新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.179、2004/7/20 16:14 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴前]
質問:
昨日,友人が逮捕されて○○警察署の留置所にいるのですが,弁護士に一度だけ接見をお願いすることはできますか。その場合,接見ではどのようなことをしてくれるのですか。また,その後,事件の依頼をすることはできますか。

回答:
1、弁護士に一度だけの接見を依頼することは可能です。今回の場合は,逮捕直後のようですが,特に否認事件(被疑者が罪を認めていない事件のことを言います。)の場合には,捜査開始直後に,虚偽の自白をした調書を警察に取られるなど,将来の冤罪事件を引き起こすような原因が作られることがままありますので,被疑者の権利を擁護するためにも,この段階で弁護士からの適切なアドバイスを受けることが極めて重要となります。一度だけの接見の弁護士費用ですが,接見場所やかかる時間によって異なりますが,日当として,およそ3万円から5万円程度,これに加えて交通費等の実費がかかるのが一般的であります。
2、弁護士が被疑者と接見をするときには,まず,被疑者から,どのような理由で逮捕されたのか,何をやったのか(もしくはやっていないのか)を聞き,事案の概要を理解すると共に,法律上の問題点を把握するよう努めます。その上で,被疑者の権利を擁護すべく,警察や検察からの取調べに対する適切な応対の仕方(黙秘権の内容や供述調書への署名に際する注意点等)をアドバイスします。さらに,家族や友人からの伝言を伝えたり,被疑者(被告人)本人からの伝言も受け,家族等に連絡することも行います。また,場合によって,家族に代わり衣類等の差入なども行うことがあります。
3、接見終了後,その弁護士に事件の依頼をすることも可能です。今回のような刑事事件においては,「起訴前弁護」と「起訴後弁護」で別契約となるのが一般的です。起訴前弁護では,弁護士は,被疑者の身柄拘束が一日も早く解けるように,検察官と交渉をしたり,勾留(身柄拘束処分の一種)に対して不服申立を裁判所に行ったりします。また,被害者があるような犯罪の場合,被害弁償し,被害者が被疑者を許してくれているかが,身柄解放にとっても起訴不起訴の決定においても,将来の裁判にとっても重要になってきますので,被疑者やその家族が示談金が用意できるようであれば,被害者との示談交渉も行います。このような弁護活動にもかかわらず,起訴されてしまった場合には,別途依頼を受けた上で,起訴後弁護活動を行います。起訴後弁護では,来る裁判の日に向けて,被告人に有利になるような証拠を集めたり,継続して示談交渉を行ったりします。そして,裁判当日は,被告人の弁護人として出廷し,被告人に有利な判決が出るように様々な活動をします。また,身柄を拘束されたままで起訴された場合には,保釈(一定の金銭を裁判所に預けて,身柄拘束を一時解いてもらう制度)の申請を裁判所に行い,一刻も早く被告人の身柄が解放されるように活動をすることもあります。
4、警察署や拘置所の部屋に閉じこめられ,家族や友人等から隔離されて,肉体的にも精神的にも窮地に立っている被疑者(被告人)にとって,弁護士との接見は,そのような苦痛を和らげるとともに,本人の権利を擁護するという意味においても非常に有用だと思われますので,今回のような場合には,なるべく早く弁護士に相談されるのがよろしいと思います。

法律相談事例集データベースのページに戻る

法律相談ページに戻る(電話03−3248−5791で簡単な無料法律相談を受付しております)

トップページに戻る