新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.210、2004/12/15 19:03

[家事・親子]
質問:妻と別居後、既婚者である外国人女性と交際し、妊娠しましたが、自分も相手女性も、離婚の話し合いが決まらず、離婚できません。生まれてくる子供は、日本国籍を取得できるでしょうか。日本人女性が、外国人男性と交際して妊娠した場合はどうでしょうか。

回答:
1、国籍法2条1号は出生による国籍の取得について次のように定めています。「子は、つぎの場合には、日本国民とする。1、出生の時に父又は母が日本国民であるとき。」
2、日本人女性が外国人男性の子供を出産した場合は、認知を要せず、分娩の事実だけで、当然に親子関係が発生すると解釈されていますので、日本人の女性が出産した場合については、出生届を出すだけで、問題なく、日本国籍を取得することが出来ます。
3、外国人女性が婚姻関係にない日本人男性の子供を出産した場合は、法務省の戸籍実務上は、原則として胎児認知(民法783条)を行わなければ、子供は日本国籍を取得できないという取扱が行われています。
4、裁判所は、外国人女性が別の男性と離婚していなかったため(または離婚後300日を経過していなかったため)、@子供が別の男性の嫡出推定を受ける(その結果、どうしても胎児認知することは出来ない)場合に、A嫡出推定を排除する手続(嫡出否認、親子確認不存在確認の裁判)が子供の出生後滞りなく行われた場合で、B嫡出推定を排除する手続が確定し認知の届け出をする障害が無くなった後速やかに認知届けがされた場合には、胎児認知が行われた場合に準じて国籍法2条1号の適用を認める判決を出しています。(最高裁判所平成9年10月17日判決、平成15年6月12日判決)
5、上記判決を受け、法務省の戸籍実務は次のように変更されています。@子供の出生後3ヶ月以内に嫡出推定を排除するための裁判が提起され、Aその裁判確定後14日以内に認知の届け出がされた場合は、胎児認知された事例に準じて子供が日本国籍を取得したものとして処理する。
6、日本国籍の取得は子供にとって重大問題ですので、上記要件にあてはまらない場合でも、出来るだけ早期に弁護士など専門家に相談することが必要です。

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