新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.194、2004/9/16 10:10 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴前]
質問:彼女に新しい恋人ができたのを知り腹が立ったので、交際相手の自宅に侵入し、金品を盗んで逮捕されていまいました。彼女に対しても、殺してやるなどと脅したことがあります。これからどうなるのでしょうか。

回答:
1、あなたの行為は、住居侵入罪(刑法130条)、窃盗罪(刑法235条)、脅迫罪(刑法222条)に該当します。逮捕された場合は、被疑者に弁護人選任権があり(憲法34条)、選任されると、弁護人は警察署まで接見(刑事訴訟法39条)に向かいます。通常、被疑者が警察官に逮捕されてから48時間以内に検察官送致が行われ、そして検察官による取調べ検察官が被疑者を受取った24時間以内に勾留請求を行うことになっているため、弁護人は一刻も早く接見に行き、事件の概要を把握します。勾留とは、送致を受けた検察官が、犯人が逃亡したり証拠を隠したりしないように、捜査を進める上で身柄の拘束が必要な場合に、検察官の請求に基づいて裁判官が勾留状を発付して行う手続きです。勾留期間は10日間ですが、やむを得ない事情がある場合には、更に10日間まで延長することが認められています。
2、本件のように被害者が存在する事案においては、弁護人は被害者に対し、被疑者の謝罪の意を早急に伝える必要があります。被疑者が被害者に迷惑をかけたことを深く反省し自責の念に駆られているのであれば、代理人として、その意思を被害者に代弁することは、重要な弁護活動であると考えます。
3、弁護人が、被害者の連絡先など知っているのであれば、直ちに示談交渉を進めることになりますが、被害者の連絡先など全く分からない場合は、担当警察官に教えてもらうよう交渉します。しかし、現在ではプライバシーの問題や事件の性質を重視し、担当警察官が被害者の連絡先などを教えないケースもあります。このような場合でも、弁護人は諦めずに担当警察官から被害者に対し、弁護人作成の書類(和解合意書、弁護人の誓約書、示談金の預かり証、謝罪文など)を渡してもらい、被害者と継続して交渉を進める方法や、弁護人の連絡先を被害者に伝えてもらうよう担当警察官に伝える方法もあります。また、検察官が勾留請求を行った場合は、勾留状謄本を取得し、被害者の情報を得るという方法もあります。
4、被害者に対する示談交渉は、被害額の弁償は勿論のことですが、単に高額な示談金を被疑者に提示することだけが目的ではありません。示談内容は、被害者との話し合いによって異なってきますが、金銭的な解決だけではなく、何より、被害者の今度の身の安全を確保するよう、誓約することが重要であると考えます。例えば、今後一切、被疑者は被害者の職場・通学先・居宅、被害者の家族などに対し、手段の如何を問わず一切接近しないこと(○○メートル以内に接近しない)、通勤、経路等を変更すると誓約し、違約した場合は違約金○○万円を直ちに支払うという内容を書面に残すことも、手段の1つです。
5、示談交渉の結果、刑事事件で被害届及び告訴取消しが為され、民事事件においても示談が成立するようであれば、警察官・検察官の裁量により、本件のような事案であっても、不処分になる可能性も残されていますので、不安なときは法律事務所に相談することをお勧めします。

≪条文 刑法≫
(住居侵入等) 第百三十条  正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
(脅迫) 第二百二十二条  生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2  親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
(窃盗)
第二百三十五条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役に処する。

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