヲ取得ス

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