新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.177、2004/7/16 17:11 https://www.shinginza.com/qa-hanzai.htm

[刑事・起訴後]
質問:国選弁護人、私選弁護人はどのように違うのですか。処罰に影響はあるのでしょうか。

回答:
1、国選弁護人は,刑事被告人からの請求(刑事訴訟法36条)または法律の規定(刑事訴訟法37条)に基づいて,国が選任する弁護人です。これに対して,私選弁護人は,刑事被告人や被疑者などの関係者(刑事訴訟法30条参照)が,直接弁護士と契約して選任する弁護人です。このように国選弁護人と私選弁護人の一番大きな違いは,誰が選任した弁護人であるか,という点です。
2、このような違いから,金銭面では以下のような違いが生じます。すなわち,国選弁護人は,国と弁護士との間で合意して選任されるものですから,弁護士費用は国が支払います。被告人は国選弁護人に対して金銭を支払う必要はありません。刑事訴訟法36条が「貧困その他の理由により弁護人を選任することができないとき」と規定しているのもその趣旨です。弁護士費用分は訴訟費用となりますが、被告人に負担させない場合が多いです。これに対し,私選弁護人は,刑事被告人その他の関係者と弁護士との合意に基づくものですから,刑事被告人その他の関係者が弁護士費用を支払います。弁護士に刑事被告人の弁護を依頼すると,少なくとも数十万円の弁護士費用を支払わなければならない場合が多いです。このように,金銭面を比較すると,国選弁護人の方が被告人の負担は少なくなります。
3、それでは,国選弁護人と私選弁護人の違いは,処罰に影響を与えるのでしょうか。この点について,まず注意しなければいけないのは,裁判所が国選弁護人であるから処罰を重くすることはありえないし,国選弁護人が国の言いなりになることもありえない,ということです。刑事弁護人が被告人のために活動することは当然であり,国選弁護人と私選弁護人とで違いはありません。また,国が国選弁護人の活動に介入することもありません。刑事弁護人としての活動内容は,国選弁護人と私選弁護人とで何ら違いはないのです。もっとも,個々の弁護人の活動内容を見ると,非常に熱心に活動する国選弁護人もいれば,本当に活動しているのか疑わしい私選弁護人もいます。この弁護人の活動の程度が,間接的に処罰に影響を与えることはありえます。そこで,処罰に影響を与えるか,という視点に立つと,個々の弁護人の弁護活動が問題となります。
4、上記の問題点を考えると,国選弁護人と私選弁護人で大きな違いが出てきます。すなわち,国選弁護人は国が弁護人を選任するものであり,被告人は選任に関与しません。被告人が全く知らないうちに弁護人が選任されます。また,被告人や関係者が国選弁護人の活動に不満を持ったとしても,国選弁護人を解任することはできません。国選弁護人を解任することができるのは国だけであり,国はよほどのことがない限り解任しません。この結果,被告人は,自分の意向に添わない弁護士が国選弁護人になった場合でも最後までその弁護士の活動を甘受しなければなりません。これに対し,私選弁護人の場合,被告人その他の関係者は,自分たちの意向をふまえて弁護人を選ぶことができます。また,一度弁護人を選任した後,弁護活動に不満が出てきた場合にはその弁護人を解任して別の弁護人を選任することもできます。弁護士を解任しても既に支払った着手金は戻ってこないため,金銭的な負担は大きいですが,私選弁護人の方が納得できる弁護活動をしてもらえる可能性は高くなります。
5、以上見てきたように,金銭的にある程度余裕があり,納得できる弁護活動をしてもらいたいときには,刑事弁護活動に熱心な弁護士を探し、私選弁護人として裁判所に届け出た方がご安心かと考えます。
6、逮捕、拘留、起訴された場合は、私選弁護人を依頼しない場合でも、お近くの弁護士に相談なさってはいかがでしょうか。

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