新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.143、2002/6/11 15:27

[家事・夫婦]
質問:離婚したいのですが、家のローンが支払い中です。妻の父親名義の土地に、夫名義の建物が建っている場合はどうですか?
 ↓
回答:
1、財産分与は、婚姻期間中に取得した財産の名義を分けるものです。半分ずつに分けるのが基本ですが、個別事情で若干変わります。財産分与の割合や方法について、夫婦間で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。
2、住宅にローンが付いている場合は、不動産の時価からローン残額を引いて、財産分与の基礎となる財産価額を計算します。財産分与の方法として、現物による分与と価格賠償の2種類の方法があります。前者は名義を共有にする方法で、後者は一方が単独名義で所有して他方が持分相当額の金銭を受け取る方法です。分割払いで受け取る場合は、抵当権を設定することもできます。
3、住宅ローンが、不動産の価値を上回る場合は、財産分与はありません。契約当初の債務者が、そのまま、債務を負担し、その代わり、不動産の名義も有しているのが通常ですから、それを維持して所有します。名義が共有の場合は、共有持分に従いローンの負担額を決め、ローンの返済を続けるか、ローンを負担する方が不動産の名義を単独で取得するということになります。
4、ローンの抵当権のついた不動産を処分したい場合は、抵当権者と交渉して任意売却の手続きを取ります。残債務の返済が困難であれば、破産か、民事再生申し立てを行います。
5、妻の父親名義の土地に、夫名義の家を建てている場合も、財産分与の仕方については、基本的には同じです。土地付き建物との違いは、借地上の建物なので、離婚後、建物を維持できるのかという問題です。
6、他人所有の土地に建物のローンを組む場合は、土地所有者から賃貸借契約書や賃借権承諾書を提出するのが原則ですので、建物は敷地の賃借権付建物として評価されています。この賃借権は借地借家法で保護された権利ですから、財産分与の結果、敷地の賃借権付き建物を名義通り夫が取得することにした場合でも、夫は、地代(賃料)を支払い続ければ、離婚後も建物を使い続けることができるのが原則です。
7、しかし、双方が希望しない場合は、賃貸借契約を終了させ、父親に建物を買い取ってもらうか、夫に土地を買い取ってもらうか、第三者にまとめて売却するかして、清算する事もできます。
8、賃貸借契約書を作っていても、地代の定めがなかったり、実際に固定資産税以外の地代を払っていなかった場合には、使用貸借契約と評価され、貸主の都合でいつでも解除できる場合もあります。
9、夫名義の建物がある場合は、@住宅ローンの残債務額、A土地使用権が賃借権なのか使用借権なのか、B財産分与の額、などの事情が関係しますので、どのようにすべきか、弁護士にご相談になるとよいでしょう。

法律相談事例集データベースのページに戻る

法律相談ページに戻る(電話03−3248−5791で簡単な無料法律相談を受付しております)

トップページに戻る