新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.207、2004/12/15 18:04

[行政・許認可]
質問:外国人が犯罪を犯した場合,常に国外退去強制処分になるのですか?また,外国人に日本人の配偶者がいる場合はどうですか?

回答:
1、外国人の退去強制事由については,出入国管理及び難民認定法(入管法)24条に規定されています。それによると,@不法入国者(1号),A不法上陸者(2号),B偽変造文書作成・提出者(3号),C資格外活動者(資格外活動のうち,「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」を「専ら行なっていると明らかに認められる」者)(4号イ),D超過滞在者(4号ロ,6号,6号の2,7号),E入管法上の刑罰法令違反(集団密航関係,営利目的不法入国等援助)で刑に処せられた者(4号ホ),F外国人登録関係刑罰法令違反で禁錮以上の刑に処せられた者(但し,執行猶予を受けた者は除く)(4号ヘ),G長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられた少年(4号ト),H薬物関係刑罰法令違反で有罪の判決を受けた者(4号チ),I4号ホからチ以外の刑罰法令違反で無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者(但し,執行猶予を受けた者は除く)(4号リ),J売春関連業務従事者(4号ヌ),K不法入国・不法上陸の教唆・幇助者(4号ル),L暴力主義的破壊活動者(4号オ,ワ,カ),M日本国の利益・公安を害する行為を行ったと法務大臣が認定する者(4号ヨ),N刑罰法令違反(住居侵入,偽造,賭博,殺人,傷害,逮捕・監禁,略取・誘拐,窃盗・強盗,詐欺・背任・恐喝,盗品,集団的暴行,加重傷害,常習的暴行・傷害,盗犯等防止法違反)で懲役又は禁錮に処せられた者(但し,外交・公用・教授・芸術・宗教・報道の在留資格者に限る)(4号の2),O国際競技会等に関連して暴行等を行った者(但し,短期滞在の在留資格者に限る)(4号の3),P仮上陸条件違反者(5号),Q退去命令違反者(5号の2)は,退去を強制できると規定されています。よって,外国人が犯罪を犯した場合,上記の退去強制事由に該当する場合は,原則として,国外退去強制処分になります。
2、但し,法務大臣は,外国人が退去強制事由に該当する場合であっても,特別に在留を許可すべき事情があると認めるときは,その者の在留を特別に許可することができるとされています(入管法50条)。この許可は,一般に,在留特別許可と呼ばれています。そして,「特別に在留を許可すべき事情」は,その外国人の生活状況,素行,家族関係などの諸事情に鑑み,法務大臣の裁量で判断されます。最も多いと思われるのが,日本人の配偶者がいる場合で,日本人の保護という観点もあるので,認められやすい類型と言えます。但し,常に認められるわけではなく,婚姻実態があるか(偽装結婚ではないか,結婚期間がどれ位か),子供がいるか,本人の素行に問題がないか(刑事事件の場合は,その事件の内容によります。単純なオーバーステイだけなら認められやすいと言えるでしょう。),生活が安定しているかなどを総合的に考慮して判断されます。詳しくは、お近くの法律事務所にご相談ください。

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